【速報】ブルマ寝取ったったwww【悲報?】 作:粗品もんすたー
宇宙に平穏はない。
銀河を運行する数多の惑星で生まれた霊長は、自らの母星から飛び立つための科学文明を育てている最中であり、大半は母の許から巣立ってもいない雛鳥に等しかった。
生まれた星は違えど、霊長の座を獲得した種の大半は、本能的に類似した道を選びやすい傾向にあるのだろう。未知への恐怖を克服するため、あるいは更なる種の繁栄を希求して未開拓の宇宙を目指し、文明を育む道を歩むのだ。まるでそれこそが人が全うすべき使命であるかのように。
しかし数千、あるいは数万の歴史を積み上げ、母星から宇宙へ飛び立てたとしても、その星の人間達の繁栄が約束されたわけではない。むしろ嘗てない危険に晒される、苦難の始まりに過ぎなかった。
なぜならば、宇宙には強大な悪がいる。
悪の名はフリーザ。帝王を僭称する悪鬼羅刹。
凶悪な軍勢を率いて無数の星を征服し、原住民を絶滅、ないし従属させるフリーザは、星の景観が美しければ自らのコレクションに。そうでなければ配下の領地に。買い求める者がいれば、対価次第で星の運営を好きにさせている。如何なる大義があったとしてもその所業は外道のそれだ。
フリーザという巨悪の存在は、宇宙進出を果たした様々な霊長にとって恐怖の対象でしかない。
どのような出会い方であっても、フリーザに認識された時点で選べる道は二つに一つだ。フリーザにとって都合のいい顧客になるか、滅ぼされて母なる星を奪われるか。運良く前者になれても悪の片棒を担ぐ羽目になり、後者ならそもそも生き残れはしないだろう。仮に生き残れても母星を捨てて宇宙を流離うのは必定で、生存のために憎きフリーザから星を買い求めるしかなくなる。
宇宙進出の先にあるのは夢や希望ではない、宇宙を股に掛ける悪鬼のご機嫌取りだ。
しかし、だからといって母星に引きこもり、揺り籠の中で安寧を貪っていても希望はなかった。
いずれフリーザとその軍団の魔の手が母星に伸び、成す術もなく膝を屈することになるだけである。
世はまさに、悪魔の微笑む時代。
数百、あるいは数千億、いいやもっと多くの血と涙が宇宙の塵になるこの世の地獄。
⸺そんな絶望の世紀に、地球という惑星に生まれた霊長は、宇宙進出の第一歩を踏み出した。
『ご覧ください! 我々人類は遂に宇宙へ飛び立ち、新たな歴史を紡いでいこうとしています!』
TVのリポーターが興奮気味に、民間人から地球政府国王までの、全ての地球人へ中継する。
表向きBE機関の関与なく、民間企業の技術開発に目をつけた政府により、国王肝いりの国策として進められた宇宙開拓の始まり。生活区画や娯楽施設までも含めた巨大なスペースロケットが、火の代わりに人工気功エネルギーを噴出し、煙の代わりに莫大な光を放って地上から飛び立った。
それを。
大の字になって倒れ、疲労困憊している少年達の傍に立ったまま、その男は見ていた。
「…………」
宇宙の真理、神の理、ソラの構造。それらを知らず、しかしソラの脅威を知る男は瞑目する。
やっとここまで来た。まだ始まりの舞台は遠いが、自らの企図する絵は描かれはじめただろう。
だがここから先、いつ事態が進展するかは不明だ。
一年後、十年後? いいや、やもすると明日かもしれん。それぐらい先を見通せない。
一寸先は闇。こちらにとって都合のいいタイミングになることを祈るばかりだ。
男、三蔵法師は懐から端末を取り出し、提出を義務付けた報告書を閲覧する。
地球全土を覆うエネルギー展開装置の設計は完了。開発まで要する期間は一年。名称は釈迦如来掌。
これは宇宙からの高エネルギー攻撃を防ぐための、バリア発生装置だ。エネルギー源として三蔵が直接氣を送るもよし、地球全土から募った地球人達の氣を送り込むもよしだ。後期発展型として出力を絞り、局地的にバリアを展開して被害を抑えるタイプも設計完了している、と。
テスト運用も含め、実用化は早めに見積もって一年と半、遅くとも二年に留めたい。
人造人間化の改造手術、およびチップの埋め込みと服用薬による簡易人造人間化。更に生体皮外骨格『セル』の開発状況。三蔵の協力により開発が大きく進み、セルを除けば完成は間近だ。
ただし被検者は不足。バイオレットのバージョンアップは慎重に、100%確実に成功するものだけに留めるように指示する。被検者に関しては、今後の宇宙事情によって一気に集まる見込みだ。それまでは改造手術、服用薬の投薬実験は厳禁として、他の技術体系の開発を進めさせる。
