緑の閃光が収まったそこには、全く堪えた様子の無いブウが乱入者へと不敵な笑みを向けていた。
「・・・ようやっとお出ましか」
以前相見えた時と風体は違えど、それでも自分を一度下した相手であるブロリーだということには気づいたらしい。
「随分と遅かったな。臆したかと思ったぞ」
「生憎オレは瞬間移動などという器用なマネは出来ん」
挑発じみた台詞にも動じることはなく、そのままブロリーは問答無用でブウへ攻撃を仕掛けた。
放った気弾と共に急降下し蹴りを見舞う。
・・・が、それが当たったと思った瞬間ブウの姿が霞のように歪み実体の無い空間をそのまま突き抜けた。
「ダメだブロリー!今の奴に普通の攻撃は通用しねえ!」
「・・・らしいな」
今の一手でブロリーも確信を持ったらしい。
厄介なことこの上ないが、"普通の"という悟空の言い回しから察するにやりよう自体はあるのだろう。
「アイツ、どんどん他の奴を吸収していってこのままじゃ手が付けられなくなっちまう。・・・ベジータもついさっき取り込まれちまった」
成程、先刻まで気を感じていた筈の奴の姿が見えないのはそのせいかとブロリーは得心がいった。
どうやら思っていたよりも状況は余程悪いらしい。
気の大きさから察するに、今の魔人ブウはこの場に居る誰よりも抜きん出た戦闘力を持つようだ。その上、生半可な攻撃はそもそも受け付けないときた。
悟空は勿論のこと、ブロリーですら単独で対処するには厳しい相手だろう。
そこまで考え、手の中へ目を落とした。
「・・・・・・・」
今、ブロリーに切れる手札はふたつ。
どちらもそれなりにリスクがある。
―――どうせ賭けになるのならば、少しでも可能性が高いほうを。
「カカロット」
視線を寄越した悟空へ、ブロリーが懐から取り出した"それ"を投げ渡す。
「・・・おめぇ、コレは」
受け取った悟空が目を落とすと、それは見覚えのある小さな耳飾り。
界王神界で、老界王神がブロリーへ渡したものだ。
あの時、その場で一緒に話を聞いていた悟空も知っている。
"それ"を使って合体したものは、フュージョン以上の効果を得られる代わりに二度と元の二人へは戻れないのだと。
「悪いが、道連れになって貰うぞ」
「・・・・・!」
その言葉ひとつで意図は伝わった。
合体したら二度と解けることはない。それは即ち、今の自分という"個"が永久に失われるということだ。
かつてブロリーはシロという"個"を消したくない思いから彼女へこれを使うことを拒んだ。
しかし、一方で己の身には執着が無く自己が消えることは何ら厭わない。
―――勿論、自分が自分のままでいられるならばそれが一番良かった。今と変わらぬ己のままで、本物のシロをこの手に取り戻したかったのは確かだ。
しかし合体した先の"誰か"が己の記憶と意志を継いだものであるならば、きっと"ブロリー"の望みも叶えてくれるだろう。
悟空へ投げ渡したポタラの片割れはすなわち、その死出の道へ付き合えということ。
「んんん・・・ま~、こうなっちまったら仕方ねぇか!」
ベジータまでもが奪われてかなり切羽詰まっているこの状況、成功率の低いフュージョンを久しぶりとなる悟飯と二人で一発成功させる自信は正直無い。
悟空はそれほど悩む素振りも見せず、ブロリーのほうへ頷いた。
「いいぜ、付き合うよ」
仕方ないという面のほかにも、正直なところ了承した理由の半分は興味を持ってしまったからだ。
フュージョン以上と云われるポタラを用いての合体。それをこの地球上で一二を争う最強格であるブロリーと悟空という組み合わせで行えばどれほどの強者となるのか。
先だっての悟空とベジータのフュージョンした姿でもあそこまで戦えたのだ、それ以上というのならば今のブウにだって勝てる可能性は十二分にある。
「・・・ふん」
悟空のその言葉を聞き、ブロリーは口角を僅かに上げて再びブウを見た。
そして翳した手のひらに、緑色の光が凝縮していく。
悟空もそれに合わせ、横並びになった二人の手から緑と蒼の気功波が混じり合いながらブウ目掛けて放たれた。
「ぐ・・・!!そうはいくか!!」
ブウは界王神秘蔵の宝であったポタラという物の存在も、その効果も知らない。
それ故にブロリーの口にした『道連れ』という言葉を聞き、咄嗟に予測したのは広範囲に及ぶ極大威力の自爆特攻だ。
先刻のゴジータに力押しでダメージを通されたことがまだ痛烈に印象に残っていた結果、反射的にとった行動は防御でも妨害でもなく"距離をとっての回避"であった。
偶然ブラフとなったソレにブウが釣られたことにより生じた僅かな猶予。
その隙に、片耳の金環を外したブロリーと悟空がそれぞれ対となるようポタラを身に着ける。
すると途端に二人の身体は引き合い、衝突したその瞬間激しい閃光と気の乱流が巻き起こった。
「何だと・・・!?」
荒れ狂う衝撃波に、ブウが顔を顰めながら歯噛みする。
成行きを遠巻きに見ていた悟飯も、ここからは本当に巻き込まれかねないとミノシアの手をとり戦いの場から距離をとり退避した。
渦巻く気の量が膨大に膨れ上がり、やがて世界の色も一瞬塗り替わる。
そして、やがて全てが収まったそこには―――これまでに誰も見たことのない、新たな一人の戦士が誕生していた。
両耳から下がる、小さな宝玉のついた耳飾り。
長い黒髪と赤い尾を風に靡かせ、その眼を開く。
「「ブロリーとカカロット・・・まあ、『ブロロット』ってところか」」
ホントはここまで前回部分に入れたかったけど配分ミスっちった。
前回、アンケートで番外編の置き場所(?)どうするかをお訊きしてたんですが
やっぱり現状のままひとつの章にまとめておいたほうが良さそうなのと、「更新したあとで本編の後書き(ココ)で告知したらどうか」というご意見を頂けたのでそうしようかな~と思います(*´∀`*)ありがとうございました~
なので今後はそうすると共に、せっかくなので後から追加したぶんのお話のリンクを以下に貼っておきます。
時系列は幕間章付近のほっこり系なお話ばかりなので、まだ見てなかったって方はどうぞ温度差で風邪ひいてってください。
・番外07_ねこをひろった話。
https://syosetu.org/novel/393592/34.html
・番外08_サイヤンネーミング
https://syosetu.org/novel/393592/35.html
・番外09_風邪ひいた話。
https://syosetu.org/novel/393592/36.html
・番外10_ねがいごと
https://syosetu.org/novel/393592/37.html