魔法少女リリカルなのはZ   作:りおんざーど

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仲直り 大きな犬って、アルフさん?

 《5人共、戻って来て》

 「了解……」

 《で、なのはさんとユーノ君、保栄君、志蓮君には私直々のお叱りタイムです》

 

 降り落ちてくる水滴の中で、聞こえてくるリンディ提督のその言葉には怒りと呆れなどの感情が入り混じったものに感じ取ることが出来た。

 

 

 

 

 「指示や命令を守るのは個人のみならず、集団を守る為のルールです。勝手な判断や行動が貴方達だけでなく周囲の人達を危険に巻き込んだかもしれないという事。それは分かりますね?」

 「「はい……」」

 「(思わず生意気な事を口走ったり、行動に走っちゃったけどどうしよう……。絶対怒ってるよね。というか怒っているに違いない。嫌われたかな、幻滅されたかな……どうしようどうしよう。やべえよ、やべえよ……)」

 「本来なら厳罰に処すところですが」

 

 聞いているだけだと単純に怒っている様に感じられるが、その言葉には確かに優しさが有り、此方の事を想ってのことだということが理解できる。

 

 だがそれは普段通りの心持ちならば理解できるという事だ。今の俺は自分の考えなしの行動を悔やみ、その事で頭が一杯で周りの事など見えはせず、声も聞こえない状態だ。

 

 「(教えた途端に簡単に使ってしまうなんて……。なのはは……これが天性の才能というものか。クソッ……俺の才能は与えられたモノで無理やり創りだしたものだしな……すげえよな、本物は)」

 「…………」

 

 志蓮の方はというと目を閉じながら何処吹く風といった感じにリンディ提督の御小言を聞き流している。右から左へと、その言葉はただ無意味に耳の中を通り過ぎていくだけだ。

 

 「結果として幾つか得るところがありました。拠って今回の事については不問とします。ただし、2度目は在りませんよ。良いですね?」

 「はい」

 「すみませんでした」

 

 その2人の素直な謝罪の言葉にリンディ提督は一息付く。

 

 「さて、問題はこれからね」

 「クロノ、事件の大元について何か心当たりは?」

 「はい。エイミィ、モニターに」

 《はいはーい》

 

 机の真ん中に紫色の髪をした妙齢の女性が映しだされる。

 

 「――あら!」

 「そう。僕達と同じミッドチルダ出身の魔導師、プレシア・テスタロッサ。専門は次元航行エネルギー開発。偉大な魔導師でありながら違法研究と事故によって放逐された人物です。登録データと先の魔力波動も一致しています。そして、あの少女フェイトはおそらく……」

 「フェイトちゃん……あの時母さんって」

 

 先程の海での出来事を、雷に撃たれたフェイトの言葉を思い出すなのは。

 

 「……親子、ね」

 「そ、その……驚いてたって言うより何だか怖がっているみたいでした」

 「エイミィ。プレシア女史についてもう少し詳しいデータを出せる? 放逐後の足取り。家族関係。その他何でも」

 《はいはい、直ぐ探します》

 「ん? 今何でも」

 『黙っていろ雄介。今はそういう雰囲気じゃないのはわかっているだろ?』

 『わかってるさ。此れ以上は巫山戯ないよ』

 「(この人がフェイトちゃんのお母さん……)」

 

 

 

 

 

 時の庭園。

 

 其処ではまた鞭で何かを叩く音が、小さな少女の悲鳴が響き渡っていた。

 

 撓る鞭は未成熟な身体を強く叩き、生傷をつくっていく。振られる度にまた1つまた1つと新たな傷が増えていき、少女はただその痛みに口を閉ざしながら耐えることしか出来なかった。

 

 「はあはあはあ……あれだけの好機を前にして唯ぼうっとしているなんて」

 「ごめん……なさい……」

 

 少女の声は今にも消えそうな程とても小さい。それは度重なる痛みの所為か、それとも母親に対して申し訳ない気持ちと恐れを抱いている為か、声は掠れ聞き取ることが難しい。耳を澄ませば辛うじて聞き取ることが出来るくらいの大きさだ。

 

 「酷いわフェイト、あなたはそんなにかあさんを悲しませたいの?」

 

 その言葉と共に振り上げられる鞭。再びプレシアはフェイトへと向けて、手に持ったその鞭を少女の身体に叩きつける。

 

