TS転生幼女は伝説の超サイヤ人を救いたい。   作:こねこねこ

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42:ターニングポイント、ふたつめ

・・・・・え?

 

聞こえた悲鳴に視線を上げた俺は思わず目を疑った。

 

 

そこにはスキンヘッド二人組に組み付かれて羽交い締めになってるビーデルちゃんの姿が!

 

 

はあ!!??なんで!?

 

 

「ちょっと、何すんのよ!!離しなさ・・・、」

 

抵抗して振りほどこうとしたビーデルの動きが急に止まった。

 

見ると入場口のところでビーデルに向かって手を翳している界王神。

そしてそのすぐ傍では飛び出そうとしてキビトに取り押さえられている悟飯がいた。

 

 

あ、アイツらぁ・・・!!

 

 

俺も思わず飛び出しそうになってしまったが、一応我慢して自分を抑え込む。

さっき界王神と約束したことが脳裏を過ったのと、キビトがいるため恐らくこの後すぐに回復はされる筈だろうから。

 

・・・でもなんでだよ、襲われるのは悟飯じゃないのか?

さっきの試合でビーデルが気功波まで撃ってみせたことと、それでボロボロにされなかったから悟飯がブチ切れず超サイヤ人を衆目に晒さなかったことが重なって標的がズレたんだろうか。

そうだとすると界王神たちの目的はあくまであのスキンヘッド二人組を泳がせてアジトを突き止めることだから、想定外ではあっただろうがあっちが動き出してしまった以上展開に乗ることにしたんだろう。

でもビーデルは原作より超強化されてるとはいえ、それでも気の量なんてたかが知れてるのでは・・・!?本来の標的だったSS2悟飯とは比べるべくもない筈だ。

 

現に、如雨露みたいな形の容器の先っぽを脇腹に刺されたビーデルはみるみるうちにどんどん血の気が引いている。

 

 

し、死んでまうーーーーー!!!!

 

 

もうだめだ我慢できん!と転移で向かおうとしたその瞬間、大気が震えた。

 

眩い閃光が迸り、思わず一瞬目を閉じたその直後。

選手入場口を中心として物凄い衝撃波が辺りを駆け抜けた。

 

再び瞼を開くと、そこにあったのはスパークを迸らせながら気の嵐を巻き起こしている悟飯の姿。

 

 

うわぁぁぁ!!今んなってSS2に覚醒したぁぁぁ!!

 

 

付けていたサングラスもバンダナも、あとついでに抑えていたキビトすらも吹っ飛ばされたのか少し離れた場所でひっくり返っている。

横っちょにいた界王神も飛ばされはせずとも怯んでしまったらしい。掛けていた拘束の術も解かれたみたいだが、もはやビーデルは自力で動ける状態ではなかった。

 

そしてそのビーデルを羽交い絞めていたスキンヘッド二人も、自分達へ向けられる殺気とそのあまりの様相にたじろいでいる。見るからにあっちのほうがエネルギーに満ち満ちてはいるが、流石に激昂状態の悟飯へ手を出すのは躊躇われたらしい。

土気色になってしまって動かなくなったビーデルをその場へ捨てるように落とし、何事かを話したあとそのまま空へ飛び去ってしまった。

 

そしてその後を悟飯が、続いて界王神が追うようにして飛び去って行く。

 

残された悟空やピッコロ達は集まって何か言葉を交わしていた。恐らく彼らもこのあとすぐに後を追っていくんだろう。

 

続々と空へ飛んでいく彼らの後にブロリーも続こうとしていたが、ふいにその足を止めた。

 

 

 

俺がその手を握って引き留めたから。

 

 

 

「だめ」

 

振り返った彼は少し驚いたように目を見張る。

 

その顔をじっとみて、懇願するように首を振った。

 

「・・・シロ?」

「ブロリーは、行っちゃダメ・・・!」

 

 

 

―――恐らくはここだ。ここが分岐点になる。

 

ブロリーだけは絶対に、バビディの元へ行かせてはいけない。

 

 

 

理由までは告げなかった。

 

それを伝えるのは"決して悪の道には堕ちるまい"と、かつてそう決めた彼の覚悟を信じていないと思わせることにもなりかねない。

だけど、もしバビディがブロリーに術をかけたとして・・・それに打ち勝てる光景が、どうしても浮かばなかった。

 

