「次元震発生。振動、徐々に増加していきます」
オペレーターの声にはやはりというか焦りというものが多分に含まれている。
現在発生している大きな次元震によりこの艦だけでならず、地球を始めとしたこの近くに存在する多数の次元世界に強大な影響を与えてしまうのだから。
「この速度で震度が増加していくと、次元断層の発生予測値まで……あと、30分足らずです」
30分とうのは主観的なものではあるのだが随分と微妙な時間だろう。早過ぎず、遅過ぎず。だから何だという話なのだが。
だが、この状況で30分というのは余りにも短すぎる。
《あの庭園の駆動炉、ジュエルシードと同型のロストロギアです。それを暴走覚悟で発動させて、足りない出力を補っています》
21個のジュエルシードがつくりだす次元震。
それでもなお足りないというのか、プレシアは時の庭園の駆動炉を臨界寸前まで高めているようだ。
それが暴走すると一体どういうことになるか。考える必要もなく頭に浮かんでくる。
「始めから……片道の予定なのね」
アルハザードへと向かった後、その世界に留まりこの世界には戻って来ない。
それ程に彼女の、プレシアの決意というものは堅いのだろうか。
赤いランプの灯る廊下の中で、茫然自失となっているフェイトを抱えたアルフ、なのはとユーノ、雄介に志蓮、ドゥーム、そして俺が走っていた。
自分達以外誰も居ないその空間では、無闇矢鱈と音が鳴り響いているかのような錯覚を感じさせる。
艦内に鳴り響く警報音、走る際に発生する靴音、そして自分達の呼吸音と鼓動音。それらがどうしても煩わしく、焦りを増長させていく。
少しばかり走っていると目の前からバリアジャケットに身を包んだクロノと出会う。
彼もまた焦りを抱え、それでいてプレシアの暴走を止めようとしているのだろうか。
「クロノくん、何処へ?」
「現地へ向かう。元凶を叩かないと」
「わたしも行く」
「僕も」
時の庭園へ向かう事を告げるクロノに対し、自身も連れて行けとなのはとユーノは言葉を口にする。
「わかった」
本来ならば止めるであろう、止めるべき事態なのだが、クロノはその希望を了承。行動を共にする事を許可した。
「アルフはフェイトに付いててあげて……ドゥームさんも」
「う、うん……」
「ああ」
そのユーノの勧めに頷くもアルフは何処か、ドゥームに対して猜疑的な視線を向けていた。
「行こう!」
「「うん!!」」
クロノを先頭に俺達は転送ポートへと足を速める。
焦るべき場面なのだろう。怒るべき時なのだろう。
だがそんな気持ちが湧いて来ず、ただ状況に流されている。今の自分がそのような感じだとどうしても思い、疑問に思わざるを得ない。
どうしてこんなにも他人事の様にどうでも良い、と。感情が揺れ動かないのだろうか。
「私も現地に出ます。貴方達はプレシア・テスタロッサの逮捕を」
《了解》
《おkです》
ブリッジから転送ポートへと向かうリンディ艦長。
彼女の背中を見ると、とても頼もしく感じられる。
提督という立場に座っているだけあり、それだけの実力があるからだろうか。
彼女もまた、足を急がせて、時の庭園へと向かう。
「…………」
「へえ……」
目の前には沢山の機械の兵隊が立ち並び、行く手を遮って来た。
見た目は様々で、中には何処ぞのスーパーロボットの様な出で立ちをしているモノも存在している。
「一杯居るね……」
「まだ入り口だ。中にはもっと居るよ」
「クロノ君……このコ達って……?」
「近くの相手を攻撃するだけの、唯の機械だよ」
その言葉通りにそれら全てからは生命にはあるべき気というものが存在していない。動く度に機械的な音を出すだけだ。
AIなどの人工知能が存在していない限り、それほど脅威というべきモノでもないだろう。
「そっか。なら安心だね」
「この程度の相手に無駄弾は必要無いよ」
構えるなのはを制し、クロノは一歩前に出る。
だが、其れよりも先に動いた者が居た。
「“火竜の煌炎”!!」
なのはの背後から巨大な火球が飛び出し、目の前の機械兵を焼き尽くしていく。その熱は膨大で、スピードは速く、避ける隙無く門前の番兵達は消え去ってしまう。
