魔法少女リリカルなのはZ   作:りおんざーど

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空白期間
俺 管理局に入ります


「どうやって虚数空間から抜けだしたんだ?」

 

「どうやってと聞かれてもな……」

 

アースラにある執務室にて、俺とクロノ、そしてゾイルが集まり事情聴取が開始された。

 

質問をされている側はもちろん俺だ。

 

界王神界から、瞬間移動で皆の元へと、海鳴市へと帰還し、外道衆である牛鬼を倒した時に「あとで話す」と言葉にしたのだ。

 

その翌日である今日、約束通りに説明をしようと、クロノを気を探り、アースラに来たのだ。

 

だが、その界王神界という場所をどの様に説明をすれば良いのか分からない。

 

上手く言葉にすることが出来ないのだ。

 

「なんて言えば良いのかな…虚数空間の先には、実は別の空間が存在していた? …みないな」

 

「なぜ疑問形なんだ…?」

 

そんな俺の様子と言葉に、クロノは呆れながらも此方の目を見て、真剣に耳を傾けてくれている。

 

実際のところ、気が付けば界王神界に居たのだ。だから、どのように説明をすれば良いのか自分でも理解出来ていない、仕様が存在していないのだ。

 

クロノ以上に、自分も説明をして貰いたい気持ちを抱いているつもりだ。

 

界王神界に居た時に、シェンに聞いておけば良かったと後悔はしても、あとの祭。

 

だが、今度行った時にでも聞いてみれば良いだろう。

 

「界王神界っていう場所なんだけど…世界全体を見守る界王神という存在が居る場所かな。その界王神であるシェンに助けられたんだ」

 

「そんな存在が居るなんて上が知れば、大混乱どころか大問題になるだろうな…で、その界王神界という場所に居た……と」

 

「もしかすると其処がアルハザードなのかもしれないな…」

 

そのゾイルの言葉に、頷きながら俺達はそれぞれの手元にあるコップを手に取り、コーヒーを口に含む。

 

程よい苦味が口の中に広がり、喉を通過していく。

 

アルハザード ――― 失われた秘術が眠る伝説の土地

 

死者を蘇生させたり、時間を遡行したりする魔法などの失われた技術などが存在しているとされる隔絶された場所。

 

界王神界は、実際のところそんな場所ではないのだが、界王神という存在はレアスキル以上の特殊な力やアイテムを所持している。

 

前世の記憶を覗いてみれば、他人の潜在能力を限界まで引き出してみせたり、自身の生命を引き換えにして他者を生き返らせたりしていた筈だ。

 

その事から考えるに、あながち間違いでは無いのかもしれない。

 

「プレシア・テスタロッサの姿は見なかったか?」

 

「いや、影も形も…見当たらなかった」

 

眼を開き、周囲を見渡した際に視界に入ってきたのは一面の緑色。

 

そして、シェン以外のヒトは存在していなかったのだ。

 

もしかすると、未だなお、アリシアと共に虚数空間を彷徨っているのかもしれない。

 

其の事を考えると、ゾッとしたモノが背中を這いずりまわる様な気がした。

 

「そういえば、フェイト達はどうしてるんだ?」

 

「護送室で大人しくしている。近い内にミッドチルダにも到着するからな…裁判も事情聴取も悪い方向には進まないだろうさ」

 

嫌な気持ちから逃げ出すように、話題を変えてみたが、そのゾイルの言葉に安心し、ほっと胸を撫で下ろす。

 

懸念事項が1つ解消されたのだ。

 

「…その……俺の事なんだけどさ………」

 

そう、1つ目は、だ。

 

まだ頭に引っ掛かっている事は、思い悩んでいる事はある。

 

時の庭園での出来事…俺の変化についてだ。

 

此処からが俺にとっては本題でもあり、正念場でもあるのだ。

 

今、クロノ達の目の前に居る俺の姿は普段の黒髪黒目ではなく、金髪であり、右目が翡翠、左目が紅玉のオッドアイなのだから。

 

下には、ゾイルにより斬られたであろう痕が残っている尻尾が存在している。

 

「モヂカラを使った場面、外道衆を名乗る存在を倒しした場面は記録されていない…金髪、虹彩異色症であるお前のその姿もだ。そう、そしてこの話はすべてオフレコだ。そうだな、クロノ執務官?」

 

「ああ。だが、君が大猿になった場面は記録されている……」

 

何かを聞きたそうにしてはいるが必死に堪えながら話すクロノのその言葉に対し、俺はただ「そうか」と返した。

 

予想は出来ていた、していたのだ。

 

