俺が不老不死を手放したあの日から、さらに4年ほどが経過した。
地球で暮らし始めてからは6年。・・・ブウ編まで、あと1年ということになる。
俺の背丈も、けっこう伸びた。
不老じゃなくなった今は魔法で一気に大人になることも出来るんだけど・・・あの日に5歳程度のいつもの姿に戻ったあとは、自然に成長するままに任せている。
既に幼女サイズでの生活に慣れきっていたことと、あと買った服とか入らなくなっちゃうのが勿体なかったし。
それに・・・家の一角の柱に、毎年身長の高さに印つけてくのが地味に楽しい。
ブロリーのほうは相変わらずの調子だ。
のんびりと暮らしながら悟空に誘われるまま修行に付き合う日々。
あ、そうそう。ウチにひとつ離れみたいなのが出来た。
数年前、収入が完全に安定して借金の返済も軌道に乗ってきた頃。ブルマさんに相談して、小型のカプセルハウスをさらにひとつ買わせて貰ったんだ。
ひと部屋程度のサイズで、中身は重力室。
ベジータがカプセルコーポで普段トレーニングに使ってる重力室を丸々ぶっこ抜いてカプセルハウス化したようなイメージ。実験も兼ねてとのことで特別に作ってくれたものだ。
家の傍に設置して、ブロリーが普段暇なとき体を動かすのに使っている。・・・が、置いたときはブロリーよりも悟空のほうがめちゃくちゃはしゃいでいた。
修行で遠出せず二人して籠ることもしばしば。
ちなみに俺がそばにいるときは、必要であれば時間魔法の加速により簡易的な"精神と時の部屋"の下位互換として使用することも出来る。制限時間無しなのはメリットだが、籠っている間に食料が爆速で無くなるのでどっちみち長期間は居られない。常人の数日分の備蓄を一瞬で食っちまうんだもんアイツら。・・・本家の精神と時の部屋は食い物いくらでも湧いて出てくるらしいけどね。さすが神様施設。
なお、孫家に遊びに行ったときに「いいよなあオラんちにも置けたらいいのに」ってうっかり発言した悟空が「どこにそんな金があると思ってるだ!!!」とチチさんにドチャクソキレられてて草だった。
・・・あ、そういやついでにその流れで孫家に関する原作乖離要素がまたひとつ。
孫家、就農した。
本来はZ本編終了後超へ移るあたりのタイミングで農家を始めていたような覚えがあったんだが、原作と違い悟空・・・つまりは家族イチの大喰らいが生きていることにより本来ブウ編の頃までギリギリ保つはずだった牛魔王の財産が早々に底を突いたらしい。
3年ほど前にチチさんにこってり絞られて、渋々ながらもついに働き出した。ただ、悟空としては時間の使い道において修行のほうを優先したいってだけで農作業自体は別に嫌いじゃないらしい。亀仙流の修行でも畑耕したりしてたしね。
なお、元々悟空がブロリーを修行へ誘うのは午後からが恒例だったため農家を始めたあとも午前農作業午後修行というルーチンに変わっただけでウチに来る頻度はあんまり変わらなかった。
ただ流石に収穫の前後になると忙しすぎてぱったり止むけども。
逆にその時期は俺達が作業を手伝いに行きお礼に野菜を分けて貰うなどして、持ちつ持たれつの関係を維持している。
チチさんや悟飯とも相変わらず仲良くしてもらってるし、悟天も赤ん坊の頃から頻繁に見てきたからか「おねえちゃん」なんて呼んでよく懐いてくれてて。かわいいんだこれが~。
この4年間は、特に大きな事件もなく平和そのものだった。
いろんな所に遊びにもいったんだよ。
夏に海へ行ってブロリーのバリアで海底まで潜ったりとか、冬に氷の大陸でオーロラ見たりだとか、流星群が降る日に夜空がよく見える高い山のてっぺんでキャンプしてみたりだとか。
どんな秘境にもひとっ飛びで、思いつく度に様々な場所へ連れてってもらった。
つくった思い出のあれこれは、家の壁の一角に掛けてあるコルクボードにも残っている。
地球で暮らし始めてからすぐの頃に、ブルマさんから手作りの良いカメラを貰ったんだ。
収納に入れっぱなしにしておいて、遊びに出かけた先だとか家でも日常のちょっとしたときに撮ったりして。
ボードにピンで留めてある写真は年々少しずつ増えていき、今では表面を埋め尽くすくらいにもなっている。
写ってるのは殆どが俺とブロリーの二人か、そのどっちか。最初の頃に撮ったものはブロリーがどこかそっぽ向いてるのばっかりなんだけど、だんだんチラホラこっちのほうへ視線寄こすようになって最近のだと高確率でちゃんとカメラへ注意を向けてくれていた。
・・・あ、これよく見たら俺の頭の後ろで指立ててる!どこでおぼえたんだそんなお茶目なこと!
