あの戦いのあと。
負傷したトランクスの治療やドラゴンボールでセルの犠牲者たちを生き返らせるために、俺たちは皆揃って神様の神殿を訪れていた。
「皆さん、本当にお疲れ様でした。・・・お二人にも、地球の新たな神としてお礼を言わせてください」
はじめましての後、デンデは俺とブロリーに深々と頭を下げた。
俺もぺこりとお辞儀を返す。ブロリーはそのまま。
なんだか同じサイズ感なのが貴重で嬉しくなってしまい、「仲良くしてね」と笑ってみるとデンデはちょっぴり照れ臭そうにしながらも「こちらこそ」と頷いてくれた。かわよ。
そしてトランクスの怪我を治し、無事に復帰。
ちなみに原作とは違い、この場には悟空と共にベジータも来ている。状況も結末も変わったからか「オレはもう戦わん」とはならなかったようで、治って皆に囲まれているトランクスへ距離を置いたままではあるが何やら意味深な視線を向けていた。
ずっと気を失ったままだった18号も丁度その頃目を覚ましたが、こっちはおおむね原作通り。
事情を聞くやいなやクリリンをタコ呼ばわりして飛び去ってしまった。・・・まだ近くにいるんだよねこれ。神龍にびっくりして引き返してくるんだっけ?
続いて犠牲者たちの蘇生のため、あらかじめ保管されていたドラゴンボールをミスターポポが持ってきて床へ並べてくれる。
生ドラゴンボールだ~!透き通っていてピカピカのとても綺麗な宝玉。まんまオレンジ色の水晶玉って感じ。
デンデが合言葉を唱えると空が暗くなり、巨大な緑色の龍が現れた。生神龍だ~!!でっけ~!!!
内心ではしゃぎまくる俺をよそに、叶えられていく願いは原作のとおりの二つ。セルに殺された人たちの復活と、17号18号姉弟の爆弾の除去。
それを見届けたあと、消えようとする神龍をずっと傍から見ていた俺は前に出て呼び止めた。
「神龍まって!かえるまえにひとつだけ、おしえてほしい!」
突然のことにみんなびっくりして俺のほうを見ている。
おおきな赤い眼がこちらに向けられて、俺はそのまま続けた。
「ドラゴンボールのちからで、わたしの『不老不死』を消したり無効化することって出来る!?」
ブロリーも驚いているようだが、消えてしまう前にどうにか答えを聞きたい。
少しの間を置き、神龍は重々しい声を響かせた。
『・・・それは無理だ』
「どうして?」
『原初世界の者である貴女の加護は、この世の神々よりも遥か上位の存在によるもの。私の力の及ぶところではない』
あ?なに?
なんか全然知らん単語が出てきたんだけど。
どういうことなのか詳しく訊きたいところではあったが、それよりも先に神龍は『既に願いは叶えた。これにて失礼させて頂く』と話を打ち切って消えてしまった。
まあ長々と引き留めるわけにもいくまい。
「・・・ごめんね急に。確認だけでもしておきたかったんだ」
「フリーザが聞いたらブチ切れちまいそうな願いだったなあ」
空から四方八方へドラゴンボールが飛び去った後、みんなのほうへ一言謝っておくと悟空が笑ってそんなことを言う。
まあそうね。フリーザのみならずベジータも過去にあれだけ必死に叶えたがっていた不老不死を、わざわざ捨てようとしてんだから。
ブロリーの隣へ戻ると、彼も何か思うところのありそうな表情でぽつりと声を掛けてきた。
「・・・何故、そんなことを」
「ん~?・・・まあ、べつにたいした理由じゃないんだけどさ」
言おうか言うまいか少しだけ迷ったが。まあいいかと思い、でもちょっぴり気恥ずかしいから目線は合わせないままさらっと口に出す。
「・・・ブロリーといっしょに、歳かさねて生きていきたかったなあって。そんだけ」
「・・・・・・・ッ、」
へへ、といつものように笑おうとしたがちょっと上手くいかなかったかもしれない。
ブロリーは一瞬だけ目を見張ったあと、わなわなしたかと思うと急に空に向かって大声で叫んだ。
「オレを不老不死にしろ!!!!!」
「ブロリー、もう神龍かえっちゃったよ」
翌日。
カプセルコーポの外庭で、みんなでトランクスが未来へ帰るのを見送った。
長く伸びていた髪を切り、カプセルコーポ社のロゴ入りのジャケットを着たその姿はお馴染みの未来トランクスそのものだ。
ひとりひとりがそれぞれ彼に声を掛ける中、何かアドバイス出来ることはあったかなと記憶を探る。
うーむ、あんまりネタバレすぎること言っちゃうのもな~・・・。
彼の未来では、人造人間を倒した後もあっちはあっちでブウ編が待ち構えているはず。
「シロちゃんとブロリーさんも、お達者で」
「がんばってね~。・・・あのさ、いまは意味わかんないかもしれないんだけど。このさきもしも『ゼットソード』っていう剣をだれかにもらうことがあったらね、そのままつかうよりも叩き折ったほうがいいよ」
「・・・ゼット、ソード?」
「うん。まあ、いちおーおぼえておいて」
「・・・わかりました。君のいう事だから、きっと大事な意味が込められているんでしょうね」
これくらいだったら許されるだろ。
あっちのあの剣、確か封印解く前に石化させられて剣ごと中身諸共死んじゃうんだよね。
老界王神のじっちゃんがいたら結末も若干変わってくれるかもしれない。
ばいばーいと手を振り、みんなと一緒に見送る先でタイムマシンは空へ昇っていくと唐突に消えてしまった。がんばれ~。
・・・・・そういえば、"向こうのブロリー"ってどうなってるんだろ?