だが、実際にその言葉を聞くと無性に不安に駆り立てられてしまう。

 

「―――で、だ…これを誤魔化す事は出来そうにない」

 

「理解ってるよ………」

 

情報が漏れれば、上の方からいろいろと大きな圧力が掛けられ、出て来るだろう。

 

大猿への変化は魔法による変身だと説明をすれば良いのかもしれない。

 

だが、理性を失くし、暴走していたのだ。

 

味方であるクロノ達を攻撃した。その事実だけでも公務執行妨害などでしょっ引く事も可能だろう。

 

幸いにも、クロノにその気は無いみたいなのだが。

 

魔法とはまた違う力を所持し扱う存在、更にはその力をしっかりと、完全にコントロール出来ていない。

 

此れほどの巨大な力を持ち、暴れる危険性を持つ存在を野放しにしていられる程、時空管理局は優しく、間抜けな組織ではないだろう。

 

近い内に何かしらのアプローチが、あちら側から来る筈だ。

 

「だからこそ、だからこそだ…先に此方が動くべきだ。動くべきなんだ……。俺、管理局に入るよ」

 

「手続きは此方でしておく。動きがあり次第連絡するよ」

 

「ある程度良い方向になる様に努力する」

 

俺の考えを予想していたのか、2人は驚く事もなく、静かに、優しく応えてくれた。

 

テスタロッサ兄妹とアルフの抱える問題も存在しているのに、負担を更に増やすことが情けなく、申し訳なく思うが、それ以上に感謝の気持ちが強かった。

 

「ありがとう」

 

手元に置かれているコップを掴み、残りの少ないコーヒーを飲み干す。

 

それなりに時間は経過していた為か、冷めてしまっている。

 

「さてと、取り敢えず話したい事と話すべき事は解消したし…帰るよ」

 

逃げるように目を閉じ、海鳴市に存在している自分の気を探りだす。

 

その気を頼りに、自宅へと瞬間移動をした。

 

目の前から一瞬にして姿を消した事にクロノは驚くが、それも一瞬の事で、ゾイルと共に普段と同じ様に事務作業へと手を戻した。

 

 

 

 

「(最初の頃はゾイルの話を聞いて半信半疑でいたが、流石にここ迄くると信じる他ないか……)」

 

書類の整理をしながら、クロノは事件を、そしてゾイルと初めて会った時の事を思い出す。

 

少し前の出来事の筈なのだが、かなり時間が経過しているかのように感じられた。

 

伝説の三提督と共に功労者として管理局に貢献している彼だが、そんな事は管理局員の殆どは知らない。

 

彼自身がそんな事を気にしている風でもなく、自分が気になった事に対してのみ全力で活動しているのだ。

 

究極生命体である彼にとって、この世界の殆どはつまらないものであり、退屈しのぎなのだろうが。

 

そんな働きをしている彼だが、執務官というポストにおさまっている事はとても不思議に思える。

 

だが、彼のつく執務官というポジションは普通のものではなく、特務や特殊といったものが先についてまわる。

 

本来の執務官は事件捜査や各種の調査などを取り仕切る役職であり資格だ。

資格保有者は所属部隊における事件及びホム案件の統括担当者になる事が出来る。

 

だが、彼には行動の自由を持っており、その権限は通常の部隊指揮官、場合によっては提督以上のモノで事件の捜査や調査の指揮、作戦の立案や実行などの権限を有しているのだ。

 

簡単に言えば、執務官とい名前の特殊な階級だ。

 

母親であるリンディ提督が艦長を務めるアースラに配属された時、彼もまた此処に配属され、顔を合わせる事になった。

 

初めて会った時に、直ぐに「自分は転生者だ」と言った時には面食らったものだ。

 

「さて、今回の事件…名称はプレシア・テスタロッサ事件か……それとも…」

 

本局に於いて、歴史上では遺失遺産の違法使用による次元災害未遂事件となるだろう。

 

母親であるプレシア・テスタロッサの命令を受けて、フェイト・テスタロッサはジュエルシードを探索していた。

 

兄であるドゥーム・テスタロッサとフェイトの使い魔であるアルフは、そのフェイトを守る為に、手伝うために。

 

目的を知らされず、必要だと、探して持って来いと言われるがままに。

 

発掘者であるユーノ・スクライアと現地の魔導師である高町なのは、上条雄介、神威志蓮、保和歩栄の5人と数回の戦闘。

 

高町なのはの友人であるアリサ・バニングスの家で、怪我をしたアルフと話をする。

そして、フェイトはプレシアにより虐待を受けている事が発覚した。

 

