ハル『ナイスパス!雷ちゃん!』
懐かしい夢を見ている。
銀牙『お兄。パース。』
小学生の頃、ハルくんと同じクラブでサッカーをしていた時の夢だ。
僕も銀牙もハルくんも、みんな楽しそうにサッカーをしてる。
でも次の場面では…
バシュ!
『ゴーール!!!見ましたか皆さん!?今の円堂ハル君のスーパープレー!若干12歳にしてこのプレー!まさに“怪物”!“サッカーモンスター”ですッ!!!』
ハルくんは突然覚醒した
本当になんの兆しなく
まるで蕾が開いて花になるかのようにさも当然に
雷紋『そんな…。』
その光景を見ていた僕は唖然とし。
銀牙『おお…!“ワクワク”だぁ…!』
銀牙は目を輝かせてハルくんを見ている。
もしかしたらあの時の反応が僕たちの未来を分けたかもしれない。
銀牙はたださえ高かったサッカーセンスを更に成長させ今では日本で唯一ハルくんに匹敵するとさえ言われるサッカープレイヤーとなっている。
それに対して僕はどうだ?ジュニアリーグでは妹とハルくんの影に隠れ大した成果もあげられずに今では“じゃない方の兄”とさえ呼ばれる始末。
僕も必死に努力しているにも関わらずだ。
ねぇ。教えてよ。僕は一体どうしたら“
……………
…………
………
……
…
雷紋「…夢か。最っ悪の寝起きだ…。」
ベッドから起きた僕は部屋を出てリビングに向かう。既に父さまも母さまも職場に向かっているから家には僕と銀牙しかいない。
父さまが用意してくれた朝ごはんを食べながらネットニュースを見る。今朝のネットニュースは2つの話題でもちきりになっていた。
『“
『“
まあ予想してたけどやっぱり反響が凄いな。特に銀牙。
ハルくんは賞賛のコメントばっかだけど銀牙に関しては本当に賛否両論真っ二つに割れてる。
『サッカーを舐めてる』とか『かわいいからって調子に乗りすぎ』みたいなド正論コメントがある一方で、中には『これぞ“怪物”の血筋』、『流石は狂人・稲魂雷牙の娘』だとかコメント主の正気を疑うものも散策される。
銀牙「あ。ハルくんだ。」
雷紋「ぴゃぁぁぁぁぁ!!!ぎ、銀牙!?い、いつのまに…!?」
銀牙「今起きた。お兄。あたしの朝ご飯は?」
雷紋「…冷蔵庫にあるよ。チンして食べな。」
銀牙「はーい。」
相変わらず心臓に悪い。
コイツ寝起きで頭が覚醒してない時は気配消して動くから近くにいるのが分かんないんだよ…。
雷紋「…あっ。そういえばアリス先輩から連絡があったよ、今日の練習が終わってから監督室に来いってさ。」
銀牙「ふーん。」
雷紋「ふーんってオマ…、絶対この前の居眠りの件に決まってるだろ。あの試合は勝てたからよかったけどもし負けてたら帝国の看板に泥を塗るところだったんだぞ。」
銀牙「大丈夫。お兄がいたから。」
雷紋「確かに僕も点を取ったけどさー!そういう問題じゃないんだよー!あー嫌だー!なんで妹のミスが原因なのに兄だからって呼び出されなきゃいけないんだよー!」
銀牙「説教が長くなったら目を開けたまま寝ておけばいい。あたしはいつもお兄の説教が長い時そうしてる。」
雷紋「オマエのその父さま以上に図太いメンタルだけは尊敬するよマジで。」
その後銀牙の髪をセットし終わった僕たちは家を出た。その足取りは足枷を嵌められているかのように重かった。
……………
…………
………
……
…
アリス「君達兄妹には帝国の帰属校の助っ人に行ってもらう。」
雷紋「…へ?」
練習終了後、監督室に呼び出された僕たちにアリス先輩が掛けた言葉は前回の試合での叱責などではなかった。
予想外にもほどがある内容に思わず間抜けな声が出てしまう。
アリス「FF予選出場への権利を賭けた試合に助っ人として来て欲しいらしい、FF予選でも帰属校同士の一時的な助っ人は認められている。父さ…総帥も承諾したため君達を送る事に決定した。」
雷紋「なるほど事情は理解しました。でも…それだったら銀牙だけでよくないですか…?」
アリス「逆に聞くが君は銀牙だけを送った場合どうなるかくらい想像がつかないのか?」
雷紋「ごめんなさい僕が愚かでした。」
…にしてもFF予選出場権を賭けた練習試合か…。うーんどこかで聞いた事がある話。
件のサッカー部は自力で権利を掴み取ったけどその学校はわざわざ別学校に助っ人を要請するなんて少し不甲斐ない気がするな。
雷紋「それで…、その帰属校の対戦校はどこなんですか?」
アリス「…雷門中。」
雷紋「…え?」
前言撤回。そりゃ銀牙を呼ぶわ。だって相手は全国王者なんだもん、そりゃダメだよFF予選に出れるか否かっていう学校に全国王者ぶつけたら。蟻と恐竜がプロレスするみたいなもんじゃん。
てかよく雷門は練習試合を引き受けたよね。
アリス「試合は明日の正午雷門中で行われる。まあ場所は君達が一番よく知ってるだろう。くれぐれも遅れないようにしてくれ、特にそこで目を開けたまま失神している彼女は。」
銀牙「zzz…。」
雷紋「あはは…、あとで僕から伝えときますー…。それじゃお疲れさまでしたー!」
これ以上アリス先輩の怒りを買う前に僕は銀牙を背負って監督室を後にする。
それにしても雷門との試合かぁ…、もしかしたらハルくんも来るのかなぁ。…いや多分試合をするのは二軍以下のチームだろうしそれはないか…。
♢
???「優しいなぁアリスは。銀牙の付き添いだとか言って雷紋にリベンジのチャンスをくれてやったんだろ?」
稲魂兄妹が監督室から出て行った直後どこからか甲高い声が聞こえる。だが監督室にはアリス1人しかいない筈だ。
では今の声は誰なのか?答えは意外な人物だった。
アリス「優しい?俺がか?
