【速報】ブルマ寝取ったったwww【悲報?】 作:粗品もんすたー
「………………」
腕を組んで、むーんと思い悩む。
調子に乗って成層圏突破を果たし地上に落下。普通ならミンチになってグロテスクな死体を晒すところを、俺は骨折もせず無傷で生還していた。体が少し痛いぐらいで。
目が覚めた後の俺は、流石にこれはおかしい、と普段の冷静さを取り戻していた。
いきなり目の前に神龍がいたせいで、混乱した末に現実逃避していたが、冷静になってしまうといろいろおかしな点を無視できなくなった。体が痛いのも、現実に戻れないのも、
しかもこの体の記憶までも遡れた。
いつどこで生まれどうやって育ち、どのように生きてきたのか手に取るように
それとは別に俺自身の記憶もあるし、自我も俺そのもの。なんじゃこりゃってなもんだ。
例えるなら出処不明のハードに、俺というソフトが読み込まれたような感じだろう。
しかもハードの方は異世界産ときた。
俺程度の頭じゃあ、何がどうなってそうなったのかなんて考えるだけ時間の無駄。そういうこともあるんだなぁ、と思考停止して受け入れるぐらいしかできることはない。
ともかく、この体の元の持ち主の名前は三蔵。
鶴仙流だった父の技を修め、舞空術を駆使して龍球の最後の一つを見つけ出した若者だ。
大金持ちになりたいなんて俗な願いを持ってこそいたが、別に悪人ってわけでもなく、俺が体を乗っ取ってしまっているのは自明である。だが別に俺が意図して乗っ取ったわけではないので恨まないでほしい。なんとか返してやりたいところだが……龍球に願えばいっか。
無理なら諦めよう。俺は悪くない。
悩むべきこと、解決すべき問題は山ほどある。だが俺は早々に割り切った。
天涯孤独だった俺には元の世界への未練なんざ無いし、この世界で生きていったっていい。
好きにしよう。自己責任で。割り切りの良さは俺の取り柄だ。通すべき筋を守り、自分の倫理を信じ、無理ならスパッと切り捨て御免。うじうじぐだぐだすんのもダルいだけだしな。
そうと決まったらやるべきことをやろうや。
まず最初にこの体を元の三蔵くんに返せるか、一年後に神龍へ聞いてみて、無理ならゴメンで忘れる。体を返せたらそれでよしになるから、返せなかった場合も考えよう。
体を返せなかったら、俺はこの世界で生きていくことになる。ドラゴンボールの世界は危険でいっぱいだ。地球は滅びるし、何人も虐殺されたりもする。別にそれをなんとかしようって思い立つほど俺は正義漢じゃないが、巻き込まれて殺されるのもバカらしい。特に地球滅亡の際は否が応でも巻き込まれるの確定だしな。
幸いにも、腕っ節の強さがあれば生きていける世の中だ。学歴や職歴、種々の資格より戦闘力が大事になる。なら強くなろう。せめて自分の身を守れて、なおかつ食っていけるように。
決めたなら実行する。とりあえず鍛錬して、山で狩りをしながら一年過ごすか。
修行のやり方もこの体の記憶が教えてくれてるし、気の扱い方もなんとかなる。
教材なら原作っていう知識があるし、なんとかなるさ、きっと。
俺は楽観的にそう思い込んで、深くは考えずポジティブに過ごしはじめた。
⸺⸺ダメでした。
『お前の話は理解した。だがわたしが探った限りだと、お前は三蔵という人間であり、□□という人間ではない。したがって、三蔵に体を返すという願いは叶えられない。□□を元の世界とやらに返すというのも無理だ。お前が空想上の話をしているとしか思えない』
一年の時を新生活に慣れるべく、鍛錬と農作業に費やして、龍球が石ころから復活したのを確認して神龍を呼び出し、俺の事情を説明し三蔵に体を返せるか確認したが……無理だった。
神龍は俺の魂も何もかも、
よく分からんが、そういうもんなのだろう。仕方ないので三蔵くんには謝っておく。
