シロと魔人ブウが連れ立って神殿を後にしてから、およそ一時間ほどが経過したのち。
キビト界王神の瞬間移動で界王神界から戻ったブロリーが、再び神殿の敷地へと降り立った。
「・・・・・・・、」
シロの気配は無い。
界王神界へ向かう前に宇宙から戻ったらしいことは把握していたが、今はどうやら下界へ出ているようだ。
そして尚且つ、シロのそれがいまだ魔人ブウの気と同じ位置にあることから今も行動を共にしていることを察して思わずブロリーの眉根が寄る。
バビディとやらは今度こそ間違いなく仕留めた筈だった。
魔人のほうがまだ生きていたのは想定外であったが、バビディの気そのものは復活していない。
・・・やはりあの魔導士の言い残した通り、その死後もシロに掛けられた術は解けずにいるようだ。
「・・・さ、さあ!その超神水というのをさっさと探してしまいましょう!悟飯さんの話では以前は玉座の間にあったということでしたが・・・」
若干ピリついた空気を感じ取ったらしいキビト界王神のその言葉に、ブロリーも超神水とやらの捜索へと意識を切り替える。
しかし、玉座の間らしき場所にはそれといった物は見当たらない。
「・・・別の部屋でしょうか?」
玉座のすぐ近くにあった入り口から他の部屋を覗き込むと、そこは倉か物置かと思うような乱雑な様相を呈していた。
ただし・・・・・、
「・・・なん・・・だと・・・・・?」
二人の目に映るのは、部屋中ところ狭しと並べられた大量の水甕である。
中をいくつか覗いてみれば、やはり中を満たしているのは水だった。
あっちも水。こっちも水。全部全部水。
「・・・こ、これは・・・・・超神"水"というからには、水なのでしょうが・・・・・まさかこれが全部、というわけではないですよね・・・・・?」
困惑したように並ぶ甕を見るキビト界王神の言葉に、ブロリーも眉間に皺を寄せたまま頷く。
・・・・・わからん。無理だ。
そう確信した直後、踵を返しブロリーは神殿を出た。
「あっ、どちらへ!?諦めるんですか!?」
何も言わないまますっ飛んで行ったブロリーがあっという間に見えなくなるのを見やり、キビト界王神はポカンとした顔でただ空を見つめる。
しかしブロリーは断念したというわけではなく、さほど時間を置かずに戻ってきた。
その手には白い布地がガッチリと掴まれており、それに引き摺られるようにして連れてこられた緑色の姿がひとつ。
西の都へ一直線に向かい、着いたその先でピッコロの姿を見るなりそのマントの端を引っ掴んで即座に引き返してきたのだ。
「おい待て突然いったい何だと言うんだ説明しろ!!」
「超神水とやらが要る。オレでは判別がつかん。手伝え」
簡潔に三行でそう言い放ったブロリーに、ピッコロはただただ困惑するばかり。
「超神水だと・・・!?わ、わかった!わかったから放せ!!」
「そうか、貴方は先代の神でしたね。確かに詳しい者に訊くほうが闇雲に探すよりも早い!」
「か、界王神様・・・ですか?なんだか随分と風体が変わられたような・・・」
「あ、はい・・・すみませんがそこは気にしないで頂けますか・・・・・」
若干気まずそうに視線を逸らすキビト界王神に、ピッコロもそれ以上は追及せずやっと解放されたマントのズレを直しながら神殿へと足を向ける。
しかしその直後、とある一点に目を留めたピッコロは神殿へ入ることなくふいに口を開いた。
「・・・すまん。その前に、少しだけ時間をくれ」
声のトーンを落としそう呟くように言ったあと、歩み寄って腰を下ろした先にあったのは・・・・・変わり果てた姿となった、デンデとポポの亡骸。
両断され打ち棄てられたままだったそれを、二人揃って綺麗に横たわるよう姿勢を整えどうにか瞼も下ろしてやる。
ブロリー達はそこまで気が回っていなかったが、ピッコロにとっては縁の深い二人だ。
そのままにはしておけなかったのだろう。
「ドラゴンボールをすぐに使えるようにするには、新たな神として別の誰かを迎え入れる必要がある。・・・・・しかし、出来ることならそうはせずにデンデ達はどうにか生き返らせてやりたい」
ピッコロはそう言い、ブロリーのほうを振り返った。
「・・・二人をやったのは、あの娘だな」
「・・・・・恐らくは」
「手を下したこと自体は許せるものではない。・・・だが、操られたという話が本当ならば恐らく本意ではないのだろうということも解っている。・・・・・デンデとあいつは、随分と仲が良かったからな」
半身が先代の神であったピッコロは、セルとの戦い以降ずっと神殿へ身を寄せている。
その中で、彼もまたシロとデンデの仲睦まじい様子を幾度となく見ていた。
新ナメック星に危機が訪れた際には助けを乞うデンデへ惜しむことなく力を貸し、囚われた同胞を共に救ったことも。
「だから事態が収束し、無事にデンデや殺された他の者達も蘇ることができたならば・・・その時は目を瞑り、あいつを責めるようなことはしない。お前も、あの娘をこのままにしておく気は無いのだろう」
神の座を退き、言うなれば次世代を見守る立場であったピッコロの心痛は察するに余りある。
しかしそれを呑み込み、責任の一端を自覚するブロリーもまた重々しく頷いた。
「当然だ。そのためにここへ探しに来た。・・・しかし、水は大量にあるようだがその見分けがつかん」
「超神水か・・・・・わかった。確かに神殿に安置されていたはずだが、入っているのは甕ではない。もっと小さな壺だ。白と青の装飾がされた、片手に収まる程度の壺を探せ」
ピッコロが示した具体的な特徴を頼りに、三人はそれぞれ手分けして神殿をひっくり返す勢いで隅々まで捜索しに掛かる。
―――そしてその途中。
ブロリーは蔵の中で窯のような妙な形状の"空になった台座"を目にすることになったが、その時の彼はその正体も意味も気づくことは無かった。
地上組の様子も一緒に入れときたかったけどちょっと半端な所になっちゃったので一旦区切りました(´ω`)進みが遅くてもうしわけない・・・・・