TS転生幼女は伝説の超サイヤ人を救いたい。   作:こねこねこ

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35:幼女の落とし物

あれから、さらに半年ほどが経過した。

悟飯の高校進学が決まったりなど、変わりゆく日々のあれこれでブウ編が近づいてくるのをじわじわ実感していたそんなある日のこと。

 

突然、ブロリーが気になることを言い出した。

 

「数日前から、妙な気を感じる」

「え?・・・どんな?」

「・・・よくわからん。現れたばかりでまだ弱々しい」

 

さっと記憶を辿り、この時期には特に何も大きな事件は無かったよなあと思い返す。

劇場版ボスのうち予想通りボージャックだけがまだ復活していないままだが、界王様が健在な以上封印が解けるわけもないし。

 

・・・いやまあ、正確に言えばブウ編直前から序盤にかけてのタイミングを舞台にした映画もあるっちゃある。しかしこの世界では"ソレ"は起こり得ない。

何故なら、ここにいるブロリーこそがその映画での主演ボスだったから。

新惑星ベジータで悟空に敗れた原作のブロリーは、瀕死になりながらも予備ポッドで地球へ辿り着く。墜落直後に氷の中で約7年の眠りにつき、そして目覚めるのが今頃というわけだ。

なお原作だとブロリーが寝てる間にセルゲームで悟空は死亡してしまったため、カカロットカカロット言いながらも本人には会えず息子の悟飯と悟天の手によって葬り去られてしまった。

 

どれもこれも、ブロリーが真っ当に生きているこの世界ではあり得るはずがないイベントだ。孫家とは大の仲良しといっていいほどに良い関係になってるし。

 

「気にするほどのもんじゃない・・・ってわけでもないの?」

「微かだが・・・・・オレに、似ている気がする」

「・・・えぇ・・・・・??」

 

どういうこと・・・??

そんなまるでブロリーが二人いるかのような・・・・・、

 

・・・ん?ブロリーが二人?

 

まさか・・・・・??

 

いやいやそんなわけ。

 

いやでもなあ・・・・・?????

 

 

 

・・・・・考えてても埒が明かん!!

 

 

 

「確かめに行こう!」

 

気を感じるということは、すなわちブロリーであれば相手の場所を特定できるということだ。

 

ブロリーの背中に乗っかって、バリアを張りながらその気とやらの場所まで飛んでって貰うことに。よかったー、雨ふってなくて。

 

その道中、首元に手を回しつつ後ろから話しかけてみる。

 

「ちなみになんだけどさあ、ブロリーってナタデ村には行ったことないよね?」

「どこだ?」

「北の寒い地域にある、水晶が名産のちっこい村」

「知らん。北のほうへはお前と一緒にしか出向いたことはない」

「・・・だよねぇ~・・・・・」

 

ということはやはり原作でのブロリー映画、その二作目も三作目も共にフラグが折れている。

じゃあ四作目・・・いやいやそれこそ在り得ない。Zブロと超ブロが同じ時間軸に存在するわけないもんな。そもそも時代も違うし。

 

じゃあ誰だよほんとにぃ!!

 

 

 

そしてモヤモヤした疑問を抱えつつも飛び続け、やがて見えてきたその場所は・・・さっき切り捨てた可能性のひとつを復活させざるを得ない、俺にとってはじゅうぶん見覚えのある場所だった。

 

「うげ・・・・・」

 

ぽつんと海に浮かぶ大きい島。

港と町が扇状に広がって、その奥の山のほうには目を引くでっかいうんt・・・いやタマネギ。タマネギだ。でっけえ金ぴかのタマネギが二段重ねで乗っかっている。

 

ジャガーバッタ男爵の城ーーーーー!!!!!

 

・・・ということはもう"アレ"しか考えられない。

でもなんで!?ブロリー死んでねえのに!!

 

上空から近づいて複数開いている窓から中を窺う。

どこか前時代風の石造りだった外観とは裏腹に、中はまるで工場のように鉄と機械で溢れていた。あとそこかしこにある、色とりどりの液で満たされたでっかい容器。

 

うわ~・・・映画で見たまんまじゃん・・・・・。

 

ここはジャガーバッタお抱えのバイオ戦士研究施設である。

遺伝子工学を用いて、人為的に強力なバイオ戦士を造り出すための場所・・・だっけ。

 

・・・ここから先は、ブロリーに見せていいものなのだろうか・・・・・。

 

一瞬迷うも、当の本人が気になるらしくどんどん先へ行ってしまう。

そして、やがて見つけてしまった。

 

「・・・・・なんだ、これは?」

 

俺と共に見上げるブロリーの表情が訝し気に歪むが、無理もない。

 

ひとつだけ、他と違う黄緑色の液に満たされている培養容器。

その中に膝を丸めて浮かんでいる、"ブロリーそっくりの誰か"。

 

 

 

それは間違いなく、ブロリーのクローン体・・・バイオブロリーだった。

 

 

 

 

 

「・・・気の出所って"コレ"??」

「ああ、間違いない」

 

あーあーあーもうめちゃくちゃだよ。

しかしいつの間に、どっから血なんか盗られたんだ・・・??

