魔法少女リリカルなのはZ   作:りおんざーど

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何とか決着 消えるアカマタ、そして俺

 「クソッ……」

 

 なのは達を見送り、残された今の俺には悪態をつく事しか出来なかった。

 

 周囲を見渡すと、破壊された柱に、機械兵。そらの残骸や破片が辺り一面に跳飛び散らかっている。

 

 「(尻尾が無い……大猿になってしまったのか……)。……ハハッ」

 

 綺麗に切断された尻尾を手に取り、ただ空虚に笑う。

 

 自身をコントロール出来ず、戦闘本能の赴くままに辺り一面を破壞し、友である皆を傷つけた。

 

 「(今度は流石に……今度こそ本当に嫌われたかもな)」

 

 大きな猿の化け物に変わり果てた。そして、理性を失くして、攻撃をした。

 

 先程見た彼等の姿。バリアジャケットはボロボロになっていたのだ。

 

 「何やってるんだろうな……」

 

 尻尾が無いのではなく、斬られた。

 

 ――スキルメイカーで理性を保つ為のレアスキルを創りだしておくべきだった。

 ――尻尾を予め、最初から切っておくべきだった。

 

 そんな事が頭の中を占め、グルグルと廻り、モヤモヤとした雲をつくりだす。その雲は、目の前を隠し、歩を進める事に対して大きな恐怖を抱かせた。

 

 「情けない……皆は戦っているのに、俺ときたら」

 

 脚に力を入れて立ち上がる。だが、上手く立ち上がる事が出来ず、スタンと尻もちを付いてしまう。

 

 「そっか……尻尾が無い所為かバランスが取れてないんだ」

 

 何とか立ち上がるが、其れでもフラフラとする。其の様子はまるで、生まれたての子鹿の様に頼りない。脚がプルプルと震え、今にも倒れそうだ。

 

 「何とか動けそうだな。でも……服が無いしな」

 

 今の姿は当にお笑いモノだろう。

 

 全裸に加え、中途半端に斬られた尻尾の生えている亜人。金色の髪が目立っている所為か尻尾の方は余り視界に入らなかいかもしれないが、それでも間抜けなのは変わらないだろう。

 

 「ブ、ブロン!? その姿……。というか、本当にブロンなのか?」

 

 気が付くと目の前にはドゥームとアルフの姿があった。

 

 思わず冷や汗が流れる。

 今の俺は裸で立っているのだ。

 裸を見せる趣味は無いので羞恥心が途端に爆発的に現れる。

 

 「――!?」

 「……ドッペルゲンガー」

 

 そのドゥームは手で俺の身体に触れ、その言葉と同時に服を構築してくれる。瞬きをする、その一瞬の間に見覚えのある服を俺は着ていた。

 

 「ドゥーム……一瞬、掘られるのかと焦ったぜ……」

 「そ、そんな訳ないだろ! 裸じゃ寒いだろうと思って服を構築してやったんじゃないか。感謝して貰うならいざしらず、そんな事を言われるなんて」

 「悪りぃ。其れにしてもこれは粋な計らいだ。……嬉しいぜ」

 

 自身の着ている服を触りながら彼に向かい、感謝の気持ちを述べる。

 

 俺が現在着用しているのは山吹色の道着だ。背中の円の中に文字があるかどうかは知らないが、それでもこの道着を着てテンションはかなり上がった。

 

 先程までのブルーな気持ちはすこしばかり鳴りを潜めている。

 

 「其れは良かった。それじゃ、先を急ぐか」

 「悪い、先に行ってくれ」

 

 そのドゥームの言葉に俺は思い出したかの様に尻込みをしてしまう。

 皆と集まるのが、合流する事が怖いのだ。

 

 「分かった。……あとから来いよ」

 「ありがとう」

 

 ドゥームはそう言うと、アルフと共に走り去っていく。

 

 その後姿を見届けたあと、俺は意識を集中させた。

 

 「(今のうちにスキルを創りだしておこう……大猿になっても理性を失くさないスキル……そして……)」

 

 

 

 

 「…………」

 「あら、あら、あら。もうオシマイですか……」

 

