TS転生幼女は伝説の超サイヤ人を救いたい。   作:こねこねこ

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『残酷な描写』タグをつけました。





51:流れ星が降った夜

ブロリーがようやく"そこ"へ辿り着いたとき、場は混沌とした様相を呈していた。

 

地に降り立った途端に膝をつき、変身を解くも未だ息の整っていないブロリーの元へ悟空が駆け寄る。

 

「おい、どうした!何かあったんか」

「・・・願いは・・・全て、叶え終えたのか?」

 

此処へ着くよりも若干早く、神龍が消えたのはブロリーもその目で見ていた。

間に合わなかったのかと思ったが、それにしては騒がしくどうにも様子がおかしい。

 

「いや・・・途中でドラゴンボールが、石になっちまったんだ」

 

そう言って振り返った悟空の視線の先には、丸い石塊が7つ転がっている。

すると悟飯が、その表情に陰が差したまま絞り出すように言葉を零した。

 

「さっきのは・・・昔、ナメック星で最長老様が亡くなったときのポルンガの様子にそっくりでした。・・・多分、デンデの身に・・・何かが起こったんだと、思います」

「神様が・・・!?そんな・・・・・」

 

デンデ。今現在地球の神を務めている者であり、ドラゴンボールの力の源。

その命が潰えたとき、ドラゴンボールはただの石となる。

 

「・・・・・、まさか」

 

その話を聞いたブロリーは思わず表情を強張らせた。

 

 

 

先程移動したシロの気が今ある場所・・・それが、まさしく天界の神殿だったからだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――ほんの十数分前。

 

聖地カリンの遥か天上にある神殿の敷地へ、バビディを伴ったシロが転移で降り立った。

 

「ついたよ。ここ、神殿」

「へぇ・・・確かに、見晴らしは良いじゃないか」

 

縁のほうから一望できる景色を眺めているバビディをよそに、シロはぱたぱたと軽い足音を立てながら神殿のほうへ駆け出す。

 

見れば入口のすぐそばで、デンデが不安気な表情を浮かべながら来訪者のほうを見ていた。

 

「あ、デンデ~!」

「シロさん・・・・・その・・・あ、あの・・・・・」

 

笑って手を振りながらすぐ傍まで駆け寄ったシロへ、デンデは震える声で何かを言おうとするが言葉に詰まる。

 

「いけない、神様!今のそいつに近づくとあぶない」

「で、でも・・・・・!」

 

ミスターポポが止めようとするのも無理はない。

デンデは、天界から一部始終を見て既に知っていた。

 

シロが恐らく今は正気でないこともわかっている。

でも、幾度となくこの場所で一緒に遊んだ友人を・・・さらにはいつもの変わらない笑顔を見せているシロを前にして、一縷の望みに縋りつきたい気持ちを捨てきれないでいた。

 

しかし。

 

 

 

「ごめんね、デンデ。ちょっと死んでくれる?」

 

「・・・・・ぇ」

 

 

 

いつもと変わらない可愛らしい笑顔のまま。

「ちょっとそこどいて」とでも言うような軽さで。

 

 

 

何を言われたのかその内容を理解するよりも早く、

 

デンデのその身は横一線に両断されていた。

 

 

 

掠れた息を僅かに漏らしたのを最期に、何が起きたのか解らないといった表情のままこと切れた身体がそのまま頽れる。

 

「神様!!」

「ポポさんも、ばいばい」

 

思わず叫んだミスターポポも、一歩踏み出した直後に同じく真っ二つに分かたれたその胴体が横倒しになった。

 

「・・・・・・・」

 

物言わぬ骸となってしまった二人を虚ろな目でぼうっと見下ろしていたシロは、ふいにしゃがみ込んで足元に転がった『ともだち』の顔に触れる。

 

「・・・でんで・・・・・?」

 

無意識に呟いたそのとき、急に割れそうなほどの痛みが一瞬シロの脳内を埋め尽くした。

 

「いだッ・・・!!」

 

両手で頭を抱えたその時には既に痛みは消えており、何が起こったのかわからないまま恐る恐る手を離す。

 

「・・・・・??」

 

するとふと、自分の両手が目に入ったシロはその違和感にぱちぱちと瞠目した。

 

「あ・・・そういえば・・・・・」

 