アリスは自身の右手に装着したウサギのパペットに話しかける。まるで本当に生きている人間に話しかけるように。
ウサギ「ああそうさお前は前々から妹の方じゃなくて兄の方に目をかけているだろ?」
アリス「…違うな。ただ俺は確かめたいだけだ、あいつの
アリスの脳裏に浮かぶのは雷紋と初めて会った時に掛けられた言葉だ。
雷紋『“負ける”前から“勝つ”こと以外を考えるなんて…、そんなのバカみたいじゃないですか…!』
アリス「…見せてもらおうか稲魂雷紋。君のその信念がどこまで本物なのかを。」
アリスはそう呟くと帰属校に選手リストを送り部屋を出た。
♢
雷紋「ハッ…!ハッ…!ハッ…!」
今の時刻は夜22時。普通の中学生なら眠りについている時間にも関わらず僕は近所の公園をドリブルで駆け回っていた。
理由は単純、緊張して寝られないからだ。そりゃそうだろ、明日試合するのはあの“怪物”円堂ハルが所属する王者雷門なんだ。
デビュー戦で散々な目にあった僕にとってはリベンジのチャンスでもある。
雷紋「…でも流石にもう帰ってベットに入った方がいいよね…。」
例え眠れなくてもベットに入れば休息にはなる。ただ闇雲に身体を動かしていても休息がなければ害にしかならない。
そろそろ帰ろうか…そう思っているとどこからかボールをリフティングする音が聞こえてくる。
雷紋(…?珍しいなこんな時間に僕以外に人がいるなんて…。)
僕は周囲を見渡すと数m先にボールの持ち主がいた。その人は夜遅いにも関わらず青と黄色の二色で構成されたユニフォームを着ている僕より1歳年上くらいの中学生のようだった。
雷紋「アレって父さま世代の雷門のユニフォームだよな…。凄いなアレ、レプリカでも結構高いのに…。」
よっぽど僕の視線が強かったんだろう。旧雷門ユニフォームを着た謎の人影は僕の視線に気づくとリフティングを止めボールを足元に置いた。
雷紋「あ…すみませーん!ちょっと珍しいユニフォーム着てたんで気になっちゃいましたー!別にガンは飛ばしてませーん!」
あんまり人のこと言えないけどこの時間帯までここにいる人はガラの悪い率が高いからね自分は無害ですアピールでこの場を切り抜けるように布石を貼っておく。
でも奥の少年はニヤッと笑みを浮かべると突如ドリブルを開始した。それも凄いスピードで。
雷紋(や、ヤバい…!怒らせちゃったか…!こ、ここは退散…!)
身の危険を感じた僕は急いでその場から逃げ出す。
その時だった。
後ろの方で地面を蹴る音がし気になってしまった僕は思わず後ろを見る。
そこにはさっきまでいた少年の姿はなかった。
雷紋(え…?どこに…?)
???「上だ。」
声の方向を見るとそこには僕の頭上にいる旧雷門のユニフォームを着た少年がいた。
それだけじゃない。街頭の外にいたが故に見えなかった顔が月明かりによって照らされ露わになる。
だが彼の顔は僕にとってあまりにも見覚えがありすぎる顔だった。
???「ハッ、なんだよ?その笑える顔は?まるで幽霊でも見たリアクションじゃねーか?」
説明しよう。今僕の頭はパニックに陥っている。様々な可能性が頭の中に巡るとどれも非科学的な答えしか出せないでいる。
それほどまでに目の前の少年はありえない存在なのだ。
稲妻のように逆立ったヘアースタイル。
天然物ではなく明らかに染めている黄金色の髪。
まるでライオンのように鋭く力強い瞳。
その姿は…
アルバムで見た中学時代の父さまその人だった。
雷紋「父…さま…?」
雷牙?「おー、半分正解半分不正解ってとこだな。」
あまりに超次元すぎる展開に僕はそれから数十分腰を抜かしたまま動けなかった。
なお今作の主人公達の強さtierは
円堂ハル≧稲魂銀牙>>>>>>>(絶対に超えられない壁)稲魂雷紋
となってます。
試験的に台詞の頭にキャラの名前を入れています。もしもコッチの方の反応がよければ『HEROS』も世界編から同じ形式にする予定ですのでアンケートお願いします。
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コッチ(名前あり)
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アッチ(名前なし)