 アカマタの前には力無く倒れているドゥームの姿があった。

 ドゥームだけでは無い。

 フェイトが、アルフが、なのはが、ユーノが、クロノが、リンディが。

 そして、雄介と志蓮、ゾイルもまた倒れていた。

 

 「ま、まだ……」

 「無理はなさらない方が良いですよ。さて、と……苦しまない様に優しく呑み込んであげましょう」

 

 そう言うと、アカマタはその自身の口を大きく広げ、倒れている雄介を飲み込もうとする。

 

 《――逃げて! 雄介くん》

 「駄目ええぇーー!!」

 

 その大きな悲鳴を楽しむかの様に、目を細め丸呑みにする。

 

 《そ、そんな……》

 「いや……」

 「――何をした!? サイヤ人!!」

 

 だが、その飲み込んだ筈の当のアカマタは戸惑いと同時に驚き、そして怒りをあらわにし、肩を震わせている。

 

 「ブ、ブロンくん?」

 「良かった。間に合って……」

 

 周囲を見渡すと、其処には力無く倒れている皆が居た。

 アースラの切り札であるクロノとゾイルが…。

 その上に立ち、艦長をしているリンディが…。

 フェイトが、アルフが…。

 なのはとユーノが…。

 そして、雄介と志蓮が…。

 

 「志蓮……例のモノは?」

 「なん、とか……此処に……」

 

 差し出されたその手には木製の赤い色に塗られた筆が握られていた。

 

 「ありがとう……。エイミィさん」

 《は、はい》

 「皆を転送して下さい」

 《でも君は!?》

 「大丈夫です」

 

 その言葉に、エイミィは倒れている皆をアースラへと送還させる。

 

 自分以外の皆の転送が終了したのを確認し、目の前の敵を睨みつけた。

 

 「覚悟しろよ……ヘビ野郎」

 「ふむ、ふむ、ふむ……尻尾が無いところを見ると斬られたようですね。貴方の様な化け物、皆怖がってるんじゃないですかね……」

 「そうかもしれねえ。だけど、今は……そんな事ぁどうでも良い。お前を倒す。いや、消滅させる。細胞の一片も残さず、な」

 「倒れていった仲間の為とか言うつもりですか?」

 「馬鹿言うなよ……気に喰わないからだ。お前が、そして何よりも、自分が。ただそれだけのシンプルな理由だ」

 

 その言葉を吐き捨て、自身に託された赤い筆を握りしめる。

 其れを目の前に持って行き、空中に文字を書き記す。

 

 「一筆……奏上!」

 

 書かれたのは火の文字。

 その文字は次第に大きくなり、身体を覆い隠す。

 炎が消え、姿を現すが、其処には先程までの姿では無く、身長は伸び、バリアジャケットの様に、全身を包む赤いスーツを着込んでいた。

 そのスーツは着物の様な特徴をしており、腰にはベルトが。そのベルトの左部分には刀が帯刀されている。

 そして1番目を引くのが頭だ。

 マスクには先程の黒色の火という文字が大きく主張するかのように、存在している。

 本来ならスーツは青年くらいの年程で丁度の大きさだが、装着者である俺に合わせた大きさになる。

 

 「“シンケンレッド”、保和歩栄」

 「“シンケンジャー”だと!? “志葉の一族”とその関係者共は滅亡させた筈……いや、そもそもおまえは志葉の血を引いてはいない筈だ!!」

 「全く以てその通りだ……。だが、俺は“モヂカラ”を扱える。この事が分かるな?」

 

 ――モヂカラ。

 その名前の通り、文字を具現化させる力だ。

 本来ならば、志葉の一族やその家臣とされる“池波”、“白石”、“谷”、“花織”の一族だけが使いこなせる特殊な力。

 レアスキルの御蔭とはいえ、使用する事が出来たのに自分でも驚いている。

 

 

 

 

 『志蓮、頼みがある』

 『何だ?』

 

 鳴り響く警報の中で、俺と志蓮は密かに念話で頼み事をする。

 

 外道衆が存在している。そして出現した。

 だからこそ、用意しておくべきモノがあるのだ。

 

 『“ショドウフォン”を探して欲しい』

 『何だそれは?』

 『赤色の折り畳み式携帯電話みたいなモノだ。筆のカタチに変形する変わった代物だが……外道衆が居るのだからそれもある筈だ。お前のデバイスは王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)の様なモノなのだろう? なら中に存在しているかもしれない……』