ごめんな三蔵くん。神龍に無理なら俺にも無理だから、これからは俺が三蔵として生きていくからな。もし俺の中に三蔵くんがいるなら、いつでも体返すから言ってくれよ。
⸺⸺ 1年も山頂で過ごせば、色んなものが見えてくるものだ。
そも文明圏で暮らしてきた普通の一般人は、いきなり秘境的な山の頂で孤独に暮らし、一人きりで修行できる精神構造をしていないはずである。なのに平気で暮らし、軟弱な現代人には過剰に過酷な修行も慣れた様子で耐えられたのは、今の俺の体がサイヤ人だからだろう。
修行はキツいが辛くはなく、体を動かすのは本能的に楽しい。本来の俺じゃない感性だ。これはもろに肉体の影響を受け、精神性が変質しているのだと思う。こうした変質も深刻に捉えず普通に受け入れられている俺には、本当ならいたかもしれない三蔵への罪悪感はなかった。
体が返せないなら仕方ない。俺は俺のための願いを神龍に叶えてもらうことにする。
その前に、一応神龍に提案してみた。
「なあ神龍、俺から言いたいことがあるんだが、聞いてもらっていいか?」
『なんだ』
「これから先、三つの願いを叶えるまで、俺はアンタが消えても龍球を独占する。今回で最低でも一個は叶えてもらうから、二年は独占期間があるんだ。その二年、無駄じゃないか? どうせなら今回で三つとも願いを叶えてくれよ」
俺がそう言うと、神龍は表情の読み取れない間を空けた。
『……ダメだ。たとえお前がそのつもりでも、わたしは一つの願いしか叶えられない』
「そっか。わかったよ」
ダメ元だったから別にいい。この提案の真意は別のところにあった。浅い真意だけどな。
漫画を一気読みこそしたが、俺はドラゴンボールの設定に関して詳しいわけじゃない。細かいところは抜けているところがあるだろうし、知らない設定もたくさんあるだろう。
だが、確定していることはある。ドラゴンボールの願いの数は、地球の神がデンデに代わってから増えるということ。たしかセル編で二つ、魔人ブウ編で三つになるのだ。
なのに一個しか叶えられないということは、少なくともまだフリーザ編は終わってない。三蔵の記憶などに武泰斗やピッコロ大魔王に関する事がある点を見てもまず間違いないはず。
俺が年表に詳しくないのと、一年をここで浪費していたせいで確かめられなかったことだ。
まあ、ついでに確認しておこうってぐらいの温度感で、軽い探りを入れただけである。
「じゃあ神龍、俺を『任意で俺自身の意思や感情をコントロールできる』ようにしてくれ」
『いいだろう。……願いは叶えてやった。では、さらばだ』
散らばろうとした龍球を全キャッチする。
一つ目の願いがこれだ。
俺は俺のことをよく理解している。
喜怒哀楽の感情はちゃんとあるが、度を超えたものは未経験。これでサイヤ人の覚醒キーである激怒とか、悲しみとか、そういうのを経験できる確信が持てなかった。
せっかくサイヤ人になったんだから、なりたいでしょ、超サイヤ人。
そんな俺にとってこの能力は必須だった。
俺の体はサイヤ人ではあるし精神面もそれに引っ張られてるが、殺戮大好きな残虐性はないし、戦いを楽しめるかと言われたら自信がない。普通に怖がって及び腰になり、普通に力を発揮できず負けるなんて事も有り得る。そんなのアホらしいだろ。
あと、俺は俺の精神力を過大評価していない。途中で飽きたとか、別のことに興味関心が移り、当初の目的や達成しないといけない目標からブレる恐れがある。死ぬかもしれない、痛い思いをするかもしれない、そんな状況でもブレずにいるには、己の意思力を弄れた方が良い。
俺は現代人なんだ。令和の価値観も有している。最適化できるならやるべきだ。
俺はさっそくもらった能力の仕様を確かめる。
やり方はなんとなく分かった。肌感覚で。
まず自分がやるべきことを決定する。
一つ、自分の意思を固定し龍球の確保と維持。
二つ、今の時系列の調査特定。
三つ、修行による戦闘力向上。
