たぶん次回くらいで前編終了です。
そしてここから先は恐らく『原作どこいったん?』ってくらいにまーた展開がガッツリ乖離していくと思います。
しらんけど。
天下一武道会における主な試合は全て終了した。
あと残すところは表彰式だけ。
ぱたぱたと走って裏手に向かうと、そこにはバトルロイヤルで戦ったサタン以外の3人がまとまってたむろしていた。
さすがにマイティマスク、もといチビっ子二人組は既に姿を消した後のようだ。
「・・・まさかアンタがあんな小芝居まで打つようになるとはねぇ」
「うるさい」
頬杖をついてニヤリと口角を上げる18号に囃されてぶっきらぼうにそっぽ向いてたブロリーは、走り寄る俺にいち早く気付いてこっちに歩いてきてくれた。
「ブロリー、おつかれ~」
にこにこしながら労いの言葉を掛けてみると、目の前でしゃがんだ彼は手を伸ばし唐突にハグなんてしてくる。
およ?どしたどしたー?
珍しいなブロリーのほうからこういうことしてくるの。
「・・・お前は、やはりすごいな」
肩口に埋まる頭をとりあえず撫でていると、しみじみといった様子でそんなことを言われた。
なんのこっちゃ??
・・・あ、観客席に飛んじゃった流れ弾を消してあげた件かな?
「ブロリーもすごいじゃん。決勝、めちょめちょ自然な感じに収めてくれてさ~」
今さっき18号も言ってたみたいだが、まさかブロリーにああいう器用な真似が出来るなんて。
サイヤ人、かつ生粋の戦士だったブロリーにとってわざと負けるという行為はだいぶキツいんじゃないかと思ったから『イヤなら別にいいよ』と伝えておいたんだが・・・負けるにしても単純に試合放棄するくらいが精一杯かなと考えてた。見ててびっくりしたよ。
頼み事きいてくれてありがとね~、とワシャワシャ撫でているとベジータ達に呆れたような目で見られた。ちと恥ずかし。
しばらくギュウギュウされたあと気が済んだのか、身体を離したブロリーは再び口を開く。
「・・・あの男とは話をつけた。今回のことだけでなく、オレの昔のことにも気づいたが黙っておくと」
「え、サタンとサシで話したの?」
「ああ、少しだけだが」
「へ~・・・そっかぁ・・・・・」
なんか感慨深いなぁ。
実はミスターサタンとブロリーって、全くの無関係というわけではなかったりする。
かつて公式から様々な媒体においてたくさんのDBに関するゲームがお出しされ、それに伴い数々のIFストーリーというものもその都度作られてきた。
そしてそんな"もしも"の世界線においてもZブロリーの末路に関しては概ね悲惨なものばかりだったんだけど、その中で唯一の救済生存ルート。
それが、『記憶喪失になったブロリーをミスターサタンが拾い、弟子として共に過ごす』というものだ。
しかもカカロットに再会し記憶を取り戻して暴走してもなお、サタンが沈静化に成功しそのまま地球で暮らしていくという平和的ENDである。
魔人ブウといいブロリーといい、懐柔して仲良くなってしまうあのおっさんはやっぱりすごい奴なんだろう。
そんな二人がこの世界でも普通に会話できるような間柄になったとは・・・。しみじみ。
なんにせよ、今回のこの武道会はとても良い感じに終わってくれたようだ。
あと気になるのは"向こう"、飛んで行った連中のほうなんだが・・・今頃どうなっているだろうか。
インフレもかなり進んだ今、もしかしなくても悟空と悟飯だけで事件にケリがつくんじゃないかと内心少し期待していた。
だけど生憎、そう上手くは事が運ばなかったらしい。
事態が動いたのは、表彰式のために再び皆が会場に集ったとき。
スポポビッチとヤムーの二人組を追いかけていった筈の悟空と悟飯、そして界王神の姿が突如として武舞台の上へ現れた。
「な・・・!ここは、武道会の会場・・・!?」
変身を解いている悟飯が慌てたように辺りを見回している。
原作と似たようなタイミング、似たような状況だがベジータは魔人になっていないし同士討ちは起きない筈だ。
どうしてこっちに来た・・・?
