TS転生幼女は伝説の超サイヤ人を救いたい。   作:こねこねこ

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ほぼほぼ回想みたいなもんです。ゴメンネ





29:幼女の新しい試み

金がない。

嗚呼金がない、

金がない。

 

・・・シロちゃん心の俳句。なんちて。

 

 

 

ブロリーとの二人暮らしには概ね不満などもなく充実したものだったが、唯一の懸念はやはり金銭面に関することだった。

 

なにせ俺もブロリーも、マトモに就職するなんて到底無理な話である。

俺は見た目のせいで雇ってもらえないし、ブロリーは俺と一緒のときはまだマシだが単独となるとマトモに人とコミュニケーションがとれない。知らない人間相手だとなおさら。

 

ブルマさんに借りているお金はまだ残ってはいるし、家を持って以降は極力自炊するように努めたりブロリーに山でちょくちょく獲物を狩ってきてもらったりなどで節約したりもしてるけど。

収入がほぼ無い以上は、いくらやりくりしても日々着々と資金は減っていく。

 

暮らし始めてからここまでの一年強、色々と考えたり試行錯誤してはみた。

 

まずは俺の話だけど。

前職(前世)がエンジニアだったこともあり、最初はこの世界でも言語をいくつか習得して同じような系統の職を探そうかなあと思っていたんだが。

学び直しにそこそこ時間が掛かってしまうことと、結局は人に仕事を貰わなきゃいけないというハードルの高さは相変わらずだった為やめておくことにした。

手に職つけてフリーランスになるとしても、学歴も職歴もないから駆け出しのうちは雇われになるしかないだろうし。

 

・・・そして何より一番の理由。

以前新惑星ベジータで身の上話をしたとき、『働きすぎで過労死した』と隠さず言ってしまっていたのを覚えていたブロリーに猛反対されたのである。

心配してくれるのは嬉しいけど、流石に今世では死ぬほど働くつもりなんてないよと言っても全然信じてくんない。

エンジニア系統のみならず、フルタイムで仕事をすること自体に難色を示されてしまった。

 

ブロリーは過去ずっと身の回りのことをほぼ他人に任せっきりにしていたらしいのだが、その役割は父親を除けばおおむね奴隷や使用人のものだったのだという。

そしてそういう人たちは世話や家事をすることによって報酬を得ている立場だったため、ブロリーから見ると今現在自分が多少手伝っているとはいえ家での雑事・家事の多くを一人で担っている俺は"既にじゅうぶん働いている"という認識だったらしい。なのでこれ以上に他の仕事、ましてや外でわざわざ働かなければいけないのかと。

前述の働き過ぎ云々の件もあり、そういうわけで俺が何かしら職に就こうとするのをブロリーは良しとしていない。

 

・・・しかしながら家でのあれこれは無報酬なわけだから、家事だけやってても収入はゼロのままである。

稼ぎの面でブロリーに頼り切りになれるなら完全に家事担当として割り切っても別にいいんだが、現実はそう上手くはいかないもので・・・。

 

だから、今度は家での内職だとかスキマ時間で出来るちょっとした在宅ワーク的な方面で何かないかな~と探してみることに。

 

あまり時間や手間を掛けずにお金を得る。

・・・つまり、究極的には不労所得が望ましい。配当だとか印税だとか、そういう類のもの。

 

そこで考えた。

何かしらの作品づくりをして、世に出してみてはどうかと。当たれば印税が発生する。

まあ簡単なことではないし夢物語にも思えるが、何もないより検討するだけしてみてもいいだろう。

 

最初に思い当たったのは作家の類。

俺、前々から絵本とか作ってみたいなあと思ってたんだ。

 

そこで街の本屋へ赴き、どういったものがこの世界での流行りなのかちょっくら調べてみることに。

大きめの本屋さんに入っていろんな棚をじっくり見てみたんだが、ラインナップが思ってた感じのじゃなかった。

漫画のコーナーにはカートゥーン系の小さな子供向け作品しかないし、絵本もほんの少しだけ並んでる程度で種類はさほど多くない。

ビジネス書やら参考書やらの実用書系の棚はたくさんあるのに、それに比べて娯楽書や嗜好品に属するような本の陳列面積が思ったよりもすごく少なかった。

 

