TS転生幼女は伝説の超サイヤ人を救いたい。   作:こねこねこ

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69:燻る火種

ブウが世界中に響き渡るほどの咆哮を上げた頃、各々のサイヤ人もそれぞれの動きを見せていた。

 

 

 

―――時は少しばかり遡り、西の都にて。

 

 

 

「イヤだ!!なんでオレ達ばっかりいつまでも隠れてなきゃいけないんだよ!!」

「ベジータ達に言われたでしょ?アンタ達に敵う相手じゃないって。いいから大人しくしてなさい」

 

ブルマ達をはじめとする関係者の面々は概ねカプセルコーポ本社に集まったまま事態の成行を暫し見守っていたが、やがてそれに耐えきれなくなった少年二人が抗議の声を上げていた。

 

 

トランクス、そして孫悟天。

やがては次世代を担うことになるのであろう、まだ幼いながらも血気盛んなサイヤ人の子供達。

 

 

天下一武道会で敗退した試合会場からこっそり抜け出したあと、叱られることを恐れ二人で飛び回り遊んでいたが騒動を察知したあとはすぐにカプセルコーポへと戻って来ていた。

ドラゴンボールが石になったすぐ後に合流し大災害が起きた直後は各地の手伝いにも出ていたが、刻々と状況が変化していく中で子供には荷が重いと判断されたのか魔人ブウが復活して以降はずっと待機を命じられている。

悟空達主力の面々が界王神に連れられてどこかへ行ってしまった際にも共に行きたいとゴネたものの、力不足故に危険のほうが大きいと断じられブルマ達と共にそのまま大人しくしていろと言い付けられていた。

 

「でももう丸一日以上このままじゃん!オレ達だってフュージョンすれば戦えるよ!」

「戦力になるって判断されてたらもうとっくに孫くん辺りが連れてってるわよ。あのね、アンタ達は初めての体験だろうけど今回は本当にヤバい事態なのよ?この西の都が無事なのが不思議なくらい、あちこち滅茶苦茶にされてるのを自分でも見たでしょう」

「で、でも・・・!!」

「にいちゃんは連れてってもらえたのに・・・」

 

ブルマの言葉に、眉を吊り上げたままのトランクスとは対照的にシュンと気落ちした様子の悟天。

それぞれに不満を溜め込んでいたが、やがてそう時間が経たないうちにそれは決壊してしまう。

 

「・・・このままじっとしてるだけなんて、いやだ!」

「ぼくも!」

「ちょ、ちょっと!待ちなさい!!」

 

我慢の限界を超えたトランクスに悟天が続き、ブルマの制止も聞かず二人は飛び出していってしまった。

 

 

 

 

 

魔人ブウの拠点があると噂される地域へ飛んでいく道中、確かに途轍もなく大きな気は感じる。

 

しかし生まれてこの方ずっと平和な時代を過ごし、親達以外に自分よりも強く敵意や害意を向けてくる相手というものに相対したことが無かった二人には"実際の肌感覚としての危機"をいまだ感じられていない。

 

そのまま飛んでいく中で大きな気が更に膨れ上がり、やがてもう一つ現れた得体の知れない大きな気と合体したときには流石に少し狼狽えたものの・・・結局、何が起きているのかを自分の目で確かめたいという好奇心に負けた二人はそのまま引き返すことはなかった。

 

 

 

「あそこだな・・・おい、誰か倒れてるぞ!」

 

魔人ブウの家があった場所へ辿り着いた二人が見つけたのは、意識を失ったまま捨て置かれた二人の人物。

髪型も服装も似通っていることから、恐らく兄弟なのだろうと見当をつけるがどうしてこんな場所に転がっているのか。

 

「変わった格好してるなぁ・・・なあ兄ちゃん、起きろよ!こんなところで寝てると危ないぞ!」

 

トランクスの呼び掛けに微かな呻き声を上げていた青年は、意識を取り戻した途端がばりと身を起こした。

 

「うわ!」

「ッ!!ヒ、ヒルデガーンは・・・!?」

「ひる・・・なに?知らないけど、ココって魔人ブウのウチなんだろ?兄ちゃん達だれ?」

「・・・魔人、ブウ・・・・・?・・・そうだ、あの時・・・・・」

 

意識を失う前に見た光景。

封印の解かれたヒルデガーンを、ピンク色の何かが包み取り込んだ。

オルゴールを開けたと思しき小さな女の子が、そいつをそんな名で呼んでいたような気がする。

 

青年は咄嗟に気配を探った。

この星の戦士達ほどの探知力は無いものの、宿敵である幻魔人の気配は追える筈。そして、それはまだ消えてはおらず確かに存在しているようだ。

 

「感じる・・・!まだ、ヒルデガーンは生きている・・・!」

「・・・よくわかんないけど、兄ちゃん達も悪い奴と戦ってる人ってコトでいいわけ?」

「ああ。俺達は、幻魔人ヒルデガーンをこの身に封じることを使命としている」

 