そしてよく見ると、一緒に転送されて来たのか上空にはダーブラが不敵な笑みを浮かべながら佇んでいる。
・・・そして、声が響いた。
『そこがさっき言ってた会場ってトコロぉ?ほんとだ、ウジャウジャいっぱい居るねぇ人間が』
「何を考えているバビディ!観客を人質にとって私達を戦わせるつもりなのならそうはいかない!ここに残っていた他の戦士たちも同じだぞ!」
姿は見えないまま響き渡るその声に界王神が喰ってかかる。
『別にそんなこと期待してないよ~。もうここまで来たらお前たち、何をしたって意地でもエネルギーを出さないつもりだろ?時間のムダムダ』
「だったら、何を・・・!」
『簡単な話だよぉ。役に立たないお前らの代わりに別の奴からもらえばいいんだ』
「どういうことだ!?強い戦士からでないとマトモな量のエネルギーなどほとんど集まらないはず!」
原作のほうで悟飯ひとりぶんのエネルギーをブウの玉に注入したとき、バビディが『何百人分』と言い表していたことからもそれは明らかだ。
『確かに、お前らに比べたら普通の人間からなんて微々たるもんにしかならないよ』
「だったら・・・」
『だからさあ、』
界王神の言葉を遮るように続いた台詞に、思わず背筋が凍る。
『採れる量が少ないぶん、たくさんた~~~くさん殺さないといけないねぇ?』
・・・雑過ぎる代替方法。
早い話が1人から1000のエネルギーを採取するのを諦めて、代わりに1000人から1ずつ集めようという腹づもりなんだろう。
「な・・・!?」
『もう界王神はこっちに気付いちゃってるんだから隠れてコソコソする必要もないじゃない。・・・お前らが悪いんだよぉ?意地張っていつまでもエネルギーを集めさせてくれないんだもん』
「ま、待てバビディ!!そんなことは・・・」
『とりあえずその島全域を"範囲"に指定しておいたからさぁ。ダーブラ、そこにわんさか居る人間は遠慮なくみ~んな殺しちゃえ~』
「畏まりました、バビディ様」
姿の見えないバビディに恭しく一礼を返したダーブラは、次の瞬間両手を左右へ翳したかと思うと辺り一面全方向へエネルギー弾をバラ撒いた。
・・・本当に観客たちを虐殺する気か!
群衆は悲鳴と共にパニックになって出口へ押し寄せ、そしてZ戦士たちもそれぞれ即座に動いた。
悟空や悟飯は撒かれたエネルギー弾を防ごうと飛び、ブロリーとベジータはダーブラを直接叩きに行く。
そして俺は。
悟空たちだけではカバーしきれないほどに広範囲へ撒かれたエネルギー弾、その全てを一瞬のうちに転移で位置を移してやった。
観客へ向かっていたそれらが消えたかと思うと、次の瞬間ダーブラを取り囲むようにして出現し奴は自らの攻撃で集中砲火を浴びる。
おらー!球拾いならまかせろー!
比較的会場全体を見渡しやすい観客席の上に居たのが幸いした。
視界内は全て俺の転移の有効射程範囲である。勝手なことはさせん。
「なんだ今のは・・・!反射か・・・!?」
意味不明な現象でエネルギー弾を全て返されたダーブラは困惑した声を上げ、そこにブロリーが殴り掛かり一撃が入る。
ごはっ、と嘔吐くダーブラを見て俺は少々慌てた。
あっ!やばい!!
「け、警告ーーー!!!」
とりあえず叫んだ俺の大声にブロリーたちが視線を寄こす。端的にでもこれだけは先に伝えなければ。
「そいつの唾液には!!石化効果があるから!!不意打ちに注意ーーー!!!」
身体を石にされて砕かれでもすれば一発アウトである。
つまりは空中で石化しようもんなら落下しただけでも砕けてお陀仏だ。
「な、なんだと・・・!?」
「遅い!」
俺の注意喚起を聞いて驚くベジータとブロリーは今ダーブラの至近距離に居る。
そして警戒される前の今が好機と見たのか、奴は即座に二人へ唾を吐き掛けた。
あああばっちぃ!!言ったそばからー!!
