戦隊終わったら異世界でゴジュウウルフになりました 作:仮面大佐
今回は、狼真の過去が語られます。
太陽の森へと赴いた灯悟たちは、道中でフーカ/ゴジュウイーグル、ニルギリ/ゴジュウティラノ、そしてラーニヤ/アメンと出会った。
最初こそ誤解から戦闘になったものの、互いに事情を話し合ったことで争いは収まり、一行はそのまま太陽の森でしばらく過ごすことになった。
「それじゃあ、見ててね。……これがエルフ族に代々伝わる魔法――刻印魔法だよ」
一人のエルフが巨大な岩へ指先で紋様を刻み込む。
刻印が淡く輝いた次の瞬間、そのエルフは自分より何倍も大きな岩を、まるで木の枝でも持つかのように軽々と持ち上げてみせた。
「おぉ……」
「なるほど……軽量化の刻印で岩そのものを軽くしているのね」
ロゥジーが素直に驚き、イドラは仕組みを見抜くように頷く。
刻印魔法とは、物体へ刻印を施すことで様々な効果を付与するエルフ秘伝の魔法だった。
「他にも、飛来の刻印魔法で矢羽無しでも矢筒の木の棘を飛ぶようにしたり…………ラクダチョウの鞍や水を汲んだ水瓶を軽量化させたり、色んな事に使ってるんだ」
「まるで即席の魔道具ね」
「他にはどんな刻印があるのかしら?」
「そうね〜………障害物を壊す為の爆砕とか………他にも色々あるんだよ」
説明を聞いたイドラとテルティナは興味深そうに頷いていた。
すると。
「ふむ」
ニルギリが何気なく、刻印の施されていない巨大な岩の前へ歩み出る。
「……え?」
それを見て、イドラがそう反応する中、ニルギリはそのまま片手で岩を持ち上げると――
くるっ、くるっ、くるっ。
まるでサッカーボールを指先でリフティングするかのように、人差し指一本の上で巨大な岩を高速回転させ始めた。
「「えぇぇぇぇぇぇぇっ!?」」
それを見たイドラとテルティナは思わず絶叫する。
「ちょ、ちょっと待って!何でそんなことできるのよ!?」
「刻印魔法を使ってないですよね!?」
二人は驚いてニルギリに尋ねると、白真が答える。
「ああ。ティラノの指輪は怪力を底上げする能力が――」
「白真、よく見て」
「……え?」
白真はそう説明する。
ゴジュウティラノの指輪の能力として、怪力が付与されるのだ。
すると、白真は莉奈に指摘されて、ニルギリの手を見る。
すると、そこにはティラノの指輪はなく、外していたのだ。
「はぁぁぁっ!?」
それを見た白真の目が見開かれる。
ニルギリは岩を回転させたまま、涼しい顔で口を開く。
「余は幼少の頃より、この身を鍛え上げてきた」
ニルギリはそう言うと、回転していた巨大な岩をピタリと止め、片手で静かに地面へ戻す。
岩を戻したニルギリは口を開く。
「この程度のこともできなくて、王子は名乗れん」
誇るでもなく、ごく当然のように言い放つ。
次の瞬間――
「おおっ! さすがはニルギリ様!」
「これぞ我らエルフ族が誇るプリンス!」
「やはり王子様は違う!」
「ニルギリ様、万歳!」
「プリンス!プリンス!プリンス!」
周囲のエルフたちは目を輝かせ、一斉に歓声を上げる。
それを聞いたイドラは。
「いやいやいや!この程度じゃないから!刻印魔法の説明が全部吹き飛んだじゃない!」
イドラが突っ込んで、思わず額を押さえる。
白真はまだ信じられないという表情でニルギリを見つめる。
「……ティラノの力じゃ、なかったのかよ」
「当然だ」
白真がそう呟く中、ニルギリは平然とそう言い、紅茶を一口飲んで、続ける。
「宝は持つ者の器を映す。余が鍛えてきた力あってこそ、この指輪も真価を発揮するのだ」
ニルギリはそんな風に告げながら、ゴジュウティラノの指輪を見つめる。
すると、メガネを掛けたエルフが胸に手を当て、尊敬の眼差しを向ける。
