TS転生幼女は伝説の超サイヤ人を救いたい。   作:こねこねこ

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07:幼女と少年のひとつの転機

どもども~!幼女改めシロちゃんでっす!!

 

いやあこのシロという名前、聞いた当初は「犬じゃん」としか感想が無かったんだが・・・改めて思えば推しが俺のためだけに考えてくれた名前なワケだし?

響きもなかなかにカワイイし?

見た目から付けられた名前だから合ってるっちゃ合ってるし?

いいじゃん。シロ。

 

というわけで自分としては満足です。

これからはちゃんと名乗っていこうな。

 

まさかあのブロリーが名付け親になってくれるとはね~!

思ったよりも順調に仲良くなれてる気がするし、これからも距離詰めてったらもしかすると友達認定だってされちゃうかもしんないな!

わはは~!

 

 

 

 

 

・・・な~んて、そんなことを考えていたのがフラグになってしまったんだろうか?

 

ちょっぴりウキウキしながら赴いた先、15歳になったブロリーは。

 

とんでもねえ大暴れの真っ最中だった。

 

 

 

「あちゃ~・・・・・」

 

一見するとここは宇宙空間、大小様々な岩の塊が比較的近距離に密集している。

ブロリーはそれを雄叫び上げながら壊しまくっていた。

 

ていうかこれさあ・・・もしかしなくても、砕いた星の外郭じゃね?

漂ってる岩には所々緑や何やら"元あった何かの断片"がくっついてるし、何よりここ・・・うっすらとだけど空気がある。

たぶん星がぶっ壊れた直後で、大気圏が霧散し切ってないからじゃなかろうか。

専門家でもないし詳しいことはわかんないけど。

 

こないだ寄り道のついでに一度、死なないからって調子こいて宇宙空間に出てみたことがある。

そのとき息が出来ないのはもちろんのこと、そのせいで喉を空気が通らないから声が出せなかったのだ。声帯を震わせられないからね。

 

今も息苦しさはあるのだが、さっき思わず呟いちゃったら声が出せたところを見るに・・・ここにまだ空気があるってのは確かだ。いずれ消えてなくなるだろうけど。

ブロリーもバリアを張ってる様子がない。

サイヤ人も宇宙空間では生きられないはずだから、やはりここはまだギリギリ活動可能な環境なんだろう。

 

それにしても・・・。

唸り声か叫び声のどっちかを常に上げながら手あたり次第に破壊を繰り返すブロリーを改めて見る。

なんていうかもっと、高笑いでも上げながら意気揚々と破壊を楽しんでいるようなイメージを持っていた。

映画でもパラガスの目を潰したところのシーンとかそんな感じだったし。まああそこは幼児よりももっと体格が大きかったみたいだからまだこの先数年後くらいのシーンだったのかもしれないが・・・。

 

なんだか思っていた感じとは違う。時折頭を抱えて苦しそうにしているし・・・少なくとも、楽しくはなさそうだ。

 

まあいずれにせよ、今は間が悪かったらしい。

 

残念だけど出直すか~と思ったその直後。

振り返ったブロリーの視界に入ってしまった。

牙を剥くように歯を食いしばって、鬼気迫る表情で血走った目と目が合う。

 

・・・あ、やべ。どうしよ。

 

すると俺の姿を視認したブロリーは目を見開くと同時に一瞬ビクッと体を震わせ、そこで動きが止まった。

そのままどうしようかなどうすんのかなと俺も固まったまま見ていると、僅かに目を泳がせたブロリーは脱兎の如くその場から飛んでってしまう。

 

・・・・・ありゃ??

 

さらにそれを目で追ってると、ブロリーは少し離れたところを漂っていた少し大きめの岩盤のところまで辿り着き・・・なんと突然自分の頭を岩に打ち付け始めた。

 

「ちょちょちょ、なにやってんの!!」

 

突然の自傷行為!!

すぐさまブロリーのもとへ再転移し、やめさせようと後ろから引っ張るが非力な幼女の腕では全く抑止できない。

 

そのまま二度三度とすごい音を立てながら額をぶつけ、血が舞い始めたところでようやく動きを止めてくれた。

 

肩で激しく息をしていたブロリーがややあって深呼吸するように大きく息を吐き、落ち着いたのかゆっくりこっちを振り返る。

 

「・・・・・だ、だいじょぶ・・・??」

「・・・・・・・・シロ」

「うん、シロだよ」

 

君が名前を付けてくれたシロちゃんですよ。

 

恐る恐る声をかけるとぽつりと名前を呼んでくれた。

少し虚ろな目をしているが、いつもと同じ充電切れモードのブロリーだ。

 

いや~いつもは落ち着いた後のタイミングで訪問してたから今の姿が印象に強いけど、暴れてる最中はいつもあんな感じだったんだろうか?

 

ていうかもしかして・・・もしかしなくても・・・・・。

暴走してたところを、方法は乱暴だったけど"自分の意思で"抑えたってことだよなコレ。

 

・・・・・俺が、現れたから?

いや、自惚れすぎか?