住み始めてからもう6年にもなり、ブロリーもすっかり地球での生活に慣れたようだ。
・・・・・楽しいなあ、ほんとに。
ボードを見上げながら思わずふへへ、と笑みが零れた。
しかし平穏な日々は永遠には続かない。
地球には今後も様々な危機がわんさかやってくる。
なので、その諸々の危機への対策の一環として。
ブウ編開始まで1年となったこのタイミングで、ひとつテコ入れを行っておくことにした。
「・・・というわけで!本日はみなさんにフュージョンをお教えしようと思いまーす!!」
神様の神殿に集まった面々を前に、俺は無い胸張ってデデン!と仁王立ちして宣言。
ずばり、俺主催の突発フュージョン講習会だ。
ふゅーじょん?と首を傾げるばかりの皆へ簡単に説明してみる。
条件の合う二人の戦士を合体させ、ひとりの強力な戦士を誕生させる秘技。
合体時間は30分なのでくっつきっぱなしという恐れもない。
『手っ取り早くパワーアップできる方法を伝授する』という触込みで集めた面子なので、みんな興味津々だ。
「合体できるのは誰とでもってわけじゃなくてね、条件がふたつあんの。同じくらいの体格であることと、もうひとつは全く同じ大きさの気に調整できること」
そう、意外と忘れられがちだがフュージョンには今言った前提条件が必要になる。
だから実はブロリーって体格デカすぎてほとんど合う相手がいねーんだよな。精々ピッコロさんくらいなんだけど、実力差がつきすぎてるから気を合わせるのも難しい。
一応この場には来ていて、フュージョンがどういうものなのか知っておいてほしいとは言ってあるんだけどブロリーが誰かと実行することはまず無いだろう。
だから悟空とブロリーのフュージョンなんていうロマン的な存在も夢のまた夢だ。せっかく仲が良いのに残念だけども。バイバイカロリー。
・・・ブルマさんがEXフュージョンできるようにバンド開発してくれれば話は別なんだけどなあ。
「だからどっちかっていうと同じくらいの年頃で、同じような実力を持った人同士が成功しやすいんだ。・・・たぶん、この中でいちばんフュージョンを上手く使えるのは悟天とトランクスだろね」
「オレたち?」
最前で話を聞いていたちびっこ二人が顔を見合わせる。
原作でもフュージョン実行回数がダントツ一番多かった二人だ。
実際、この講習会を今開いたのも実はこの二人にタイミングを合わせてのことである。
つい先日、二人ほぼ同時に超サイヤ人になれたとウキウキで自慢・・・もとい報告をしてきたのだ。
「金ぴかになれたら教えて」と前から言ってあったとはいえ、まったく将来有望な五歳児と六歳児である。
まあそんなこんなで、実際にフュージョンポーズを覚えてもらうためまずは皆の目の前で俺自らやってみせることに。
原作でもう何十回見たかわからん動きだ。ほぼ正確に覚えている。
・・・予想はしていたが、約2名を除き全員からドン引きされた。こっちは恥かなぐり捨てて体張ってんだぞこらぁ!!
