TS転生幼女は伝説の超サイヤ人を救いたい。   作:こねこねこ

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48:萌芽

あの後、ベジータを石像から人に戻してやると途端にアイツはいきり立って悟空たちの後を追って行った。

 

「ふざけやがってぇ・・・!!絶ッッ対に許さん!!!」

 

どうやら唾を吐き掛けられたという行為そのものと、石化なんていう無様を晒したことと、そもそもダーブラとかいう格下の相手に舐められていたことによる三重バチギレモードで頭に血が昇っているらしい。

 

「あーあ・・・まあ死にゃあしないとおもうけど・・・・・」

 

それをため息交じりに見送ったあと、俺はひとまず観客席にいたブルマさん達のもとへ。

手短に何が起きているのかという事情を説明し、先に飛行機で避難することと出来ればドラゴンボールを確保しておいてほしい旨を伝えておく。

そして一緒にいた18号には何かあったら皆を守ってほしいと頼み込んでおいた。

彼女が居ればちょっとくらいのトラブルに見舞われても大丈夫だろう。原作のほうでも墜ちそうになったときに助けてくれてたしな。

 

そのやりとりをしている最中、騒動に気づいたらしいビーデルちゃんも奥から出てこっちに来た。

何があったのかを知りたがっている彼女にも、出来ればブルマさん達に同行してそこで事情を聞いて貰うように伝える。

 

「・・・シロちゃんは、どうするの?」

「ちょっちイヤな予感するから・・・ブロリーのほう追っかける。悟飯はきっと大丈夫だとおもうからさ、そこは安心して」

「うん・・・でもあなたも、まだ小さいんだからあんまり危ないことしちゃダメよ」

「ごめん、ありがと。んでもこう見えてけっこー丈夫だから!」

 

引き留めてくれようとするその手をやんわりと解き、ありがとうねと笑って手を振りながらその場を後にした。

 

 

 

・・・向こうのほうは、どうなっただろうか。

 

転移でブロリーの元へ向かうと、そこはまさに逃げ回るダーブラへ差し迫っているところだった。

 

周囲には破壊された街並み。

あちこちで建物が倒れ、人はほとんど居なくなっているが逃げ遅れた者もまばらに残っているようだ。

 

 

ブロリーに殴り付けられたダーブラが吹き飛び、エネルギー弾を連射してくるもそれがブロリーへ届く前に俺がそこへ手を翳す。

途端に方向を変えた攻撃が追撃となってダーブラのほうへ殺到した。

 

「!!・・・シロ!?」

「ッちぃ・・・!またか・・・!?」

 

ブロリーは場へ現れた俺へいち早く気付き、ダーブラはまたもや攻撃を返されたことに困惑の声を上げている。

 

・・・するとそこへ、遠くのほうからブチギレベジータがカッ飛んできてダーブラへ突撃した。

 

「そこかあああぁぁぁ!!!」

「ぐほぁ!!??」

 

転移使ったから俺のほうが着くの早かったんだな。

よく見たらSS4にまで変身している。相当頭に来ていたらしい。

 

かなりのダメージが入ったであろうダーブラは墜落したクレーターから瓦礫を吹き飛ばしてすぐに出てきたが、場に増えた俺達を順に一瞥すると流石に形勢不利を悟ったのか不敵な笑みを浮かべ構えを解いた。

 

「ふん・・・どうやら頃合いのようだな・・・・・」

 

そしてその言葉を最後に、唐突にその姿が掻き消える。

 

「な・・・!?どこへ行きやがった!!」

「たぶん、バビディが回収したんだとおもうよ。武舞台に現れてた宇宙船の入口も一緒に消えてるんじゃないかな」

 

元々宇宙船の中からの転送でここに来てたからなアイツ。それを元に戻したんだろう。

 

俺の言葉に舌打ちを零したベジータはひとまず冷静になったのか、一旦変身を解きブロリーのほうを見た。

 

「カカロット達はどうした」

「そこらで死に掛けている人間を放っておけなかったらしい。途中で置いてきた」

 

やっぱり、悟空や悟飯は人助けのほうを優先したようだ。追撃にはブロリーだけでもじゅうぶんだっただろうしね。

 

それを聞いたベジータはフンと鼻で笑い、再びどっかへ飛んでった。

 

敵はもうここには居ない。

あいつらの直近の目的が人間たちをたくさん殺すことである以上、一旦退いたらしい今は別の場所を改めて狙われる可能性もある。

 

ぐるりと周りを見回してみるが助力が要りそうな一般人もひとまずここには居ないみたいだし、この場所にこれ以上留まる理由はないだろう。

 

「わたしたちも、一旦悟空たちのところ行こっか」

「・・・ああ」

 

頷いたブロリーと一緒にこの場を離れようとした。

 

 

 

 

 

―――そのとき。

 

ふいに、違和感が生じた。

 

 

 

 

 

頭の中に霞が掛かったようにぼうっとして、"何か"がじわじわと外側から侵食してくるような不快感。

 

 

・・・え、何だ・・・・・?

