えぇ?!俺がworld:Bに転生ですか?!   作:観測者

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前回から予想できたとは思いますが、ほぼ会話で地の文ありません。

誤字修正や感想、非常に励みになっております!ありがとうございます!!


えぇ?!父さんと話し合いですか?!

 父の様子からカマをかけてみたのだが、見事に的中していたらしい。

 見開かれた目と、部屋の寒さからは考えられない発汗量。素人目から見ても動揺していることがわかる。そう思っていたところで急に手を掴まれ、捲し立てられるように問い詰められた。

 

「何処でその事を知った?! ……まさか、あいつに何かされたのか?!」

 

 父も動揺しているし、どうにかして説得しないといけない。

だが、どこまで話していいものだろうか……

体の現状に反して脳内ではどうにか説得する方法を見つけようと思考を続けていたが、幼い肉体の影響なのか、自分の視界が涙で滲んできた。

泣き落としをしたい訳ではないんだが……

 

 俺の涙を見たのだろうか、父の手を掴む力が緩んだ。このままだと跡になりそうな力加減だったので放してくれてありがたい。そう思っていたところ、父から俺に話しかけてきた。

 

「すまない、シュウジ。怖がらせてしまったな。でも、この事は俺の仕事に、そしておまえ自身にも関わる大事な事なんだ。何故覆面の男について言い当てられたのか教えてくれないか?」

 

「その事なんだけど……それについて答えるためにも一つ、こっちの質問に答えてくれないかな? その答えを聞いたらこっちも話すから」

 

「わかった。何を聞きたいんだ?」

 

 一応、ハロウィンでの事例のようにまだ格好が近いだけの類似犯などの可能性がある。あんな不審者が何人も居てたまるかという話ではあるが……

 

「さっき言った趣味が悪いスーツを着た覆面の男についての話なんだけど……それって、紫色のベースに緑色の唇があるようなデザインだった?」

 

「そうだな。頭には王冠のような装飾も着けていた」

 

「もう一つだけ。さっきの質問の内容から薄々予測はできるけど、その男は未来に起きる事件について予言したりした?」

 

「その通りだ。現状、痕跡を残さず接触してきただけの人物だから信憑性はないがな」

 

「ありがとう。今更だけど警察の情報って口外を禁じられてたりしない? 大丈夫?」

 

「小さい息子に話したところで意味はないだろう……それに、重要な情報を手に入れるための投資というところもある。もちろん、教えてくれるな」

 

 そう言って、父は俺の目をまっすぐ見つめた。俺が話せ、という事だろう。

 決めた。全ては話さなくとも、違和感の無いように起こるはずの未来について少しだけ共有しよう。後々の為にも、信頼してもらう必要がある。流石に前世の記憶から……と言う訳にはいかないが。

 

「わかった。まず、お父さんは疑問に思わなかったかな? 今のやり取りもそうだけど、僕は小学校入学前とは思えないぐらいには知性と語彙力がある。不自然な程にね」

 

「そうだな……だが、カミさんが死んでお前達二人だけで過ごす時間も増えたし、一人で色々なことをする分自然とそうなってしまったのかと思っていた」

 

「そこに関しては、実際のところは姉ちゃんにおんぶにだっこでお世話になってるだけで僕自体は全然成長してないんだよね……僕はともかく、姉ちゃんの苦労は労わってあげた方がいいよ」

 

「そこに関してはすまなかった、後で感謝を伝えておこう……ということは、おまえの歳に見合わないその頭脳と語彙力には何か別の理由があるんだな?」

 

「そうなんだよね。実はね、父さん。僕、母さんが死んだ時ぐらいからときどき、断片的に未来が見えるようになったんだ。途切れ途切れの映像みたいな感じで、音声はあったりなかったり。僕は、この現象を“ビジョン”って呼んでいる」

 

「ビジョンか……つまりシュウジは、それで俺と奴が相対する所を偶然見た、という訳だな? 理解はしたくないが……」

 

「そうだね。ビジョンは、特定の人物の重要なターニングポイントが流れることもあれば未来に起きる災害について映し出すこともあるんだ。とはいえ、災害に関してはとある一つの災害についてが殆どでね……色々な事件について予言しているゲームマスターは少なくともこれとは別の手段で災害を知ったんじゃないかな?」

 

 俺がそう言った後、父は顎に手を当てて考え始めた。彼なりに聞いた情報を噛み砕き、理解した上でどうするべきか考えているのだろう。張り詰めていた雰囲気を緩めるためにもお茶を入れていると、顔を上げた父から質問が飛んで来た。

 

「その特定の災害について聞いてもいいか? 少なくとも、繰り返し見るということは相当の人物が関わっているんだろう。予防できるならしておいた方がいいんじゃないか?」

 

「それに関しては言うか迷ってるんだ。僕の行動次第で未来が変わる可能性もある。大げさに言えば、災害のことについて父さんに話した影響で発生が数年早まる可能性だってあるんだ。そもそも、ビジョンについて誰かに話したのもこれが初めて。これ以上は検証してから話したいんだ」

 

「そういうものなのか……お前の力についてはわかった。これ以上は深入りしない。だが、それならその語彙力はどうしたんだ? いくらなんでもおかしいだろう?」

 

「それについては、よくわかっていないんだ。仮説としては、未来の色々な場面を音声付きで見ているから脳がそれに適応しようと発達した、というのが一つ。もう一つは、この力が未来の自分自身と何らかの力で繋がっていることにより発生していて、その繋がりの影響で頭脳が強化されているという仮説だね。その場合、未来の僕は随分頭がいいみたいだけど」

 

「ということは、少なくともお前は奴に何かされた訳ではないんだな?」

 

「僕が認識している限りではね。何かされた上で記憶を消された可能性もある」

 

「なるほどな……教えてくれてありがとう、シュウジ」

 

 父は、続けて俺に言い聞かせるように言った。

 

「他人に頼るのは勇気の要る事だが、頼ってこそみんなの力を借りてみんなを守れるんだ。全然凄そうに聞こえないだろ? でも、俺はそうやってみんなを頼り続けてきた末に伝説の刑事と呼ばれるようになったんだ」

 

 そう言って、父は俺の頭を撫でてくれた。刑事としての経験を積んできた父の手は思っていたよりも固く、傷付いていた。

 

「そんなに言うなら、父さんの知り合いも紹介してよ。僕には家族以外にそんな頼れる人がいないからね」

 

「いいだろう。だが交渉はお前にやってもらうぞ? 信頼は自分で勝ち取ってこそだ」

 

 にやりと笑ってそう言った父の顔に、もう陰りはなかった。




 ということでヘイジロウとの信頼関係構築回でした。
 "ビジョン"に関しては、本編に登場するトモコやノゾムといった一部のキャラが持つ、消滅発生中/後の光景を未来視のように見る能力である"Vision"から主人公が名前だけ借りた、ということでお願いします。
 「不敵なる気鋭探偵」にて、トモコが消滅以外のとある光景について見た旨の発言をしていたため、シュウジが父に伝えた"ビジョン"との差異はそこまでないはずです。
 一応書くにあたってランキングや降臨、一部イベントストーリーを再読しているのですが設定に矛盾などがありましたら申し訳ありません。
 文章の拙さに関してはこういった経験が全くないので今後に期待していただければと思います。
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