四つ、一年後、龍球の再使用前に自分の精神や意思をニュートラル状態へ解除。
これだ。
俺は決定事項を定め、能力を行使。
メチャクチャ穏やか過ぎて、自ら植物みたいな精神状態になって行動を開始した。
龍球を風呂敷に包んで自分の体に巻きつけ、舞空術で空を飛び人里を探す。
時系列の確認は簡単に済ませよう。
カプセルコーポレーション、略してCCを探すか、それの有無を人に聞けばいい。
数時間飛ぶと、辺鄙な村を見つけた。野盗に襲われていたが、俺には関係ないのでスルーして、そのまま通り過ぎる。更に数時間後、都市を見つけたので降りてみた。
テキトーな人に目をつけて声を掛ける。CCを知っていますか、と。
すると「知ってるけど……何?」と反応を返された。
原作時系列はまだ未確定。判明しているのはピッコロ大魔王が封印された以後で、フリーザ編よりは前というかなり広範囲。ここから更に絞り込むのに手っ取り早いのは、主人公の孫悟空が何歳なのか、そもそも地球にいるのかを確かめる事だが……まあ他にもっと簡単な方法はある。直接CCの本社へ行ってみればいいのだ。
CCの本社がどこにあるのか聞いてみたが、この都市にはないらしい。どこに行けばいいか質問すると、西の都に行けよと返される。重ねて西の都はどこだと聞けば、通行人である青年は面倒臭そうな顔をして、俺を無視して歩いて行ってしまった。仕方ないので別の人に聞くと、雑に方角を指さされたので、そちらを目指して飛んでいくことにした。
数時間後、空腹を感じる。どうしたものかと思うが、西の都らしき都市を発見した。
降り立たず夜の空から見分すると、それっぽいのを見つける。CCらしき建物を観察していると丁度、金髪の女を連れた青い髪の男が帰宅した。あれは……誰だ?
女の方はベビーカーを押していて、中に女の子の赤ちゃんがいる。
青い髪の赤ちゃんはガラガラを持っていて……それに名前が書いていた。ブルマ、と。
ブルマ? ……ブルマ!?
ということは、男の方はブリーフ博士か。なるほどな……おおよそ時系列の目星はついた。
目的達成だ、帰ろう。西の都へ辿り着くのに半日近く掛かったが、それはあくまであちこちを散策していたからで、家がある方角へ真っ直ぐ帰れば半分以下の時間で帰宅できる。
空腹感が酷いので急いで帰るべく飛翔していると、人気のない荒野へ差し掛かる頃に、大きな恐竜が地上にいるのを発見した。空中から恐竜を指差し、どどん波を発射。脳天を貫いて即死させ、傍に降り立つと気の刃で輪切りにしていく。
サイヤ人の体は内臓まで強靭だ。生肉を食っても普通に消化できる。満腹になるまで貪り、食いきれなかった肉は放置して帰路についた。
家に帰ると龍球を家の中に安置する。
三蔵が修めていた技術は俺もそっくりそのまま使える。他人の努力の成果を我が物顔で拝借しているようで、最初は気が進まなかったが、今となっては慣れてしまって罪悪感もない。
三蔵は気の扱いに長けていたらしく、舞空術、どどん波をはじめ、気の探知もできていた。それを利用してブルマの気を覚えた今、もうどこにいてもあの赤子の居場所は探知できる。
原作が始まるまではあと十数年といったところだろう。現時点で俺がどれぐらい強いのかハッキリしないが、これからみっちり二年間修行すればサイヤ人の体が応えてくれるはずだ。
とりあえず気功砲の習得を目指そう。セル編でも超サイヤ人以下の戦闘力しか持たなかった天津飯ですら、気功砲を使うとセル第2形態を足止めできたのだ。俺が超サイヤ人になれた場合、気功砲は俺の切り札になり得る技である。
本来の俺なら二年も孤独に修行なんて出来ないが、意思や感情を理性でコントロールできるようにしてもらえた今の俺なら可能だ。植物のように穏やかな状態で気の扱いに習熟し、体を鍛え、サイヤ人の尻尾も鍛える。やるだけやってみよう。