 フェイトは、眼を瞑りその痛みに耐えながら先程のなのはの言葉を思い出していた。

 

 

 

 

 

 「プレシア・テスタロッサ。ミッドの歴史で26年前は中央技術開発局の第三局長でしたが、当時彼女個人が開発していた“次元航行エネルギー駆動炉”、“ヒュードラ”使用の際、違法な材料を以って実験を行い失敗。結果的に中規模次元震を起こした事が元で中央を追われて地方へと異動になりました。随分もめたらしいです。失敗は結果に過ぎず実験材料にも違法性は無かったと。辺境に異動後も数年間は技術開発に携わっていました。暫く後、行方不明になって。……それっきりですね」

 

 調べたデータを読み、述べていくエイミィ。

 

 その口から出て来る情報は概ね原作通りで転生者組は、その事実に対して胸糞の悪良い気持ちを抱くと同時に、大きな変化が無いことにホッと胸を撫で下ろす。

 

 「家族と行方不明になる前の行動は?」

 「その辺のデータは綺麗サッパリ抹消されちゃってます。今、本局に問い合わせて調べて貰っていますので」

 「時間はどれくらい?」

 「一両日中には」

 「……ふむ。プレシア女史も、フェイトちゃんもあれだけの魔力を放出した直後では早々動きは取れないでしょう。その間にアースラのシールド強化もしないといけないし………」

 

 懸念とされるテスタロッサ組の行動、遠隔地からの魔法攻撃、シールド機能の麻痺。

 彼女達の行動は無いとしても、機能の回復や情報収集と整理にはそれなりに時間がかかるものだ。

 

「貴方達、一休みしておいた方が良いわね」

「あ、でも……」

「特になのはさんはあまり学校を休みっぱなしでも良くないでしょう。一時帰宅を許可します。御家族と学校に少し顔見せておいた方が良いわ」

 

 学校の方は理由をぼかして休学をしている。休学と言ってもほんの短期間だ。

 理由の方はしっかりと説明をしていないし、皆の家族やクラスメイトには心配をさせてるであろうが為に顔を出しておかないといけないであろう。

 

 「俺達も学生なんだけどな……」

 「……はい」

 

 そのリンディ提督の言葉には釈然としない気分を抱えながら、同意する。

 

 

 

 

 

 「フェイト! フェイトッ!!」

 

 冷たい床に横たわる自身の主に驚き、走りながら声をかけるアルフ。

 

 「フェイト……」

 

 フェイトの身体はボロボロで至るところに傷が出来ている。その傷は、それだけプレシアの鞭によるしつけが酷いものだという事を物語っている。バリアジャケットにより、その部分だけ傷が出来ていないのが幸いだというところだろうか。

 

 主であるフェイトを床に座りながら抱き抱える。

 

 彼女の無事を確認すると同時に顔を上げるアルフ。その使い魔の眼には涙と強い怒りが確かに感じ取る事が出来る。

 

 

 

 「たった9つ。此れでは次元震を起こせるけどアルハザードには届かない」

 

 宙に浮かんだ9つのジュエルシード。それらは鈍い光を放ちながらプレシアの前に並んでいる。

 

 「――カハッ……ゲホゲホッゴホゴホッ……もうあまり時間がないわ。私にも“アリシア”にも」

 

 咳をし、手を口元に持っていくプレシア。

 

 それと同時にドアが蹴破られ何者かがこの部屋に入り込んで来た。蹴破られたドアとその周囲にあった壁を壊した際に発生した煙の中を1人の娘は歩を進めていく。

 

 「……フッ」

 

 その足取りは重く強い。その歩き方から彼女は何か強い感情を抱えている事が理解出来る。

 

 「はあっ! ――!?」

 

 振り上げられた拳は張られた障壁により防がれる。そして反動に因るものなのかアルフの身体は数歩分後ろに吹き飛ばされてしまった。

 それでも尚、彼女はそのバリアに向かい攻撃を続けていく。それは傷ついた主の為を思っての事なのか、怒りをその拳にのせてひたすらに障壁を叩き続ける。

 

 「あんたはははおやで、あの娘はあんたの娘だろう! あんなに頑張ってる娘に、あんなに一生懸命な娘に何であんな酷い事が出来るんだよっ!!」

 