これは俺の弱いところだ。どうしても、今になってもなお原作の影に引っ張られてしまう。

 

 

 

もしかするとそんな不安が顔に出てしまっていたのかもしれない。

俺を見返したブロリーは何も訊かないまま、ややあってから頷いた。

 

「・・・わかった」

「・・・・・ごめん、ね」

 

弱々しい声でただ謝ると、ブロリーは静かに首を振ってその大きな手のひらで俺の頭を撫でる。いつものように。

 

 

 

信じきれなかった俺とは対照的に、彼は俺のことを無条件に信頼してくれている。―――その事実に、罪悪感が湧いた。

 

 

 

 

 

そうしていると、ふと視線を感じて再び顔を上げる。

 

少し離れたところから、ベジータが腕を組みながらじっと俺達二人を見ていることに気が付いた。

 

・・・・・あれ?

 

「ベジータは、いかないの?」

「貴様・・・ブロリーのことは引き留めた癖に何だその言い様は」

「あ、いやべつに深いイミは・・・ごめん」

 

ただ、意外だっただけで。

何故か当たり前のように悟空のほうへついていくと思い込んでしまっていた。

 

「ふん・・・カカロットに加えて、今更ではあるが超サイヤ人の壁を越えたらしい悟飯も居るんだから戦力的には問題ないだろう。そもそも、何故オレが関係ないトラブルにまで首を突っ込まねばならん?」

 

あ~・・・そっか、原作とは違って今のこのベジータは別に悟空との対戦に拘ってない上に目的は賞金だった筈。確かに予定外のアクシデントにわざわざ関わる理由はひとつも無い。

 

ピッコロさんやクリリンなどは付いていったみたいだが・・・って、アレ?ちょっとまって?

 

「ね、ねえ、キビトは?」

 

辺りを見回しても、さっきまでひっくり返っていたはずのあのおっさんがいない。

 

「奴なら起き上がるなりさっさと界王神とやらの後を追って行ったぞ」

「はあ!!!????」

 

武舞台のほうを振り返る。

依然斃れたままの女の子と、それに集まる係員が数名。

 

 

 

ビーデルちゃん放置やんけーーー!!!!!アフターケアはどうしたーーーーー!!!!!

 

 

 

「う、うわああぁぁぁ!!ビーデルちゃあああん!!!!」

 

慌てながら走って近寄り、ポケット中の小袋を引っ張り出す。

 

やっぱり持ってきててよかったじゃねえか仙豆!!

コレって確か、怪我だけじゃなくって気の損耗もぜんぶ回復してくれた筈だよな?

 

「離れてください!医務室に運びますので!」

「ごめんちょっとどいて!」

 

通せんぼしようとした係員のおじさんを転移でむりやりどかし、小袋から取り出した豆をひと粒ビーデルの口に入れた。

 

「お願いビーデルちゃんキツいだろうけどコレだけ飲み込んで!!」

 

顔色は悪く、生気もまるで無いがまだ辛うじて息はある。

しかし意識は朦朧としていて、咀嚼や嚥下する力すら残されていないのかそのままぽろりと出てきてしまった。

 

だ、だめだ・・・・・すぐそばにいる俺の言葉すら、もう聞こえているかどうか怪しい。

 

「ど、どうした!いったい何があったんだ!」

 

あまりの騒動につられたのか、ミスターサタンが喚きながら走って出てきた。

そしてまるで死人のような有様の愛娘を見つけるなり、顔を青くして盛大に狼狽している。

 

「ビ、ビーデル!!??医者は何をしている!!」

「す、すみません・・・これから医務室に搬送するところですが、さすがにこんな状態ではもはや手の施しようも・・・・・」

「何をいうか!医者なら早く何とかしろ!」

 

俺の反対側からビーデルを診ていた医者らしきおじいさんは、冷や汗を流しながら何とも頼りない受け答えしか出来ず叱咤されている・・・しかし無理もないだろう。普通の医療でどうにかなるようには思えない。

 

俺はビーデルの肩を揺すって言葉を掛けつつもう一度仙豆を口に入れてみたが、先程と同じく口元から零れ落ちるだけだった。

 

・・・せめてもうちょっとだけでも、元気を取り戻すことが出来たなら。

最悪、あんまり他人には試したことないしリスクもあるが魔法で無理矢理状態を引き戻してみるか・・・??

