TS転生幼女は伝説の超サイヤ人を救いたい。   作:こねこねこ

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64:みちしるべ

シロが呑気に朝日を眺めていたその間にも、魔人ブウは山のように積まれている神精樹の実をシャクシャクと食べ続けていた。

 

しかし、その手が急にピタリと止まる。

 

 

 

「ぷふ~~~・・・・・・飽きた!」

 

 

 

強力な効果があるとはいえ、結局は果物。

同じ味のものを大量に食べ続けて流石に飽きが来てしまったらしい。

 

その声を聞いて振り返ったシロがブウのところにポテポテと歩いて見てみれば、積んであった実は半分以下にまで減っている。

 

「ありゃりゃ、さすがに一度にぜんぶはキツかったかな~・・・んでもけっこう食べたねえ」

 

減ったその数は三百以上にものぼるだろうか。

強くなった実感はある?とシロが小首を傾げて訊くと、ブウは両手を振り上げてムン!とよくわからないアピールをしてみせた。

 

「つよくなってる!たぶん!」

「たぶんか~。わたし気の大きさとかよくわかんないからなあ・・・これでどんくらい変わったんだろ・・・??」

 

遠く離れた場所ではZ戦士たちが顔を青ざめさせているのだが、当の本人達はそんなことは露知らず「わかんな~い」と顔を見合わせて笑っている。

 

 

ちなみに、かなり小さくなってしまっていたブウの身体は神精樹の実をひとつ食べただけで元通りに復元していた。

 

かつて神精樹の実を使用していたサイヤ人のターレスは、過去に化石となっていた者をその実を用い復活させたことがあるらしい。

そのエピソードを知っていたシロが見込んだ通り、神精樹の実には強化だけでなく仙豆の上位互換とも言える回復効果も含まれているようだ。

 

 

「・・・でもまあ、こんだけたくさん食べたんだし結構効果は出てるはずだよね~。・・・・・それにしても、バビディさまってば一体どこほっつき歩いてるんだろ?急げって言ってたくせにぜんぜん帰ってこないじゃん」

 

シロが実の収穫を終わらせ帰還して以降、バビディのその姿を一度も見ていない。

 

ぷー、と頬を膨らせる幼女を見てブウもそういえばと思い返す。

一応主人という立場ではあったものの、本人にとってかなりどうでもいい存在だったためにすっかり忘れていた。

 

「アイツ、たぶん死んだ!」

「・・・・・へ???」

 

思いもしなかったブウのその言葉に、シロは目をぱちくりさせてキョトンとした顔をする。

 

「オレをコナゴナにしたあのこわいやつ、バビディのことをすっごくすっごく怒ってた。オレでもあっという間にやられたのに、アイツが生きてるとは思えない」

「えぇ・・・・・まじ・・・・・???」

 

しかし確かに、これだけ長い間テレパシーのひとつすら飛ばしてこないのは不自然だ。

自分が遠く離れた場所に出かけていた以上、バビディのことを守れるのはブウだけだったはず。もし無事であるならば、自分の身の安全を第一優先として考えそうなバビディであればブウの近くから離れようとはしなかっただろう。

 

数時間前に一度襲撃を受けた際には、瀕死の状態にあっても今すぐ助けろとテレパシーで急かしてきた。

それが、敵の影など一切ない今もずっとうんともすんとも連絡が無いということは・・・・・確かに、既に死亡してしまったと考える方が自然ではあるだろう。

 

 

「ってことは・・・・・?え・・・・・?・・・わたしたち、自由じゃん!!」

 

 

呆けていたシロはガバッと立ち上がるなり、目をキラキラさせてブウを見る。

ほぇ?と同じく呆けた顔をしていたブウは、掴まれた両手をぶんぶんと振り回されながらまだポカンとしていた。

 

「もう誰も命令してこないんだから、どこ行っても何してもいいんだよ!」

「はっ!!そっかー!」

 