「これこそ、我らエルフ族の王子――プリンスエルフ……ニルギリ・ファング様です!」
そのエルフはそんな風に言う。
その様子を少し離れた場所から眺めていたラーニヤのもとへ、灯悟が歩み寄る。
「すっかり仲良しになったみたいだぜ」
「伝承の赤き戦士様………」
「それは流石に長いからやめて欲しいぜ。レッドって呼んでくれ!」
「はい。それでよろしければ」
灯悟がそう言う中、ラーニヤがそう言うと、灯悟は照れ笑いを浮かべながら頭を掻く。
すると、灯悟は口を開く。
「ところで、どうしてそんな寂しそうな顔して見てたんだ?」
「寂しそうに…………ですか?そうですね。私にも以前………あんな風に仲良くしていた人間が居ましたので…………」
「それって…………アジールって奴の事か?」
「え?どうして…………?」
「他のエルフがアジールに怒ってた時、なんだか悲しい顔をしてただろ?」
「…………顔に出ちゃってましたか」
灯悟がそう聞くと、ラーニヤはそんな風に呟いた。
それを聞いて、灯悟がそんな風に言うと、ラーニヤはそんな風に呟いた。
灯悟がそう言うと、ラーニヤは小さく苦笑しながらそう呟いた。
「そんなに仲良かったのか?」
「ええ。父上に連れられてククジャへ赴いた時、よく話していました」
灯悟がそう聞くと、ラーニヤはそう答える。
当時のアジールは軽薄な性格で、最初は少し苦手だった。
それでも、お互いに将来は街や里を背負う立場だったからこそ、不安を打ち明け、励まし合い、いつしか親友と呼べるほどの仲になっていた。
しかし今は違う。
「ですがもう………彼はこの森の敵です………!次に戦う時は、この森の防人アメンとして、私情を捨て、必ず討ち倒します!」
ラーニヤは拳を握り締める。
その強い決意に、灯悟は力強く頷き――。
「ああ!その後で仲直りだな!」
「えぇ⁉︎私の決意聞いてました⁉︎」
「ああ!仲直りだ!」
「一度完全に敵対した相手となんて………どれだけ仲が良かったとしても、元の関係に戻れるわけないじゃないですか」
それに対して、灯悟はそう叫ぶと、ラーニヤはそう突っ込む。
灯悟の言葉に対して、ラーニヤは呆れたようにため息をつく。
それでも灯悟は真っ直ぐだった。
「確かに。全く元通りって訳にはいかないぜ。だけどな。」
灯悟はそんな風に言うと、静かに笑う。
「ぶつかり合った絆は、より強固でガッチリした厚い絆になる事だってあるんだぜ!」
その瞳には、自らの経験が映っていた。
そこから、灯悟は己の経験を語っていく。
「俺も以前………兄弟のように育った親友と戦った事があったんだ。だけど、全力でぶつかり合って、相手の気持ち、考えを受け止めて、最後には前より強い絆を結び直す事が出来たんだ」
灯悟はそう言い終えると、最後に力強く言い切る。
「絆は何度だって、どんな相手とだって結び直せる!」
灯悟はそんな風に言うと、ラーニヤは思わず目を見開く。
「本当に…………出来るでしょうか?そんな事が…………」
「ああ!だから、アジールの奴をぶっ倒したら、何を考えているのかとっちめてやろうぜ!」
自信のなさげなラーニヤの発言に対しても、そんな風に答える。
しばらく黙っていたラーニヤだったが、やがて柔らかな笑みを浮かべた。
「………あなたは不思議な方ですね。言ってる事は青臭くて滅茶苦茶なのに、妙な安心感と説得力がある」
「うん?それ、褒めてる?」
「あの………出来ればその話、聞かせてもらえませんか?」
ラーニヤがそんな風に言うと、灯悟は首を傾げながらそう言う。
一方その頃。
「色々勉強になったわ。刻印魔法って、エルフの生活に密着してるんだなって」
「ある意味、イドラさんの理想に近いですよね」
イドラはエルフたちへ礼を述べる。
テルティナがそんな風に言うその時だった。
「…………うん?そう言えば、レッドと狼真達は?」
