えぇ?!俺がworld:Bに転生ですか?! 作:観測者
……まぁええか!
「私に差し出せるものかい?私はしがない名探偵。せいぜい差し出せるのはこの探偵としての才覚と──君の息子と同じ能力を持つ者としての助言かな?」
「何?!」
携帯のスピーカー越しに、トモコさんの声が聞こえてくる。声の調子はいつもと変わらず、父の声にも全く動じていないようだ。対する父は、目に見えて動揺している。俺に対して、目で「この話は本当か?!」と聞いている……ように見える。
……ので、さっさと誤解を解くことにしよう。
「さっさと電話をかけてしまったから言いそびれたけど、これは本当。未来視で見たのは彼女の危機だけではなく……日記を書いている場面も見てしまったんだ。覗き見るようで悪いとは思ってるけど、おかげですんなり同じ力を持ってると信じて貰えたよ」
当然、未来視のくだりは嘘ではある……が、トモコは間違いなく本物の
「──と、まぁそういうことでね。私のことが信頼できないのも無理はないが、少なくとも君の息子の信頼を得ることはできている、という訳だ。同じ力を持っていると話が早くて助かるね」
「……なるほど。そういうことならひとまず納得はできる。それで、俺は何処へ行けばいいんだ?」
父さんがそう言うと、通話越しにトモコさんは大きなため息をついた。通話越しに聞こえるほどだ。そんなに大きな懸念事項があったのだろうか?
「そこなんだよね。シュウジ君が言うのが早すぎたのかはわからないが、私の下には
その時だった、ノック音がスピーカーから聞こえてきた。来客だろうか?
「トモコさん!今いいですか?!──って、通話中でしたか」
「いや、構わない。要件は何かな?」
「それが──ヨウジの調査に向かったリサから定期報告が途切れて、もう1時間は経つんです!」
「!!……そうか。まずは現状確認だ。周辺に居る人員を集めて、方針を決めようじゃないか」
どうやら、本当に例の事件が起こってしまったらしい。そうなると、後はどうするかだが……
「聞こえていただろう?どうやら未来視が現実の物になってしまったようでね。恐らくは私が向かうことになるだろう。私が向かう場所は再度電話して伝えることにするが……方法は君たちに任せるよ」
そう言った直後、彼女から通話が切られてしまった。しばらく向こうは慌ただしくなることだろうし、一旦休憩でもしようか……
「父さん、そういうことでご迷惑をかけてしまいますが、よろしくお願いします。こっちは一旦部屋に戻ってやれることがないか整理してみます」
「お前は相変わらずだな……まぁいいだろう。あいつからまた連絡が来る前に話が通じそうな人員に声をかけてみるとしよう」
そういう訳で、父に見送られて部屋に戻って来た。探偵事務所を出る時には既に暗くなっていたのもあり、かなり夜も更けている。そろそろ姉ちゃんも帰ってくるだろうし、その前に日課を済ませよう。
自室の窓を開ける。春の夜ということもあり、心地良い風が吹き込んでくる。風に紛れて、見覚えのある紫色の蝶がふわりふわりと飛んでくる。まるで意志を持つかのように蝶は差し出された俺の手に止まり、そしてその姿を変える。見覚えのある封蝋で閉じられた、小包へと。
小包を開封すると、
指示書に従い、採血と表皮の採取を済ます。サンプルを小包の中に戻すと、再び小包は蝶の姿に戻る。毎回気になっているが、あれだけの質量をどのように蝶のサイズに格納しているのだろうか? そんな疑問も氷解しないうちに、蝶は飛び去ってしまった。
この作業が始まったのは、いつ頃だっただろうか?恐らくは1年ほど前に"彼"からの手紙を蝶が運んできたのが発端だが……まぁ、今の所はこれが俺の力の正体を探る唯一の手段なのだ。身内の安全も保障して貰えるし、手段は選んでいられない。
このサンプルの分析に時間を費やしているからか、父さんが言うにはデスゲームの開催頻度はかなり減っているらしい。
ひとまず、父さんに電話がかかってくるまでは待機だろう。仕事帰りにこんなことを頼んでしまうのは本当に申し訳ないが……俺だって今日の今日まで知らなかったのだ。仕方がない。
探偵事務所では、今どんな会議をしているのだろうか──
そろそろ試験期間なので更新頻度が死にます(予言)
まぁその間にガバプロット書き上げるので更新できるようになったら話はしっかり進むはず……