【速報】ブルマ寝取ったったwww【悲報?】   作:粗品もんすたー

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一つ目の分岐点

 

 

 

 

 

 超サイヤ人に覚醒した俺は、孫悟空をリスペクトして超サイヤ人のまま生活していた。

 

 孫悟空が超サイヤ人、略してSSになった際、細かい気の扱いに難儀していたのは、SS化によりサイヤ人生来の凶暴性が強調されていたからだと本人が言っていた。

 悟空は精神と時の部屋での修行でそれを克服したが⸺⸺俺はそうする必要がない。

 仮称『自己催眠』があるからだ。

 なのにSS化した姿で日常生活を送っているのは、SS化している時の体への負荷が意外と強かったからである。この変身形態を常態化しておくことで継戦力を上げ、ひいてはSS2への覚醒の布石にしておく必要がある。

 

 スペックだけで言えば、封印されている魔人ブウや魔界の王ダーブラを除くと、現状俺は宇宙最強を標榜できる。現地球だと明らかに過剰戦力であり、バランスブレイカーだった。

 だがそれはあくまで()()という注釈がつく、砂上の楼閣に立った裸の王様状態だ。

 ドラゴンボールは長寿作品。昭和に生まれ、平成を跨ぎ、令和でも愛されている。そんな長寿作品が漫画だけで完結しているとは考えづらく、だから俺は続編や関連作品がないか検索しようとしていたのだ。十中八九ドラゴンボールには外伝や続編があると睨めば、物語の盛り上がりを考慮すると、超サイヤ人3でも敵わないような強敵が出現してもおかしくない。

 

 いや、むしろ出てくる方が自然だ。外宇宙から襲来した、平行世界からやってきた、魔人ブウより前の時代に暴れていた、等々こじつけられそうな話の導線はいくらでもある。

 そうなるとSS化しただけで満足できない。特に龍球は便利すぎて、敵に悪用されて窮地に陥る展開もありそうだし、過去の強敵がパワーアップして復活したとかもありそうだ。

 

 俺の目標の最低ラインは、漫画版の最強戦士ベジットを超えること。

 

 高望みが過ぎるってのは分かってる。アホ言うなと石を投げられる覚悟だ。

 分かった上で『できたらいいな』という努力目標には据えておきたいのである。

 ほら憧れるだけならタダだし。実現できるかどうかじゃなくて、目指すのが大事って話。

 

 それに漫画版最強のベジットより強い奴が現れるというのは普通にありそうな話だろ?

 

 悟空の少年期は別として、ドラゴンボールはバトルメインの漫画なんだ。戦闘力のインフレなんざ想定していてしかるべきだろ。地球やナメック星の龍球を使用不能にされる、なんてことも有り得る。そうなった上で殺されてみろ、生き返れないかもしれないじゃないか。俺が死んだ後この世界のあの世でどうなるか見当もつかない。『俺』って自我が残ってるなら儲けもの、消えてもおかしくないなら死ぬのは避けておくべきだ。

 

 なら俺自身が強くなっておかないと安心できない。

 

 となると、スペックだけ上げても強くなったとは言えない。

 孫悟空やベジータのように、戦闘技術そのものを上げておかないと、容易く敵に翻弄されて殺される、噛ませ犬のような役回りをさせられてしまう恐れがある。

 

 じゃあどうするのが最適解だ。宇宙に行って武者修行でもするか?

 

 ばかばかしい、仮に宇宙へ行っても今の俺の相手になる奴なんてフリーザ最終形態ぐらいなものだ。俺はフリーザと本気で殺し合いになって勝てると思い上がっちゃいないし、フリーザの味方になって宇宙で暴れ回るほど良心が死んでるわけでもない。百害あって一利なしだ。

 

 地球は争乱の中心になる。当然だ、物語の主人公である孫悟空がいるのだから。

 だったら宇宙のどこかに行って隠れ住んだ方が平穏に暮らせるかもしれない⸺⸺そう考えるのは早計だ。俺が真に警戒しないといけないのは、魔人ブウ編に続くかもしれない続編の敵であり、そうである以上インフレの激しいこの世界に安全地帯はない。商売として物語を展開させるならゲームでオリジナルの敵も出るだろう、アニメや劇場版だって展開されているはず。となると地球は戦闘力的にクソザコであるため、地球から新たな敵が誕生するとは考え辛く、であるなら別の星、別の世界からやって来る可能性が高いとなれば、不意打ち気味に殺されかねない別の星より地球にいた方が安全だ。