 障壁をぶち破りプレシアの胸ぐらを掴み取る。

 彼女の言葉には大きな怒気が含まれており、それが心の底から主であるフェイトの事を思っているというのを理解させてくる。

 

 「!?」

 

 だが、そんな彼女の言葉を無視しプレシアは魔法に依る衝撃波でアルフを突き飛ばす。

 吹き飛ばされ近くにあった支柱を壊し、土埃が舞い上がる。

 

 「あのこは使い魔のつくり方が下手ね……余分な感情が多過ぎるわ」

 「フェイトは――あんたの娘はあんたに笑って欲しくて、優しいあんたに戻って欲しくて……あんなに! ――ッ!」

 

 吹き飛ばされた際に出来た傷が痛みぶつけたい言葉は口から出ず途切れてしまう。

 

 「邪魔よ、消えなさい!!」

 

 展開した杖状のデバイスを使用し魔法を行使するプレシア。

 

 「!?」

 

 足元に魔法を放ち時の庭園から脱出するアルフ。

 

 その彼女の身体には主人ほどで沢山では無いにしろ大きな傷が出来ていた。

 

 「(何処でも良い、転移しなきゃ……ごめんフェイト、少しだけ待ってて……)」

 

 「逃げたのね……!? ……私は何を? フェイトに、アルフに何て事を……私は、私は、わた――」

 「おまえは悪くはない。アリシアを蘇らせるのであろう? もう一度逢いたいのであろう? なら別に問題は無いはずだ……あいつは、あいつらは人形だ。計画に必要な駒にすぎない。そう、駒だ」

 「駒……?」

 「そうだ。あれはただの道具だ。何も苦しむ必要は無い。オマエはただしい……娘と、たった1人の娘と逢う為の計画。絶対に成功させなくては、なあぁ」

 「……フェイトは駒。ドゥームも、アルフも駒。計画……。嗚呼、アリシア……」

 

 物陰に隠れている存在がプレシアにネットリとした感じに声をかける。

 それに対しプレシアは戸惑いながらもその言葉を受け入れていく。

 

 影に隠れているそれはヒトとは違う異形の姿をし、口元をニタっと大きく歪めていた。

 

 

 

 「フェイト、起きなさいフェイト」

 「……はい、母さん」

 

 気絶しているフェイトに声をかけ起こすプレシア。

 彼女はフェイトを見下ろしながら手にした宝石をナンバー毎に宙に浮かべる。

 

 冷たい床で横になりながらフェイトは自身のははおやの言葉に耳を傾ける。

 

 「あなたが手に入れてきたジュエルシード9つ、これじゃ足りないの。最低でもあと5つ。出来ればそれ以上……急いで手に入れて来て、かあさんの為に」

 「はい。………アルフ?」

 「ああ。あのこは逃げ出したわ。怖いからもう嫌だって……必要ならもっと良い使い魔を用意するわ。忘れないで、あなたのホントウのミカタはかあさんだけ。良いわね? フェイト」

 「はい……母さん」

 

 そのプレシアの言葉は毒のようにフェイトの心に強く染みこんでいく。

 

 再び彼女はははおやであるプレシアの為に地球に行く準備を始める。

 

 

 

 

 

 「送信っと」

 「アリサお嬢様、何か良いお知らせでも?」

 「別に……。普通のメールよ」

 

 塾などのお稽古の帰りだろうか。

 

 アリサ・バニングスは専属の執事である鮫島の運転による車で帰宅をしている途中だ。

 携帯電話を嬉しそうに触っているアリサの様子をルームミラーを通し見て鮫島も自身の様に嬉しく感じ、思わず頬を緩める。

 

 「!? 鮫島、ちょっと止めて」

 

 その言葉に従い車を道路の端へと停車させる鮫島。

 

 アリサはドアを開き道路から少し離れた場所に向かい走りだす。

 

 「やっぱり大型犬……」

 

 其処には傷を負い、血を流している大きな犬が横たわっていた。

 その犬は意識を失っているのか近づいても反応が無い。呼吸をしている為かお腹が動いているのを見る限り生きている事だけは確かだ。

 

 「怪我をしていますな。かなり酷い様です」

 「でも、まだ生きてる。鮫島」

 「心得ています」

 

