まだまだにわかレベルなので、もし何かしらおかしい部分があったら指摘して頂けると助かります。
地球での生活を始めて、二年と少々が経ったころ。
何の前触れもなくそれは唐突に現れた。
とある晴れた日、家の傍で洗濯物を干していたときのことだ。
「・・・シロさん、ですね」
背後から聞きおぼえのある声がして振り返ると、そこには未来へ帰ったはずのトランクスが立っていた。
「あれ?トランクスじゃん。いつこっち・・・に・・・・・」
思わず駆け寄ろうとしてすぐに、違和感に気付く。
・・・服装が、いつものあのジャケットじゃない。
ファーのついたコートを身につけたその姿は、馴染みはなかったけどそれでもどこか見覚え自体はあって―――――、
「・・・・・ひぃぃ!!??」
その正体に思い至った途端、一瞬で血の気が引く。
「・・・え、あの、」
「ぎゃああああでたああああああ!!!!」
ド失礼な話ではあるが、困惑するトランクスに対し俺は思わず悲鳴を上げて逃げ退ってしまった。
「どうした!!」
そんな俺の様子を察知したのか、家の中にいたブロリーがドアをぶっ壊しながら飛び出してくる。
「ごめんなさいゆるしてくださいはんせいしてますおねがいだからブロリーだけはころさないでー!!」
必死の早口で命乞いをしつつも、当のブロリーの後ろへ隠れるその姿は滑稽そのものだったろう。
ブロリーは最初見知った相手であることに戸惑う様子を見せていたが、あまりの俺の怯えように知り合いであろうと敵と判断したのか牙を剥いて威嚇した。
「・・・お前・・・シロに何をした・・・?」
「お、落ち着いてください・・・!何もしてませんし、危害を加えようなんてつもりもありませんから!」
慌てて両手を挙げながら弁解するトランクスに、半泣きになっていた俺はチラリとブロリーの後ろから顔を覗かせる。
「・・・ほ、ほんとに・・・?わたしたちのこと処分しにきたんじゃないの・・・?」
「違いますよ、そんなことはしません。・・・しかしその様子だと、オレの素性や役目は既にご存知のようですね」
「タイムパトローラー・・・だよね」
「はい。時の界王神様からお話を聞かせて頂きたいとのことで・・・すみませんが、一緒に来て頂けませんか」
に、任意同行・・・・・。
「・・・わたしだけ?」
「お呼びされているのはシロさんだけですが、ご心配なようでしたらブロリーさんもご一緒に」
「無論行く。・・・しかし、何だ?そのタイムなんとかというのは」
「タイムパトローラーだよ。時間のあれこれを監視したり、歴史の改変を防いだりするひとたち。・・・まあ、そこまでわたしもくわしくないんだけど」
ゼノバースに関してはにわかもにわかだったからな。
いつか沙汰が下るだろうとは頭のどこかで思っていたけど、具体的にどの程度の改変が起きると首突っ込んでくるのかとかは知らないし。
にわかの薄っぺらな知識なりに知ってる範囲のことをさらっとだけ伝えると、ブロリーはさらに怪訝な顔をした。
「・・・歴史の、改変?」
その単語だけでも大体言いたいことは察してくれたことだろう。何せ、俺がブロリーに関わってきたほぼ全ての事柄が引っ掛かるだろうから。
ブロリーそのものを変えてしまったこともそうだし、セル戦も意図的に干渉した部分はあるとはいえ思ったより随分と原作から乖離してしまった。
「それはつまり何か?お前がオレのことを助けた、その事自体が罪になるとでも?」
「・・・ひらたく言えば、そうなるんだとおもう」
「そんなふざけた話があるか・・・!!」
激昂するブロリーに慌てたトランクスが再び宥めにかかる。
「す、すみません落ち着いてください!そこまで悪い話というわけではないと思いますから・・・とにかく、詳しいことは時の界王神様からご説明があるはずですので、ご同行をお願いします」
「・・・わかり、ました。いきます」
隠れるのをやめ、這い出て頷いた俺にブロリーは案じるような声を掛けてくれた。
「いいのか?」
「うん・・・いつまでもこわがってばっかりじゃダメだし。ちゃんとおはなし、きいてくる」
「・・・オレも付いていくぞ」
「ありがと。心強いよ」
怖いのは怖いけど、ブロリーが隣に付いていてくれるだけでだいぶ違う。
へへ、と力なく笑う俺の手を彼は強く握った。
・・・"時の界王神"というキャラを、俺は知らない。いったいどんな人物なんだろうか。
「それでは、こちらへ・・・」
「あっごめんちょっとまってコレだけ直させて」