 

「何なんだ、こいつは」

「たぶんだけど・・・ブロリーの血から作った複製だよ。どこで手に入れたのかはわかんないけど」

 

起きる気配はなく、目を閉じたまま静かに揺蕩うその姿を見ているとなんだかいたたまれない気持ちになってくる。

コイツは勝手に人の都合で造り出されただけの存在だ。実験体だろうし、そもそも長く生きられるものなのかもわからない。

 

「ふざけたことを・・・!」

「あ、待って!」

 

攻撃を浴びせようとするブロリーを咄嗟に制止する。

 

「・・・この液、ちょっと外に出すとヤバいやつだった気がする。それより苦情言いたいし経緯も気になるし、責任者さがそ責任者!」

 

不愉快そうにしているブロリーへ締め上げるならそっちにしよ!と促して俺達は道を引き返した。

とりあえずはジャガーバッタだな。どっちみち荒事にはなる気しかしないけど、その前に話は聞いておきたい。

 

すると突然職員っぽい奴らがわらわらと数人集まってきた。

・・・あ、そういや思いっきり不法侵入してたんだったっけ俺達。

白衣の男は、ブロリーの姿を見て「バイオ戦士が脱走しているぞ!」と喚きだした。

 

本体だっつーのーーーーー!!!

 

「ちゃうわい!!よく見てよあっちにちゃんといるでしょ!!このひと複製元なの!!ご本人!!!」

 

思わず喚き返すと男たちは背後の容器とブロリーを見比べて動揺している。

 

「・・・なんやオタクら。人んち勝手に上がり込んで騒ぎよってからに」

 

そこへ突然聞こえた関西弁のひろしボイスに視線を上げると、メガネをかけた胡散臭いスーツのおっちゃんがこっちを見ていた。

あ、覚えてるぞなんか側近ぽい感じの人だ!メンメンだかミェンミェンだかそんな名前の!

 

「そっちこそ人の血で勝手なことしてくれてんじゃん!どっから手に入れたのアレ!」

「あぁ?・・・まあ当人やっちゅうなら別にええか。アレはなあ、とある裏の伝手から男爵が手に入れた曰くつきのシロモンに付いてた血から再生されたんやと」

 

はぁ??どこのどいつだよそんなの持ち込んだ奴はぁ!

 

ホレ、とおっちゃんが指した先には・・・また別の場所の小さな容器に入って台座の上に鎮座している、どこか見覚えのある血まみれの布切れが。・・・って、

 

「・・・あーーーーー!!!わたしのはんかちーーー!!」

 

ずっと前にどっかで落として失くしたやつ!!そういやアレでブロリーの怪我拭いた!!・・・いやどんだけ前やねん!!もう二十年以上経つはずだぞ!!

え!?てことはまた俺のせい!!??いや持ち込んだのは俺じゃないけど!!落としただけだけども!!

 

ていうか曰くつきのシロモンとかいって裏で取引されてるとかさっき言ってた??

幼女のかわいいクマさんハンカチを特級呪物扱いすな!!!!!

 

言いたいことがあれこれぐるぐるごちゃ混ぜの渋滞しまくって、ぐぬぬぬと唸ったあとにまずは一言絞り出す。

 

「・・・・・と、とにかくアレかえして!!」

「はん、そいつは上のモンに訊かんと判断つかんなあ。取り次いだるさかい、自分で直談判せぇや」

 

どうやらジャガーバッタのところへ案内してくれるようだ。

ついていこうとしたとき、ブロリーも例のあのハンカチへ目を向けていることに気が付いた。

 

「・・・あれは、あの時の」

「おぼえてる?ブロリーがまだちっちゃかった頃だから、だいぶ前だけど・・・巡り巡って、こんなところに来ちゃってたみたい」

 

ごめんね、とションモリしていると「お前が悪いわけじゃないだろう」とブロリーは首を振った。

いやでも失くしたときにちゃんと探していればこんなことには・・・・・。

 

そうこうしていると「来んのかい!!」とおっちゃんが怒り出したので、ハイハイ今行きますーと今度こそ俺達はジャガーバッタの元へ向かった。

出元があのハンカチだってことは判ったが、なんでそこからクローン作ろうなんて発想になったのかも謎だし話は聞くだけ聞かなければ。

 

 

 

 

 

―――――その時、背を向けていた俺は気付いていなかった。

眠っていたはずのバイオブロリーがいつの間にか目を覚まし、容器の中からこっちをじっと見ていたことに。

 

 

 

 

 





そろそろみんな忘れた頃合いかなあと思いまして。
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