イルとダイの大冒険   作:NBRK

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短めです。


第9話 竜の騎士?

 

 バランを追って飛び立ったイルとポップ。しかし既にバランの乗る竜の姿は見えず、2人は急いでダイとレオナがいる湖へと向かった。

 

 

「あそこだ!ってやべえ、『ベタン』!」

 

 

 湖の上空にたどり着いた2人が見たのは、竜に襲われるレオナ達の姿だった。ナバラとメルルを背に、決死の形相をしたレオナが呪文を放っている。慌ててポップは重圧呪文を放ち、竜を地面に縫い付けた。

 

 

「ポップ君!それにイルさんも!無事でよかった・・・!」

 

「それはこっちの台詞だぜ姫さん。それより、ダイは?」

 

「それが・・・。」

 

 

 ポップの問いに、レオナが表情を固くして答える。

 

 湖に飛び込んだダイは、未だに戻ってきていなかった。心配しつつ帰りを待っていたところ、突如として飛来した竜の背中から、1人の男が湖に飛び込んで行ったという。そしてレオナ達が、取り残された竜に襲われていたところに、イルとポップが駆けつけたのであった。

 

 レオナの話を聞いて、ポップの表情が険しくなる。

 

 

「ということは、ダイは今バランと1人で対峙してるってことじゃねえか!助けに行かねえと!」

 

「待て、神殿には『竜の騎士』以外は入れないと言ったはずじゃ。わしらにはどうすることもできん。」

 

 

 湖に飛び込まんとするポップをナバラが静止する。仲間の危機に何もできない、という事実にポップは歯噛みした。

 

 そんな中、イルはルードに乗って湖を上から観察していた。

 

 

「ワルぼう、何か感じる?」

 

「いや、わからねえな。ただの湖ではないのは何となく感じるんだが・・・。あの婆さんのいう通り、『竜の騎士』以外はお断りってとこだろうな。」

 

 

 高位の存在であるワルぼうですら、神殿に干渉することは難しいらしい。ならば肉眼で、と考えたイルは高度を下げて、じっと水面に目を凝らした。

 

 すると、湖の奥深くできらり、と何かが光るのが見えた。そして次の瞬間、腰にぶら下げた『ドラゴンのカギ』が輝き出した。

 

 

「えっ、何これ・・・。うわっ!」

 

「イル!!」

 

 

 突然のことに驚くイル。さらにイルが乗るルードも同様に驚き、びくり、と体を震わせた。その揺れでイルはバランスを崩してしまう。

 

 ルードから転げ落ちたイルは、自身に宿る『うみなりのかね』の力を解放した。かつてワルぼうによって授けられた、水上を歩行する力である。

 

 空気の層がシャボン玉の様に広がり、イルの体を包み込む。そしてイルはざばん、と音を立てて湖へと落下した。

 

 『うみなりのかね』の力は、しっかりとイルの体を衝撃から守り切った。空気の層に守られつつ、イルは落ち着いて体が浮かぶのを待つ。

 

 しかし数秒後、イルは違和感に気付く。

 

 

「(あれ?浮かぶどころか・・・沈んでる!?)」

 

 

 空気の玉に包まれているにもかかわらず、イルの体は下へ下へと沈んでいく。慌てて原因を探ったイルは、湖底に揺らめく光を見てはっ、と気付いた。

 

 

「(まさか、このカギが原因!?)」

 

 

 しかし気付いた時には遅かった。イルが手に取ったカギはさらに輝きを増し、イルの体がぐん、と湖の底へと引きつけられた。

 

 錐揉みしながらイルは沈んでいく。意識が朦朧とする中、イルは視界にあるものを捉えた。

 

 

「(あれが・・・神殿・・・?)」

 

 

 流されるままに神殿のそばまで近づくと、壁に嵌め込まれた宝玉がカギと共鳴するかの様に光を発した。光に飲み込まれ、イルの意識が一度途切れる。

 

 そして目を覚ますと、イルは荘厳なつくりをした建物の中にいた。

 

 

「うーん、どういうことだろう?ワルぼうとも離れちゃったか・・・。」

 

 

 疑問符を浮かべつつ、イルは神殿の中を進んでいく。不思議と明るい廊下を抜けた先で、イルは不自然に破壊された扉を見つけた。

 

 ひょっこり、とイルが中を覗くと、そこでは険しい顔をしたダイとバランが向かい合っていた。

 

 

「おれを倒しにきたのか!」

 

「そうではない。お前もその『竜水晶』から聞いただろう。ここに入れるのは『竜の騎士』だけ。つまりお前の正体は・・・。」

 

 

 バランは話しつつ、ダイの視線が自分から逸れたのに気付いた。そして視線を追うようにして振り返り、言葉を失った。

 

 気まずい沈黙が流れる中、イルは困ったように手を頭に置いて言った。

 

 

「えっ、わたしって、『竜の騎士』なの・・・?」

 

「・・・ディーノ。ここは私が詫びよう。どうやら判断基準に誤りがありそうだ。」

 

「あっ、うん・・・。そうみたいだね。」

 

 

 バランが謝る、という想像もしなかった光景に、ダイも思わず態度を和らげる。その状況を作り出した犯人は、能天気な様子で口を開いた。

 

 

「よくわからないけど、とりあえず話をしよう?わからないことだらけだからさ。」

 

 

 その言葉に、ダイとバランは揃って頷いた。険のない表情はどこか似通っていて、イルは場違いな感想を抱いた。

 

 

「(あ、やっぱり親子なんだね。)」

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