あんまりゴテゴテするのは好きじゃないんですけど、無さすぎるのも良くないのかなあと思ったり。
迷いつつなのでまた減ったり増えたりするとおもいます。
あれから数刻も経たぬうち。
地球上の生き残った人間達へ、バビディからのテレパシーが一斉に送られた。
『やあやあ、夜分遅くにすまないねぇ~。ボクの声が聞こえるかな~?』
『ボクはわる~くてこわ~い魔導士のバビディ様だよ。そしてこっちはも~っと恐くて強~い魔人ブウだ』
『実はみんなにお願いしたいことがあってねぇ~・・・ボクは、ボクのパパを殺した仇を討つためにこの地球にやってきたんだよ。だから今見せてるこの紫色の顔の奴を見かけた人はボクに教えてほしいんだ~』
『みんな、星がたくさん墜ちてきて大変だったよねぇ?アレはボク達からのほんのご挨拶さ。アレをやった魔人ブウの力をもってすれば、残った人間をみ~んな殺し尽くすことだってカンタンなんだよぉ』
『せっかく生き残ったんだから、死にたくないよねぇ?これ以上隠し立てすると、さっきよりももっともっと酷いことになっちゃうかもしれないよ~?だから、くれぐれもよろしくねぇ』
『おい、界王神本人も聞こえてるだろ~?これ以上地球人を殺されたくなかったら、いつまでも隠れてないで今から言う場所に出ておいで!別に仲間も連れてきてもいいよお、こっちには魔人ブウがいるんだから下手な抵抗は無駄だと思うけどね~。ヒヒヒ・・・・・』
言いたいことだけを一方的に送り付け、送信を終えたバビディは背後でひっそり見ていたシロを振り返る。
「よーし、終わったぞ。こんなカンジでどうだ?」
「ばっちぐ~。・・・んでも、星いっぱい落としたのってわたしなのになぁ」
「いいんだよぉ。オマエみたいな小娘の手柄にするより、魔人ブウがやったことにしたほうが箔がつくだろ。それより次はどうするんだ」
「えっとねぇ・・・」
先程の周知は、界王神の指名手配を前面に押し出したものであるがそれはあくまで建前だ。
本当の狙いはああやって挑発を掛けることにより、今なら魔人ブウを倒すことは可能と察しているであろうサイヤ人のほうを釣り出すこと。
人間達の中には「界王神とかいう奴のせいで巻き添えを食って世界がこうなった」と憤する者も少なからず出るだろう。顔をハッキリ見せ周知したことにより、その衆目に出来るだけ姿を晒さないよう界王神自身は動き辛くなる筈だ。指定場所に来るのはサイヤ人だけで界王神は身を潜めたまま、というパターンも十分有り得る。
「悟空は十中八九来るだろーね。ベジータはどうかなぁ・・・西の都から離れないかもしんないし五分五分かな」
しかし、狙い通りに事が成れば遅かれ早かれベジータも引きずり出されることになるだろう。
「少なくとも、どっちかは来ると思うからここから見てればいーよ」
宇宙船から持ち出してきたバビディの水晶玉には、先程指定した場所・・・荒涼とした岩石地帯が映し出されていた。
そこは奇しくも、原作での折に悟空とベジータが対決することとなったあの岩場と同じ場所である。
・・・そうして暫くすると、シロが予見した通り悟空を筆頭としたZ戦士の面々がそこへ現れた。
その中にはベジータのほか、悟飯やピッコロの姿もある。
しかし、一行が辿り着いたそこには誰の姿も無い。
「何なんだバビディのヤツ、わざわざ呼び出しといてまだ来てねぇじゃねえか」
「・・・フン、怖気付いたか」
魔人ブウと思しき邪悪な気の塊は、今も変わらず神殿から動いてはいなかった。
怪訝な表情を浮かべつつも、時刻を指定されていたわけでもなかった彼らは仕方なくその場で待とうとする・・・・・その時。
何か得体の知れない感覚が一瞬駆け抜けたと思うと同時に、突然周囲の一帯が一段明るくなった。
「な、何だ・・・!?」
思わず辺りを見回し、そして見上げた一同の視線の先。
そこには・・・夜空に大きく、煌々と輝く『満月』があった。
「な、バカな・・・!!月はオレが昔破壊したはず・・・!?」
ピッコロが困惑した声を上げるが、それよりも。
あるはずのないものがそこにあるという驚きに、ほんの一瞬だが彼らは失念していた。
この中に、今は絶対月を見てはいけない人物がひとり混じっていたことを。
「ッ見るな!!カカロットぉ!!!」
振り返るベジータが思わず叫ぶも、もう遅かった。
「・・・ぅぐぐ、ちきしょう・・・!!!」
咄嗟に下を向いていた悟空はそれでも目に光を入れてしまったらしく、顔を覆ったままその身体が徐々に巨大化していく。
「シッポを切れ!早く!!」
「は、はい!!」
近くに居た悟飯が慌てて悟空のほうへ向かうも、その姿を見て急にその足が止まった。
「・・・し、尻尾が・・・なくなってる・・・!?」
「なんだと・・・!?」
困惑したような悟飯の声を聞き、ベジータが怒号を飛ばす。
「そんなバカな話があるか!シッポなくして大猿化が出来るはずがなかろう!」
「でも無いんです!!」
確かに先ほどまでそこにあった筈の、悟空の腰に巻かれていた尻尾が無い。
理屈の通らないその現象に当惑しつつも、無いものに手は出せずそのまま彼らは手をこまねいて巨大化していく姿を見ていることしか出来なかった。
そしてベジータ達のいる場所よりある程度距離を置いた岩山の上から、同じくその様子を見ていた小さな人影がふたつ。
「あららぁ~・・・ホントに化け物に変身しちゃったよ。アイツらってホントにニンゲンなの?」
「あれがサイヤ人の特徴のひとつなんだよ。まあ、他の人は対策済みだから今ああなっちゃうのは悟空だけなんだけどね」
目を丸くしているバビディに、人差し指をくるくると回していたシロが淡々と答える。
・・・悟空を始めとする彼らは、魔人ブウと戦うつもりでこの場所へ来た。
その魔人ブウの気が相変わらず神殿から動いていないことに注目していた隙に、コッソリ転移で近づいた二人による小細工がなされたのだ。
バビディの魔術による月の復元。そして悟空の尻尾は、手が出せないよう大猿化が始まった直後にシロが魔法で隠してしまった。
バビディの支配を受けたシロには他の戦士のような超人的な力の発現などは無かったが、その能力の強化により魔法の利便性が上がってこれまでよりも更に細かい応用が利くようになった結果である。
「・・・パンちゃんはいない。しっぽも切れない。あのまま放っといたら地球ごと壊されちゃうかも。戦闘力的に太刀打ちできるのはベジータだけだけど・・・どうするかなあ?」
くふふ、と笑うシロの見る先で。
変化を完全に終えた黄金の大猿が、赤い眼を輝かせながら空に向かって咆哮を上げた。
この連載はじめてからこんなに長い間(まだ3話分だけど)、ブロリーが場面から消えたことって無かったからなんか不安になってくる。そろそろ帰ってこーい。