俺は漫画版の知識しかないから分からないが、超サイヤ人が尻尾を持ったまま、大猿化したらどうなるか興味がある。意思と感情を固定すれば、大猿化しても理性は失わないはずだ。
⸺⸺そうして俺は、淡々と、淡白に、延々と修行に明け暮れた。
「神龍。二つ目の願いを、俺の想像通りに叶えてくれ。『俺に再生術を授けてほしいんだ』」
『いいだろう。願いを叶えてやった、さらばだ』
一年後。あらかじめ決めていた通り、自己催眠とも言える能力を解除した。
龍球が石ころから復活するのを見れば、一年が経ったと分かるのは便利である。
感情と意思をニュートラルに戻した俺は、さっそく神龍を呼び出した。
俺の二個目の願いは、端的に言うとナメック星人のデンデの回復術の獲得である。
自分の気をエネルギー源に、仙豆みたいに自他を回復できて、体の欠損も補えるアレだ。
土手っ腹に風穴が空いたベジータを完全に回復させたアレなら、体の欠損も癒せるはず。
アレがあるだけで俺の生存率は上がる。それだけじゃない、修行を効率的にできるのだ。
死の淵から復活すると、戦闘力が跳ね上がるサイヤ人の特性。これを利用しない手はない。
ベジータは原作で、自傷だと意味はないみたいなことを言っていた覚えがあるが、だとするとフリーザ編で、宇宙船で修行していた悟空はどうなんだという話になる。アレも自傷だろ。なのに悟空には意味があった。その訳を分析すればサイヤ人の特性も理解できる範疇に入る。
感情だ。死の恐怖と、肉体の損壊がサイヤ人の細胞に働きかけ、戦闘力を上げると見た。
自傷に意味がないとベジータが言ったのは、自分で自分を痛めつけても自死に至るほどやらず、死なないとわかっているから恐怖が足りず、結果細胞が反応しないのだと思う。反面、悟空は修行慣れしており、死ぬスレスレまで体を追い込めるから特性が働いたと考えられる。
俺は気の刃で浅く肌を切り回復術を使う。使用してみた感覚を確かめ、いけると判断した。
どどん波を発射。閃光を操り、軌道を変えて自分に当たるようにする。
俺の恐怖の感情をMAXまで上げるのと同時、『絶対に避けない、気を限界まで落としたまま維持する』意思を持つ。直撃。見事に腹を貫通したどどん波が虚空に消えた。
失血し、意識が消えかける寸前で回復。発狂しそうだった精神を宥め、恐怖心を消した。
「……上がってるな」
体感。サイヤ人の特性が発動され、気の総量が大幅に跳ね上がったのを感じた。
恐怖心が皆無になった今の状態だと冷静に考えられるが、かなり過酷なイカレ修行だな。
まあ、かなり効率的だからやるが。
この修行を『絶対に完遂する』という意思で固定した俺は、更に一年間を過ごした。
龍球が復活する。
「神龍、ひとまず最後の願いだ。『俺を任意でオン・オフできる不老状態にしてくれ』」
神龍は、やっと終わりかとでも言いたげな様子で願いを叶えてくれた。
龍球が各地へ散っていく。
肉体年齢の保全を最後に願ったのは、20歳の三蔵への一応の義理立てである。
もし仮に、未来で三蔵の自我が覚醒した時、体が老いぼれていたら流石に可哀想だろ?
三蔵の魂とか人格を今の俺は微塵も感じ取れないが、保険を作り備えておいてやるべきだ。
サイヤ人の体。感情や意思のコントロール。回復術。任意で切れる不老。
これだけあればもう十分だ。
この1年間の修行で、サイヤ人の特性は働かなくなった。
サイヤ人にも個々で才能の差があるように、俺の限界まで気の総量が到達したのだろう。
よし。『絶対暴れない、理性を万全に保つ』ようにして、俺は怒りの感情をMAXにした。
頑張ってきた気の制御技術を駆使し、爆発的に沸き起こる気を押さえつけ、周辺へ無駄に漏れないようにコントロールする。そうしながら怒りの感情を平静に戻し家にある鏡を見た。
そこには金髪碧眼になった俺がいた。
俺は、超サイヤ人になれていた。
主人公、孫悟空がまだ地球にやって来ていない時代のことである。