元々はあっちが正史だから、もし俺がいない本当に元々の世界線なんだったら・・・悟空が死んだことを全く知らない原作そのままのブロリーが、後々になってパラガスと一緒に地球へ襲来したりするんだろうか。そんな二次創作もちらほら作られてたよな。
まあ悟空に再会しない以上カカロット厨にも伝ブロにもならない可能性大だけど・・・もし出くわしたらそれはそれで結構厄介なことになりそうだ。トランクスは今ここにいるブロリーのことしか知らないだろうし。
隣で同じく空を見上げているブロリーの手を繋ぎながらそんなことをぼんやりと考えていると、何故か何かを感じ取ったのか「どうした?」と訊かれて俺はなんでもないよと首を振った。
こっちからはもう何もアクションとれないんだし、ご健勝をお祈りするだけだ。
そしてさらに数日後。
ついに、ブルマさんからカプセルハウスを譲り受けた俺達は礼を言って数日間世話になったカプセルコーポを後にした。
孫家があるパオズ山にほど近い、とはいえ山ひとつ分は離れた静かで自然豊かな地域に目星をつけそこに家を設置する。
「マイホームだあ~~~~~!!」
ひゃほーい!とはしゃいでいる俺の横で、ブロリーも物珍しそうに鎮座しているカプセルハウスを眺めていた。
祝!脱ホームレス!!
これで俺達も一国一城の主というわけだぁ!・・・借金まみれだけども。今は忘れよ。
さっそく中に入ってみると、大きなふかふかベッドやありがたくも既に備え付けられている便利家電の数々などに感動して涙出てくる。
ここからふたりの生活が始まるんだなあ・・・としみじみしていると、ゴスッと鈍い音がして振り返ればドアの上枠に頭をぶつけているブロリーがいた。
大きめのサイズのハウスを用意してくれたらしいけど、それでも2メートル超えであるブロリーの身長には少し足りないらしい。
だいじょぶ?と苦笑いしてるとブロリーはぶつけた額をさすりながら眉尻を下げている。すまん、そこはどうにか慣れてくれ。
リビングにあるソファにぽすっと飛び込んでみると、こっちもふかふかしてて気持ちいい。今度でっかいクッション買っちゃお~。
幼女が寝転んでもまだ横幅にはかなりゆとりがある。ブロリーがそこに腰掛けるとボフっと大きく沈んで俺は彼の膝の上に転がった。
「念願のあたらしいおうちだねえ・・・感想は?」
「悪くない。・・・高さ以外は」
やっぱそこか。
ぷへへと笑ってみれば、初っ端に文句はつけたものの彼はそれでも割と満更ではなさそうな顔をしている。
それを見ていると、本当にこれからブロリーと二人で暮らしていくんだなあと改めて実感が湧いてきた。
今後の生活についても、色々と話し合って決めていかなきゃな。
「まあとりあえず。・・・これから、あらためてよろしくね」
「・・・ああ」
こちらこそだ、と大きな手のひらでぐりぐり撫でられて思わず再び笑みが零れた。
色々と大変なこともあるし、世界もまだまだ困難に満ち溢れてるけど。
俺達は俺達なりに、出来る範囲で頑張っていこう。
一緒に生きていくって決めたんだから、そしてその手をとってくれた彼となら、きっと大丈夫。
こうして俺達もまた、新しい日々へと踏み出していくのだった。
これでセル編(第二部)完となります。
このあと、ブウ編の前に空白の7年間の話として幕間の章を挟むつもり。いくつか消化しておきたいイベントがあるので。
番外編も幕間の章も同じ7年間のあいだの出来事ですが、番外編は読んでも読まなくてもどっちでもいい話。幕間章は本編に必須の要素や出来れば知っておいたほうがいいなというエピソードなどで構成していきます。
番外編はそのままにしてその続きの位置として再開始するので、今後もお付き合い頂ける方はどうぞよろしくおねがいします。
追記
それと、前回の話を書いてから今回の話を書くまでの間に急速に色々と降りてきて
ブウ編でやりたいことがだいたい固まりました。
現在進行形でインフレがとんでもないことになっていますが、ブウ編では章ボスとしてブウのほかにもう一体、ブロリーがどれだけ進化しようがほぼ意味を成さない相手を立てようかなと思っています。
幼女氏との絆でどうにか乗り越えられるかどうかって感じになるでしょう。
自分の
長丁場になってくるとやる気もダレてくるかもしれないんですけど、みんなー!オラにモチベを分けてくれー!