「さあ、まずは小手調べだ!」
そう言ったフレイザードが配下の『フレイム』、『ブリザード』に向けて合図を送った。ダイ達を囲うそれらは息を吸い込み、一斉に『火の息』と『冷たい息』を放った。
「ワルぼう、『フバーハ』!」
ワルぼうの作り出した光の膜がダイ達を覆い、熱と冷気から守った。敵の攻撃が効かない事に気付いたダイ達が反撃に移る。
「『真空の斧』!」
「よし、俺も・・・『ベギラマ』!」
クロコダインが斧の魔法の力を解放し、ポップも閃熱呪文で攻撃した。ダイも未熟ながら呪文を唱え、マァムも『魔弾銃』で氷結呪文を放ち援護する。
一連の攻防の末、ダイ達は無傷のまま氷炎魔団のモンスター達に大打撃を与えた。フレイザードがヒュウ、と口笛を吹き、手を叩いた。
「大したもんだぜ!だがこいつはどうかな?」
そう言ってフレイザードが左手を突き出し指を開いた。5本の指にそれぞれ炎が集まり、圧縮された炎の球が形作られる。そして左手を引き絞り、叫びと共に振り下ろした。
「『フィンガーフレアボムズ』!!」
「やべぇ、あれは防げねぇぞ!」
「任せろ、『鎧化』!」
炎に込められた魔力の密度を感じて、ワルぼうが焦りの声を上げた。しかし5つの火球が光の膜に触れる直前、ヒュンケルが『鎧の魔剣』を身に纏い身体を割り込ませた。火球が炸裂し爆炎が立ち上る。そして煙の中から、腕を交差させたヒュンケルが5体満足で姿を現した。
「チッ、ヒュンケルの魔剣か・・・。気に食わねぇと思っちゃいたが、敵に回すと厄介なモンだ。」
フレイザードが苛立たしげにそう呟く中、イルは直前の攻防を元に決断を終えていた。武器を構えるダイ達に向かって叫ぶ。
「ここはわたしとヒュンケルで引き受ける!ダイくん達とクロコダインは先へ進んで!」
「そうか、ヒュンケルとワルぼうがいればあいつの攻撃は完封できる!了解だぜイル!」
言葉の意味を理解したポップは、その判断を受け入れた。遅れてダイとマァム、クロコダインもそれに頷いた。そしてイルがモンスター達に指示を出す。
「スラッシュ、バルトス!フレイザードを引きつけて!」
「承知した!」「おうよ、『メラゾーマ』!」
バルトスがフレイザードに突貫し、スラッシュが呪文で援護する。フレイザードは剣を右腕で受け止め、火球を左手の炎で吸収した。しかしその攻防の隙に、ダイ達が横をすり抜けて行く。
フレイザードも妨害しようと呪文を放つが、それをヒュンケルがその身体で受け止める。『フレイム』、『ブリザード』からの攻撃も『フバーハ』によって防ぎ、ダイ達は広間を抜けて先へ進んでいった。
作戦の成功を見て、イル達は一旦フレイザードから距離を取った。氷炎の魔人はイル達から目を離し、ダイ達の進んでいった通路を見て肩を震わせた。
激昂するか、と身構えるイル達。しかし、聞こえてきたのは怒りの叫びではなかった。
「ククク。テメェら許さねぇぞ、とでも言うと思ったか?」
「何が可笑しい!」
フレイザードは不気味に笑いながら、再び視線をイル達の方へ向けた。ヒュンケルの問いに対し、これまた不気味に口角を上げつつフレイザードが返答する。
「悪いな、まさかこんなに
「っ!危ねえ。避けろイル!!」
「えっ、きゃあっ!!」
ワルぼうの声に反応したプックルが、間一髪で背中に乗るイルを振り落とした。そして次の瞬間、イルの頭があった場所を、『ベギラマ』の閃光が通り抜けた。
地面に転がるイルは、首を持ち上げ呪文の出所を探った。そしてそこから現れた魔物の姿を見て、驚き目を見開いた。
「まさか・・・!なんでここに!?」
「久しいな、イルにその配下の妖精・・・いや、精霊よ。」
鎧とマントを身につけたその魔物は、ガチャリ、と音を鳴らしつつ歩みを進めた。『フレイム』と『ブリザード』が慌てた様に左右に分かれ跪く。その白い髪、緑の肌、長い耳、そして何よりも全身から溢れ出る純粋なる『力』。忘れるはずのないその姿を見て、イルがその名を呟いた。
「ハドラー・・・!」
「忘れもせん、あの日の敗北。お前だけはオレ自らの手で殺してやらねば気が済まぬ!さあ抗え魔物使い!お前の全てを叩き潰し、今ここで雪辱を果たさん!」
策と策のぶつかり合い。それがここに、因縁の組み合わせを導いた。
戦況を左右する戦い。そして何よりもプライドを賭けた再戦が今、幕を開けた。
次回は明日か日曜日の予定です。