超生物が担任を務めて自分を殺そうとしている生徒を育てる……
そんな不思議な教室が始まったのは数日前だ。ここまで朝の朝礼時に全員での一斉射撃 個別での暗殺をみんなが何回も実行しているが一度もダメージを与えられた事は無い。ナイフで攻めても銃で数発連続で別々の所に撃っても簡単にかわされる。このままの手法では殺せるとは全く思えない……
「……中村さん。暗殺は授業の妨げにならない時にと言ったはずです! 罰として後ろで立って受講しなさい!」
「……すいませーん。そんなに真っ赤になって怒らなくても」
授業中に不意打ちで中村が撃ってみてもチョークで簡単に掴んで止めるのだ。後ろを見ていて撃ったところを見てなくてもそう簡単に失敗させられるならまじで殺せる気がしない……まぁ授業はすごいわかりやすいから教師としてはいいのかもしれないけど……
現に今あの超生物は昼休みになった瞬間に昼食として麻婆豆腐を四川省まで食べに行った。マッハ20をそんな風に使うなら一緒に連れて行って欲しい…… それがあればジンギスカンが食べたい時は北海道にとんこつラーメン
を食べたい時は博多に一瞬で行ける。今度頼んでみようかな?
俺がそんな時を考えてる時に他のクラスメイトは超生物がマッハで空中を飛びながら採点をしていたり、教えるのが上手いなどと教師としての部分について話していた。
だが、
「……ま、でもさ俺ら所詮E組だしな」
「頑張っても仕方ないけど」
楽しそうに話していた彼らの顔は一瞬にして陰の部分が表に出る。このクラスは普通の中学生の生徒達とは違う
椚ヶ丘中学校 東京にある私立中学の進学校だ。偏差値66 外から見たら椚ヶ丘の制服を着ているだけで優等生と思われるだろう。しかしE組は違う。3年E組 正式名称は「椚ヶ丘中学校特別強化クラス」E組に集められる生徒は成績不良や素行不良しかいない。いわゆる落ちこぼれである。
E組は毎日山の上の古びた旧校舎を使っていて、学食もなく、トイレも汚い、劣悪な環境で勉強させられる上に部活動への参加も禁止され、学校行事も低待遇での参加となる。本校舎の生徒や教師からのいじめや嫌がらせも公然とされていて、このことからエンドのE組と言われている。
E組に対しての嫌がらせを見た校舎の生徒達はE組に落ちたくないと危機感を持った生徒達の成績を上げる。はたから見たら合理的な制度であるが、E組に落ちた今になればたまったもんじゃない。まぁ俺の場合は素行不良で落ちてきてるから自業自得なんだけど
そんな風に思っているとクラスの男子で最も身長が小さくて顔を中性的であるため女子ともよく間違えられる潮田渚がガキ大将の寺坂君に攫われて行った。渚は優しいから一緒にご飯を食べてくれるんだけどな……まぁ寺坂に俺が何を言っても反抗されるからほっとこう。仲良く暗殺の計画をしてるだけかもしれないしね。そう思い登校中に見ていた映画の続きを見ることにした。
「お題にそって短歌を作ってみましょう。ラスト7文字は『触手なりけり』で締めてください。『花さそふ、嵐の庭の、雪ならで、はえゆくものは、触手なりけり』かけた人は先生の元に持ってきなさい。チェックするのは文法の正しさと触手を美しく表現できたかです。出来たものから今日は帰ってよし!」
昼休みが終わり国語の授業での課題は締めを『触手なりけり』にしろって言うけどさ、現代語訳で触手だったのだなぁで終わらせる短歌なんかどうやって作るんだよ……
「先生しつもーん」
「……? なんですか茅野さん」
「今更だけどさぁ 先生の名前なんて言うの? ほかの先生と区別する時不便だよ」
「名前……ですか。名乗るような名前はありませんねぇ。なんなら皆さんでつけてください。今は課題に集中ですよ」
「はーい」
それにしてもこんなに難しい課題を俺に当てんなよ……どうやって当てたらいいんだよな……真剣に考えていると渚が立ち上がったのが視界に入った。紙の上にはナイフがあるのが見える。ここまで運動神経が良い前原や磯貝が挑戦しても呆気なく失敗してるのに正直運動能力がそこまで高くない渚が正面から攻撃して成功する確率なんて低いだろう…… ちなみに短歌は出来た。『眠れぬ夜 窓を叩くは 恋心と思いきや 触手なりけり』真面目に考えたら負けだと思い作った1句である。