 

 魔人ブウ編より後があった場合、悟空のパワーアップは必須になる。悟空の成長を邪魔するような真似は控えておくべきだろう。俺一人で何もかも片付けられると自惚れてたらそれこそ真性の馬鹿だ。そう考えれば結論は出る。宇宙に出ても無駄だ、地球で修行した方が効率がいい。

 

 俺の性格的に亀仙流は合わないだろうし、既に修めてる鶴仙流を極める方向性が手堅い。

 特に鶴仙流は殺人術のようなもの。速射・連射性、貫通力の高いどどん波をはじめ、舞空術や太陽拳、気功砲など凄まじい技はいくらでもある。独学で修行して気功砲擬きを身につけはしたが、鶴仙人に弟子入りして正規の技術を身に着けた方が基礎力も身につくはずだ。

 

 よし。そうと決めたら実行あるのみ。俺は早速行動に移った。

 

 秘境にある家を捨て人里に降りる。

 悪党を見つけては蹴散らして、「俺は三蔵、鶴仙流の三蔵だ」と吹聴して回るのだ。

 人々を虐げているレッドリボン軍の基地にも乗り込み鶴仙流を自称して騒げばいい。

 たしかレッドリボン軍は鶴仙人の弟、桃白白と繋がりがあるはず。こうしていれば武門の看板を背負っている鶴仙人も俺を無視できまい。最初は強く当たって後は流れでいこう。

 

 なーに、どうとでもなるさ。俺は超サイヤ人、スーパー三蔵なのだ。

 

 

 

 ⸺⸺と、気楽に構えていた俺だったけども。

 

 どうも思ってたより、地球の治安が終わっていた件について。

 

 

 

 悟空が冒険に出る時期より十年以上昔の今、世間を賑やかす悪役は絶頂期にいたようだ。

 

 悪役とは、レッドリボン軍。ドラゴンボール初期で、少年悟空に壊滅させられる奴ら。

 漫画の読者視点だとショボくてヘボい、コメディチックな奴らで悪役としての迫力が足りないように見えていたが、リアルで実際に見たらとんでもない悪党共だった。

 ……いや、もともとエグい奴らではあったか。描き方でコメディっぽく見えてただけで。

 

 レッドリボン軍は『軍』と名についている通り軍隊を装っているが、かなりガチめなテロリストであり、国の軍隊を歯牙にも掛けない軍事力を持つ、義理人情のない私設武装集団だ。

 進出した地域の現地民を徴用し、強制労働をさせて基地を作るのなんて当たり前。漫画の作風的に描写されてなかったが、婦女子への狼藉を働く者も多く、見ていて気分はよくない。

 

 そんなレッドリボン軍、略してRR軍の躍進には裏がある。RR軍にはドクター・ゲロとかいう超天才科学者がいて、国軍より優れた兵器を多数開発しているのだ。

 国がコイツらに敵わないのは仕方ない、あの人造人間シリーズを作り上げるような異次元の天才が関わってるんだ、普通の地球人に太刀打ちできないのは当然ってもんだ。

 主人公の孫悟空は、コイツらをぶちのめしていく中で様々な冒険を重ねる。RR軍との戦いは悟空の大事な経験値の一部であり、俺が横取りしていいような奴らじゃないんだが……。

 

 親を射殺され泣き叫ぶ子供がいた。

 家や畑を焼かれ呆然とする老人がいた。

 服を破かれ悲鳴を上げる女がいた。

 労働力として捕まりトラックに載せられる男がいた。

 ……逃げ惑う者達を追いかけて、虜にする外道共がいた。

 

 

「………」

 

 

 確か一回『自己催眠』を自分にかけてる時、野盗に襲われてる人を見殺しにしてたな俺。

 罪滅ぼしってわけじゃないが、あの世でも一部の人間は生前の功績を認められて、特別に肉体を与えてもらえてたはず。……善行は積み得ってのが分かってるのはアドだ、やらない善よりやる偽善ってことで、癪に障る奴らをぶちのめしても別にいいんじゃねぇかなって気がしてきた。

 楽してズルして超サイヤ人になった俺だけど。

 神様に恵んでもらった力で俺スゲーしてるみたいでダセェ気もしなくもないけど。

 どうとでもできる力が手元にあるのに、理不尽な目にあってる人達を見殺しにすんのは流石にダメだろ。ここでこの人らを見殺しにした日にゃ、普通に人として終わっちまう。

 

 