ドラゴンボール………龍球の発する微弱なエネルギーを感知する装置、ドラゴンレーダーの開発完了。それに伴いエージェントを派遣、龍球を七つ確保した。移送先は三蔵宅、と。
龍球の使用用途は決めていた。神龍を呼び出して願うのは、神や閻魔大王の上位者、界王に拝謁したいと申し出る事。つまりアポイントメントを取るのだ。以後、龍球は神の許に七つとも安置する。
ここまで流れが変わった以上、悟空が界王に会いに行く流れが潰えていても不思議ではない。であれば龍球を介してアポを取り、界王拳や元気玉を伝授してもらった方が確実という判断だ。
界王が快く応じてくれる保証はないが、保証がないからと行動しないのはただの怠慢である。セールスマンの基本として、まずはアポを取り、実際に話し、相手が首を縦に振るまで根気強く友好を深め、情を絡めて実利を得るのだ。そして一度実利を得られたなら、有為な人脈として以後も機能する。
そして何よりも、民間伝承としての龍球伝説は不要だ。いざという時の切り札として、七つの龍球は神に管理してもらっていた方が、いざという時の保険として有用なのは明らかだった。
どうしても龍球が必要な時に、どこぞの誰かが願いを叶えたばかりで、龍球が石になってましたなどという下らない事態になってしまうと笑うに笑えない。ゆえに龍球は秘中の秘にしておくべきだ。
エゴだろうが、知ったことか。地球の存亡に関わる以上、個々人の欲望を叶えさせてはいられない。
目的が人を育て、立場が人を作るというべきだろう。三蔵の判断と決定に私情はなかった。
公私で見た時、私の三蔵は俗物だ。しかし公の三蔵は、紛れもなく地球のスターだ。
だが。
だが、しかし。
如何に地球の英雄が多くを知り、未来に備える賢明な働きをしようと、所詮は人のおこないだ。
未知なる理を知る術を彼は持たず、知らぬものへ備えられるほどの英邁な頭脳は持ち得てない。
彼が常識の範囲で知っている宇宙の構造が、根本的に異なる可能性は考慮できないのだ。
宇宙は、
生者の世界と死者の世界に別れ、球体の上部を神の世界としている。
そして、球体の最も下層にあるのが⸺⸺暗黒魔界だ。
暗黒魔界は邪悪な魔物が生息する混沌の世。球体宇宙の最下層に位置し、宇宙の裏側の次元にある。
魔界は科学の代わりに魔法が発展した世界であり、魔女や魔人と称される生命が隆盛を誇っていた。
優れた魔法の研究者をこそ、魔界では科学者と定義しているのだ。
ゆえに。人間界の科学の天才としてブリーフ、ゲロがいるように。彼らに魔法という分野の科学技術で肩を並べる、次元を超えた天才科学者が存在するのも、決しておかしな話ではないだろう。
「……チッ。どういうことなのよ、あの男!」
吐き捨てたのは、淫靡な色香を持つ異相の美女だ。
暗黒魔界へ退避してきた魔女の名はトワ。
トワは苛立ちを抑えられずに舌打ちした。
彼女は暗黒魔界を統べる王ダーブラの妹だ。
秀でた頭脳を誇る科学者であり、ある目的のために歴史改変を目論む悪党である。
そう、歴史改変。これを目指し、実際に実行できている時点で、トワがタイムマシンを発明した未来のブルマに匹敵、ないしは凌駕しかねない科学者である証明になるだろう。
これほどの天才に比肩する魔法の使い手は、全宇宙を探しても片手の指で数えられるはずだ。
トワは正しい歴史を改変することで生じる、キリというエネルギーを蒐集している。が、今回タイムマシンに相当する魔術を用い時間跳躍した目的は戦力の増強だ。
トワが引き起こす歴史改変は、時間を司る時の界王神が率いるタイムパトロール隊との敵対を招いており、執拗に追ってくる鬱陶しい敵を蹴散らすための手駒を手に入れようとしていたのだ。
目をつけたのは、
この宇宙が激動の時代を迎えた後、数多くの戦士達の師だと敬われた男だ。
三蔵を手駒に収めるだけで、歴史は大きく変わる。大量のキリが手に入る。まさに一石二鳥。
この時期の三蔵がどれほど強いかは把握してなかったが、まさか自分達の脅威にはなるまいと踏んでいたのだが⸺⸺予想外だった。タイムパトロールが駆けつける前に、不意打ち気味にさっさと三蔵へ洗脳の魔法を仕掛けたというのに、トワの精神干渉の魔法が
「まさかサンゾウほどの
親指の爪を噛みながらトワは考察する。
歴史改変を何度か試みてきたトワは、既に幾らかのキリを得た代償に、時の界王神達に存在を認知されている。時の界王神は有能だ、自身の行動を予測し対策していても不思議じゃない。