 

 

気付いた途端それはみるみるうちに強くなり、まるで頭の中身をぐちゃぐちゃにかき回されてるような感覚に陥る。

 

混乱と共に、とある可能性が脳裏に過った。

 

 

ま、まさかこれって・・・・・バビディの・・・・・・!?

 

 

どうして!?なんで俺のほうに!?

操れるのは極悪人だけじゃなかったのかよ!?

 

 

・・・でも、術は試みているのだろうがまだ"操られている"という感覚は無い。

 

 

きっと無駄だ、だって俺には―――――、

 

 

 

 

 

・・・そのときふと、以前とある人物に言われた言葉がフラッシュバックのように蘇ってきた。

 

 

 

 

 

『―――それと、不老不死に付随していた状態異常無効も共にオフになりますので。一応気には留めておいてくださいね』

 

 

 

 

 

・・・・・あ・・・・・?

 

 

 

 

 

「待・・・って・・・・・?」

 

 

 

 

 

まさか。

 

 

 

 

 

「待って!!まってまってまってまってまって待ってぇ!!!!」

 

一層強まる不快感に頭を抱えて叫ぶ。

 

 

 

突然取り乱した俺の様子に驚いた顔をしたブロリーが何か言ってるが聞こえない。

 

 

頭の中はもうぐちゃぐちゃだ。

耳鳴りが、酷い。

 

 

 

・・・嘘だ。

 

・・・・・本当に?

 

 

 

もし俺が操られてしまったら、マズいどころの話じゃない。

 

このチート能力の数々はもちろんのことだけど、何よりも・・・・・

 

 

 

 

 

原作知識の、悪用・・・・・!!!!!

 

 

 

 

 

最悪の事態を想像して背筋が凍る。

 

 

 

「だ、だめだ・・・・・!!」

 

 

 

止めなきゃ。

 

・・・どうする。どうしたらいい?

 

 

 

そうだ、とりあえず遡行を!戻してしまえば!!

 

 

 

パニックに陥りかける中、集中出来ない頭を無理矢理振り絞って魔法を使う。

 

 

 

―――身体が、縮んだ。

 

視界に映る小さな手。今となっては懐かしい、慣れ親しんだ"あの頃"の肉体年齢まで戻った。

 

 

 

・・・でも、違和感は消えない。

 

 

 

ダメなのか!?

 

どうやら術が現在進行中である以上、身体の状態だけを戻してもほとんど意味が無いようだ。

 

 

 

止められない・・・・・!!

 

 

 

それどころか、急に圧力が強まって劇的に負荷が増した。

 

「い、いだっ・・・!!」

 

割れるような頭痛を感じてさらに混乱する。

 

・・・痛い?どうして?

この世界に来て以来、もうずっと痛みなんて感じてなかったはずなのに。

 

 

 

違う、痛覚よりももっともっと奥深くからだ。

 

精神が、人格が、"俺"自身そのものがまるでバラバラにされていくかのような。

 

 

 

これ以上は本当にヤバい。

 

 

 

でもどうしたらいいんだ!?

ダーブラを標的として転移すればバビディのところへ行ける?直接妨害すれば・・・・・、

 

 

 

しかしその時にはマトモに集中など出来ず、もう魔法すら使えなくなっていた。

もはや意識を手放さないようにするだけで精一杯だ。

 

 

 

まずい。転移できない。

 

・・・収納!!収納も開けない!!

 

用意しておいた"アレ"だけでも試したいのに・・・・・!!

 

 

 

 

―――――自分では、もうどうにも出来ない。

 

それを悟った俺は顔を上げて必死に叫んだ。

 

 

 

「ブロリー!!!」

 

 

 

彼は俺の肩を掴んで何か言葉を掛けてくれていた。

 

でも何言ってるのかはごめん、わからない。

わからないまま、こっちの要望だけをどうにか伝えるために叫ぶ。

 

 

 

「今すぐわたしのこと殺して!!!!!!」

 

 

 

ブロリーが目を見開いて、言葉に詰まったように押し黙った。

 

ごめんな、わけわかんないよな。

でもお願いだ。今ここで、お前にしか頼めないんだよ。

 

 

 

・・・このままじゃ、本当に取り返しがつかなくなる・・・・・!!!