「…………ん」
イドラは灯悟の姿がない事に気づいた。
周囲を見渡す中、ロゥジーはある箇所を指差す。
イドラがそちらを見ると。
「ああ!良いぜ!どこから話したら良いかな………!」
その先には、楽しそうに話し込む灯悟とラーニヤの姿があった。
「……………」
イドラはラーニヤと仲良くする灯悟を見て嫉妬したのか、目をガン開きにして、灯悟を睨んでいた。
「イドラさん、目ぇ!」
テルティナが慌ててツッコミを入れる。
すると、ロゥジーに話しかける。
「それで、狼真さんたちは?」
「一人のエルフとあの自称プリンスと一緒に、どこかへ向かわれましたよ」
テルティナの質問にロゥジーはそう答えた。
その頃、狼真たちは一人のエルフに案内され、森の奥へと歩いていた。
「おい、どこに行くんだ?」
「もう少しです!ぜひ案内したい場所がありまして!」
「そういえば、あなたのお名前を聞いてなかったわね」
「あっ、申し遅れました!私、リュートと申します!テガソード様を信仰する者です!」
狼真達は一人のエルフに連れられて移動していた。
莉菜が名を聞くとそのエルフはリュートと名乗り、テガソードを信仰する者であった。
その名を聞いた狼真と白真は顔を見合わる。
「なんか……暴神竜儀みたいだな」
「ああ」
リュートが暴神竜儀に似ていると思った狼真と白真はそう呟いた。
やがて一行は開けた場所へ辿り着く。
「着きました!ここがテガソードの里です!」
「……やっぱり」
「予想通りね」
「へぇ〜!本当にテガソードちゃんの名前なんだ!」
リュートが案内したのは、テガソードの里だった。
光輝と莉奈は予想通りの反応でフーカは興味深そうにしており、歓迎するようにリュートが笑顔を浮かべる。
「ようこそ!こちら、テガソード様パンです!色んな味があります!」
「そしてパンによく合うティーだ。飲むがいい」
リュートはそんな風に言うと、パンを渡して、ニルギリも紅茶を差し出す。
「ありがとな」
狼真はお礼を言いつつ、パンを食べていく。
パンは狼真とフーカがチョコ、莉菜がジャム、白真がクリーム、光輝がバターだった。
「うめぇな、これ」
「う〜ん! 美味しい!」
「紅茶ともよく合うわね」
「悪くねぇな」
「チョコ味最高〜!」
テガソード様パンは、狼真達には好評だった。
「ところで他には何があるんだ?」
「はい!テガソード様コーヒー、テガソード様ブレンドコーヒー、テガソード様フラッペなどがあります!」
「そこまで一緒かよ………」
光輝がそう聞くと、リュートはそんな風に他のメニューを紹介する。
リュートの紹介に狼真は呆れていた。
すると、リュートは胸に手を当てた。
「それでは!テガソード様に選ばれし指輪の戦士の皆様とテガソード様へ敬意を込めて、不肖リュート!一曲歌わせていただきます!」
「うわっ!?グランドピアノ!?」
「どこから出したんだ……」
リュートはそんな風に言うと、グランドピアノを出してくる。
いつの間にか出したグランドピアノを片手で持ち上げて、フーカが驚き、白真は呆れる
さらにエルフたちが集まり始める。
『い〜や〜さ〜か♪ い〜や〜さ〜か♪』
リュートは他のエルフ達と共に、テガソード様讃歌が盛大に始まった。
「始まった……」
「あれ?聞かなくていいの?」
「まあ、大丈夫じゃない?」
「無理して聞く必要もないだろう」
「だな。さっさと行くぞ」
「やれやれ……」
一同は長くなりそうだと判断し、そっとその場を抜け出し、イドラたちとの合流へ向かう。
その背中を見送りながら、狼真は歌い続けるリュートを振り返ると。
「……アイツがティラノの指輪を拾わなくて、良かった……」
狼真は小さく呟き、立ち去っていった。
その後、狼真達は灯悟達の方へと向かっていた。