「ゆ、雄介君……」
「君は!」
「この程度の相手に無駄弾は必要ないんだろ? なら、怒る必要ないじゃないか」
「それは、そうだが……」
ユラユラと機械兵の残骸の上で燃えている炎に照らされながら前に進んでいく。
雄介の顔は、普段では見ることの無い、いや、見た事の無い顔をしていた。苦虫を潰したかの様に、嫌な過去を思い出してしまったかの様に険しく、辛そうな顔をしている。
だがそれはほんの一時的なモノで、一瞬のうちに消え、見え無くなる。
【“Stinger Snipe”】
「は、速い……」
目の前に出現した敵に対してクロノは魔法を行使する。
彼のデバイスである“S2U”から放たれた一発の魔法弾が次々と敵を内貫き、切り裂いていく。
その光弾は螺旋を描きながら的を攻撃していく。
「“スナイプショット”ォ!!」
空中で一時停止をした後に、再加速をし、複数の機械兵を葬り去っていく。
そのスピードに機械兵の反応速度は及んでいないのか次々と身体に穴を空けて倒れていく。
「これが螺旋の力かよ……大したもんじゃねえか」
「(螺旋の力…まさか此れを願った奴は居ないだろうな……もし居たとしたら)」
雄介の言葉に、嫌な考えが俺の頭の中を走り廻る。
もし、それが本当ならば……。
そんな考えが頭の中で一杯になるが、そんな事は知らないと言わんばかりに事態は刻一刻と進んでいく。
自身の2倍もの大きさの機械兵の攻撃を焦ること無く回避し、その相手の頭の上に着地をするクロノ。
【“Break Impulse”】
その機械兵の頭に杖を、S2Uを接触させる。光を放つと同時に、その機械兵は大きく爆散した。
「振動による破壊……
そのクロノの動きになのはとユーノは呆然と立ち、口を開ける事しか出来ない。
それは俺にも言える事だった。
努力と経験だけで辿り着いた動き。 おそらく彼には才能という才能は無いのだろう。そんなクロノがここまでの力を身に付けるのにどれほどの努力が必要なのだろうか。あえて言うのならば努力をするという才能をもって生まれたのだろう。所謂努力の天才といった存在だ。
「(俺なら絶対無理だろうな……)」
「呆っとしてないで、行くよ」
「……ああ」
「うん」
そのクロノの言葉により、意識は戦場へと戻される。
先を走るクロノ達を俺は追いかけていく。
「その穴……黒い空間がある場所には気を付けて!」
走っているとその途中の道では、崩れ去っている場所などがある。そんな中でも目を引くのがそのクロノの言う黒い空間だ。
「え?」
「“虚数空間”――あらゆる魔法が一切発動しなくなる空間なんだ」
「飛行魔法もデリートされる。もしも落ちたら重力の底まで落下する。二度と上がって来れないよ」
「き、気を付ける」
「ま、落ちても舞空術で何とかなるだろうけどな」
――虚数空間。
次元断層により引き起こされる次元空間に空いた穴だ。
リンカーコアを使用した魔法は全てキャンセルされてしまう。
落ちてしまえば助からず、そのまま死んでしまうだろう。
魔法ではない気を操作した舞空術なら大丈夫だという確信は無いが、何となくそれで助かる気がするが、その底なし沼の様な空間の事を考えるとそれだけでも冷や汗が流れる。
「(魔法が解除されるというのなら……もし俺が落ちれば、変身魔法は解除され……考えるのは止めだ。今は前に進む)」
その事実を知らされ焦るなのはとは別に、俺もまた別の理由でその空間を恐れ、焦ってしまう。
扉を蹴破り、部屋の中に侵入する。
すると、其処はただっ広い空間に無数の機械兵が立ち並んでいた。それら機械兵はそれぞれの手に当たる部分に盾と斧を掴み、此処は通さないぞと言わんばかりに行く手を遮っている。
「此処から二手に分かれる。君たちは最上階にある駆動炉の封印を」
「クロノ君は?」
「プレシアの元へ行く。それが僕の仕事だからね。今道をつくる……そしたら!」
「どうやら、そうはいかないみたいだぜ……」
「ええ、ええ、ええ。その通りで御座います。貴方方は此処で死んでしまうのですから」
機械兵の脚部に存在する隙間から其奴は現れた。
その顔は相も変わらず、ヒトの身からすると表情というモノが分からず不気味に感じられる。