 『……わかった。時間は掛かると思うが、検索はしてみる』

 

 

 

 

 「忌々しい志葉の力。良いでしょう、今度こそ消し去ってあげますよ……跡形残さず、消し炭に」

 「参る!」

 

 左腰に存在している“シンケンマル”に、バックルに設置されている黒色のディスク装填し鍔にする。

 

 床を強く蹴り、アカマタの懐に潜り込む。

 

 シンケンマルを振り上げ、斬りかかるが鱗により流されてしまう。

 

 「(リンディさんはどうして彼処に? ゾイル程の実力者が何故?)」

 「疑問に思っているようですね? お応えしますよ、その疑問に」

 

 お互いに攻撃の応酬を繰り広げながら、言葉を交わしていく。

 

 その口からは予想する事は出来たが、其れでも認めたくない言葉が発せられる。

 

 「彼等は攻撃してきましたが、てんで弱かったですよ。大人の女の方は遅れてきたのですが、予想以上に弱くて、脆くて……。黒い方じゃない少年……彼も転生者ですよねえ。彼はまあ、強かったですよ。ヒトの身でありながらですが。外道に堕ちずにあの実力なのですから、落ちた場合はどうなるのか……

 「ヒトの身でありながら……か。究極生命体をそんな風に評価するなんてお前ぐらいだろうさ」

 

 繰り広げられる攻撃と防御は苛烈であり熾烈で、無事だった空間を削っていき、虚数空間が広がっていく。

 その穴に落ちない様に気を付けながら戦うのには問題は無いが、目の前の敵であるアカマタの攻撃を回避しながらとなると話は別だ。

 

 其奴の動きは速く、蛇のようにねちっこい。

 回避をしたと思うと、次の攻撃が迫り来る。思わぬところから、思わぬ角度での攻撃が飛んでくる。

 

 右に、左にと飛んで回避をしていると周囲の壁や床はボロボロと崩れ去り、脚の踏み場は殆ど無くなっている。

 

 「(此れじゃ、不味いな……場所を変えるべきだろうか)」

 

 相手の攻撃を避けながら、隙を突きシンケンマルで斬りつける。

 そうしながら少しずつ場所を移動し、まだ安定した踏み場のある空間に踊り出る。

 

 「そろそろ本気を出したらどうですか? 貴方の本気を見てみたいのですが……」

 「…………」

 

 印籠の様なカタチをした新しいアイテムを手に握る。

 蓋を開き、内部に“スーパーディスク”を装填する。

 

 【スーパーディスク】

 

 上部に存在しているボタンを押すと再び姿が変わる。

 赤いスーツの上に、金の縁取りが成された白い陣羽織が出現する。

 その手に持った“インロウマル”をシンケンマルに装填する。

 

 「それは……何ですか?」

 

 そのアカマタの疑問に俺は応える事なく、斬りかかる。

 だが、先程よりも強力で迅速なその攻撃に対しても其奴は難なく対処してくる。

 

 「本気を出してください……欠伸が出てしまいますよ。ふわあ……」

 《そんな…このままじゃ》

 「大丈夫ですよ、エイミィさん」

 

 その不安気な言葉を放つエイミィに対し、赤いマスクの中で俺は不敵な笑みを浮かべる。

 それに対し、アカマタはただただ訝しげに顔を顰めるだけ。

 

 「どういうつもりですか?」

 

 変身を解除した俺に対し、アカマタは動揺したのか大きく声を荒げる。

 その瞳は、予想外の行動に驚愕し、其れと同時に恐れているかの様に感じられる。

 

 「なあに……見せてやろうと思ってな。モヂカラではなくてサイヤ人の力を。全く……嫌になるぜ、力押ししか出来ない自分がよお……はああああああああああああっ!!!!」

 

 気を一気に大きく開放する。

 開放されたその気はオーラとなり、身体の周囲を明るく照らす。

 

 「――ガッ!?」

 

 アカマタは御腹を押さえながら身体を丸め、此方を睨む。

 