「………抜け出したけどよ、あいつらほっといてよかったのか?」
「気にするな。テガソードへの賛歌を歌って、満足するからな」
「ニルギリはテガソードの事は崇拝していないの?」
「嗚呼、力をくれた神としか思っておらん」
「まあ、いいのではないか?」
狼真達は歩きながら話す
ニルギリは、リュート達と違って、特にテガソードを信仰している訳ではなかった。
そんな中。
「ん?おお、お前ら!戻ってきたのか!」
「おう」
「何を話していたんだ?」
「ええ。レッドさんの過去を聞いていまして」
「過去?」
灯悟が狼真達に気づいて話し掛けると狼真達は反応する。
白真が質問にラーニヤは答える。
光輝が反応すると
「トウゴっちの昔の話!?聞きたい!聞きたい!」
「そうだな………本当に色々あったぜ」
フーカは興味津々で目を輝かせて、灯悟は呟いて語っていく。
どのようにして、キズナレッドの力を手に入れたのか。
そして、キズナレッドとしての戦いで起こったことを語っていった。
「………中でも、清弘との戦いは本当に大変だったぜ」
「清弘?」
「ああ。俺の家族だ」
「………家族か」
「うん?」
灯悟が語っていくと家族という言葉に狼真が反応し、灯悟が返答する。
すると、狼真は何とも言えない表情を浮かべ、フーカは首を傾げる。
そこから、灯悟は語っていった。
かつて、交通事故によって、両親を亡くした灯悟。
灯悟は、進藤家に引き取られた。
そこで、進藤家の人々とは仲良くしており、進藤清弘とは、親友といえる関係になっていた。
だが、高校3年の頃、両親と妹が灯悟の方ばかりに注目しているという思い込みをつかれ、ウラギリスの手によって、バンソウキラーと呼ばれる怪人になってしまう。
その時は、ソーラーアクエリオンと呼ばれるロボの介入もあって、元に戻して、絆を結び直すことに成功した。
だが、事あるごとに嫉妬心を起こして、バンソウキラーになってしまい、13回の戦いの末に、元に戻ったのだと。
「………そ、そうか」
「きよっち、病みすぎ!」
「まだ、完全には戻っていなかったのか……」
「まあ、嫉妬って誰にでもある事だしね」
「清弘はそれが激しかったんだろうな」
「まあ、無理もないけどな」
狼真が何とも言えない表情でそう言う中、フーカとニルギリは頭を痛め、莉菜、光輝、白真は少しだけ同情すると。
「ローマっち、大丈夫?」
「あ?」
「いや………きよっちの話を聞いた時、なんか悲しそうな顔してたから」
「っ!」
フーカは狼真に対して、そう尋ねる。
様子が少し変だったと感じたのか。
すると。
「そういえば、レッドの話は散々聞いたのに、あんたのことはまだ知らないことがあるのよね」
「確かに………事あるごとにはぐらかしていた様な………」
「そうだな。遠山狼真、テルティナ様を煩わせないためにも、さっさと吐け」
「俺も、狼真と本当の意味で絆を結びたいぜ!だから………頼む!」
それを聞いたイドラ達はそんな風に反応する。
狼真が過去を伏せていた事が気になっていたのか。
「ちょっと……無理に聞こうとしないでよ」
「そうだぞ」
「お前ら、ちょっと落ち着け」
「………む?」
それに対して、莉菜達はまるで狼真を庇う様に言う姿にニルギリが傾げる。
「いや、話してやるよ。だけど、後悔すんなよ?」
「おい………!」
「いいの?」
「ああ、どうせいつか話すつもりだったからな。それに………いつまでも俺は弱くねぇよ」
「そうか」
狼真は了承して、それを聞いた白真と莉菜が聞くと狼真はどこか覚悟を決めた表情で告げると彼は己の過去を語る。
「………俺の家族は、大した事はない普通の家族だった……親父におふくろ、そして兄貴がいたんだ」
「へぇ〜!狼真にもお兄さんが居たんだな!」