だが、その顔は何処か嘲笑っているかの様に感じられた。
「何の用だ? アカマタ……」
「いえいえ、いえいえ、いえいえ…少しばかりプレゼントを、と思いましてねえ………。これ、何か分かりますか?」
其奴の背後には大きな機械が存在していた。
乗用車程の大きさで、動いているのか機械音が発生している。
「さて……このボタンを押すと……」
「――ガッ!?」
目の前の其奴がボタンを押すと同時に異変が起きた。
意識が飛びそうになる。
周囲の言葉が聞こえてこない。
ただこのままでは非常に不味いと云う事だけが理解出来た。
「……逃、げ……ろ……」
その言葉を発するだけで精一杯だった。
「どうしたの? ブロンくん……?」
「……逃、げ……ろ……」
目の前の異形である存在を前にしてブロンの様子は可怪しくなった。いや、正確には彼奴がボタンを押してからだ。
「グ……グギ……ギギギィ……」
ブロンは歯を強く噛み締め、白目を向く。身体中の毛が増毛し、骨格が変化したのか、肉体が成長しているのか、身体がドンドンと大きくなっていく。
「それでは、お楽しみ下さい……」
その言葉と共に姿を消すアカマタ。
残されたのは戸惑うなのは達と苦しむブロンの姿だけだ。
「ブ、ブロン……!?」
手を差し伸ばすなのは。
だが、其処で事態は大きく変化した。
「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■!!!!!!!!!!」
ブロンの姿は大きく様変わりする。身体は大きく、フサフサとした金色の体毛。そして鋭い牙に、大きな尻尾。
「あ……あ……まさか……」
「ブロンくん!?」
その変わり様に驚くなのはに対し、雄介は正反対にただ恐怖を抱く事しか出来なかった。
「どうなってるんだ? ブロンが」
「“大猿”だ……、大猿になりやがった。――っていう事は!?」
目の前に存在する機械はサイヤ人を大猿へと変えるモノ。
1700万ゼノ以上もの“ブルーツ波”を発生させる機械だったのだ。
「何がどうなってるんだ!?」
「良いか? ……一度しか言わないからよく聞いてくれ。……ブロンはサイヤ人だ」
「サイヤ人?」
「サイヤ人だと!? そんなまさか……そんなの伝説で語り継がれてるだけじゃないか」
サイヤ人。
この次元世界に於いては伝説の存在として語り継がれている様だ。
その種族は遥か昔に次元断層に巻き込まれ滅亡した。
「此れ以上、喋ってる暇は無い!! 避けながら念話で伝えるぞ!!!」
「■■■■■■■■■■■■■■■■■■ッ!!!!!!!!!!」
その大猿と化したブロンの声は凄まじく、時の庭園の中を響き渡る。甲高いその声は耳の鼓膜が破れるかと疑うほどに大きく、木霊した。
『サイヤ人は強力なブルーツ波と呼ばれる特殊な電磁波を浴びる事で身体が変化して大猿になる』
ブロンはその大きな腕を振り回す。その際に発生した風は強力なもので台風の暴風域の中に居るかの様だ。風は強く、近づくどころか吹き飛ばされそうになってしまう。
『大猿になったサイヤ人の戦闘力は通常の10倍……もとの戦闘力がどんなモノか知らないけど……俺達じゃ、まともに抑えられない事だけは分かる』
念話で説明をしながら、その大きな腕による攻撃をギリギリで避けていく。
大猿のその攻撃の速さは尋常では無く、回避に成功しても衝撃波で吹き飛ばされる。運が悪ければ、掠ってしまう。たったそれだけでも戦闘不能になってしまうだろう。
『なら、どうすれば?』
『尻尾だ! 尻尾を切れば何とかなる……筈だ』
クロノの問いに志蓮は念話で答える。
記憶の中に存在する大猿への対処は…アニメなどで見た対処法を説明する。
『兎に角、今は試してみるしか無いか』
それぞれに顔を見合わせ、頷く。
ブロンの攻撃を避けながら彼の背後に周り込み、尻尾を切断するのだ。
「■■■■■■■■■■■■■■■■!!!!!」
ブロンは大きく叫びながら、自身の胸を叩く。その音はドカンドカンと鳴り響き、強い衝撃波を発生させる。
「くそっ……」
「近づけないよ」