トランクスの言葉を遮って、俺は先程ブロリーが破砕した玄関ドアに遡行をかけて元通りくっつける。開きっぱだと危ないからね。
「・・・・・すまん」
「いいの。騒いじゃったわたしがわるいから」
「・・・それが、時間魔法ですか。すごいですね」
「ごめんね、おまたせしました」
「はい。・・・それでは、こちらへどうぞ」
トランクスに案内され、不思議な光に包まれた俺達はどこかへ転送された。
俺の転移とはまた違うふわふわした感覚が抜けたあと、辿り着いたのは格子のようなドーム状になっているこれまた不思議な場所。
「ここが、トキトキ都。そしてその中にある時の巣です。・・・とりあえず、刻蔵庫のほうへどうぞ。時の界王神様がお待ちです」
何軒か建っている丸い建物のうちのひとつへと促され、ブロリーと一緒に入り口をくぐる。
そこには、ひとりの女の子が待っていた。
シン界王神と似通った服装・・・だが着崩して肩を出している。外ハネのオレンジ色の髪と桃色の肌に長い耳、ポタラも付けていることから彼女が恐らく時の界王神とやらなんだろう。
見た目自体はトランクスゼノと同じく何回か元の世界で見かけた気がするな・・・名前も役職も知らんかったけど。
くそぅ、やっぱりゼノバもやっとくんだった。
「ようこそ、おいでくださいました。ご足労をおかけしまして申し訳ありません」
「ど、どうも・・・・・」
「私はクロノア。この時の巣の主、時の界王神を務める者です」
その立ち振る舞いは凛としている。
見た目は十代の女子だけどたぶん100万歳とか1000万歳とかすんごい年齢なんだろうなあ。
仮にもすごい神様なんだろうし、何を言われるのか分かったもんじゃないしでガチガチになっているとトランクスがとりなすように言葉を挟んできた。
「あ、そんなに緊張しなくても大丈夫ですよ。一応この宇宙の偉いお方ですが、普段はとても親しみやすい・・・というかかなり気さくな方なので」
「ちょ、ちょっと!余計なこと言わないでよ!せっかく真面目にキメようと思ってたのに!」
あ、なんか雰囲気崩れた。
んも~!とぷりぷり怒っているその様子から見るに、トランクスの言う通り普段は軽い感じのキャラなんだろう。
「・・・まあいいわ、さっそく本題に入りましょう」
コホン、と仕切り直した時の界王神様は再び真面目な顔で視線を俺へと向けた。
「ここにわざわざお呼び立てした理由に、心当たりはあります?」
「・・・ふたつほど」
「二つ、ですか。・・・お聞かせ頂いても?」
なんだよおおおぜんぶ自白しろってか!?
でもなんか下手に隠し事しても一発でバレそうなんだよなこういうのって・・・。
俺は隣のブロリーをちらりと見上げてから、おずおずと口を開いた。
「・・・ブロリーに関するあれこれに干渉して、歴史を変えちゃったこと・・・でしょうか」
「具体的には、どういう?」
そこまで細かい話もせにゃならんのかと鬱々としつつ、俺は自分の原作知識内にある"元々の"ブロリーに関する事柄を並べ始める。
今ここにいる彼とはかなり人柄が違うこと。
新惑星ベジータで悟空に敗れ瀕死の状態で地球へ辿り着いたあと氷の中で眠りにつき、再び目覚めたとき悟飯たちの手によって葬られたこと。
あとそれに付随してセル戦には参加していなかったため、本来は覚醒した悟飯がセルを倒す役割だったこと。そして悟空も死亡する筈だったこと。
概ねの元々の歴史を話し、そして俺の干渉によってどう変わったか。
ブロリー本人に話していなかった箇所も含め、思い当たる差異は概ね洗いざらい話した。
「一番の大きな違いは、ブロリーの人格が変わって生き延びたことなんだと思います・・・だから、最初わたしもろともブロリーは存在ごと処分されてしまうのかなと思ってました」
「・・・それで、先程あんなに怯えていたんですね」
トランクスが得心のいったとばかりに頷く。
・・・そりゃ自分のこと殺しに来たとなりゃこえーだろ。タイムパトローラーの権限がどこまで大きいもんなのか把握もしてなかったし。
時の界王神様も「なるほど」と頷いたあと、こう切り出した。
「・・・まずは、誤解をひとつ解いておきましょうか」
誤解?
首を傾げる俺へ彼女は構わず続ける。
「単刀直入に言いますが、今貴女の仰ったところでいう"元々の歴史"・・・そんなものは、この世界にはそもそも存在していないんですよ」
・・・・・ど、どゆこと???
一話にまとめるつもりだったけど長くなっちゃったから分けるそす。