悟天に介抱された弟のほうもやがて目を覚まし、兄と同じように幻魔人が解き放たれたと聞いて狼狽していた。

 

「あのままヒルデガーンも、その魔人とやらも放っておくわけにはいかない。・・・どうにか、追わなければ」

「オレ達も魔人ブウのところに向かうつもりだったんだ。一緒に連れてってあげてもいいよ」

「君達が・・・?危険だ、子供の敵う相手じゃない」

「兄ちゃんだってそんなに強そうには見えないし、弟のほうはオレたちとそんなに変わんないじゃんか。どっちにしてもオレたちは行くよ、ついてくるの?こないの?」

 

トランクスの言葉に青年は少しばかり逡巡するが、やがてやむを得ないと判断し頷く。

 

「ッく・・・、すまない。同行させてくれ」

「よーし!いくぞ悟天、近づきすぎる前に一応フュージョンして行くからな」

「うん!」

 

そして悟天は弟へ、トランクスは兄に手を貸し4人は共に吼え猛る幻魔人ブウの元へと向かった。

 

 

 

 

 

しかし、彼らは誰一人としてわかっていなかったのだ。

他者を吸収することを覚えた今のブウの前に、自らの身も守り切れない者が姿を晒せばどうなるのかを。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・な、なんてことだ・・・・・!!」

 

水晶玉から魔人ブウの様子を見ていたキビト界王神は、焦ったように声を上げ振り返った。

 

「悟空さん!ベジータさん!大変です・・・・ッッ!!??」

 

まさに丁度その瞬間、膨大なパワーが辺りを吹き抜けて溢れ返りキビト界王神は思わず怯む。

 

 

何度も失敗を繰り返しながら試行錯誤を繰り返していた悟空とベジータのフュージョンが、遂に成功した瞬間だった。

 

 

SS4同士での融合。

鬣のように靡く赤髪と、赤茶味の混じった体毛と尾。

何よりその身に纏う気の大きさが、合体前の二人とは段違いだ。

 

 

「お、おお・・・!!凄まじい・・・!!」

 

感嘆の声を漏らしたキビト界王神であったが、次の瞬間にはハッと我に返り再び慌てた様子を見せた。

 

「あ!いや!それよりも聞いて下さい!!あなた達の息子さん方がブウのところへ・・・!!」

「「・・・何だと?」」

 

悟空とベジータの融合体、ゴジータは重ねた声を低くし訝し気にキビト界王神の示した水晶玉へ視線を移す。

 

そこには、今まさにブウへ取り込まれ吸収されつつあるゴテンクスと見知らぬ青年の姿が映し出されていた。

 

「ああ・・・!!まずい・・・・・!!」

「「チッ、あのクソガキ共が・・・!大人しくしとけって言っただろうに!!」」

 

苛立ちを隠しもせず苦言を呈したゴジータは、いつも悟空がそうしていたように片手の指を額に当てる。

 

「「オレはこのまま瞬間移動でブウのところへ行く!悟飯は・・・」」

「既にパワーアップは終わっておる。連れていくがええ」

 

掛けられた老界王神の声に目をやると、儀式を終えたらしき悟飯と共にこちらへ歩いてくるところだった。

 

「全く、いつもより気合を入れてお前さんらに近いところまで能力を引き上げてやったというのに。その途端更にとんでもないパワーアップなんぞ重ねおって・・・立つ瀬が無いじゃろうが」

 

老界王神はぶつくさと文句を垂れているが、それはつまり悟飯の力を一気に超サイヤ人4に近いところまで引き上げたということだ。

溢れ出す力に自分でも驚きながら、悟飯は確かめるように拳を握り締めると老界王神へ頭を下げた。

 

「いえ、それでも物凄い力ですよこれは・・・!どうもありがとうございます」

「「流石だぜじいさん!・・・行けるか、悟飯?」」

「はい!」

 

称賛の言葉に僅かに表情は和らいだが、老界王神はぷいっとそっぽを向いて拗ねたような言葉を吐く。

 

「へーんだ。とっとと行ってしまえーぃ」

「「ナメてたのは謝るって。じゃあな」」

「お世話になりました!」

 

苦笑を零し、ゴジータは肩へ手を置いた悟飯と共に瞬間移動でブウの元へと向かった。

 

後に残されたのは、キビト界王神と老界王神の二人のみ。

 

 

 

「・・・やり遂げてくれるでしょうか、彼らなら」

「さあのう。どうせわしらには手に負えんほどブウの力は強まっておる。手は尽くしたんじゃ、あとは任せるしかあるまいて」

 

 

 

若干投げやりにも聞こえるその言葉に、キビト界王神は祈るような気持ちで再び水晶へと目を落とした。

 

 

 

 

 





インフレのぶん、原作より若干アル飯も盛り盛りにされました。じっちゃんはスゴイ


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