なのはとフェイトによる2人だけの戦闘、そして外道衆を名乗る異形の存在アカマタとの戦闘。

 

彼女達の闘いはなのはの勝利に終了したが、アカマタの方は取り逃がす。

 

アースラにフェイト達を連行すると、時の庭園の映像がモニターに映し出される。

 

そしてプレシアの目的が、実の娘であるアリシア・テスタロッサを生き返らせ、失くした時間を取り戻す事だと判明した。

 

その方法は、次元震と次元断層を起こして、虚数空間にあるとされるアルハザードに行き、其処で目的を果たす。

 

時の庭園に転移し、プレシアの暴走を止めようとするが再びアカマタが現れ、ブロンが大猿になり暴走。

 

ゾイルが尻尾を斬ることで事無きを得る。

 

フェイトがプレシアに自身の思いをぶつけるとプレシアもまたそれに応えようとするが、彼女とアリシアは虚数空間に落ちていく。

 

そして、再度アカマタとの戦闘が始まった。

 

その戦闘時に、プレシアの暴走はアカマタが促して、起こさせたものだと判明。

 

「動きが見えなかった…対応できなかった」

 

アカマタの動きは肉眼で捉えられないほどのスピードでサーチャーを通した映像でも影が映るだけだった。

 

ブロンが戻って来て、アカマタと戦闘。

 

虚数空間に落としたが、ブロンもまた共に落ちる。

 

時の庭園から脱出後捜索をしたが、見つかる訳もなく困難な状況に。

 

唯一、希望を抱けたのはゾイルの「気を感じる」という言葉だけ。

 

高町なのは達を現地である海鳴市に帰還させ、フェイト達の観察、事後処理とブロンの捜索を続行。

 

なのは達に別れの挨拶をする時に、別の外道衆が乱入。

 

そこに行方不明となっていたブロンが介入し、外道衆を撃退。

 

彼に事情聴取を開始……。

 

「(流石に転生者の事や界王神界について載せる訳にはいかないし……外道衆の事もどう説明すれば………)」

 

たった1人であろうともロストロギアに相当する、場合によってはそれ以上の力を発揮し、戦闘力を誇る存在。

 

その力が破壊に用いられた場合にどうなってしまうのか考えたくは無い。

 

状況によっては単独で管理局を壊滅させる事すらも可能だろう。

 

稀少技能として解釈することで社会に受け入れられるだろうが、その存在がなければ彼等は孤立するだろう。

 

もしそうなれば、彼等はどのような行動を取るか。

 

彼ら転生者は一体何を望み、何処へ向かうというのか。

 

望みを抱いていなくても、どのみち世界に大きな影響を与えるだろう。

 

「一体何なんだ…君達は……?」

 

 

 

 

「―――― 到着っと…」

 

自身の分身が発する気を頼りに、自宅への瞬間移動を終え、深呼吸をする。

 

数日ではあるのだが、掃除をしていなかった為か少し埃っぽく感じられる。

 

それ程時間は経過していない筈なのだが、それでも何処か久し振りに感じ、懐かしさを与えてくる。

 

数日間しか開けていないに、それがとてつもなく長い間だと感じられるのだ。

 

「それにしても…自分がもう一人存在しているというだけでも違和感を感じるのに、自分の気を感じ取ることが出来るなんてな……奇妙なモノだ…上手く言葉に出来ない」

 

鏡の前に立ち、自身の姿を見直してみる。

 

ガラスである表面の部分には少なからず埃がかぶっており、気になったのでポケットに入れてあったハンカチを用いてその汚れを拭き取ってみる。

 

「うーん、やっぱり黒髪にしておいた方が良いだろうな…学校にも行くんだし……うるさく言われるのは勘弁だ」

 

突然の髪色の変化に、周りの生徒達は集まってワイワイと騒ぎ出すだろう。

 

なのはや雄介達、魔導師組は見た事があるのだからそれほどだろうが、アリサとすずかはどうだろうか。

 

彼女達は騒ぎはしないだろうが、驚くだろう。

 

質問をしてくるだろう。

 

あとあとバレて説明するのだから問題は無いのかもしれない。

 

だけど、管理局からの接触などの問題は存在しているのだ。

 

其の事を踏まえて考え行動しないといけない。

 

無闇にこの姿を晒すのは良くはないだろう。

 

鏡の前で、変身魔法を行使する。

 

金色だった髪、翡翠と紅玉の瞳は黒色へと変化。斬られた痕のある尻尾は綺麗サッパリ姿を消し、見えなくなっている。

 

そこに映っているのは普段学校に通い、遊んでいたブロンの姿だった。

 