 「どうした? 立てよ……」

 《一体何を!?》

 「ただ速く動いて、速く殴って蹴った。そして斬った…其れ丈ですよ」

 《其れ丈って言われても……》

 「ウググ……」

 「何蹲ってるんだ? たかだかパンチ100発とキックを50発喰、斬撃を318回喰らっただけじゃないか……」

 「イタイイタイイタイイタイイタイ……」

 

 壊れたレコーダーの様に同じ言葉を繰り返すアカマタ。予想以上に堪えているのか、その瞳には大きな涙を溜めている。

 

 「……痛い」

 

 繰り返していた言葉は止み、顔を上げる。

 

 「ん?」

 

 そのアカマタの瞳は大きく見開かれ、ギョロッとしている。ヒゲが抜け落ち、より蛇に近い姿になる。

 

 「予想外でしたよ。此処迄のスピードに、此処迄のパワー。いやはや予想外…それでいて想定外……。良いでしょう……私も少し、本気を出しましょうかねえ……」

 「――!?」

 

 その言葉を聞くと同時に脚に鋭い痛みを感じた。

 

 「な、なに……蛇……だと……?」

 

 脚に蛇が齧り付いていた。噛まれている箇所からドクドクと血液が零れ出ていく。

 

 「ククッ……気が付かなかったようですねえ。この腕が、脚が変形し、噛み付いていた事に……」

 

 その言葉を聞き、見てみるとアカマタの右腕と左脚が伸び、そして此方の脚に噛み付いている蛇と繋がっていた。

 いや、この噛み付いている蛇が腕と脚なのだ。

 

 「くそ……」

 

 身体がフラつき、視界が暗くなり霞む。

 目の前には倒すと決めた敵が存在しているのに、身体を思う様に動かす事が出来ない。

 

 「毒が効いてきたみたいですね……」

 《――毒!?》

 「ええ、ええ、ええ。この毒は私の体内で生成される特殊なモノでしてね……ワクチンや抗体なんてモノは存在せず、無意味なんですよ。万能薬でも無い限り同仕様も無い程に強力な毒……」

 「(やべえ…目の前が……。声も余り聞こえなくなってきやがった)」

 

 息が荒くなり、視界は暗く、耳は遠くなる。身体の熱は急上昇し、重く、四肢を曲げる事すらままならない。心臓の音、鼓動だけが聞こえ、それがやけに煩わしい。

 

 「それでは行きますよ」

 

 その言葉と同時に次々と拳が襲い掛かって来る。

 それらの攻撃は弱りきった身体に容赦無く叩きつけられ、大きな悲鳴を上げる。

 

 《ひ、酷い……》

 「知らないんですか? 蛇とは相手を毒で弱らせた後に美味しく頂くんですよ……。ああ、そういえば……締め付けるのを忘れていましたね。蛇といえばまず此れでしょう」

 

 その言葉と同時にその長い腕で、身体を巻いていく。

 そして巻き終わると同時に、キツく締め付けるのだ。

 

 「ぐわああああああああーーーーーーッッッ!!!!」

 「良い悲鳴ですね……もっと聞かせて下さい」

 《止めて、其れ以上は……》

 「安心して下さい……この次は貴女方の番なのですから」

 

 そう言いながらアカマタはより強く、身体を締め付けていく。

 その顔は、表情というモノが存在するのならば愉悦とうモノに浸っているように見えただろう。

 

 

 

 

 「エイミィ……」

 「クロノ君!? 駄目だよ、そんな身体で動いちゃ!」

 

 振り返ると、其処にはボロボロになりながらも立ち上がり此方を見据えるクロノの姿があった。

 クロノだけでは無い。なのはや雄介を始め、先程回収をした皆が立ち上がっている。

 だが立っているだけで精一杯なのか、フラフラとしており、デバイスを杖代わりにしている。

 

 「転送ポートの起動を頼む……」

 「無茶だよ……そんな傷で」

 「頼む……」

 「ブロン君だけに戦わせるなんて出来ないよ」

 

 それぞれが、エイミィに対し、己の思いをのせた視線を送る。その瞳には恐怖が存在しているが、確かな決意と大きな勇気が存在していた。

 

 「其れでも、その傷じゃ……」

 「そんなに傷が気になるなら……此れでどうだ?」

 