 

 

 

 

 「よーし。久しぶりの自宅だ、修行だ、訓練だ!」

 

 俺はリンディ提督の有難い言葉により、自宅へ帰宅していた。

 

 リンディ提督は家に来て両親に説明をすると言ってきたのだが何とか断る事が出来た。

 

 「全く……苦労したぜ、しつこいんだからな」

 

 そんな事を愚痴りながら地下の修行室へと移動する。

 

 ほんの少ししか開けていない筈なのにそれが本当に久し振りの様に感じられた。

 

 「さて、と……。身体は鈍ってないよな。それじゃ、やりますか」

 

 

 

 

 

 呼吸を整えて気を少しずつ高めていく。

 体の底から沸き上がってくる気は少しずつ大きくなり大気を、空間内の空気を震わせていく。

 

 「はあ……ハアハアハア……」

 

 額に流れる汗がポタポタと床に落ちていく。

 

 髪の毛が逆立ち、黄金色に輝く。目は両方共緑色に変化していた。

 

 「此処からだよな、問題は」

 

 一呼吸置いて、気をまた高めていく。

 高めた気は目に見える形でオーラとなり周囲を必要以上に光り照らしていく。

 

 「ダメか……。壁が大きいぜ」

 

 原作のドラゴンボールに出て来る孫悟飯の様に強大で、強烈で、鮮烈で、劇的で純粋な怒りが必要なのだろうか。

 その怒りというのが、また大きな壁であり山なのである。登り方の分からない山。事前情報も無しに、装備もなしにエベレストを登ろうとしているかのようにも感じられる。

 

 「スキルを使えば良いのかもしれないけどよ」

 

 何かが違う。何かが。

 

 スキルメイカーで変身できるスキルを、レアスキルを創り出せば簡単に超サイヤ人(スーパーサイヤジン)2の壁を越える事が出来るだろう。

 だが、そんな事をすると、スキルを使うと此れまでの努力が無駄に、無意味に、努力を裏切る様な気がしてならないのだ。

 そんな事をしてしまえば、前世での自分とまた同じ様な事になるのではないか。それが不安で、怖くて、恐くて、魅力的で、楽そうでそちらに惹かれてしまう。引かれてしまうのだ。

 

 「ダメだよな、こんなんじゃあよ……皆は必死こいて、足掻いて、死にそうになりながら覚醒したり強くなったりしてるってのにさ………」

 

 己の中にあるのはそのスキルの誘惑と努力をするべきだという考え、そして何よりも怒りが存在していた。

 

 「…………」

 

 その自身の中の怒りを認知するとそれは一気に膨れ上がり、膨張していく。

 

 「何がスキルだよ……何が誘惑だよ」

 

 負けそうになり、逃げ出そうとする自分が許せない。赦せないのだ。

 怒りがフツフツと湧き上がり、燃え上がっていく。

 自分の中の自身に対する怒りの炎が燃え滾っていくのが嫌でも理解する事が出来た。

 

 「チクショオオオおおおおおおおおおおおおおッッっっ!!!!!!!」

 

 

 

 

 月明かりが照らしてくる。

 

 どうやら外の様だ。

 

 身体には痛みが奔るが我慢が出来る程度のもの。

 

 身体が動かし辛く、どうやら包帯が巻かれているみたいだ。

 

 「! 目覚めた?」

 「(あれ? このチビっ娘何処っかで……)」

 

 目を覚ましたアルフの視界に入ってきたのは自身の主と同じ金色の髪をした少女の姿だった。

 

 その手には犬用のお皿が握られており、その横には犬が2匹。

 犬種の違う犬2匹と女の子1人が様子を伺ってきている。

 2匹の犬は、主である少女を守る様に横で御座りをしている。

 

 「あんた頑丈に出来てるのねえ。あんなに怪我してたのに命に別状は無いってさ。怪我が治るまでは家で面倒見てあげるからさ。安心して良いよ」

 

 そう言いながらアリサは檻を少し開き、餌の入った皿を入れる。

 そして怪我をした大型犬であるアルフの頭を撫でる。

 

 その優しさにアルフは撫でられながら思わず目を閉じ、温泉での出来事を思い出す。

 

 「(あ! あの娘の友達なんだ……)」

 「ほら。柔らかいドッグフード何だけど食べられる?」

 

