TS転生幼女は伝説の超サイヤ人を救いたい。   作:こねこねこ

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57:すれちがい

孫悟空を大猿化させる作戦は成功した。

理性無く暴れまわってしまう以上、他のZ戦士たちはその対応に掛かり切りになることだろう。

 

これまでの数年間、何度超サイヤ人4への覚醒を試みようと全く理性を取り戻せなかった悟空。

悟飯のみならず以前チチにまで一度協力を仰いでさえ無駄に終わってしまったのである。単純な説得での鎮静化は望み薄だ。

 

覚醒せずとも他のサイヤ人二人に追随するほどの実力をつけていた上での大猿化。

今のこの怪物を力でどうにか出来る可能性はあるのは、ブロリーが不在である今は唯一ベジータのみ。

 

これで敵の主力であった二人の行動を暫くは縛ることが出来る。

その上、ベジータが悟空を倒すにしろ逆にしろ共倒れになるにしろ・・・その結果がどう転んでも、同士討ちである以上はこちら側に一切損の出ない最上の手であると言えた。

 

 

ただ、これはあくまで時間稼ぎの足止めだ。

いずれブロリーも戻ってくると思われる現状、本命の目的はこの隙に魔人ブウの強化を行うこと。

 

 

「・・・そんじゃ、わたしはブウちゃんの強化アイテムを調達しにいってくるよ。バビディさまはどーすんの?」

「面白そうだからもうちょっと見てようかな~。信じ合ってた仲間同士で殺し合いなんて最高のショーじゃないかぁ・・・ぐひひひひ・・・」

「わ~、アクシュミ~」

 

ほどほどにしなね~、とだけ言い残しシロはひとり転移でその場を後にした。

 

 

 

―――そして向かった先は。

 

 

「・・・おや、こんにちはシロさん。つい先程までブロリーさんがいらっしゃってましたよ」

 

 

新ナメック星。

 

突然現れたシロの姿を見るなり声を掛けてきたナメック星人に手を振って、やはり自分がブロリーを転移で飛ばしてしまったらしいとシロは確信した。

ただ、その口ぶりからしてブロリーは既に地球へ戻るべく発った後なのだろう。

 

 

「こんちわ~。あの、ドラゴンボール貸してほしいんですけど。ムーリさんいますか??」

「え、ドラゴンボールですか?ブロリーさんにもさっき訊かれたんですけど、今はまだ石になってる筈ですよ?」

「だいじょぶだいじょぶ。集めさえすれば裏ワザで使えるように出来るから」

「はぁ・・・?わかりました、最長老様のところへご案内しましょう」

 

釈然としない表情ながら集落のほうへと促すナメック星人に、シロは「よろしくおねがいしま~す」とニッコリ微笑んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてシロが地球から転移で姿を消した、そのすぐ後のこと。

 

長い長い星間飛行を経て、ブロリーがようやく地球へ辿り着いた。

大気圏を突き抜け降り立った洋上にて、未だ息も整わないまま気を探る。

 

 

そしてすぐに気付いた。・・・シロが、いない。

 

 

「・・・・・どこへ」

 

 

殺された、という可能性は考え辛いし正直考えたくもなかった。

一番有り得るのは・・・自分とはすれ違いとなって、他の星へ向かったのではないか。

流石に宇宙にまで出られてしまうと、常人と変わらない大きさのシロの気を探し当てることはブロリーといえど不可能に近い。

 

ひとまず他の気をひと通り探ってみたところ、先程までとは随分状況が変わっているようだった。

 

カカロットやベジータをはじめとした数人の見知った気は一ヶ所に集合している。

そして一方、神殿にはブロリーの知らない禍々しい気配が鎮座していた。

 

カカロットの気に妙なものを感じるのは若干気に掛かるが・・・ひとまずブロリーが向かったのは神殿の方角。

見知らぬ邪悪な気が件の魔人なのだろうが、自分が消えたあの後どうなったのかをとにかく知りたかった。

 

かなりの長距離移動を終えた直後で疲弊してはいたものの、正直休む暇も惜しい。

ブロリーは変身を解かないまま、再びその場を飛び立った。

 

 

 

・・・そして、その目指す先では。

 

神殿の広い石畳の上に、魔人ブウがひとりぽつんと残されていた。

 

「・・・ハラ、へったぁ」

 

座り込んでぼーっと空を見ながら、どこか物憂げな表情でぽつりと呟く。

囮としての役割のために、「とりあえずそこでじっとしていろ」と命令を下したバビディが置いていったお菓子はもう全て食べてしまった。

遊んでくれた小さな姿も今は隣にいない。

 

そしてしばらくそのまま大人しくしていると、突然空から金色に光る大柄な人間が現れた。

 