「お、もう出来ましたか渚君」
顔色がピンク色になっている超生物の元に渚は歩いていき近付いた瞬間に隠し持っていたナイフを振る。しかし触手を使って腕を掴まれてナイフは体には刺さらなかった。
「……言ったでしょう。もっと工夫を」
その瞬間に渚はふわりと超生物に体を預けた
「しま……!」
渚が体を預けた瞬間に寺坂が席から立ち上がり何かのスイッチを押した。
すると、大きな音ともに大量のBB弾が教室を飛び散った
自爆テロかよ……恐らくおもちゃだけど火薬とBB弾が詰まった手榴弾を渚の首にかけさせてたのか……それで近づいた瞬間に赤外線スイッチで爆発するようなってる。主犯は寺坂 村松 吉田か 今も100億円を手に入れたと確信したのでバカみたいに騒いでいる。けどそんな自爆テロなんて中学生でも考えられる方法で殺せたらいとも容易く手に入る100億の首だな。それぐらいなら防衛省だけでも殺せるだろ
やっぱり……寺坂が渚と超生物に近づいてるけど何かおかしいみたいである。
「実は先生月に1度ほど脱皮をします。脱いだ皮を爆弾に被せて威力を殺した。月に一度だけ使える先生の奥の手です」
超生物の声がするのは上 つまりは天井だ。そこには顔色を真っ黒にしているタコがいた。人なら青筋があるように見えるように浮かんでいる眉間のシワで彼がとてつもなく怒っているのはよく分かった。
「寺坂、吉田、村松。首謀者は君らだな」
「えっ、いっ、いや、渚が勝手に」
寺坂達の返答を待たずに超生物は動き出す。教室に凄まじい風にを残して教室からとてつもないスピードで校舎から出ていく。そして帰ってくるのも一瞬で、風圧が残っている間だ。そして超生物の腕の中には多数の表札があった。しっかりと我が家の表札もある。早く戻さないとバレた時に大変になるな……
「政府との契約ですから先生は決して君たちには危害を加えない。だが、次ももし今の方法で暗殺を計画したら……君達以外には何をするか分かりませんよ。家族 友人……いや君達以外を地球から消しますかねぇ」
ここまでの時間はたったの5秒 そしてこの5秒でこのクラスにいる全員が思った。
『どこに逃げても逃げ場はない。どうしてもころしたければ殺すしかない』
「なっ……なんなんだよテメェ……迷惑なんだよ! いきなり来て地球爆破とか暗殺しろとか……迷惑な奴に迷惑な殺し方して何が悪いんだよ!」
腰を抜かして漏らしてそうなぐらい震えたままで涙も流している寺坂が最後の力を振り絞って抗議する。
「迷惑? とんでもない 君達のアイデア自体はすごく良かった」
超生物は急に顔色をいつもの黄色に変えそして顔には丸を出していた。
「特に渚君。君の肉薄までの自然な体運びは100点です。先生は見事に隙を付かれました」
「……!」
「ただし! 寺坂君たちは渚君を、渚君は自分を大切にしなかった。そんな生徒に暗殺する資格はありません! 人に笑顔で胸を張れる暗殺をしましょう。君達全員それが出来る有能な暗殺者だ。暗殺対象である先生からのアドバイスです」
マッハで褒めてマッハで叱る
普通の教師にはありえない事である。しかしそのアドバイスは愛があるように思えた。
……その愛のあるアドバイスはまるで──を思い出すような……
「……さて問題です 渚君。先生は殺される気などみじんもない。皆さんと3月までエンジョイしてから地球を爆破します。それが嫌なら君達はどうしますか?」
「……その前に先生を殺します」
口元を少しニヤリとさせながら答えた渚の回答に満足した超生物は顔色をシマシマにさせてニヤリと笑う
「ならば今殺してみなさい。今日は先生を殺した物から帰ってよし!」
「そんな課題みたいに出来たら苦労しねぇよ……」
思わず出た独り言と周りの反応は同じだった。
「……殺せない……先生……あ 名前 殺せんせーは?」
そうして超生物の名前は『殺せんせー』と決まった