さすがに距離が近すぎたのか、最悪なことに二人ともバッチリ当たってしまったらしい。
そして二人の命運はその服装が分けた。
ベジータは剥き出しの腕だったためにすぐ石化が始まったが、ブロリーが羽織っていたのはオーバーサイズのだぼだぼしたパーカーだ。
胴着の類なんざ持っていないために普段着で来ていたのが幸いした。
即座に脱ぎ捨てたそれは布地だったものが薄い石の膜へ変わり、落ちるさなかに受ける風圧だけで砕けて風に流され消えていく。
「ベジータ!!」
そして一方石像になってしまったベジータは、落っこちて砕ける前に悟空が受け止め地面へ置いた。
あーーーもうしょうがないなあ!!
転移で悟空の傍へ飛び、転がされたベジータを見ると完全に石化して固まっちゃってる。
・・・でもたぶん、俺であれば戻せるんじゃないだろうか。
空ではダーブラが高笑いを上げ、会場の外へ向かって飛び去っていった。
武道会場の周りには街があり、そこにも人はたくさんいる。
「追っかけてって!!」
飛びながら今も攻撃をあちこちにバラ撒いているらしいダーブラを放置してはおけない。
俺の言葉に頷いたブロリーが、そしてその後を悟飯と結局何もしてない界王神が追って付いていった。
それを見届け、俺は石化したベジータのほうを再度見る。
「もしかして、おめぇソレ何とか出来るんか?」
「・・・だいじょうぶだと思う。たぶんだけど」
「ホントか!さっきピッコロ達も石にされちまったんだ。みんな戻してやってくれよ」
「いいけど、場所遠いんでしょ?ダーブラを倒したほうが早いんじゃないかな」
「そっか、原因のアイツをやっつけちまえばいいんだな」
頷くと悟空も「任せたぞ!」とだけ言い残し皆を追いかけていった。
ダーブラひとりに対して戦力過多にも思えるが、あっちが逃げ回りながら無差別攻撃を繰り広げているであろうことを考えるとそれを防いだり人命救助だったりで何かと手間もとられるかもしれない。
こっちも急いだほうが良さそうだ。
俺は一度深呼吸して精神を落ち着かせると、すぐに時間魔法を起動し転がったままのベジータへ遡行をかけた。
―――――一方、遠く離れた地下に埋まる宇宙船の奥深くにて。
バビディはひとり、ブツブツと水晶玉を見つめながら呟いていた。
「う~ん・・・わかってたけどさぁ、やっぱり集まりが悪いねえ」
ダーブラが現在進行形で殺し続けている地球人の有象無象は、僅かながらのエネルギーに変換されてこちらへ流れ貯まっていく・・・が、その量は本当に微々たるものでやはり進みは芳しくない。
"ダメージエネルギー"である以上、甚振るでもなくまとめて雑に殺していっていることも一因だろう。
「それに・・・アイツらがプイプイやヤコンを殺しちゃったせいで、人手も足りないしさぁ~」
残った手下の中でマトモな戦力といえるのは最早ダーブラひとりだけ。
こういうときに手が足りないというだけでなく、出撃させている今現在自分を護衛するものが誰も居ないという点も少々不安である。
そこでバビディは手を翳し、水晶玉に映る景色がくるくると次々に移り変わった。
映し出されたのは先ほど会場にいた、界王神の取り巻きの仲間と思われる面々。
娘を避難させようとしている人造人間18号。
ダーブラに石化させられた筈なのに何故か早々に元に戻ったらしいベジータ。
そしてダーブラを追って飛んでいる最中のブロリー。
先程界王神と共に襲来してきた奴らは邪心のカケラもない珍しい人間だったようで付け入る隙も無かったが、今水晶に映る奴らはどうやらそれとは違うらしい。
「・・・だからそろそろ、誰か一人くらい"補充"してもいいかもねえ・・・・・」
品定めするかのように水晶を見つめながら、独り言つバビディはその顔を醜く歪ませて笑うのだった。
ブロリーさんがぶかぶかの服着てるのは、サイズぴったりだとたまに伝ブロになった時にもれなくはち切れて悲惨なことになるから私服がオーバーサイズばっかりという理由だったりします。
最初の頃はたぶん気にしてなかったけど「服が!!もっだいない!!」って幼女氏に泣かれてこうなった。
それと前回のアンケート投票ありがとうございます。
つけていいよー票のほうがダブルスコアだったのでこっそりタグつけました。
アンケートはそのまま置きっぱにしておくので、もし反対票がふえたらまたこっそり消します。