そのドラミング行為は相手を威嚇する際にするモノだ。分かっているのだ、目の前の存在が自身に害をなそうとしているという事が。
「■■■■■■■■!!!?」
突如、動きを止めるブロン。
足元にはその大きな尻尾が転がっており、身体は見る見るうちに小さくなっていく。
「ゾイル!」
「すまない……遅くなった」
彼の手には刀が握られており、その刃はキラリと輝いている。
それを見るだけで、彼等はゾイルが尻尾を斬ったという事を理解した。
「先を急ぐぞ」
「でも、ブロンくんが…」
「………俺の事は良い……先に行け……」
「ブロン…お前……」
尻尾を斬られ、身体が戻ったブロンは意識を取り戻していた。
その下半身には斬られたあとの尻尾があり、服は大猿になる際に敗れたのか全裸の状態だ。
「わかった……」
先へと、足を進めるなのは達。
最初の言葉通りにクロノは真っ直ぐプレシアの元へ、なのは達は駆動炉へと向かった。
「俺は……ドゥーム・テスタロッサは“プロジェクトF.A.T.E”のプロトタイプ。フェイトをつくる前に実際に記憶の転写は成功するかどうかの実験で作られた……」
「…………」
ドゥームの独白は部屋の中を寂しく、小さく響き渡る。
フェイトは変わらず、殻に閉じこもり、反応は無い。
「フェイト……俺もお前もあいつにつくられた存在だ。かあさんというのは間違いではない。存在を否定されたかの様に思っているだろうが…お前を肯定する。俺がお前を肯定する。例え、誰が否定しようと……兄である俺が、お前の存在を肯定する。――それに、アルフも同じだろうしな……」
アルフの顔を見ながら、ドゥームはフェイトに優しく語りかける。
例え、聞いていないとしても、聞こえていなくても、耳を塞ぎ聞こうとしてないとしても、ただ側に居ると。
「待っているぞ、フェイト」
「あの娘達が心配だから……あたしも……ちょっと手伝ってくるね。直ぐ帰ってくるよ……そんで、全部終わったら……ゆっくりで良いからわたしの大好きな、本当のフェイトに戻ってね。此れからはフェイトの時間は全部、フェイトが自由に使って良いんだから」
優しく主の頬を手で撫でながら自身の思いを口にするアルフ。その言葉は、自分に対して、其れ以上に大好きな主人であるフェイトに対し言い聞かせる様に。それでいて思いやりのあるモノであった。
アルフが退出し、部屋は静まり返る。
――母さんは最後迄わたしに微笑んでくれなかった。わたしが生きていたいと思ったのは、母さんに認めて欲しかったからだ。どんなに足りないと言われても、どんなに酷い事をされても。だけど、笑って欲しかった。あんなにハッキリ捨てられた今でも、わたし…まだ母さんに縋り付いてる。
――アルフ……ドゥーム兄さん。ずっと側に居てくれた。言う事を聞かないわたしに、きっと…随分と悲しんで……。
――何度もぶつかった真っ白な服の女の子。初めてわたしと対等に、真っ直ぐ向き合ってくれたあの娘。何度も出会って戦って、何度も……わたしの名前を呼んでくれた。何度も……。何度も……。
――生きていたいと思ったのは、母さんに認めてもらいたいからだった。其れ以外に生きる意味なんか無いと思ってた。それが出来なきゃ、生きていけないんだと思ってた。
――捨てれば良いって訳じゃない。逃げれば良いって訳じゃもっと無い。
――わたしの……。私達の全ては、まだ始まってもいない。そうなのかな……? バルディッシュ……。私…まだ始まってもいなかったのかな……。
【Get set】
手に握ったバルディッシュがデバイス状態へと変化する。その動きは、ところどころにヒビが入っている所為かぎこちないが、確実にフェイトの心を後押しする。
「そうだよね……。バルディッシュもずっと私の側に居てくれたんだもんね。……お前も、このまま終わるなんて嫌だよね」
【Yes, sir】
「うまく出来るか分からないけど、一緒に頑張ろう」
目を閉じ、意識を集中させる。
魔力がバルディッシュへと流れていき、ヒビ割れなどの傷が修復される。
【Recovery】
――私達の全ては、まだ始まってもいない。
「だから、本当の自分を始める為に……。今までの自分を終わらせよう」
