死の体現と呼ばれた人間は透き通った世界で先生に 作:烙印バンザイ
バギーのなかでは小野と生徒が話していた。
「先生は来るのでしょうか?」
「ああ、奥空さん…それは大丈夫ですよ…というかそろそろ」
「え?それってどういう…」
「おい、小野…」
「え、ええええ!!」
「うへー、先生、何でバギーと並走してるの?」
「そんな些細なことはどうでもいい…トラックの中に黒上がいるらしい…とりあえずあのトラックを止めるから安否を確認してくれ」
「先輩…ところでその背中に背負った物は…」
「あ?高火力の兵器があるんだろ…俺も少し暴れることにした」
「あ、ああ…」
「それじゃあやりますか」ダッ!!
俺はバギーを追い抜かしてトラックまで走り抜けた。
「あの〜なんで走りでバギーより速いんですか?」
「…それは先輩ですから」
——————
(ガタン、ガタン)
「う、うーん……。……へ?」
トラックではセリカが目を覚ましていた。
「こ、ここは!?私、さらわれた!?あ、う……頭が……。」
(ガタン、ガタン)
「ここ……トラックの荷台……?ヘルメット団め……私をどこに連れて行くつもりなの……。暗い……けど、隙間から少し光が漏れてる。外……見えるかな。」
荷台の隙間から見えた景色は砂漠と線路が見えた。
「線路がある場所って……ま、まさかここ、アビドス郊外の砂漠!?……そ、そんな。ここからじゃ、どこにも連絡が取れない!もし脱出できたとしても、対策委員会のみんなにどうやって知らせれば……。
「どうしよう、みんな心配してるだろうな……。このままどこかに埋められちゃうのかな。誰にも気づかれないように……。」
…何が起こるかそれが起こるまで分からない…当たり前だと思っていたことはふとした事で簡単に壊れることだってある…
セリカの脳裏に先生が言った言葉が流れてきた。
「う……うぐぅ……。」
「おい!ヘルメット共!!宅配、ご苦労様…うせろ」
「えっ?」
外から聞いたことがある声が聞こえた瞬間
ドカーーーーン!!!!
「う、うわああああ!!!」
トラックは止まり爆発した。
「カハッ、ケホッ……ケホッ……。な、何っ!?爆発!?トラックが爆発した!?」
「セリカちゃん発見!生存確認しました!」
「……あっ、アヤネちゃん?!」
「こちらも確認した、半泣きのセリカ発見!」
「なにぃー!?うちの可愛いセリカちゃんが泣いただと!そんなに寂しかったの?ママが悪かったわ、ごめんねー!!」
「う、うわああ!?う、うるさいっ!!な、泣いてなんか!!」
「嘘!この目でしっかり見た!」
「泣かないでください、セリカちゃん!私たちが、その涙を拭いて差し上げますから!」
「あーもう、うるさいってば!!違うったら違うのっ!!黙れーっ!!」
怪我をしているようだったが、ツッコミを入れられる元気はあるようだ。
「とりあえず安心だな」
「そうですね」
「な、何で先生まで!?それに小野さんもどうやってここまで来たの!?」
「僕たちはバギーで来たんですけど先輩は…」
「走ってここまで来た…」
「ど、どうして?」
「何を言ってるんだ…先生が生徒を助けないわけないだろ」
「バッカじゃないの!?」
「そうかもな…ただ今はそんな話をしてる暇はないな」
「前方にカタカタヘルメット団の兵力、多数確認!!」
カタカタヘルメット団の集団は銃火器を持ち俺達を包囲していた。さらに戦車も数両いるようだった。
「黒見、傷だらけでボロボロだろ?バギーの中で休んでろ」
「ち、ちょっと片手に持ってるのは何?」
黒見は俺が片手に持っていた物に指をさした。俺の片手には両刃の剣の形をした物だったが刃はついていなかった。
「あ、これか?俺は元々、近接武器と銃を使って戦うんだよ…まあ正直…本来の近接武器じゃないけど…戦車やら生徒ならこれで充分」
「先輩、手伝います」
「分かった、もう1両はそっちに任せる。」
「…分かりました。」
「さてと、小競り合いにしてはやりすぎな気がするけど…それじゃあ早く突破して帰るとしますか」
ヘルメット団との戦闘が始まった。
「・・・・・・・」
ドン!ドン!ドン!
「うわあぁぁ!!助け…」
ドガァ!!
俺は向かってくるヘルメット団を武器で攻撃した。剣の形をしていたが斬撃系ではなく打撃系の武器である。
(あの異常な動きをしてくる先生には勝てないけど…狙うならあのヘイローもない男なら…)
「あの〜」
「え?」
ドン!ドン!
「確かにあの人とかがイカれてるのは同意ですが…ヘイローがないからてこっちもなめないでください…こう見えて僕の同期の成績ならトップ3に入ってましたからね…まあ同じ年にいた年下より下でしたが…先輩やアイツが異常なだけで…僕も一応、戦える方ですからね」
(くそ〜!あのヘイローもない男も強い…とりあえず…隠れて…手負いの…」
「…砂狼さん、そこに隠れている人がいて黒見さんを狙っているので迎撃を」
「…ん、了解」
砂狼は小野の言っていた場所にドローンでミサイルを撃つと隠れていたヘルメット団が倒れた。
「なんで分かったんですか?」
小野は十六夜の疑問に少し考え
「先輩!」
「どうした…小野」ドガァ!
