イルとダイの大冒険   作:NBRK

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第4話 炸裂、ミナダンテ!

 『ミナダンテ』の説明を受けたポップは早速イルに尋ねた。

 

 

「わかった。魔力だろうがなんだろうが持っていけ!どうすればいい?」

 

「ワルぼうの周りの魔法陣に踏み込めば、勝手に魔力が吸われるはずだよ。一気に魔力が吸われるから気をつけて。」

 

「こうか?うぉっ、なんだこの感覚!気持ち悪りぃ。」

 

 

 魔法陣に踏み込んだポップはその慣れない感覚に驚いた。そしてものは試しにと、『メラ』を唱えた。しかしその指先に火の玉が生まれることはなかった。

 

 

「本当に魔法が打てねぇ。魔力がないのに元気ってのも変な感覚だな。」

 

「普通魔力切れになるような時は体力も使い果たしてるからね。珍しい感覚だと思う。」

 

 

 イルとポップが話していると、吸い取られた魔力に対応して、紫色の光の柱が立ち上がった。

 

 

「なんだこりゃあ!凄え魔力の密度だ。これが『ミナダンテ』なのか?」

 

「ううん、まだまだだよ。この柱が8本になった時、ようやく『ミナダンテ』が完成する。ポップくんは魔力が多いんだね、もう柱が立つとは思わなかった。」

 

「それほどでも、って話してる暇は無さそうだぜ・・・!」

 

 

 戦場に突如として現れた高密度の魔力の柱。そんなものをハドラーが見逃すはずもなく、詠唱中のワルぼうに向かって『メラミ』が放たれた。

 

 飛来する火球。しかしワルぼうとの間に、剣を構えたアバンが立ち塞がった。

 

 

「海波斬!」

 

 

 その叫びと共に、アバンは横薙ぎに剣を振り抜いた。切られた火球は真っ二つになってイル達の後ろに着弾した。

 

 

「作戦は理解しました。魔力の尽きている私の役割は、『ミナダンテ』が完成するまでの時間稼ぎですね?」

 

「はい!ワルぼうが打てる最大の魔力が貯まるまで、ダイくんと一緒にハドラーを引きつけて欲しいです!」

 

「お任せを。ただ、長くは持ちません。なるべく急いでくださいね。」

 

「わかってます。よろしくお願いします!」

 

 

 そしてアバンはダイとハドラーの元へ向かった。防戦一方だった戦いは、アバンの参加により再び拮抗状態へと持ち込まれた。

 

 とはいえ決定打に欠ける以上、長引けばこちらの敗北は必至である。イルは呪文の完成を急いだ。

 

 スラッシュらによって呼び寄せられた魔物たちから魔力を受け取り、彼らに他の魔物を呼び寄せるよう頼む。これを繰り返し、ワルぼうの周りに7本目の柱が立った。

 

 あと少し。と思ったイルの元に、森に使いに出した金色のスライムが戻ってきた。そして器用に体の形を変えつつ、イルに何かを訴えた。

 

 

「ピ〜!ピッ、ピッ!」

 

「えっ、もう呼べる魔物はほぼ全部!?そんな、あと少しなのに・・・。」

 

 

 魔法の完成を間近としたタイミングでの悪い知らせに、イル達は落胆する。イルも手持ちの『まほうのせいすい』などを使って魔力の足しとしたが、それでもあと一歩魔力が足りない。

 

 

「ぐっ!」

 

「先生!くそっ、このっ!」

 

 

 ハドラーを引きつけるダイとアバンも限界が近い。思考を巡らせるイルに、暴発しそうな魔力を必死に抑えているワルぼうが尋ねた。

 

 

「どうするイル、もうこのまま撃っちまうか!?」

 

「ダメだよ、それじゃ威力が足りない!」

 

「つってもアイツらもオレももう限界だ、1分も持たねえぞ!」

 

 

 手詰まりだった。時間も魔力も足りない。未完成のミナダンテはハドラーにダメージこそ与えるはずだが、仕留めるには至らないだろう。そして魔力切れの味方を大勢抱えては、いかにダイとアバンでも勝ち目はない。

 

 それでも一縷の可能性はある。決断したイルはワルぼうに呪文を放つよう指示し、ぎゅっと両手を胸の前に握った。多くの制約の中、イルに出来ることはそのわずかな可能性を祈ることのみだった。

 

 

「(お願いします、届いて!)」

 

「ピ〜!!」

 

 

 その時、金色のスライムが発動直前の魔法陣に立ち入った。しかし何も変化はない、と思った瞬間、突如としてその体が光り始めた。

 

 そして、遂に8本目の柱が立つ。

 

 

「おおっ!これならいけるぞイル!」

 

「うんっ!アバンさん、ダイくん、ハドラーを足止めして!!」

 

「ダイくん、合わせてください!」

 

「はいっ!行くぞ、ハドラー!!」

 

「「アバンストラッシュ!!!」」

 

 

 同時に放たれた2本の剣閃が、十字を描いてハドラーに直撃した。膝を突くハドラー。そしてそこに、永き時を生きた精霊の奥義が炸裂する。

 

 

「喰らいやがれ、『ミナダンテ』!!!」

 

 

 魔力の柱が一つに集まり、ワルぼうの手の中で一つの玉となった。叫び声と共に放たれたその玉はハドラーに当たる直前に炸裂し、先ほどよりもはるかに大きい魔法陣と8つの柱を作り出した。

 

 柱が渦を巻くようにして中心にいるハドラーへ集まっていく。そして全てが一点に集まった時、それは一際大きな輝きを放ち、

 

 

 

 ぼうそうした まりょくが ばくはつをおこす!

 

 

 

 

 そして、全てが終わった時。

 

 そこには巨大な爆発跡だけが残った。

 

 

 

 ハドラーを やっつけた!

 




ハドラーは死んではいません。原作同様にルーラで離脱しています。原作でダイがあれだけハドラーを圧倒できたのはアバンのメガンテを受けたダメージが大きかったからだと解釈しています。

次回、一章最終話です。
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