迫り来る機械兵を薙ぎ倒し、撃ち穿き、先を進んでいく。
だが、目の前には無数の敵が存在し、倒しても倒しても減っている様には感じられない。
「――チッ……、数が多い!」
「だけなら良いんだけど……この!」
「そうだな……第四波動ぉぉっ!!!」
「何とかしないと……なのは!!」
取り逃がした機械兵がなのはに対し、斧を振りかざす。その動きは彼等に、彼女にはスローモーションの様にゆっくりと感じられた。
【“Thunder Rage”】
上空から金色に光る雷が、その機械兵を貫き打ち倒す。
【Get set】
「―――サンダアァー……レイジィィーー!!」
其の様は、まるで天から機械兵に与えられた天罰の様だ。
「フェイト!?」
数秒程、なのはとフェイトは見詰め合う。
だが其処に、壁を破壞し先程の大猿と同等の大きさの機械兵が現れた。背後に存在するビーム砲が肩の方へと上がり移動する。
「空気の読めない機械兵だな……」
「機械に無理言うなよ」
「其れもそうか……」
「大型だ、バリアが強い」
「うん。其れに、あの背中の」
ビーム砲がチャージを開始する。
周囲の魔力を集め、光が大きくなっていく。
「だけど……2人でなら」
「うん! うんうんうん!!」
そのフェイトの言葉になのはは嬉しそうに頷く。
其々の持てる魔法をぶつけるために魔法陣を展開する。
「いくよ、バルディッシュ」
【Get set】
「こっちもだよ、レイジングハート」
【Stand by ready】
「サンダアァー、スマッシャァァーー!!!」
「ディバイィィーーン、バスタアァァーー!!!」
金色と桃色の光が機械兵の発した魔力障壁とぶつかり合う。
その2人の魔法攻撃は少しずつだが、確実にバリアを破ろうと障壁をガリガリと削ってく。
「「せーのっ!!」」
ダメ押しとばかりに出力を上げ、機械兵を吹き飛ばす。
その威力はかなりのモノであったのか、庭園内を大きく揺るがせ、穴を開けてしまう。
爆発の際に発生した煙が晴れ、目の前には粉々になった巨大な機械兵の残骸が存在していた。
「フェイトちゃん!」
「フェイト、フェイト、フェイト!!」
「アルフ……心配かけて御免ね。ちゃんと自分で終わらせて、それから始めるよ……本当の私を」
抱きついてきたアルフをあやしながら、自身の決意を、フェイトは表明する。
彼女の瞳には、迷いというモノが消え失せていた。
上に進み、機械兵を倒していく。
暫く進むと、漸く目の前に駆動炉へと繋がるエレベータが視界に入った。
「彼処のエレベータから、駆動炉の所に」
「うん、有り難う。フェイトちゃんはお母さんの所に?」
「うん」
「私、その……うまく言えないけど……頑張って」
「……ありがとう」
「クロノが1人で向かってる」
「急がないと間に合わなくなるかもしれないな」
ユーノ達の言葉にフェイトとアルフはその場を急ぎ、あとにする。
雄介達はその後姿を見、彼女の思いが伝わり、叶う事を祈るだけだった。
時の庭園での戦闘は激しく、その影響は地球にも出ていた。それは原因不明の地震のとなり、人々を不安にさせている。
アリサとすずかはただ、親友であるなのは達の事を案じる事しか出来なかった。
駆動炉には予想以上に機械兵が存在している。それらはまるで、駆動炉を守護する騎士の様に、防御を固めている。
「防御は僕がやる。雄介と志蓮はなのはの援護。なのはは集中して」
「何時も通りだよね。何時も私と一緒に居てくれて、守っててくれたよね」
襲い来る機械兵の攻撃をProtectionで防御するユーノ。
その攻撃をして来た機械兵を壊し、道を切り開く雄介と志蓮。
【Sealing mode】
「だから戦えるんだよ。背中が何時も暖かいから」
そのなのはの言葉に、ユーノを始めとした雄介と志蓮の2人もまた口元を綻ばせる。
「いくよ。ディバインシューター、フルパワー! シュゥゥーート!!」
《プレシア・テスタロッサ……終わりですよ。次元震は私が抑えています》
リンディ提督はDistortion Shieldを展開していた。
その言葉通りに、空間の狭間に特殊な歪みを生じさせ、次元震による大きな揺れは鳴りを潜めていた。
