イルとダイの大冒険   作:NBRK

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イルルカの世界から始まります。次話からはダイ大の世界が舞台です。


プロローグ

「お兄ちゃん、行ってきます!」

 

「うん、気を付けて!あんまり長くなりすぎないようにね!」

 

「気を付けるー!行くよ、スラッシュ!」

 

「おうよ!」

 

 

 元気な声と共に、一人の少女とスライムが今日も駆け出した。

 

 少女の名前はイル。マルタの国のモンスターマスターであり、幼いながら聖竜ミラクレアらと共に狭間の闇の王を打ち倒し、世界を救った英雄でもある。

 

 戦いが終わった今も、さらなるモンスターとの出会いを求めてイルはカギの世界への冒険を繰り返していた。そして今日もまた冒険のため、異世界に向かう扉の間へと足を運ぶと、華美な服に身を包んだ少年がふわふわの妖精と何かを話していた。

 

 

「あれ、カメハ王子?」

 

「おう、イルじゃねーか!今から冒険か?」

 

「そうだけど、王子は?・・・またワルぼうと悪だくみ?」

 

「「ちげーよ!一緒にすんな!!」」 

「「って、なんだとー!!」」

 

 

 互いに同類と思われたくないのか、ぽかぽかと喧嘩を始めるふたり。この二人が集まると碌なことにならないというのは、マルタの民にとって常識だ。毎回尻ぬぐいをしているイルからすると疑うのも無理はない。

 

 だが、今回は少し事情が違うのかもしれない。ワルぼうに組み付くカメハ王子の手には、一本の武骨なカギが握られていた。

 

 

「王子、そのカギは?」

 

「ぜえ、ぜえ・・・。そうだ、カギだカギ!その話をしてたんだった!イルにもみせてやるよ、ほら!」

 

 

 そういって差し出されたカギはくすんだ灰色をしていて、特に目立った装飾もない普通のカギに見えた。唯一違うのは、カギの頭部分になにかの模様が刻まれていることだった。

 

 

「はじめて見る模様だね。どこでこんなの見つけたの?」

 

「へへーん!おまえも見たことなかったか!この前ちょっくらはざまの世界に遊びに行っててな!その時ドークの館で見つけたんだ!」

 

 

 はざまの世界とは、先日イルが打倒した狭間の闇の王が本拠地としていた世界である。数百年におよぶ封印から解き放たれ、再び世界を闇で覆い隠さんとしたその恐怖は今も人々の記憶に新しい。

 

 ・・・その封印を解く最後の後押しをしてしまったのは目の前の王子なのだが。

 

 

「またそんなことして。ワルぼうでもわからないの?」

 

「ああ、このオレが見たことねえってことは、少なくともこの世界のもんじゃねーと思うぞ。ましてや狭間の世界にあったなんて絶対ろくでもねーもんだ。カメハ、元の場所に戻してこい。」

 

「やだね!これはオレが見つけたんだ!きっとすごいお宝がある世界に繋がってるはずだ!お前らが何と言おうと「カメハ王子!見つけましたぞ!」・・・ゲッ!?」

 

 

 カギを戻させようとするワルぼうに王子が抵抗していると、扉が開かれ、怒った顔の兵士たちが乗り込んできた。相当探し回ったのか、彼らの顔には疲労が浮かんでいる。

 

 

「また勝手に冒険に出かけられて!そのたびに探し回るのは我々なのですぞ!しばらくは部屋でおとなしくなさってください!国王様からも厳しく見張るよう言付かっております!」

 

「くそっ、父上にいいつけるとは卑怯だぞ!・・・イル!このカギ持ってろ!俺は逃げる!」

 

「なっ!どこへ行くのです、王子―!」

 

 

 そうして王子はへその間から出ていき、兵士たちもそれを追って行った。カギを投げ渡されたイルはその光景をぽかんと見送った。隣のワルぼうとスラッシュもあきれ顔である。

 

 少しの静寂を挟んで、初めに口を開いたのはワルぼうだった。

 

 

「やれやれ、あのバカ王子につける薬はねぇな。悪いがイル、代わりにそのカギをはざまの世界に戻してきてくれねーか?カメハが持ってきた、ってのもあってここに置いておくのは心配なんでな。」

 

「あはは、わかったよ。ちょうど今日はどこに行くか悩んでたところだし、久々にドークに挨拶してくるね。」

 

 

 意図せずして行先の決まったイルは、王子から受け取ったカギを腰のカギの束につけ、はざまのカギを手にカギの扉へと向かった。

 

 そして扉の手前についた瞬間、それは起こった。

 

 

「っ!おいイル、戻れ!」

 

「えっ?うわっ、なにこれカギが光ってる!?」

 

 

 イルの腰のカギが青い光を放ち始めたのである。ワルぼうの指示に従って扉から離れるも、その光は止まらない。そして光が一際強くなった瞬間、異世界に繋がる扉のカギ穴へ光が伸びた。扉が開かれる。

 

 

「くそっ!間に合わねぇ。身構えろイル!どこかへ飛ばされるぞ!」

 

「きゃあああああ!」

 

 

 開いた扉からまばゆい光が放たれ、扉の間を覆いつくした。 そして光が収まったとき。そこには誰もいなくなっていた。

 

 イルとワルぼうの行方不明の噂は瞬く間に広まり、マルタに混乱を呼び起こした。二人の行方不明は約三か月も続き、事態を引き起こしたカメハはまた強いお叱りを受けることになる。

 

 これは、その三か月の間の話。一つの世界を救ったモンスターマスターが、また新たな世界を救うお話。

 

 ある竜の騎士の少年が、新たな相棒と共に、ハッピーエンドをつかみ取る物語。

 




初めまして。今更ダイ大を見て書きたくなりました。
イルルカ未プレイでも楽しめるように気を付けますが、気になった点等あればご指摘いただければと思います。

不定期投稿予定ですが、最低でも週1~2回投稿を予定してます。よろしくお願いします。
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