 その思いやりにアルフは応えるべく差し出された食事を口に入れていく。御腹が空いていたのか思わずがっつくようにムシャムシャと食べるアルフ。

 

 「そんなに食欲あるなら心配ないね。食べたらゆっくり休んで早く良くなりなね」

 

 その食べっぷりに驚きつつも安心するアリサ。

 

 そのアルフに向けた言葉は優しく、夜空に吸い込まれるように消えていった。

 

 

 

 

 

 「なのはちゃん! みんな! 良かった、元気で」

 

 お互いの手を握りながら再開を喜ぶなのはとすずかの2人。少しの期間しか休んでいないはずなのにかなりの長期間会っていないかのような素振りだ。

 

 「うん、ありがとうすずかちゃん。アリサちゃんもごめんね、心配かけて」

 「まあ、良かったわ元気で」

 

 そのアリサの言葉に思わず笑う2人。

 仲が良いという事は本当に良いものだ。

 

 「そっか。また行かないといけないんだ」

 「うん」

 「大変だね」

 

 魔法関係の事は暈して要所要所を説明、まだ終わっていない事を簡単に説明するなのは。

 

 「でも大丈夫」

 「放課後は? 少しくらいなら遊べる?」

 「うん。大丈夫」

 「じゃあ、家に来る? 新しいゲームあるし」

 「ああ! 本当?」

 「そう言えばね、昨夜怪我をしている犬を拾ったの」

 「犬?」

 「うん。凄い大型で何か毛並みがオレンジ色でおでこにね、こう赤い宝石が付いてるの……」

 「――あ!」

 

 その説明を聴きなのはは驚く。

 

 そんな特徴をしているイヌ科の動物などそうそう存在しているわけではない。この地球には居ないのだ。そんな動物は。毛並みがオレンジの犬など遺伝子を弄り品種改良しないと無理であろう。額に宝石があるなんて尚更この地球の生物ではない。思い当たるのはついこの前まで相対していた魔導師の少女。その使い魔のアルフであるだろう。

 

 「「「…………」」」

 「で、あんた達は今まで何してたのよ?」

 「何って……」

 

 そのアリサの質問に対して大きくキョドり始める志蓮。どうやら彼には演じるという事は出来ても隠し事をするという事は出来ないようだ。

 

 「何なのよ? 雄介……?」

 「な、何って。そ、それはだな……山籠りだ」

 「や、山籠り!?」

 「そ、そうだ。な、ブロン?」

 「お、おう」

 「本当に山に篭ってたの? それに具体的に何をしてたのよ?」

 「修行だよ。見てみるか? この俺の16個に割れた腹筋をよお?」

 「嫌よ、気持ち悪い。ま、良いわ。あんた達も来るわよね?」

 「「「もちろんさ」」」

 

 その苦し紛れの雄介による言い訳は何とか通じ、話は終了した。

 その言い分になのはも思わず驚きを隠せなかったが深く追求されなかった以上問題は無いのかもしれない。

 

 志蓮は無視されなかった事に驚きつつも喜び、後ろの方でダンスを踊っている。変な踊りだ。死のダンス、呪いの踊りだろうか。MPだか何かが減りそうな。

 

 取り敢えず俺達はそのアルフなのかどうかを確かめに、アリサと遊ぶ為に彼女の誘いを受け、彼女の家に行く事にした。

 

 

 

 

 バニングス邸。

 

 その庭にて場違いなものが其処には存在していた。

 檻だ。大きな動物を入れておく為の、猛獣を入れておく為のケージだ。

 そして其の中には予想通りにオレンジ色の毛をした大型のイヌ科の動物、アルフが居た。

 

 『やっぱり……アルフさん』

 『あんた達か……』

 『その怪我どうしたんですか? それにフェイトちゃんは?』

 

 アルフであった。その事実に驚きつつもやっぱりという確信もありそれほど取り乱したりはせず、念話で質問をするなのは。

 アルフは怪我が少しマシになったが不安であり警戒をしているのか、声が少し低く小さい。

 

 「あららら、元気無くなっちゃった。どうした? 大丈夫?」

 「傷が痛むのかも……そっとしておいてあげようか」

 「うん」

 

 背中を見せたアルフに対してアリサは心配して声をかける。

 だがアルフはそのまま動かず、俺達は屋敷内に移動する事にする。

 