「……怖ぇから恐怖の感情は切っといて……うし、いっちょやってみっか」

 

 

 最初から決めてたことでもある。売名しながら悪い奴らをぶっ飛ばすだけだ。

 俺はSS化したまま飛翔し、RR軍に襲われている村の救援に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なにィ? わしの『鶴仙流』を騙る小僧が現れただと……? それは本当か、パイパイ」

 

 

 某所。

 偶の息抜きにでも来ていたのだろう、南国のリゾート地を想起させる海辺に彼はいた。

 武術の神と名高い武天老師以上の戦闘力を持つ達人、鶴仙人はある報せを受けていた。

 

 

「ああ、本当だ。RR軍の派遣部隊を蹴散らし、基地を襲ったそうだ。そこで自らを鶴仙流と自称しておったと。どうする、兄さん」

「ふん! わしの技を騙るだけあって、RR軍の奴らは敵わんかったか。そこでレッドの小僧はパイパイを呼び出し、どういうことかと詰め寄ったというのだな」

 

 

 中華風の衣装を纏った伝説の殺し屋、桃白白は常になく険しい表情で肯定する。

 桃白白は兄から技を授かり、脱サラして殺し屋になったという異色の経歴の持ち主だ。尋常の武道家と異なり、武芸へのリスペクト精神など持ち合わせておらず、兄と同じく最終的に勝てればなんでもよいのだという思想を持っている。

 だが、こと鶴仙流となると話は変わる。自らの流派であり、兄から授かった技を騙る手合いに対して、武道家ではない桃白白といえど愉快な気分になどなろうはずもない。

 

 そしてそれは鶴仙人にも同じことが言える。

 自らが考案し、編み出した技を、どこの馬の骨とも知れぬ輩に騙られては殺意を抱く。

 ゆえにどうするという問いは愚問だ。鶴仙人は件の相手を殺すことを決めた。

 が、それはそれとして、まずは相手が何者かを特定する方が先である。

 

 

「パイパイ、わしらの看板に泥を塗っておるというのが、どこの誰か分かっておるのか?」

「なんでもサンゾウと名乗っているらしいぞ。兄さんに心当たりは?」

「なに、サンゾウ?」

 

 

 名を聞き、鶴仙人の脳裏に既視感がよぎる。

 聞いた覚えがある、どこで聞いた? と記憶を探れば既視感の正体はすぐ分かった。

 鶴仙流の完成を以て、自ら仙人を号してより暫く後のこと。鶴仙人は自らの師、武泰斗の道場にいた同門の男の子孫を弟子に取ったことがある。その男は変わり種で、武泰斗の道場でも数少ない鶴仙人の友だったのだ。先祖のよしみで特別に技を教えてやったのである。

 桃白白は知らないだろうが、関係性で言えば彼の兄弟子にあたるだろう。名はニゾウ、名の響きがサンゾウとやらに類似していた。鶴仙人はもしやと思い、抱いた殺意を鈍らせる。

 

 桃白白は兄の殺意が鈍ったのを感じ取ったのだろう、訝しむように眉根を寄せた。

 

 

「……心当たりがありそうだな、誰なのだそのサンゾウとやらは」

「……まだ分からんが、わし自ら確かめたくなった。わしも件の輩に会いに行ってやろう」

 

 

 鶴仙人は冷酷非情、勝つためならどんな汚い手も許容する悪人だ。

 しかし彼も自らの弟子に関しては情を持っている。いや……正確にはかつての友の子孫、自分が鍛えた弟子に対しての情だ。弟を除けば鶴仙人が唯一甘い顔をする存在である。

 

 愚かにも龍球という伝説を盲信しており、それを探し出すという先祖伝来の使命に殉じ、自分の許から離れていった愛弟子。龍球であのピッコロ大魔王を消す宿願を持った男。

 もし彼が血と使命を残していたなら、サンゾウとやらはニゾウの孫かもしれない。

 思えば長く生きてきた。あと十年と少しで三百歳を超える。子はなく、肉親は桃白白のみ。そんな自分にとって、弟子の子孫ともなれば、多少は気になるというもの。

 

 サンゾウに会う。もしニゾウの孫でなく、関係のない赤の他人であったなら殺す。

 それだけ決めて、鶴仙人は重い腰を上げた。

 

 ⸺⸺この何気ない決断が、彼とその弟、桃白白の運命を大きく変えることになるとは、神ならぬ彼らには想像もつかないことであった。

 

 

 

 

 

 

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