 

 

 

「・・・どけ」

 

 

 

そんなことを考えていると、ふいにブロリーの声がした。

 

こっちへ歩いてきたと思ったら、途中塞いでいたサタンを片手で横っちょへ放り投げて退かしたあと俺の傍でしゃがみ込む。

 

「あ・・・」

「それを食える程度に回復出来ればいいんだろう」

「うん」

 

頷くと、ブロリーが片手をビーデルのほうへ翳した。

そして一瞬、温かい光が横たわったままの彼女を包み込み・・・ほんの少しだが、顔色に生気が戻ったような気がする。

 

「・・・うぅ・・・・・、」

「あ!ビーデルちゃんわかる!?これ飲み込んで!」

 

微かな呻き声を上げたのを聞き、声を掛けて三度仙豆を口に入れてみた。

すると今度は弱々しくもちゃんと咀嚼し、飲み込んでくれたようだ。

 

急速に顔色が良くなっていくのを見て、ようやっと息をつく。

 

「よ、よかった~・・・・・ありがとね、ブロリー」

「・・・お前が妙にこの娘に入れ込んでいるのは、見ていてわかった」

「入れ込んでるっていうか・・・ともだちだもん。助けてあげたいじゃん」

 

礼を言ってへへへと笑う俺へ、ブロリーは小さく「・・・トモダチ」と呟いたあと納得したように頷いた。

 

そうしているとやがて完全に回復したのか、身動いだビーデルがゆるゆると身体を起こす。

 

「・・・あ、あれ・・・・・私、どうしたのかしら」

「あっ、だいじょうぶ?」

 

すぐ傍にいた俺達の顔を目をぱちくりさせながら見て、不思議そうな声を上げるビーデルにさっきまでひっくり返っていたサタンもシャカシャカ音を立てて虫みたいな動きで急接近してきた。うわこわい。

 

「ビビビビーデル!!大丈夫なのか!!」

「パパ・・・?うん、もう何ともないわ。・・・そうだ、私いきなり襲われて・・・・・」

「もうちょっとで死んじゃうとこだったけど、仙豆っていうふしぎな神様の豆のおかげで助かったんだよ。あとはブロリーのおかげです」

 

ほんとマジで、仙豆を飲み込める程度の小康状態まで引き上げてくれたお陰だよ。気のちからってすげ~。

 

こちらです、のポーズでブロリーを指すと彼はぷいっと顔を背けていた。やっぱ俺や仲間うち以外の他人にはまだイマイチまともにコミュニケーションとろうとしないなあ。

 

「そ、そうか・・・ご苦労だったなお前達。ビーデル、元気そうではあるが医務室へは行ってこい。あとで病院にも連れて行かんと」

「ありがとうね、二人とも。・・・パパ、もう大丈夫よほんとに!このあと二回戦だってあるんだし・・・」

「いかーん!!ついさっきまでとんでもない顔色だったんだぞ、見えないところに後遺症でものこっていたらどうする!精密検査をちゃんと受けて問題ないとわかるまで安心は出来んだろうが!!」

 

ビーデルちゃんは俺達に礼を言ったあと担架に乗せられて、サタンとやいのやいの言い合いながら裏の方へと運ばれていった。

 

まあ、仙豆は食べてくれたしあの様子だと問題ないだろう。よかったよかった。

 

 

 

・・・それにしても、キビトのおっさんがまさか被害者を放置したままどっか行ってしまうとは。

 

悟飯を回復したのはあくまで自分達に有益な人間だったからってことかぁ・・・??

界王神のほうはこのことを知ったらキビトを叱るかもしれないが、どっちにしろ後で苦情の申し立てはしとかないと。

 

 

 

大騒動の上に選手の大半がどっか行ってしまったということもあり、大会は一時休憩となった。

 

 

 

な~んか、だんだんと少しずつブウ編も原作からの乖離具合が大きくなっていっている気がするなあ。

これ以上なにも余計なことは起こりませんように・・・・・。

 

 

 

 

 





ブロリーさんはなんだかんだで交友関係の幅がクソ狭いままなので、『友達同士』という関係性についてはまだイマイチ理解が浅かったりします。


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