 

 

 

とりあえず落ち着ける場所へ移動しようと、ブロリーに触れたまま近くにあった別の星へ転移した。

 

腰を落ち着けて、ブロリーの割れてしまった額をポッケに入ってたハンカチでぐりぐり拭き拭き。血が染み込んだがまあいいや後で洗えば。

 

完全に落ち着いたらしいブロリーになんて声を掛けたらいいか迷って、とりあえずりんごたべる?と訊くと頷いたのでまた収納からいくつか取り出して手渡した。

 

横に座ってじーっと見てるとブロリーも何か躊躇ってるような何かを言いたそうな、そんなそわそわした感じの様子を見せている。

なんだなんだ、言いたいことがあるならおねえちゃん(おにいちゃん)に言ってみな。

 

まあ催促したいわけでもないのでいつも通り待っていると、ややあって意を決したのかブロリーは重々しくも口を開いた。

 

「・・・シロ」

「ん?」

「オレのこと、こわくなってないか」

「んー?べつに?」

 

文脈と状況から見て、暴れているところに遭遇したからなんだろうが。

本当に恐る恐るといった雰囲気で聞いてきた。

それに軽く返すと、横目で見ていたブロリーがこっちを向いて再度問うてくる。

 

「ほんとか?」

「うん。ぜーんぜん」

 

こちとらブロリーが星どころか銀河ごとぶっ壊して消しちゃうような奴だって知ってんだし。破壊の悪魔上等で最初から付き合ってんだ。

今更な話である。

 

なんでそんなこと聞くの?と訊き返してみれば、ブロリーにしては珍しく長台詞でこれまでのことを教えてくれた。

 

曰く。

俺と関わってそこそこ仲良く出来ている経験からか、ブロリーは俺のいない5年の間に他の星の子供と何度か交流を図ってみたことがあるらしい。

その時点でも結構驚いたが、ブロリーは一見ふつうの幼児に見えるサイヤ人。尻尾を隠したりしてどうにかこうにか、子供たちと仲良くしてみようとしたんだとか。

最初のほうはうまくいった。何度か話して、知り合いになって。

でも、結局は毎回どこかのタイミングでボロが出てダメになってしまった。

親しげにしていた相手が怯えた目で自分を見たり、罵倒してきたり、石を投げられたり、そういった対応にガラっと変わってしまったのが悲しくて。

最後は全て"なかったことにした"のだと。

 

だから。

もしかすると俺・・・"シロ"も同じなのかもしれないと、怖くなってしまったらしい。

 

俺が訪ねたタイミングは偶然だけど毎回、ブロリーが大人しくしていた時間帯だったからね。

そしてついに今日、暴れん坊全開の姿を目撃されてしまってさっきの展開になったというわけだ。

 

納得納得。

元々はサイヤ人の素行の悪さに起因するとはいえ、そりゃブロリー視点だと怖くもなるわな・・・。

 

現に今もさっき大丈夫だと俺は一度言ったがまだ落ち込んでるし。

不安そうにしているブロリーに、もう一度だいじょうぶだよと言って俺は手を伸ばした。

 

こんなちっちゃな手のひらを相手に、ブロリーが一瞬身構える。

構わず頭に手を置いて前回同様撫でてやった。

 

「だいじょうぶ、だいじょうぶ」

「・・・・・・・」

 

そのまましばらくずっと、ブロリーの気が抜けるまで続けてやる。

ようやく安心したような表情に変わったのを見てから手を下ろすと、少し名残惜しそうな顔をした。

 

・・・そういやブロリーは今15歳。サイヤ人の成長期は個人差はあれど大体10代後半に訪れるらしいから、次に会うときは大人になっているんだろう。

幼児の姿を見るのはこれが最後になるだろうから、頭を撫でてやることももう無いかもしれないな・・・・・。

 

「わたしはキミがあばれんぼだって元々知ってたから、どんなブロリーを見てもびっくりしたりしないよ」

「・・・ほんとうだな」

「ほんとほんと。・・・それにね、わたしはこれでも見た目よりずっとじょうぶなのです。だからブロリーが本気で殴ったってへいきなんだよ」

「うそだ」

 

ガチなんだけどなー。

まあ信じられなくてもしゃーないか。

仮に強がりだった場合、本当に殴ったらこんな幼女一撃でミンチになってしまうのは確実だからブロリーも理性あるうちは試したりもしないだろう。

 

「ん~とにかく。わたしはブロリーのこと、こわがったりしないから。だいじょうぶ」

「・・・絶対にか?」

「ぜったい」

 

何度も何度も念押しして、やっと納得したのかブロリーは僅かに口角を上げて笑った。・・・おい笑ったぞ今!!!

 

あげた林檎をうれしそうに齧っているブロリーを見ながら俺もにこにこした。内心ではどっちかっていうとニヤニヤニマニマしてるって言った方が正しいかもしれん。

 

追加でまたいくつか取り出した林檎を渡して、そろそろ時間も頃合いだったので帰ろうと立ち上がる。

 

「そんじゃそろそろ、」

「シロ」

「んー?」

「また来るよな」

「うん、くるよ」

 

最後の質問が確認に変わった。

 

そして俺が言い残す言葉は前回と同じ。

"さよなら"ではなく、再会を確約した一言を。

 

「それじゃあ、"また"ね」

 

 

 

見た目よりも繊細らしいこの少年が少しでも不安を抱かないで済むように、笑って手を振りながら俺はいつものようにブロリーの前から姿を消した。

 

 

 

 

 





じわりじわりと少年の脳内に居場所を拡げてしまっていることに幼女氏は未だ気づいていない。
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