TS転生幼女は伝説の超サイヤ人を救いたい。   作:こねこねこ

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せっかくの猫の日ということで。





TS転生幼女番外07_ねこをひろった話。

その日は朝からずっと晴れていたのに、夕方近くになって急に雨が降り始めた。

 

すっかり薄暗くなってしまった景色に少し陰鬱としながら、電気をつけて窓を閉める。

日が沈んだあと取り込んでおいた洗濯物を畳んでいると、ドアが開く音がしてなんとなしにそっちのほうを振り返った。

 

「おかえりー、濡れなかった・・・あれ?」

 

帰宅したブロリーを見ると、何やら片手に小さな毛玉を抱えている。

 

全身真っ黒で、ちっちゃな仔猫だ。

 

「どしたの、それ」

「すぐそこに居た」

「親は?」

「わからん。朝出た時にも同じ位置で独りだった・・・見捨てられたのかも知れんな」

 

濡れそぼってぐったりしているその様子は明らかに弱っていて、朝から・・・もしかするともっと前から放置されていたのだとすると、もう親の助けは望めないのかも知れない。

まだ生まれてそれほど経ってなさそうなくらいにちっちゃい赤ちゃんだし、これ以上放置されたら死んでしまうだろう。・・・と、ブロリーも思ったから手を出したのだろうか。

 

「とりあえず、洗って温めてあげて。わたしちょっとミルクとか要りそうなもの買ってくるよ」

 

家に牛乳はあるが、成猫ならともかく仔猫の場合はそれだとお腹を下してしまう。

あげるならちゃんと猫用のミルクじゃないといけない。

 

優先順位的には動物病院にも診せたいが・・・もう結構時間が遅くなってしまっている。行くなら明日の朝イチだな。それまでもってくれればいいんだけど。

 

閉店間際だったスーパーへちゃちゃっと転移し、ペット用品コーナーへ直行してミルク以外にもペットシーツやノミ駆除剤など適当に役立ちそうなものをいくつか見繕って買って帰る。

家に戻ってみると、仔猫はふわふわのタオルでぐるぐる巻きにされていた。

・・・まあ、及第点か。顔は覆ってないみたいだし。湯たんぽ的なものがあるとなお良いので、ペットボトルに熱すぎない程度のお湯を入れて添えておく。

適当な段ボール箱にタオルをたくさん敷いて、簡易的なベッドも作ってみた。

 

その後とりあえず買ってきたミルクも温めて、小さな哺乳瓶に入れてごはんの準備。

出来たソレをはいこれ、とブロリーに渡すとキョトンとしていた。

 

「・・・オレがやるのか?」

「そりゃそうだよ。ブロリーが拾って来たんだから、ちゃんと自分でお世話しなきゃ」

 

俺もこうした準備や手伝いはしてあげるけど、基本的にはあくまで自分でやってもらう。

それが拾った人の責任です。

 

少し戸惑いながらもミルクを飲ませているのを横で見守っていると「あまり飲まない」と困った顔。

 

「弱ってるし、食欲も今はそんなに無いのかもね。人間みたいな1日3食じゃなくて、数時間ごとくらいに回数分けてあげると良いみたい」

 

ネットで情報も検索しつつ適宜アドバイス。

とりあえずは朝までお世話して病院開いたら直行だなー・・・24時間やってるところがいつも行く街にあったら良かったんだけど。俺の世界だったらけっこうどこも夜間対応してくれた覚えがあるのに。

 

 

ベッドには行かずそのままリビングで猫のこと見てたんだけど、いつの間にか寝落ちしちゃってたのか夜が明けていた。

 

起き上がって見るとブロリーは起きていて、猫を抱いたまま大きな手のひらで撫でている・・・・・いや、よく見たら違うな。

なんか手と猫がほんのりと不思議な光を纏っていた。

 

「気、あげてたの?」

「・・・カカロットが以前、弱った鳥をこうして復活させていたのを見たことがある」

 

なんかクウラ戦だったか何かの映画で俺もそんな描写見た気がするな。

瀕死のフリーザに気を分け与えるシーンとかも原作にあったし、DBでは気を他の生き物に注ぎ込むと活力になったり元気になったりするらしい。

 

衰弱していた仔猫も、そのお陰かまだちゃんと生きているようだ。良かった良かった。

 

朝食を手早く済ませ、病院が開く時間に合わせて二人で猫を連れて行くことに。

診てもらうと病気の類は持っていなかったようで大きな怪我などの問題も無し。衰弱も昨夜よりだいぶマシになっていたので大丈夫だろうという結果。

具体的な対応方法を訊いたりちゃんとした薬などもいくつか貰って、そのまま猫は連れて帰った。

 

追々里親を探すつもりだけど、とりあえずしばらくの間はウチで面倒を見ることに。

メインのお世話はもちろんそのままブロリーに任せた。

 

「名前、つけてあげたら?」

「・・・・・名前か・・・・・、」

 

全身まっくろのちっちゃな仔猫。

ブロリーは両手で顔の前に抱えたそれをじーっと見て・・・そして一言。

 

 

 

「クロ」

 

 

 

ぜっっっっったい言うと思った!!!