 「あ!」

 

 胸に抱いていたユーノが抜け出し驚くすずか。

 ユーノはスタッと地面に着地すると後ろを向いているアルフの居る檻に近づく。

 

 「ユーノ! こら、危ないぞ」

 「大丈夫だよ。ユーノくんは」

 

 気に掛けるアリサとすずかに対してのなのはの言葉に2人は思わず不思議がるも顔を見合わせるだけで何も言いはしないようだ。

 

 「ユーノはフェレットにしては妙なくらいに賢いからな……。聡い上に敏い。いざ危なくなれば逃げるだろうさ、全力で所構わずその場にあるモノを利用しながらな。それにこのイヌは檻の中だぜ。別に危なくないだろ、中にはいらない限りはな」

 「それもそうね。でも、入るかもしれないじゃない」

 「大丈夫だって。言ったろ。妙なくらいに聡い。其の上に敏いってな」

 『彼女からは僕から話を聞いておくから。皆はアリサちゃん達と』

 『うん』

 「それじゃあお茶にしない? 美味しい御茶菓子があるの」

 「うん」

 「楽しみ」

 

 俺達はユーノと檻の中に居るアルフをその場に残して屋敷の中に入る。

 

 時空管理局からの連絡もあるだろうし、此方から念話での会話も出来る。

 

 今は皆で遊ぶのを優先するとしよう。

 

 

 

 「一体どうしたの? 君たちの間で一体何が?」

 

 なのは達が離れたのを確認するとユーノは背中を向けている口を開く。

 

 「……あんたが此処に居るってことは管理局の連中も見てるんだろうね」

 「うん」

 《時空管理局、クロノ・ハラオウンだ。どうも事情が深そうだ。正直に話してくれれば悪いようにはしない…君の事も、君の主フェイト・テスタロッサの事も》

 「……話すよ、全部。だけど約束して。フェイトとドゥームを助けるって。あの娘達は何も悪くないんだよ」

 《約束する。エイミィ、記録を》

 「フェイトのははおや、プレシア・テスタロッサはすべての始まりなんだ」

 

 主であるフェイト・テスタロッサ、そして其の兄であるドゥーム・テスタロッサの安全を約束して貰い、アルフは自身の話せる全てを少しづつ言葉にしていく。

 

 

 

 

 《なのは、皆……聞いたかい?》

 『うん。全部聞いた』

 『ああ』

 『余すこと無く』

 『しっかりとな』

 《君達の話と現場の状況、そして彼女の使い魔アルフの証言と現状を見るにこの話に嘘や矛盾は無いみたいだ》

 『どうなるのかな……』

 《プレシア・テスタロッサを捕縛する。アースラを攻撃した事実だけでも逮捕の理由にはお釣りが来るからね。だから僕達には艦長の命がありしだい、任務を、プレシアの逮捕に変更する事になる。君はどうする? 高町なのは》

 『わたしは…・…わたしはフェイトちゃんを助けたい。アルフさんの思いとそれから私の意思…フェイトちゃんの悲しい顔は私も何だか悲しいの。だから助けたいの、悲しい事から。……それに友達になりたいって伝えた、其の返事をまだ聞いてないしね』

 《わかった。此方としても君の魔力を使わせて貰えるのは有り難い。フェイト・テスタロッサについてはなのはに任せる。それで良いか?》

 『なのは……だったね。頼めた義理じゃないけど、だけど……お願い。フェイトを助けて』

 『うん。大丈夫。任せて』

 

 涙で目を濡らしているアルフの言葉に対し、なのはは力強く応える。なのはの瞳には何かを決めた者特有の強い光が宿っていた。

 

 

 

 「遅いよ、なのは」

 「新しいダンジョンに入るの、待ってたんだよ」

 「あはは、ごめんごめん」

 《予定通りアースラへの帰還は明日の朝。其れまでの間に君達がフェイトとの遭遇した場合は》

 『うん……大丈夫』

 

 

 