だが違和感があった。自らの業が弾かれた時点で、タイムパトロールに狙いを読まれていた可能性を危惧し、撤退を選択したトワだったが………自分の魔法を無効化された際の感覚が気になった。
黙り込んで思考に埋没するトワの傍らには、彼女に類似した特徴を持つ偉丈夫がいた。
彼の名はミラ。暗黒魔界にてトワに製造された人造人間である。体のほとんどは生体だが、部分的に機械の要素も持ち合わせており、極めて高次元な戦闘力を持つトワの最高傑作だ。
無駄口を叩くのを厭う寡黙な男は、自らの造物主の思索を横目に意見を口にした。
「トワ。あくまでオレの所感だが、いいか?」
「………何よ」
トワはミラを無下な扱いはしない。ミラの性格を熟知する彼女は、彼がこうして自分から意見をする時は、決して無駄なことを口にしたりしないと理解していたからだ。
「オレの体にあの男のDNAは入っていない。ゆえにあくまで勘に過ぎんが………お前の魔法があの男に弾かれたのは、外的要因によるものではなくあくまであの男の力によるものに見えた」
「…………そう。仮に、貴方の見解が正しいとするなら………やっぱりサンゾウは油断ならないわね」
宇宙のパワーバランス的に、今の自分達にとっては矮小な者しかいないはずの時代だった。
なのに自力でトワの魔法を三蔵が弾いたとするならば、ますますあの男は底が知れない。
「だが、そうだとしてもだ。あの男はオレにとって取るに足りない弱者に過ぎん。直接戦えば、すぐにでも打ち倒せるだろう」
ミラがそう語るのに、トワは笑みを浮かべる。ミラの思惑が手に取るように分かるからだ。
ミラがそんなことを言うのは、自分でも言っていたように三蔵のDNAが自らに入っていないからだろう。宇宙一の強さを手に入れようとしているミラは、強くなる手段として欲しているのである。
三蔵の、血肉を。
「そうねぇ……」
しかしトワは即断しなかった。戦闘力だけを見れば、ミラに勝てるわけがないと思う。
思うが、どうしても危惧してしまうのだ。舐めてかかれる相手ではないだろう、と。
トワが知る三蔵という男は、一切のおこないに遊びがない、油断や慢心とは無縁の鉄の男だ。
ミラの体には孫悟空を始めとする、名だたる戦士達のDNAを盛り込んである。しかしトワがミラを製造するにあたり、どれほど手を尽くしても三蔵のものだけは手に入らなかったのだ。
徹底して自身の情報を隠匿し、隠滅する手腕は病的だとすら言えた。それに正義を標榜する存在でありながら、裏では人造人間の研究を推進する冷酷さも持ち合わせている………。
三蔵に関して把握できているのは、技と回復の超能力だ。修行の成果として回復の気功術を開眼し、寿命に関しても仙人となって克服したと表では言っているが………どこまで本当の事なのやら。他になんらかの力を隠し持ち続けていてもおかしくない。あの男にはそんな凄みがある。
「⸺⸺⸺!」
ゆえにこそ、トワは閃いた。
三蔵という偉人の性質を改めて分析したからこそ、トワの頭脳は妙策を思いついたのである。
慎重で、冷酷で、冷徹。油断せず、慢心せず、遊びなく戦うサイヤ人らしからぬ性格。
付け加えると、長い時間をかけて計画を進め、時には柔軟に計画の修正もできる懐の深さ。
それらは裏を返すと、大きな脅威への備えを怠らない、組織人の学習力の高さを証明している。
仮に、自分達が直接三蔵の前に姿を表し、殺さずに叩きのめしてしまえば……どうなる?
あの男のことだ、きっとトワとミラという脅威を記憶に刻み、対策を練ることだろう。
三蔵は言ってみれば人間界の王とすらいえる。それほどの影響力を持つ男が、本気で自分達という異分子への対策をはじめたなら………その時点で歴史は変わるだろう。
つまり、直接会って、話して、戦うだけで。
トワは莫大なキリを、一気に集められるということではないだろうか?
「…………フフフ。いいわね、ミラ。いい意見よ。ちょっとだけ………やってみようかしら」
「ああ」
「ただし、殺すのはなしよ。痛めつけるだけでいいわ」
言いながらトワは考える。
流石に同じ時代に向かうのは愚策だ。タイムパトロールが警戒しているのは明らかだから。
なら別の時間に飛ぶ必要があるが………いつ頃がいいだろうか。
「………決めたわ。地球が宇宙に飛び出した、黎明の時代。その始まりの時間軸がいいわね」
⸺⸺刺客、来たれり。
いつとも知れぬ時間軸に潜む、暗黒魔界の大魔女は妖艶な笑みを浮かべた。
書きたい話の前段階まで来た!
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