 

予想通りすぎて笑ってしまう。

俺という前例があるからな。相変わらずの安直なネーミングセンスよ。

 

でもシロとクロかあ・・・なんか兄弟みたいで親近感湧くね。

 

 

 

そのまま数日が経ち、お世話の甲斐あってクロはだいぶ元気になった。

よちよち歩きで動けるようにもなって、みーみーぴーぴー可愛い声でよく鳴いている。

 

毛並みもふわふわ、ちっちゃくてまるっこくて、あと結構人懐っこい。

正直すんごく可愛いから里親もすぐに見つかるんじゃないかな~。

 

いつも世話になりっぱなしで頭が下がるが、今回もブルマさんに伝手を頼って募集をかけて貰うことに。

そのときにブルマさん家へクロを連れてったんだけど、ブリーフ博士が飼ってる黒猫のタマと一緒にわちゃわちゃじゃれ合ってて見てるだけで癒されてしまった。

 

 

 

家にいるときは、ずっと面倒を見ていたからかブロリーのほうへ懐いている。

面倒を見ているといっても、元々ブロリーはあまり積極的に他者に何かしらの干渉はしないタイプだ。

もし俺が世話係だったらあんな可愛い仔猫常時構い倒してしまいそうなものだが、彼は餌やりや必要な世話のとき以外は基本放置。

そして猫には基本的にそういう対応のほうが合っているらしい。

・・・そういや前にもブロリーって猫のこと無視して逆に集られてたことあったな。

 

あと餌やりひとつとっても、俺だったら「よちよちよちごはんだよ~~~今日もかわいいなあデヘヘちゃんとぜんぶ飲めてえらい!!てんさい!!」ってひたすらデロデロしてしまうんだけどブロリーは「飲め」の一言であとは突っ込むだけである。ちゃんと力を入れ過ぎないようには気をつけているみたいだが。

 

だいぶ環境にも慣れたのか、ここ最近はクロのほうがブロリーに近寄っていくし姿が見えなくなると鳴き出したりしている。

今も目の前にはソファの上でだらーっとしているブロリーと、その腹の上でぺしょ~っとしながらゴロゴロまったりしている仔猫の図が。写真とっとこ・・・。

 

 

 

そんな日常にクロの姿がすっかり溶け込み、よわよわだった仔猫の体つきもしっかりして元気いっぱい遊び回ることもできるようになった頃。

拾ってからひと月近くが経過して、里親がついに決まった。

 

向こうは俺と同じような大きさの女の子がいるご家庭で、愛嬌たっぷりのクロをいたく気に入ってくれている。

引き渡しのとき、でっかいブロリーが連れてきたことにちょっぴりビビっていたが彼が小さな仔猫を大事そうに抱えていたのを見てすぐに表情は和らいだ。

そして、ブロリーの手から離れて女の子の腕の中に移ったクロは状況を理解していないのかキョトンとしたまま。

 

ずっと俺達のほうから視線を外さないクロに、「元気でね」とお別れをした。

ブロリーは最後に一度だけその大きな手のひらでごろごろ鳴いてる小さな頭を撫でて、それでおしまい。

 

 

 

ウチには他にペットはいなかったから、消耗品含め買い揃えたペット用品やおもちゃの類などは全てクロ専用だ。

里親さんに事前に相談したうえでそれらも一緒に引き取って貰い、俺達の家に仔猫が居た形跡は綺麗さっぱりなくなった。

 

残ったのは思い出と、俺が撮った何枚かの写真だけ。

 

拾ってきたあの日の前の状態にすっかり戻ったが、やっぱりちょっぴり喪失感というか・・・寂しい。

ふとしたとき、クロのベッドが置いてあった場所をブロリーが時々ぼんやりと見つめていることもある。

 

 

 

 

 

―――――今回の一連の出来事、ただのほんわかエピソードだけではない大きな意味を俺は感じ取っていた。

 

ブロリーは俺に対してはとても甘い。

だがそれは、長年の付き合いによる情があってのものだ。さすがに特別だという自覚は俺自身にもある。

 

その上で、今回の件。

ロクな付き合いもない初対面の・・・しかも今にも死んでしまいそうだったか弱い生き物へ、ブロリー自身が手を差し伸べて助けたこと。

 

過去の彼や、元々の気質を思えば考えられないことだ。

他者の命を奪うばかりだったかつてのブロリーであれば、脆弱な小動物などその手で捻り潰して嘲笑っていてもおかしくはないほどだったのに。

 

 

 

・・・・・本当に、穏やかになったんだなあ。

 

 

 

そんなことを考えながらじっと見ていたら、彼は「どうした?」と不思議そうに小首を傾げていた。

表情の変化は豊かなほうでないものの、その顔つきは昔とは大分違う。

 

「んーん、なんでもないよ」

 

そう首を振れば、「そうか」とだけ呟いてまた日常へと戻っていく。

 

 

 

これからも、こういう変化を少しずつ少しずつ重ねながら人生というものは織り上がっていくのだろう。

 

不思議な感慨に包まれながらも改めてしみじみと思った。

 

 

 

そんな、一幕。

 

 

 

 

 





猫の日記念でした。



そしてわたくしごとで恐縮ですが本日誕生日でーす✌︎('ω'✌︎三✌︎'ω')✌︎


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