「まぁな。兄貴は俺よりも優秀でな、色んな賞を取ったりしてたんだ」
狼真が兄のことを語っていくと灯悟は意外そうな声をあげて、狼真は小さく頷いた。
「………それのどこが後悔することなの?」
「至って普通の家族じゃないですか」
「ならば、何故伏せる必要がある?」
「………それは、長くは続かなかったからだ」
「えっ?」
それに対して、イドラ、テルティナ、ロゥジーは疑問を抱く、今の話だけなら、狼真がわざわざ語ることを躊躇する理由が見当たらなかった。
だが、狼真は低い声で答える。
「………ある時、兄貴が俺を庇って亡くなった。そこからだ。家族の雰囲気が一変したのは」
「えっ?」
「どういうこと?」
「親父とお袋は、亡くなった兄貴の代わりになる様に、俺に厳しく接してきた。それまで以上にな」
「えっ………⁉︎」
狼真は拳を握り締めることもなく、ただ過去を振り返るように語った。
狼真の兄は、狼真を庇う形で亡くなってしまった。
その結果、両親は狼真が兄の代わりになる様にと、厳しく接する様になったのだと。
それを聞いた灯悟の顔が強張った。
兄を失った悲しみ。
その代わりを、両親は残された弟に求めた。
それだけでも十分に重い話だった。
「で、でも………それって、狼真に期待してたからとかじゃ………?」
「………親父とお袋は常々、こう言ってたよ。『何でお前が生き残ったんだ。お前が代わりに死ねば良かったんだ』ってな」
「はっ………⁉︎」
「何だその言い方は………⁉︎」
「親父とお袋からしたら、俺は兄貴の代わりにもなれない存在だったってわけだ」
イドラは別の可能性を考えて恐る恐る聞く。
それに対して、狼真の声は、驚くほど静かだった。
両親にとって、狼真は兄の代わりになれない出来損ないとしか思われていないのだと。
実際、狼真の脳裏には。
『この出来損ないの弟が!』
『本当よね〜。お兄ちゃんを見習ったらどうなの?』
『お前のような出来損ないが、夢なんて持つんじゃない!』
かつて浴びせられた罵りが過っていた。
それを聞いて、テルティナは唖然とし、ロゥジーも目を見開いたまま黙り込む。
あまりにも理不尽だった。
兄を失った悲しみを、狼真にぶつける。
そして、兄の代わりになれないことを責め続ける。
それが、狼真が生きてきた家族の姿だった。
「………そんな生活を続けるうちに、嫌気がさして、家を出たんだ。まあ、勘当されたのもあったけどな。そして、俺は白真達の助けを借りて、一人で生きていったんだ」
そして、狼真は淡々と話を続ける。
そんな生活に嫌気がさして、狼真は勘当されたのもあってか、家を出ていった。
そして、白真達の助けも借りつつ、一人で生きていった。
灯悟は、ふと今までの狼真の生活を思い返した。
無駄な出費を徹底的に避ける。
安く済ませられるものは、徹底的に工夫する。
食材も無駄にしない。
そんな狼真の「節約術」。
それが単なる倹約家としての性格ではなかったことに気づく。
「もしかして………これまでの節約術というのも、それで培ったのか?」
「ああ」
狼真は短く答えた。
そこへ、白真達も口を挟む。
「………まぁ、こいつの環境には思うところがあったからな」
「それで、光輝様達は狼真が最低限生きられるように、手助けをしたのだ」
「とはいっても、金銭面は光輝がどうにかして、特撮とかは白真が見せて、私は色々と料理とかを教えたりした感じかな」
三人は、それぞれ自分達にできる方法で狼真を支えていた。
金銭面を支える者。
好きなものを与える者。
生きていくために必要なことを教える者。
それぞれの形で、狼真を助けてきたのだ。
その話を聞いたニルギリとフーカは
「………ぬしも苦労したのだな」
「ローマっち、辛いことがあった分。この世界で楽しくやろうよ」
「………ああ」