なんていうか、日本の漫画アニメが流行る前の海外の本屋さんて感じだな・・・。

 

たまたまか?とも思い、数件の本屋をハシゴしてみたがどこも大きな差は無く似たり寄ったりだ。どこか寂しさを覚える。

 

見ていくうち、娯楽書の類の中だと小説は漫画などに比べそこそこ豊富に種類が置いてあるようだった。ファンタジーだったりミステリーだったり大衆向け恋愛小説だったり。

 

そこで気付いたことがひとつ。

ラノベが無い。

 

子供や若年層向けのものが並ぶ棚を見ると重厚なファンタジー、たとえば俺がいた世界でいうところの某魔法学校の話だったりとか某指輪をめぐる冒険譚だったりとかそのあたりに似た類の長編作品などはあるんだが。

俺の知るようなオタクコンテンツ的な軽めの作品は見当たらない。

一応店員さんにも聞いてみたが、そういったジャンルそのものがやはり存在しないようだ。

 

・・・これ、もしかしてイケるか?

 

一旦絵本のことは忘れ、持ち前のオタ知識とこれまで読み漁ってきたラノベやらWeb小説やらのノリをふんだんに盛り込んだコテコテのテンプレ作品を試しに書いてみることにした。

 

家事をやっているとはいえ、日中はわりかしヒマな時間もある。

相談するとブルマさんから中古の型落ちノートPCを譲ってもらえたので、ヒマを見つけては合間合間でちまちまと打ち込んで書き上げた。

俺の文章力はめちゃくちゃ上手いとは言い難いがそこまで悪くもないはずだ。二次創作でちょっとした話を書いたこともある。

世界観とキャラ設定だけは念入りに練り込み、あとはラノベ特有のノリを持ち込んだ読みやすさ重視のテンプレ構成。

 

一本完成するまでになんだかんだ数か月掛かってしまったが、書き上がったものを恥も外聞も捨てて知り合い何人かに読んでもらうとじゅうぶん面白いと言って貰えた。

お世辞ではないことを願いながらブルマさんの伝手を頼って匿名で出させてくれそうな出版社を探し、恐る恐る本を出してみる。

 

結構売れた。

 

光明が見えた気がした俺は続いてさらにコッテコテの、(俺の世界では)よくある異世界転生チート無双なんて書いてみたりした。

 

結果。

すんげえバズった。

 

俺の感覚ではすでに擦られまくったテンプレ作品でも、この世界にとってはかなり新鮮なものだったらしい。

ノリを軽めにして読みやすさをとことん重視し、長さも適度に短くした結果気軽に読めるまさしくライトな作品として受け入れてもらえたのだ。

目新しさと軽さからこんなものは小説ではないという批判も出たっぽいが、それよりも好評の声が勝り口コミとネットの力であっという間に広まった。

 

売れた本の数だけ印税は入り、俺はようやく無収入を脱出。

出版社からも続編はよ!とせっつかれ、顔も名前も一切出さない条件は頑なに維持しつつこのまま継続して作品を書いていくことにした。

コテコテのテンプレすぎて元の世界だったならすぐに埋もれてしまうような内容でも、新ジャンルの先駆者となったここではまだまだブルーオーシャンでありよっぽどの下手を打たない限りは充分売れる余地がある。

同系統のネタが尽きたら今度は悪役令嬢モノでも出してみようかな・・・。

 

ちなみに匿名なので代わりにペンネームを使っているんだが、『かりふらわ~』にした。

名前を訊かれたときに急いで適当に決めたものだけど、由来はお察しである。

 

ようやくまとまった額のお金を稼ぐことができるようにはなったが、ここまでで約一年もの時間を要してしまった。

その間はずっと資金が減る一方だった上に本を出す際にもいくらか自腹を切る必要があったんだが・・・・・、

 

 

 

結果としてなんとかなったのは、意外にもブロリーのおかげであった。

 

 

 

 

 





二人分の話ひとつにまとめようと思ったけど長くなっちゃったので分けました。次回もこんなかんじの回想風味。
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