《駆動炉をじき封印。貴女の元には執務官が向かっています。……忘れられし都――アルハザード。そして其処に眠る秘術は、存在するかどうかすら曖昧なただの伝説です!》
「違うわ。アルハザードへの入り口は次元の狭間にある。時間と空間が砕かれた時、其の狭間に滑落してゆく輝き……道は確かに其処にある」
《随分と分の悪い懸けだわ……》
「そうかしら……? 伝説と思われていたサイヤ人が、実際に存在しているのだし……」
――あるという可能性がより大きく、確信がより強くなったわ。
そのプレシアの口元はニヤリと歪んでいるが、瞳は空虚、そして目元に涙を溜めていた。
《貴女は其処に行って、何をするの? 失った時間と、犯した過ちを取り戻すの?》
「……そうよ。ワタシは取り戻す。ワタシとアリシアの……過去と未来を。……取り戻すの……こんな筈じゃ無かった、世界の全てを! ――!?」
部屋の隅で爆発が起きる。
其処から、管理局の執務官であるクロノ・ハラオウンが顔を出し、強く大きな声で思いを発する。
「――世界は、何時だって……こんな筈じゃ無かった事、ばっかりだよ!! ずっと昔から……いつだって、誰だって……そうなんだ!」
「!」
上を見上げると、其処から見覚えのある3つの影が降りてきた。
「こんな筈じゃ無い現実から…逃げるか、其れ共立ち向かうかは個人の自由だ! だけど……自分の勝手な悲しみに無関係な人間まで巻き込んで良い権利は、何処の誰にもありはしない!」
「…………」
「――ゴホッ」
先程まで余裕を見せていたプレシアから其れは消え去る。
「母さん!」
その様子を見て駆け出すフェイトに対し、プレシアの瞳は何処までも冷たいものだった。
「何をしに来たの? ……消えなさい、もうアナタに用は無いわ」
そんな彼女の口元は血で汚れていて、それだけ追い詰められており、先が無い事を理解させた。
「貴女に言いたい事があって来ました……。私は……私は…アリシア・テスタロッサじゃありません。貴女が造ったただの人形なのかもしれません」
「…………」
「だけど……私は……フェイト・テスタロッサは……貴女に生み出して貰って、育てて貰った貴女の娘です」
そのフェイトの言葉に、プレシアはただただ狂気に満ちた笑いを声に出し、大きく身体を震わせる。
「だから何? 今更アナタを娘と思えと言うの?」
「貴方が……其れを望むなら。……其れを望むなら、私が世界中の誰からも、どんな出来事からも貴女を護る。……私は、貴女の娘だからじゃない。貴女が、私の母さんだから!」
「いつだってそう。私は…気付くのが遅すぎるわ」
差し伸ばされたその小さな手を握り返そうとするプレシア。
彼女の、その瞳から、何時の間にか狂気というモノが抜け落ちていた。
だが。
「――ッ!?」
彼女の、プレシアの居る床が崩れる。そして、プレシアとアリシアの入った培養器は虚数空間に呑み込まれた。
「――そん……な……。母さん!!」
「いや、いや、いや。面白いモノ見させて貰いましたわ。……家族の絆、恐るべし。まさかこのわたしの洗脳を振り解くとわ」
振り返ると、其処にはヘビが存在していた。
口元で鋭く長い舌がチロチロと出たり入ったりと繰り返している。
「……あなたが母さんを……?」
「ええ、ええ、ええ、そうですよ。その通りで御座います」
その言葉と共に、アカマタは吹き飛ばされる。
ぶつかり、壊した壁から発生している煙により確認は出来ないがそれほどダメージは通ってはい無いだろう。
「もう良い。喋るな……」
握りしめた拳をかざし、ドゥームは怒りにその身を任せていた。
投稿完了。
読みにくい事は理解しているが、何処をどの様に修正すれば良いのかよく分かっていない。
個性だと、こういう作風だと言い張れば良いのかもしれないが、より読みやすくしたいと思う。
だけど出来ない。
突然ですが、高町なのはの声って脳内再生されたりとかしますか?
もしそうだとして、皆様は誰の声ですか?
北都南さん? 田村ゆかりさん?
僕はとらいあんぐるハートのゲームやOVAでは無くて無印のTVアニメから入ったので田村ゆかりさんです。
ま、どうでもいいことですがね