ニルギリはそう言って、手にしていた紅茶を狼真へ差し出す。
隣では、フーカが明るさを失わないように笑顔で話し掛け、狼真は短く答えて紅茶を一口飲む。
「………もしかして、レッドみたいに元の世界に戻りたいとか言わないのは………」
「ああ。戻ったところで、居場所なんてねぇからな。特段、戻りたいとは思わねぇよ」
イドラは、狼真が灯悟みたいに元の世界に戻る方法を探していない理由を察して聞くと、狼真は即答する
実際、狼真の中に前世への未練は全くなかったのだ。
灯悟が何かを言いかけようとした瞬間、狼真が口を開く。
「………あっ、そうだ。ニルギリ、フーカ。お前らにこれを渡しておくわ」
「むっ?」
「えっ?」
狼真はある指輪を二人に渡す。
ニルギリにはキングオージャー、フーカにはブンブンジャーの指輪を渡したのだ。
「キングオージャーとブンブンジャーの指輪だ。厄災や魔王軍と戦う為にも、戦力は多いに越したことはないだろ」
「へぇ〜………!ありがとうね!」
「うむ。ありがたく使おう」
狼真は厄災や魔王軍と戦いに戦力を増やす為に二人に渡した
フーカとニルギリがお礼を言うと、白真が口を開く。
「そういや、お前、ティラノ指輪はどこで手に入れたんだ?」
「これの事か?それは……ある日、余がティータイムを楽しんでいた時であった」
白真は、ニルギリに指輪をどこで手に入れたのかを聞く。
それに対して、ニルギリはある事を思い出しながら語っていく。
ある日、ティータイムを楽しんでいると。
『………む?』
突如、空から何かが飛んできてニルギリの手元に現れる。
『なんだ、これは?』
ニルギリの手元に現れたのは、ゴジュウティラノのセンタイリングだった。
指輪を拾うと、謎の空間に転送される。
『ここは………?』
『来たか。ティラノの指輪に選ばれし者よ』
『む?』
ニルギリが周りを見渡す中、後ろから声を掛けられ、振り返るとそこにはテガソードがいた。
『ぬしは予言に記されていた神か?』
『そうだ、私は巨神テガソード。お前に頼みがある』
『頼みだと?』
『ああ。指輪に選ばれた他のゴジュウジャーと共に、魔王軍と厄災達と戦ってほしい』
ニルギリの質問にテガソードは名乗り、指輪に選ばれた彼に、他のゴジュウジャー達への協力をお願いする
それに対して、ニルギリは。
『………いいだろう。同胞とティーを守る為に、戦ってやろう』
ニルギリは了承した。
これが、ゴジュウティラノの指輪を手に入れた経緯だった。
その経緯を聞いた後、ロゥジーは口を開く。
「もう少し、まともな奴を選ばなかったのか、テガソードは……」
「もう!そんな固いこと言わないの、ろうくん!もう少し柔らかくチャララっといこうよ!」
「貴様は脳天気すぎるわ!後、その呼び方はやめろっと言っているだろう‼︎」
「アッハハハ!そんなに怒らないの!スマイルスマイル!ろうくん!」
「黙れぇぇぇ!焼き鳥にするぞ‼︎」
「にっははは!因みにフーカちゃんは焼き鳥の鶏皮が好きです!」
「貴様の好みなど、どうでもいいわ!」
ロゥジーは頭を押さえながら呟き、フーカはヘラヘラと笑っており、
そこから、二人が漫才を繰り広げていく中。
「ううっ………!うわぁぁぁん!」
「どうしたんだぜ⁉︎」
すると、エルフの子供が泣き出して、灯悟は子供に駆け寄る。
エルフの子供は口を開く。
「前に………厄災に襲われて……殺されそうになって………!」
「その時は、ニルギリ様が助けてれたけど………またアイツらが来たらって思ったら………!」
『まだ不安が残っている……無理もないわね』
前に襲われた時のことを思い出していたのか、泣いていた。
厄災のモリス達に殺されそうになり、ニルギリに命を救われたが、その時の恐怖がまだ残っていたのだ。
莉菜はその悲しみに共感し、ニルギリが何かを言う前に。