パッと顔を明るくしたブウとシロは二人して、わーいやったやった~!と手を繋いだままピョンピョン飛び跳ねて子供のようにキャッキャとはしゃぐ。

 

「えっえっどうしよ!?ブウちゃん何したい?どこいきたい?」

「えーと、えーと!・・・お菓子食べる!」

「やっぱそれかぁ~。え、でも今さっきまでいっぱい食べてたのに?」

「同じのばっかりで飽きちゃっただけだから、まだ腹いっぱいにはなってないぞ!」

 

自分の腹をポヨンと叩くブウにそっか~と頷いたシロは、少し考えてからひとつ提案を出した。

 

「・・・そんじゃ、町に行くといいんじゃないかな?おっきな町はほとんど潰しちゃったけど、小さめのだったらまだ無事だしお菓子屋さんもたぶんあるよ!」

 

それを聞いて「いくー!」とはしゃいだブウはすぐさま飛び出そうとするも、そこで一旦止まってシロのほうをくるりと振り返る。

そして、「オマエもいっしょにいこ!」と背中に乗るよう促した。

 

「え、わたしも?」

「オマエ、バビディみたいに威張ったりしないし、おいしいものくれたし、知らないことも教えてくれた。オレ、オマエのことはキライじゃない」

「んへへ、そっか~。・・・わたしも、ブウちゃんのことはキライじゃないよ」

 

見合わせた顔でお互いににへら~と笑い、シロは残った神精樹の実を再び収納に放り込むとブウの背中に乗っかってマントをぎゅっと掴む。

 

「よ~し!それじゃしゅぱ~つ!!」

「しゅっぱ~つ!!」

 

昇る朝日に照らされてかなり辺りも明るくなった中、幼女を背に乗せたブウは意気揚々と下界へ向けて飛び出した。

 

 

 

魔導士バビディはもういない。

よって必ずしも行動を共にする必要はないのだが、ブウと違い術による洗脳効果がいまだに残るシロの中にはバビディによる最後の命令が今もまだ生きていた。

 

 

『魔人ブウを強化し、助けること』。

 

 

それによって意識せずとも、今のシロは実質魔人ブウへ付き従うような立場となっている。

また一方でブウの側も、さほど長く接してきたわけではなかったもののシロの言うことは比較的素直に聞き入れる姿勢を見せていた。

 

その結果、今の二人はお互いに影響を与え合うような関係となっている。

 

 

そして、現状を見る限りそれはとても良い方向への連鎖反応を起こし始めていた。

 

 

 

シロがナビゲートする方向へブウが向かい、やがてさほど規模の大きくない人間の町へと辿り着く。

 

大災害を免れて無事に朝を迎えたその町で、平常通りに営業が始まっていた洋菓子店へシロとブウは連れ立って訪れた。

 

「このドアは、前に立つと勝手にあいてくれまーす」

「ふんふんふん」

「そしてここに並んでるのが人間の作ったお菓子でーす!人間はね、お金っていうのと交換でこういう食べ物をもらうんだよ」

「わーお!」

 

原作においては街中で勝手気ままに振る舞い破壊と略奪を行っていたブウであったが、すぐ傍でこれはこう、あれはこういう仕組みになってるんだよ、と逐一説明してくれるシロの言葉をふんふんと頷きながら大人しく聞いている。

 

「ひぃっ!ま、魔人ブウ・・・!?」

「あ、ごめんなさい驚かせて!ちゃんと売ってくれれば暴れないから、ここにあるケーキぜんぶください!」

 

店へ入った途端中に居た店員はブウのその姿を見て恐れ慄いていたが、同行していたシロがトラブルになる前に上手く場を収めていった。

 

「・・・あ、あの・・・お持ち帰りで・・・?お包みは・・・・・」

「あ、たぶんいらないです。ブウちゃん、今食べちゃうんでしょ?」

「たべる!はやくはやく!」

「・・・ってことなので、ケースから出すだけ出しちゃってください。お代の計算だけおねがいしまーす」

 