 志蓮はその言葉を発すると、王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)から人数分の飲み物を取り出す。

 その液体からは消毒液の様な鼻を打つ匂い、其れと同時に甘い匂いが漂ってくる。

 

 「何だ? その液体は……」

 「表現の難しい匂いだね」

 「“エリクサー”……特効薬さ」

 「貸せ」

 

 雄介とドゥームはその手にあるエリクサーを奪い取り、一気に飲み干す。

 

 「――な!?」

 

 その途端、身体が発光し、傷が見る見るうちに塞がっていく。

 

 「す、凄い……傷が……」

 「それだけじゃない……体力が回復してる」

 「副作用は? 副作用とか無いよな!?」

 「無い! そんなモノは一切、断じて無い。存在していない」

 

 その志蓮の言葉を聞くやいなや皆が次々とエリクサーを飲む。

 

 万全の状態に戻った彼等は、再び戦場へと足を運ぶ。

 

 

 

 「グギ……グググ……」

 「フフフ……。この程度では終わらせませんよ、この程度ではねえ」

 

 締め付けがどんどんと強くなっていく。

 それを感じ取ることは出来るのだが、身体が動かず、抵抗する事が出来ない。

 毒による所為か意識は朦朧とし、藻掻く事もなく、身体はブランと力無く垂れている。

 

 ただただ締め付けられ、骨が軋み折れ、ヒビ割れる音が遠くから聞こえてくるだけだ。

 

 「抵抗くらいして下さいよ……ああ! 毒の所為ですかね……その効果で動けないんですか。……応える元気も無いんです、かあ!!」

 

 強く、その身体を蹴り上げるアカマタ。

 文字通り人形の様に動かない身体をゲシゲシとサッカーボールの様に蹴り続ける。

 

 「ハハハッ、幾ら戦闘民族とは云え毒で此処まで弱るとは……。――!?」

 「――“グラビトン”!!」

 「――“影竜の咆哮”っ!!」

 

 突如、アカマタを強力な重力と黒いブレスが襲いかかった。

 

 「お前達は!? どうやってその身体の傷を」

 「大丈夫か、ブロン!?」

 

 横たわるブロンを引き寄せ、目の前の敵である蛇を睨むなのはとフェイト。

 

 「う……」

 「此れを飲ませておけ……其れまでの間、俺達が時間を稼ぐ」

 「させませんよ!!」

 

 その手に有る液体がどういったモノなのか瞬時に理解したのか、アカマタはなのは達に飛び掛かる。

 

 「サイコキネシス!」

 「お前の相手は此方だ」

 

 空中へとジャンプをしたアカマタの動きを止め、雄介の回復を急かせる。

 

 止まったアカマタの瞳はギラギラと光り怒りに燃えていた。

 

 

 

 「此れを飲んで」

 

 口元に充てがわれたその瓶の中身をゴクゴクと飲み干していく。

 すると不思議な事に、先程迄の身体の痛みが治まり、傷が見事に塞がっていく。

 

 「ブロン君!」

 「ちくしょう……死ぬかと思った」

 

 目の前で心配そうに覗きこんでくる少女2人、そして少年2人と1匹の女性に対し、大丈夫だと応える。

 

 「本当に大丈夫なの?」

 「ああ……この通りだ」

 

 軽くジャンプをして、身体を動かしてみる。

 先程までの事が嘘みたいに、身体は軽く、自在に動いてみせる。

 いや、それ以上だ。

 瀕死になりかけ、其処から回復をしたのだ。劇的に戦闘力が上昇した筈だ。

 

 「にしても、このエリクサーだっけか……。カルピスと混ぜると美味しくなると思うんだけどな……」

 「ははっ」

 「さて、反撃開始だ!」

 

 目の前で繰り広げられている戦闘に、俺はまた再び足を踏み入れる。

 

 

 

 「ブロン!」

 「回復したか……」

 「御陰様でな。にしても、“仙豆”以上の万能回復アイテムが存在しているなんてな」

 「サイヤ人め……」

 「サイヤ人は死の淵から復活すると、その度に強くなっていく。……この意味が分かるな?」

 

 目の前の敵を睨み、呼吸を、気を整える。

 