 

 

 

「おね、がい・・・!!!」

 

 

 

ブロリーは困惑に眉根を寄せ、苦しそうな表情をしたまま首を振った。

 

声は届いていないけど「いやだ」と言ったのが解る。

 

 

 

・・・・・駄目だ。

彼は優しくなりすぎた。そして俺のことを何より大事に思ってくれている。

 

・・・そのことを、俺自身が誰よりもよく知っていたはずなのに。

 

 

 

「・・・ごめん・・・・・!」

 

 

 

視線を下げ、目に入った足元のガラス片を咄嗟に掴んで自分の首へ押し付けた。

 

でも、傷つけることは出来ず血の一滴すらも流せない。無駄だった。

 

 

 

これまでにずっと俺のことを護ってくれていた『ダメージ無効』、その力を俺自らでは突破出来ない。

 

 

 

やっぱり、ブロリーほどの力を以てしなければ死ぬことは出来ないんだ。

 

・・・そしてその彼は、俺の手からガラス片を奪って捨てた。

 

 

 

俺を助けようとするその行いが、俺を絶望へ追いやる。

 

 

 

頭が痛い。

意識が朦朧としてきた。

 

 

 

過呼吸になりそうな中再び頭を抱えて、懸命にこらえる。

 

 

 

だめだ、耐えろ!

 

 

 

耐えろ!!

 

 

 

耐えろ!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

そのままどれほどの時間が過ぎたのかわからない。

 

数秒か、1分か、それよりももっと長い時間か。

 

 

 

 

 

 

 

―――――唐突に、頭の中の霧が晴れた。

 

 

 

・・・・・あ、あれ・・・・・??

 

 

 

 

痛みも不快感も何もかもが嘘のように消え去って、まるで最初から何もなかったかのような平常状態に戻る。

 

 

 

・・・やり過ごした、のか?

 

 

 

恐る恐る顔を上げる。

 

不安そうな表情をしたブロリーが俺を見ていた。

 

 

 

「・・・ぶろりー・・・・・?」

 

「大丈夫、なのか?」

 

 

 

今はちゃんと声も聞こえる。

本当に、さっきまでのは何だったんだってくらいに何ともない。

 

 

 

一気に気が抜けて、安心したように大きく息を吐いた。

 

・・・どうやら、堪えきったらしい。

 

 

 

「・・・うん、もう平気。ごめん、びっくりさせちゃって」

 

「・・・・・どうすればいいか、わからなかった」

 

 

 

すまん、と謝る彼に首を振る。

こっちこそ、突然とんでもないお願いをしてしまった。

 

 

 

掴んでいた手を離されて、立ち上がってぐっと伸びをする。

 

改めてみても、特におかしいところはない。

 

・・・あー、少し余韻で頭がぼやっとしてるくらいか。これもそのうち治るだろう。

 

 

 

「・・・えーと、なんだっけ・・・・・?」

「カカロット達と合流するんだろう」

「あ、そっか。うん、そうだった」

 

でも、生憎その前にやらなきゃいけないことがある。

 

「ごめんブロリー、用事できちゃった。悪いんだけど先に行っといてくれる?」

「・・・?ああ、わかった」

「もしかしたら長引くかもしれないからさ、夜遅くなりそうだったら気にせずおうち帰っといて」

 

そう付け加えると少しだけ怪訝な表情をして、ブロリーがこんなことを訊いてきた。

 

「・・・それは、そんなに大事な用件なのか?」

 

そりゃそうだよ。

さっきからずっと呼び出し食らっててうるさいんだよねえ。

 

「うん、いまんとこ最優先。早く行かないと怒られちゃうから」

「誰に・・・?いや、そもそも・・・こんなときに何の用事だ?」

 

珍しいな、こんなに食って掛かるの。そんなに気になるのかな。

 

 

 

何って、決まってるじゃないか。

 

心なしか不安気な様子にも見えるブロリーを安心させようと、俺はにっこり笑って"それ"を告げた。

 

 

 

 

 

「バビディさまのところに行って、ちょっとブウちゃん復活のお手伝いしてくるだけだよ」

 

 

 

 

 





終わりのはじまり。










とまあそんなわけで、
以前27話のときにさらっとだけ予告していたブウ編(だったもの)における章ボスその2は幼女氏です。
次回からは後編。よろしくおねがいします。


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