「異能の事を教えていいですか?」
「はあ?」
小野の質問に俺は呆れてしまった。俺がもといた場所では異能を使える人間がいる。異能を使える人間は少なくはないが強力であるほど重宝されている。まあ、その分、胸糞悪い事はいっぱいある。それに
「お前は良いのか?」
能力を教えるということは警戒され対策される。
「大丈夫だと思います」
「言うのは人の勝手だが自己責任だからな…」
(まあ、小野の能力なら大丈夫だろ…俺は知らないけど)
そうは言っても出会って数日しか経っていないがアビドスのメンバーなら大丈夫だと思った。
「僕は人の考えていることが読めるんです。普段はオフにしてるんですけど戦闘で周囲の思考を読んでいるので隠れていても考えているだけで分かります…まあ、思考を読んでも僕が反応できない動きをしてきたり思考を読めなくしてくる人には効かないんですけどね。」
「そんな、馬鹿な話信じるか!!」
「信じなくてもいいですよ…まあ、襲いかかってくるなら容赦はしませんけど」カチャッ
ドン!ドン!ドン!
小野は襲おうとしたヘルメット団は返り討ちにあい気を失った。
「あ、先輩?はい、砂狼さん!先輩からの指示でドローンのミサイルで戦車の装甲が薄い場所を攻撃をしてくれだそうです、そして皆さんでそこを銃で攻撃らしいです。」
———
ある程度、ヘルメット団を気絶させると戦車が目の前にいた。
「さてと戦車か…まあ、さっさと片付けるか」ダッ!
俺は今出せる最大の速度で戦車に向かった。
「流石にあの先生でも戦車には…あれどこに消えた?」ドガッ!
俺は戦車の上に登り主砲を武器で限界まで殴り続けた。すると、
バキッ!!
「あっ」
俺が持っている武器が砕けてしまった。
「どうしよう、まあ…」
「え?」
ドカーーーン!!
戦車の主砲が折れ砲弾を撃ち込もうとしたのか戦車は自爆してしまった。
「さてと…」
俺は戦車に乗っていたヘルメット団の安否を調べた。
「相変わらずキヴォトスの住民て頑丈なんだな…」
どうやら気を失っているだけだった。
ドカーーーン!!!
「お、あっちも終わったみたいだな……」
俺は戦車の破片を拾い小野達の元へ向かった。
————
「……格下のチンピラごときでは、あの程度が限界か。主力戦車まで送り出したというのに、このザマとは。ふむ……となると、目には目を、生徒には生徒を……か。専門家に依頼するとしよう。」
男はある場所に電話をかけた。
「はい、どんなことでも解決します。便利屋68です。」
「仕事を頼みたい、便利屋。」
————
「はあ……はあ……。うわああっ!!」
(タタタタタタタタンッ!!)
「ぐうっ!!」
「あーあー、こっちは終わったよー。」
「こっちも制圧完了だ、ボス。」
「う、うう……何者だ、貴様らは……。」
「……ふふふ。」
(グリッ)
「うあああっ!!ま、まさか、アビドスの!?よくも我々を……。」
「はあ、こんな不潔で変な匂いのする場所がアジトなんて。あなたたちも冴えないわね。……いいわ。あなたたちを、労働から解放してあげる。」
「な、何だって!?」
「要するにクビってこと。現時刻をもって、アビドスは私たちが引き受けるわ」
「ふっ、ふざけた真似を!貴様らは一体……。」
(ガツッ!!)
「うわああっ!!」
「私たちは、便利屋68。金さえもらえれば、何でもする……。なんでも屋よ。」
アビドスに新たな面倒事が来ている事はまだ誰も知らない。
————
俺は黒見の様子を見るために保健室に入った。
「はあ〜、あ、れ……?先生!?ど、どうしたの?」
「見舞いに来た。」
「……ああ、私なら大丈夫。いつまでもこうしちゃいられないし。アヤネちゃんや他のみんなも心配してるし……バイトも行かなきゃだし。だ、だから、お見舞いとかいいから!ほら見て、元気だし。」
「一応、バイト先には休みだと連絡しておいた。」
「え!?」
「そんな体で無茶させる訳ないだろ、だからとにかく今は休め」
「は、はい」
俺は持っていた武器の整備をすることにした。
「・・・・・・・」
「・・・・・・・」
しばらくの間、保健室は話し声は聞こえず整備の音が響いていた。。
「あ、あの……え、ええとね……。そういえば、先生にちゃんとお礼を言ってなかったなあって、思って……。あ、ありがとう……色々と……。」
「それは、俺以外にも言っとけよ他の対策委員会のメンバーはもちろん小野も手伝ってくれたから」
「……でもっ!この程度でアビドスの役に立てたなんて思わないでよね!この借りはいつか必ず返すんだから!」
「ああ、その時は頼む」
「な、何よ!?ヘラヘラ笑ってんの!?」
「!…そうか笑ってたのか…」
「な、なによ…じゃあ……また明日ね!」
「ああ、また明日」
俺は保健室から出って泊まっている部屋に向かった。
「…先生になってお礼を言われるのが多くなってむず痒いな」
昔の職場では感じたことのなかった感覚だった。
「……少し気になることもあるし調べるか」
ヘルメット団の発言や兵器を見て裏に何かがいるような気がしたので少し調べることにした。
便利屋にもオリキャラを追加します。