 先程まで身体に溜まっていた毒は消え失せ、頭の中は何時もよりもクリアになっていた。

 

 「行くぞ」

 「――グあっ!?」

 

 さっき迄よりも、噛み付かれ毒を注入される前の時よりも強く、速く打撃を叩き込んでいく。

 その様子は周囲から見ていると、アカマタの身体が突然折り曲がったり、凹んだりしている様に見えるだろう。

 

 「何が起きているんだ?」

 「み、見えない……目で追う事が……」

 「気で追おうとしてるんだけど……全然追いつけない……」

 

 次々と手で、脚でその鱗を削り、確実にダメージを与えていく。

 その攻撃に対処する事が出来ず、受け続け、アカマタは白目を向きながら必死に息をするかの様に口を大きく開いている。

 

 「超サイヤ人になる必要も無いな……ホラッ、プレゼントしてやるよ」

 

 その大きく開いた口の中に、凝縮した気の弾丸を詰め込む。そして、右手で上顎を、左手で下顎を掴み、無理やり閉じさせる。

 1秒も経過せずにその気弾は爆発し、鼻の穴から煙がモクモクと出て、昇っていく。

 

 「えげつねえな」

 「どっちが悪者か分からねえ……」

 

 「畜生! お前達を殺してやる!!」

 

 激昂し、言葉遣いが乱れるアカマタ。

 彼の瞳には、もう理性というモノは存在せず、あるのはただ目の前の存在を消し去るという害意、敵意、殺意だけだった。

 

 「これで終いだ……コオオオオオオッ」

 

 気を高めると同時に呼吸を整えていく。

 その呼吸の仕方は通常時とは違い、大きな音が鳴り響く。

 特殊な呼吸法により、体内の血液の流れがより速く、確かなものへと変わる。そしてそれは、吸血鬼が最も忌み嫌う太陽と同種のエネルギーを体の内につくりだす。

 

 「この音は?」

 

 「波紋だ……。波紋の流れる音だ」

 

 手にしたショドウフォンで気という文字を書き記していく。

 その文字は身体に吸い込まれていき、波紋の呼吸による太陽のエネルギーと共に、気を限界以上に引き出し、増大させていく。

 

 まるで潜在能力を開花させたかの様に。

 

 「ビックバン・か、め、は、め……」

 

 両掌に溜められた気は大きくなり、一気に凝縮する。

 その気弾からは目を灼くかと疑う程の凄まじい閃光を放ち、周囲を強く照らす。

 

 「波ああああああああああーーーーーっ!!!!!!!!!!」

 

 放たれたエネルギーはアカマタの身体を飲み込んでいく。強烈な光が迸り、その敵の身体を消滅させた。

 

 「やった…?」

 「やったぞ!!」

 「終わったあ……」

 「まだだ……まだ“二の目”がある」

 

 安心している皆を余所に俺はまだ気を周囲に配っていた。

 

 「二の目って?」

 「――来たぞ」

 「よくもやってくれましたねえ」

 

 消滅した筈のアカマタが再生し、巨大になっていく。

 だが、その大きな身体の所為で自滅する事になる。

 

 「――!? バカなああああああぁぁぁぁぁ」

 

 床が割れ、虚数空間に落ちていくアカマタ。

 

 「え!?」

 

 急に身体が引っ張られて、俺もまた落ちていく。

 舞空術で切り抜けようとするも、何かが巻き付いているのか上手く抜け出すことが出来ない。

 脚元を見ると其処にはまた蛇が絡み付いていた。

 

 「道連れって事かよ……」

 

 落ちていく俺に対し、遠くから俺の名前を呼んでいる皆の声が山彦のように繰り返し聞こえた。




思い付いたからてきとうに文章にしてみる。

始めはそれだけだった。

何時の間にかそれなりの数を書いて投稿して。

評価して貰ったり、お気に入りに入れて貰っていたり、感想を書いて貰ったり。

嬉しい半面、上手く自分の脳内での想像を文章にして伝える事が出来ない事に悔しかったり。

そして何よりも、個人の妄想の垂れ流しなのでとても恥ずかしかったり。

それでも僕は書き続けます。

妄想が止まらないので。読んでくれる人が居るので。
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