 「ふぅー……なかなか燃えたわ」

 「やっぱり皆で遊んだ方が楽しいよ」

 「ありがとう……多分、もうすぐ全部終わるから……そしたらもう大丈夫だから」

 「なのは……」

 「うん?」

 「何か、少し吹っ切れた?」

 「え? え、あ、えと。どうだろう?」

 「心配してた。てか、私が怒ってたのはさ…なのはが隠し事をしてる事でも、考え事してる事でも無くて。なのはが不安そうだったり、迷ったりしてた事。それで時々、そのままもう私達の所へ帰って来ないんじゃないかなって思っちゃうような瞳をする事」

 「…………」

 

 アリサの言葉になのはは目頭が熱くなったのか目蓋をこする。

 

 よくよく見てみるとアリサとすずかの2人の目にも小さな水滴が溜まっていた。

 

 「行かないよ、何処にも。友達だもん、何処にも行かないよ」

 「そっか」

 「うん」

 「で、あんた達はどうなのよ?」

 「もちろんこの1週間で解決だ。親父による鍛錬もそろそろ佳境だしな」

 「そうそう、俺達の戦いはこれからだ」

 「打ち切り止めろや」

 

 なもはの抱えていた問題は、ジュエルシード事件はそろそろ終結に向かっている。

 

 プレシア・テスタロッサの暴走を止め、ジュエルシードを出来る限り回収、なのはとフェイトが友達になるのを見守る。

 

 其れ丈でいい筈だ。

 

 なのだが……。

 

 「(何だ、この言いしれ様の無い不安は……。一体何が?)」

 

 事件解決を間近に俺の心は不安と焦りで一杯一杯だった。

 

 

 

 

 海鳴臨海公園。

 

 現在の時間は午前5時55分だ。普通の小学生ならばまだ布団の中で夢を見ているであろうこの時間帯。

 

 俺達は公園で待ち合わせをしていた。

 

 此処ならば、この時間ならばそれほどヒトは居らず誰かに見られる確率を確実に格段と下げる事が出来るのだから。

 

 「(ま、普通の小学生って…その普通の定義は何か。分かんねぇな)」

 

 暫らくして、近くにヒトが近づいてくるのを感じ取る。

 

 「この気と魔力は……」

 「此処なら良いね。出て来て、フェイトちゃん」

 

 波音が、木々の葉が擦れ発生する音が公園中を走り回る。風が頬を撫であげて、少しばかり冷たいがそれが逆に心地よく感じられる。

 

 【Scythe form】

 

 背後から聞こえて来る聞き覚えのあるその機会音声に振り向く。

 

 彼女は街灯の上に経っていた。

 

 朝日に照らされ、彼女のバリアジャケットの黒はより存在感を主張しているかのように感じ取られる。

 

 「フェイト……もう止めよう。あんな女の言う事もう聞いちゃ駄目だよ。フェイト、このままじゃ不幸になるばっかりじゃないか。だから、フェイト! ドゥームも!」

 「だけど……それでもわたしは、あのひとの娘だから」

 「…………」

 

 アルフのその言葉にフェイトはただ首を横に振り、ドゥームは黙っているだけだ。そんなフェイトの、彼女にもまたなのは同様強い光が瞳に宿っている。

 

 「ただ捨てれば良いって訳じゃ無いよね。逃げれば良いって訳じゃもっと無い。切っ掛けはきっとジュエルシード……だから賭けよう。お互いが持ってる全部のジュエルシードを」

 【Put out】

 【Put out】

 

 それぞれのデバイスからジュエルシードが出現する。なのはの方は12個、フェイトの方は9個。

 

 それぞれの周囲に円を描くように現れる。

 

 「それからだよ、全部……全部。私達の全てはまだ始まってもない。だから本当の自分を始める為に……始めよう。最初で最後の本気の勝負」

 

 互いのデバイスを、相棒を手にし睨み合う。

 

 それぞれの思いと、気持ちを胸に宿しながら。

 

 勝った方がより強い思いを抱いているとかどうとかではない。

 

 ただ、勝者にはジュエルシードを。

 

 そして何よりも譲れない思いを懸けて。




好きな作品から好きな部分だけ引っ張ってきててきとうにのせていく。
そんなんだから見るに耐えない歪な作品が出来上がるのだ。

この作品のことだよ。

自分で言ってて嫌になってくる。

だけどそれでも止まらない妄想。

続けていくさ、気の済むまで。飽きるまで、ある程度キリの良い所にいく迄

嗚呼、僕に知識と文才さえあればなあ……
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