少し前に遡行で自分の身体の時間を巻き戻したまま、5歳くらいの姿に今も縮まったままでずっと行動している。

9歳の身体に合わせた服はぶかぶかだし、靴もパカパカして少し歩きにくい。

 

一瞬身体の時間を進めて戻そうかと考えたが、ふとあることを思い立ったシロは突然自分の収納の中をゴソゴソと漁り始めた。

 

「・・・あった!初期服!」

 

やがて引っ張り出した黒い子供服は、この世界に来た当初に着ていたもの。

地球での暮らしの中で、身体が成長するにしたがって買い替えていった色々な服は処分したりもしていたが・・・シロが『初期服』と呼んでいるこの最初の一揃いだけは、思い入れの深さからか何となく収納の中にしまったままにしてあった。

 

さっと袖を通して着替えてみると、当然のようにピッタリだ。

 

「なつかしいなあ・・・・・」

 

地球での生活が始まるまでは、長期間ずっとこれだけを着ていただけに愛着もある。

 

 

この格好で、よく幼いブロリーのもとへ会いに通ったものだ。

 

 

目を細めて思い出に浸りかけていたシロを、遠くから聞こえたバビディの呼び声が現実に引き戻した。

 

「おーい!何やってるんださっきから!」

「・・・あ、わすれてた。はーい今いきまーす」

 

声を上げて返事をしたあと、地面に転がったままのデンデ達をそのままに踵を返し駆け出していく。

 

 

 

 

 

―――――こうして、シロは決して超えてはいけなかった一線を、易々と踏み越えてしまった。

 

 

 

 

 

「ご主人様を放置するんじゃないよまったく!」

「へへへ、ごめんしゃい」

 

バビディからのお小言に相変わらず悪びれる様子はなく、形だけの謝罪を口にしながらシロはポリポリと頬を掻く。

 

「で、一体どうするつもりなんだ?こんな場所まで来て」

「うーん・・・そうだなぁ・・・・・」

 

考え込むシロは、ふと何となしに目線を上げてみた。

東の方角は既に宵闇が広がり、雲ひとつ無い晴れた空には小さな光がたくさん瞬いている。

 

そしてふんわりと笑んだまま、こんなことを呟いた。

 

 

 

「・・・今日は、きっと星がよく見えるイイ夜になるねぇ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「シロの様子が、おかしくなった」

 

ブロリーのその言葉は、いまだ混乱の収まりきっていなかった面々に更なる動揺をもたらした。

 

「おかしくなったって・・・どういうことだ?」

「わからん。『"バビディさま"のところへ行って魔人の復活を手伝う』とか言っていた・・・今は恐らく、神殿に居る」

 

神殿という単語を耳にした者たちは、先ほど起きたドラゴンボールの異変と何か関係があるのではないかとつい関連を疑ってしまう。

 

「じゃあ何・・・?シロちゃんが神様に何かしたっていうの?」

 

まさか、と言わんばかりにブルマが声を上げるもその表情は半信半疑だ。

するとその場に居合わせた界王神がふいに口を挟んでくる。

 

「待ってください。その時その方の額には、『M』の字のような刻印が現れていませんでしたか?」

「額・・・?髪で隠れていた。見ていない」

 

ブロリーは首を振るも、直後にひとつ思い出したのか界王神のほうへ詰め寄った。

 

「お前は、神よりも立場が上だとシロが以前言っていた。何か知っているなら吐け」

「・・・バビディは、その魔術で邪心を持つ者を操ってしまうのです。そのシロという方がどういった素性の者なのかは私は知りませんが、どちらにせよ付け込まれたのでしょう・・・心に弱さを持っていたのか、実は悪人であったのか、」

「違う!!」

 

まるで悪し様に言うような界王神の言葉を遮り、ブロリーは思わず掴み掛かる。

 

「そうだ!シロちゃんはそんな子じゃねえ!」

 

そこへ突然声を荒げたのは一歩引いた位置で話を聞いていたチチだった。

この数年間の日々の中で、ブロリーの次にシロと接する機会が多かったのが彼女だ。その人柄はよく知っている。

他人のことを思いやり、助けになろうと手を差し伸べるのを厭わない。そんな娘だった。

 