ちなみに例外の2名は悟空と悟飯である。
俺ずっと悟飯のハチャメチャな美的センスっててっきりギニュー特戦隊の影響かと思ってたんだけど、なんか悟空もフュージョンポーズに関して何が恥ずかしいのかわからんみたいな反応してたところからもしかすると血筋なのかもしんない。悟天もグレートサイヤマン見てそこまで悪い顔してなかったし。ただ今は固まってるけど。
ブロリーはなんか感情がなくなったような目してるし、ベジータは真っ赤になって怒り出している。
「そんな恥ずかしい動きなんぞ死んでもやるかぁ!!」
「えー、ざんねんだなー。ベジータと悟空が合体出来たらブロリーも勝てないくらいにめちゃめちゃ強くなるのに~」
「な、何ッ・・・!?」
俺のその言葉を聞いてベジータは驚愕と共に暫し固まった。
「・・・・・・・だ、誰が他人の手なんぞ借りるか!」
恥&プライドと最強の座、天秤にかけてゆらゆら揺れていたがやがて僅差で恥が勝ったようだ。
「オレは自分の力で最強の座を掴み取る!!この超サイヤ人4の力もいずれ完全に己のものとし、さらには限界だって超えてみせるぞ!!」
首を洗って待っていろ!!と勝手にイキリ倒すだけ倒して隣のブロリーにガンくれたあとベジータはとっとと帰っていってしまった。まあ一応ポーズは見せたし別にいいか・・・。
なお今さらっと本人の言もあったがベジータは既にSS4になっている。
メタルクウラ戦のあと、1年後の地球のドラゴンボールで悟空とベジータの尻尾を復活させてみたのだ。ベジータはエリート戦士であるがゆえに元々大猿化しても理性を保てる唯一の存在。なので尻尾で大猿になった途端SS4に進化。
その喜びようといったらもう狂喜乱舞・・・いや乱舞はしてないが。早速悟空へ挑んで念願の一勝を勝ち取り、そりゃもう調子に乗りまくった。
そしてそのままの勢いでブロリーにも挑んで返り討ちのボッコボコにされたというオチ付きだけど。
一方、悟空のほうはここまでの数年間で延べ5回以上は大猿化を試しているのだが未だ覚醒できていない。どうしても大猿になったあとに理性を取り戻せないのだ。
なので意外にも、サイヤ人トリオの中で悟空のみが後塵を拝している珍しい状況となった。
しかし、そこで終わらないのが主人公である。
つい先日のことなんだが、驚くべきことが起こった。
継続的な強さではなかったんだが、SS3と界王拳の併用というトンデモ無茶をやらかした悟空が瞬間最大戦闘力でブロリーを一時的にでも上回りSS4相手に一撃を入れたのだ。
寿命がゴリゴリ削れそうな上にそれだけで力を使い果たしてしまったため直後にダウンしたものの、格上相手に確実な有効打をとれた意味は大きい。
無茶すんなとその場の全員から怒られながらも悟空は大はしゃぎしていた。
ベジータはやっと追い抜いたと思ったライバルにそんなミラクルを起こされ、危機感をおぼえたがゆえに今日のこの場にも興味を持ったようだったが・・・・・しゃーないなあ。
なお悟空の尻尾は切らずそのまま生やしっぱにしてある。月はもう無いから意図せず大猿になることもないし、SS4へは気長に目指していけばいいだろうとのことで。
・・・唯一、突如旦那に尻尾が生えたせいで全ての下履きに穴を開けなきゃいけなくなったチチさんだけが可哀想だったが。
話が逸れた。
どっか行った王子のことは放っといて、残った面々のフュージョンを試せそうな組み合わせの皆にポーズの練習を始めてもらう。
悟空はいなくなったベジータの代わりに、既に成長期を迎えて青年となっている悟飯とペアになって試してみることにしたようだ。
SS2未覚醒の悟飯側に合わせて器用に気を調節している。
例により失敗なども繰り返しつつほぼ丸一日かけ、結果ゴテンクス・クウハン・ヤム飯の三人の合体戦士が誕生。
ただやっぱり悟空と悟飯は実力差が離れすぎていてフュージョンが成功してもそこまで飛躍的な上昇とはいかなかったようだ。せめてアル飯の状態で試せたらまた違ったんだろうけど。
ゴテンクス以外の組み合わせはそうそう出番も無いかもしれないが、ポーズを複数人に覚えさせたので今後何かの役に立つこともあるかもしれない。
選択肢が増えるのは悪いことではないだろう。
本命だった悟天とトランクスもきっちり習得出来たようだし、ひとまずブウ編への備えはこの辺りでいいだろうか?
・・・正直これまでに俺が何かしらの対策やら根回しやらで駆けずり回っても、なんだかんだで毎回不測の事態が起きてちゃぶ台ひっくり返されてんだよな。新惑星ベジータでもセルゲームでも。だからブウ編もどうせ何かまた変なことになるんだろうな~というイヤな予感だけは薄々ながらもしている。
Z戦士側がかなりインフレ進行してるし、ブウ以外の何かしらが首突っ込んでくる恐れすらありそうだ・・・やだなぁ~。
1年後に備え、なるべく今日覚えたことを忘れないようにお願いだけして今日は解散。
なおヒマだったらしいブロリーは終わった頃には寝落ちてた。こらー!
幕間章、残りのイベントはあとひとつの予定です。その後ブウ編へ。