「んぉ?だれだ、おまえ」

「・・・・・シロは、どこに居る」

「シロ?あのチビか?しらない、どっかにいった」

 

問いに素直に答えたブウがその名前を口にした途端、不快だと言わんばかりにブロリーの眉間の皺が一気に深まる。

そして自分へ対し敵意を剥き出しにしてくる相手の様子にブウもまた、空腹も相まった苛立ちをぶつけてやろうかと立ち上がった。

 

「おまえ、オレと遊ぶのか?食べちゃうぞ?」

「・・・調子に乗るな」

 

焦燥とシロを見つけられない苛立ちに冷静さを欠いていたブロリーもまた、半ば八つ当たりのように向かってくるブウへ相対する。

 

・・・万全の状態であればすぐに決着のつく勝負であっただろうが、消耗の激しいブロリーはその相性の悪さも相まって中々に決定打を与えることが出来なかった。

殴り付け拳をめり込ませてもブウの弾力のあるボディにはダメージが薄く、その触手を引き千切ろうともスライムのように破片が集まってすぐに復元してしまう。

 

「小賢しい!!」

 

ブロリーが手のひらに気を集中させ消し飛ばしてやろうとしたその時、ブウもまた上手く有効打を当てられない苛立ちに蒸気を噴き出しながら悪態をつき叫んだ。

 

「おまえなんかキライだ!!キャンディーになっちゃえー!!」

「・・・何!?」

 

攻撃前の一瞬の硬直を狙われたブロリーは触手から発された光線を浴び、得体の知れない感覚にその動きが止まる。

 

 

 

―――そして光が収まったそこには、大粒の飴玉がひとつだけ残されていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・さあ、これでドラゴンボールは全てですぞ」

「ありがと、ムーリさん」

 

一方、ナメック星では。

 

シロの要望を聞いたナメック星人の最長老ムーリとその従者によって、ひと抱えもある丸い石の塊が7つその場へ集められた。

抱えた石塊を地面へと置いた数人のナメック星人を見て、シロは見覚えが無いなと小首を傾げる。

 

「・・・そのひとたち、ムーリさんのお弟子さん?」

「次代を担う優秀な龍族の若者です。今は私の元で色々と教えている最中でしてな、いずれはドラゴンボールの管理を任せることにもなるでしょう。なのでこういった場にも出来るだけ立ち会わせております」

「へ~・・・じゃあそのひとたちもデンデみたいにドラゴンボール作れるようになるんだねえ。あ、ありがと。これで7こ全部だね。ごめんなさい突然無理言っちゃって」

「あなた方には十分な恩がありますからな。それに念のため出させて頂いた謎かけも難なく解いてしまわれたのです、気兼ねなくお使いください。・・・とはいえ、先程申した通りまだ石の状態から戻ってはおりませんが。どうなさるおつもりです?」

 

本来、石化中のドラゴンボールが輝きを取り戻すにはまだ多少の時間が掛かるはずだった。

 

しかし、時間を操るシロにそんなものは障壁にならない。

 

「こーするのです」

 

集まったドラゴンボールへ手を翳し、よく使う遡行とは逆に"経刻"の魔法をかける。

一瞬にして数年分もの時間が過ぎ去ったドラゴンボールは、透明なオレンジ色の輝きを瞬時に取り戻した。

 

「おぉ・・・これが噂に聞く時間魔法ですか」

 

 

実のところ、シロがドラゴンボールに対して経刻を掛けるのはこれが初めてではない。

邪悪龍の出現を危惧し、ドラゴンボールで願いを叶える際にシロが同席した場面ではその直前に100年ほどの経刻を掛けてマイナスエネルギーを放散させる作業を毎回行っていた。

 

ただ、今回のようにドラゴンボールが石化から戻るまでのクールタイムを短縮する目的で使用したことはこれまでに一度も無い。

待つべきものは待つ、ズルしちゃダメだという持ち前の責任感からシロ自身がそう決めていたからだ。

 

 

「これでだいじょうぶ!ポルンガ、呼び出してもらっていいですか?」

「わかりました。では・・・」

 

ムーリが両腕を翳し、ポルンガ召喚の合言葉を唱える。

するとドラゴンボールから光が溢れ、神龍とはまた違う半人のような独特な姿の龍が現れた。

 

 

『・・・さあ、願いを言え。どんな願いでも可能な限りみっつだけ叶えてやろう』

 

 

重々しい声が響き、ムーリが振り返って「それでは願いの内容をどうぞ」と促す。

 

 

 

そしてシロは、その目的を果たすための願いを口にした。

 

 

 

 

 

「・・・神精樹のタネ、ちょうだい!」

 

 

 

 

 





ブロリーさんってフィジカルおばけだけど、状態異常攻撃の類は効きやすそうだなあといつも思ってます。初見なら尚更。


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