きちんと代金を支払う意志をシロが先に見せて落ち着かせてから、女性店員がディスプレイから続々と取り出すケーキをブウはどんどん口へ放り込んでいく。

買い占め行為は問題が無いとは言えないが、破壊されたり殺されたりするよりはよほどマシだ。

店長を含め店の人間は戦々恐々としていたものの、横柄な態度をとるわけでもなくむしろ申し訳なさそうにしながらもちゃんと金を払うというシロのおかげで結果余分な刺激をブウへ与えずに済んだ。

 

甘味好きの大喰らいと共に生活していたシロは、過去にも何度かこういった『ディスプレイ全買い』をやったことがある。

前もってある程度のまとまった現金を収納へ入れてあったこともあり、特に揉めることも無くごくごくスムーズに支払いを済ませることが出来た。

 

そしてそれが終わるまでの間に、カットされたものもホールのものも並んでいたケーキは全てブウの腹へ収まってしまう。

うまーい!と嬉しそうに笑うブウを連れてケーキ屋を出たシロは、チョコレート屋やアイス屋といった他の甘味類の店へもブウを続々と連れ回した。

結果、特に破壊行動などを起こさせることなくブウを満足させることに成功したのである。

 

「オマエの言ったとおり、人間はいっぱいいっぱいお菓子を作れるんだなー」

「ね、良かったでしょ~?暴れて町を壊したり人間みんな殺しちゃったら一回しかお菓子食べられないけど、ああやってそのまま残しとけばまた時間経つとお店はお菓子でいっぱいになるんだよ」

 

町を出て再びシロを背に乗せ飛びながらニコニコとそんなことを言うブウに、シロも以前に説いた『人間は殺すよりも生かしておいたほうがいい』という言葉を再度具体的な話としてブウへ話し聞かせた。

 

 

"人間を殺さなくても、お菓子を食べることは出来る"。

 

 

この成功体験ひとつがあるか無いかで、結果ブウの認識はかなり変わることとなる。

 

 

 

町を出たあと、自分の家が欲しいとブウが言い出した際にもシロは「わざわざ人間を材料にしなくても、その辺の木とか石とか使えばおうちは作れるじゃん?」という一言で軌道のテコ入れを行いブウはそれを素直に聞き入れた。

 

ブウの魔法で適当な素材を粘土に変え、二人でぺたぺた積み上げて作った家。

 

そこをとりあえずの拠点とし、ブウとシロはしばらく腰を据えて過ごすことにした。

 

 

 

もしも魔人ブウが意地でも破壊行動を行いたいと主張すれば、それに付き従うシロはそれを肯定はせずとも止めはしなかったかもしれない。

しかし少なくとも現状は悪い方向へ転ぶこともなく、つかの間の平穏といえる状況が生まれ始めていた。

 

 

 

・・・・・そしてそんな二人のもとへ、今密かに忍び寄る影がひとつ。

 

 

 

町での相次ぐ目撃情報が伝わったことにより、現在の魔人ブウの所在はある程度広く知れ渡ることとなった。

 

先日の大災害が起きて以降『これ以上壊され殺されてはたまらない』『世界を守ってほしい』と民衆から焚きつけられたことにより、魔人ブウを討伐するべく立ち上がった一人の男。

 

 

 

―――かつてセルを倒し世界を救ったとされるチャンピオン、ミスターサタンである。

 

 

 

 

 





平和(平和?)パートで子供みたいにはしゃいでる太っちょブウはかわいい。




それといつの間にか20万UAこえてましたー!
こんなトンデモ展開続きなお話に今も付き合って下さってる皆さんには感謝してもし切れません・・・。゚(゚´ω`゚)゚。見捨てないでくれてありがとうの気持ち~

段々ブウ編も佳境に近づきつつあります。
まだまだこれからもお付き合い頂ける方は今後もよろしくおねがいします~~~
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