「ん?」
狼真とフーカが子供達に近づき、しゃがんで目線を合わせて、ニルギリが首を傾げると
「「ばぁぁぁ!」」
『………えっ?』
『あははは!』
狼真とフーカは変顔をする。
突然のことに一同が驚愕する中、子供達はそれを見て笑い出して一緒に変顔をして笑い出す。
ある程度、子供達が笑うと。
「心配すんな……厄災だろうが、なんだろうが俺たちがぶっ飛ばしてやるよ」
「だからは安心して笑って。お姉ちゃん達を信じて!」
「二人とも………」
狼真とフーカは、安心させる様に笑顔で言う。
イドラが微笑むとニルギリが口を開いた。
「ぬしらよ……こやつらに任せて不安になる気持ちはわかる」
『えっ?』
「自由奔放で不真面目で傲慢不遜の不快で迷惑極まりない奴らだが……」
『そこまで酷くねぇよ!それにお前が言うな‼︎』
ニルギリの傲岸不遜な発言に、心の中で一同が突っ込むと
「だがしかし……こやつらの言っていることも覚悟も本気だ」
『っ!』
「聞け!皆の者‼︎」
ニルギリは言葉を紡ぐと次の瞬間、彼の叫び声が響き渡り、全員が反応し、彼に視線を向ける中、ニルギリは口を開く。
「今一度改めてここに宣言する!この太陽の森の王子、ニルギリ・ファング!アメンの継承者にして次期族長のラーニヤ!伝承の赤き戦士である浅垣灯悟と遠山狼真!そして余のナイト達が滅びの厄災と絶望を打ち払い、我らの自由と平和の未来を取り戻す‼︎」
『うぉぉぉぉぉっ!』
「ニルギリ様〜!」
ニルギリは高らかに宣言する。
それを聞いたエルフ達からの歓声が響き渡る。
子供達も拍手をして歓声を上げた
そこには先程の不安は消えていた。
「すごいわね………」
「何か、ダシのように扱われた気がするが………まあいいだろう」
それを見ていた莉奈と光輝が呟くとラーニヤは。
「………やっぱり、ニルギリはすごいですね……」
「ラーニヤなら、もっとすごい族長になれる筈だぜ!」
「ありがとうございます」
ラーニヤはニルギリを尊敬する反面、少しだけ嫉妬していた様な表情を浮かべながら呟き、灯悟の言葉を聞いて、気持ちが晴れたのか、ラーニヤはお礼を言う
「………ん?何ですか?これ」
テルティナの元に何か、カードの様なものが降ってきて、テルティナはそれを手に取る。
すると。
「っ⁉︎」
「テルティナ様⁉︎」
「きゃあ⁉︎」
「イドラ⁉︎」
「えっ⁉︎何が起こってんの⁉︎」
「な、何だこれは⁉︎」
「気をつけろ!そのカードに触れると、吸い込まれるぞ!」
テルティナは突如、カードに吸い込まれる。
ロゥジーとフーカが驚く中、イドラだけでなく、他のエルフ達もカードに吸い込まれていく。
太陽の森に、厄災が迫りつつあった。
今回はここまでです。
4ヶ月も待たせてしまい、申し訳ありませんでした。
アジール達が襲来する直前までの話です。
そこから、狼真の過去が明かされました。
兄がいたが、狼真を庇って亡くなってしまい、狼真は悲惨な生活をしていたという。
遠野吠とは違う意味で、はぐれものとなりました。
その為、前世への未練はこれっぽっちもないという。
それには、灯悟も思うところがある反応をしていました。
そして、アジール達が襲来する。
果たして、どうなるのか。
感想、リクエストは絶賛受け付けています。
原作の異世界レッドは、とんでもない内容になっていきましたね。
まさか、灯悟が死亡してしまうとは。
絶望感が半端ないですね。
果たして、どうなってしまうのか。
ちなみに、その話に関しては、こちらではどうするのかは未定です。
今後の展開などでリクエストがあれば、受け付けています。
テガジューンも、金のテガソードと銀のテガソードに続いて、メモリアル化しましたね。
この調子で、グーデバーンも来るかもですね。