するとその様子を見ていたブルマは界王神へひとつ問い掛ける。

 

「・・・ねえ、そのバビディって奴の魔術?それを例えば私や他の人たちが受けていたとしたら、それは自分の意思で抵抗できるものなの?」

「・・・・・いえ・・・・・バビディが支配を試みた者で、それを免れたという話は・・・聞いたことがありません」

「それなら、誰が狙われたってきっと同じだったんだわ。・・・だってシロちゃん、これまで何か大きな事件がある度にむしろ自分から率先して解決しに走り回るような子だったじゃない。そんな子が自分の意思で悪事に手を染めるなんて、考えづらいわよ」

 

新惑星ベジータでの騒動でも、セルゲームでも、ナメック星が襲われた件でも、はたまた先程の武道会の襲撃事件のときも。

出来るだけ被害を減らそうと、考え得る限りの最適な手を打つべく駆けずり回るシロの様子を目撃していた人物は一人や二人ではない。

 

そしてそれは、傍に居たブロリーが一番よく解っている。

 

「心配しなくても、少なくともここに居る皆はあの子がどういう性格だったかを知ってるわ。本人の意に添わず悪事に加担させられているんだったら・・・連れ戻してあげなきゃ、いけないでしょ?」

 

だから行ってらっしゃい、と真っ直ぐに見据えてくるブルマにブロリーはただ頷いた。

 

「・・・言われずとも、そのつもりだ」

 

 

 

―――――自分の他にも、アイツのことを案じている人間は数多く居る。その事実が、アイツの善性を証明しているのだ。

 

 

 

 

 

その後そのまま発とうとするブロリーへ、悟空が声を掛けた。

 

「神殿に向かうんだろ?オラも一緒に行く。デンデに何があったのか確かめねえとな」

「おとうさん、ボクも・・・・・」

「いや、悪ィけど悟飯はここに残ってくれ。まだバビディの手下が次にどこの街で暴れ出すかわかったもんじゃねえからな・・・どこかで悪い気を感じたり、何かそういう報せが入ったらそっちのほうへ向かって欲しいんだ。ベジータもそうするだろ?」

「ああ。ここを狙うようならば真っ先に潰す必要がある」

「・・・・・わかり、ました」

 

苦い顔で頷いた悟飯の肩に手を置き、悟空は安心させるように言葉を掛ける。

 

「デンデのことは心配だろうけど、オラとブロリーが居れば多分大丈夫さ。途中で何かあってもオラなら瞬間移動ですぐに戻って来れるしな」

「はい・・・よろしくおねがいします」

 

じゃあ後は頼んだぞ!と踵を返し、悟空はブロリーと共にその場を飛び立った。

 

「・・・悟飯にはああ言ったけど、デンデの気もポポの気ももう感じられねえ・・・。瞬間移動は無理だし、直接飛んでいくしかねえな」

「急ぐぞ」

「おう!」

 

二人同時に超化し、速度を上げ真っ直ぐに西を目指す。

 

 

 

しかしある高度まで来たとき、目に飛び込んできた光景に思わずその出端を挫かれてしまった。

 

「・・・な、なんだよ、こりゃあ・・・・・!!!??」

 

 

 

 

 

見渡す限り、空から燃え盛る大岩が次々に降ってきては世界の各地を焼き尽くしていく惨状。

 

 

 

 

 

 

「ちきしょう・・・!!コイツは流石に止めねえと!ブロリー、おめえは」

「オレはこのまま行く」

「・・・わかった。気ィつけろ、これもバビディって奴の魔術なんだったら思ったよりとんでもねえのかもしれねぇぞ!」

 

それだけを言い残し悟空は逆方向へ飛び去ってしまったが、ブロリーは何となく違うのではないかという予感をその胸中に抱いていた。

 

もはや何も言葉はなく、ただ一刻も早く確かめる為に再び神殿を目指して飛び立つ。

 

 

 

 

 

―――――そしてその日。結果として世界中にある主要都市のうち西の都を除いたその全てが、僅か一夜にして壊滅した。

 

 

 

 

 





ここでブルマにああいう発言をして貰ったのは、GTでベビーに皆が洗脳を受けた際その右腕として敵側に多大な貢献をしてしまっていた彼女だからこそ意味があるんじゃないかなあと思ったからです。


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