「そういや、デバイスが壊れたんだよな…高性能で、重力操作も出来た代物だったのに……」

 

大猿へと変化した時に、腕につけていたデバイスは、その身体の変化に追いつけず壊れたのだ。

 

いろいろと便利な機能が搭載されており、毎日の様に使用していたのだが、いざ無くなるともの寂しい気持ちを感じざるを得ない。

 

幸いと言って良いのは、その量子変換機能を使用してキャッシュカードなどの重要なものをデバイスの中に入れておかなかった事だろう。

それら貴重品は大事に、別の場所に保管をしているのだ。

 

「ま、仕方ないよな…形あるものはいつかは壊れる……重力による負荷を与えての修行は出来なくなったけど」

 

 

 

「100009…1000010……1001000………1000001010……」

 

地下室に存在している修行室で、久し振りに身体を動かしている。

 

汗を額から流しながら、腕を高速で屈伸させていく。いわゆる腕立て伏せというものだ。

 

とてつもない回数を行なっているので、普段ならばどれだけの回数をこなしたか分からなくなるほどだ。

 

だが、マルチタスクを使用しながらなので、その心配をする必要性も無く、ひたすらに、意識を修行に集中させ、励む事が出来るのだ。

 

数を数え間違えることも無く、体力の続く限り、筋肉が悲鳴をあげるまで続けられる。

 

「此れで…終了……ぬわあああああああああああんん疲れたもおおおおおおおおおおおおおおおん………」

 

大きく息を吐き、大の字を描くように床の上で横になる。

 

身体を動かした事により体温は上昇し、その所為か通常よりも床がヒンヤリと冷たく、気持よく感じられる。

 

「シャワーでもかかるとするかな…その前に、ポチッとな」

 

部屋を出て、すぐの所にあるボタンを軽く押す。

 

それにより、修行室内の温度は急上昇を始める。

 

空気が熱せられ、空間が揺らめいて見えるほどに、だ。

 

腕立て伏せをしていた場所には、流れて出来たであろう汗による水溜まりが出来ている。

 

実に汚いものだ。

 

その液体は、急激に上昇した室温により蒸発していく。

 

そしてその後、端の方の壁に換気扇の様なものが出現する。

 

その大きさは大型トラック一台分の3倍ほどの大きさだ。

 

そして、そのファンがゆっくりと回転を始め、次第にその動きは速くなる。

 

室内の空気は流れ始め、中の空気と外の空気を入れ替えていく。

 

 

 

「ふぅ~…生き返るわぁ」

 

少し早いが出してある扇風機から発生する緩やかな風に当たりながら、冷蔵庫の中で冷やしていた炭酸水をコップに注ぎ、それを飲み干す。

 

流れる風が、濡れた肌を優しく撫で上げ、それがとても心地良く感じられる。

 

「さてと…チェックするか」

 

パソコンの電源ボタンを押し、起ち上げる。

 

カタカタという音を鳴らしながら、真っ暗だったモニターは白色の光を放ちながら点灯し、OSなどのソフトウェアの名称が表示されていく。

 

インターネット接続が成されているかどうかを確認し、ブラウザを開き、起動させる。

 

「おっ! 再生数がまた上がってるな。やったぜ」

 

今、俺が見ているのは動画共有サイトだ。

 

其処に、俺は前世の記憶の中に存在している曲やアニメなどを、スキルを使用し、コピーや模倣して、そのサイトに投稿しているのだ。

 

声真似をしたり、打ち込んでBGMを再現して流したり。

 

前世での世界には存在していたが、今世では見受けられなかったものを投稿している。

但し、自分の知っている中で、転生者が特典として貰って使っている能力などが出て来るものを除いた作品をだ。

 

記憶はモヤが掛かり朧気になってはいたのだが、新しく創りだしたレアスキルの効果により、ハッキリと思い出し。それ以上に、完全にとまではいかないが、ほぼほぼそっくりに真似をする事が出来た。

 

曲に於いては楽譜も、書かれていない歌の部分も。

 

アニメの方はキャラクターデザインも、BGMなどの流すタイミング、声優さんの声や喋り方なども、だ。

 

そんな作品など俺が投稿するまで名前どころか存在すらしていなかった。

 

そして、投稿すると予想以上に広がっていったのだ。

 

「だからって…俺が作者扱いなんてな……」

 

この世界には、その作品の原作者や作曲者と同じ名前で性別の人は居るだろう。

 

だが、それだけなのだ。

 

実際にはその人、本人ではないのだから。

 

そして何よりも、自分の好きな作品が知られて広がっていく。

 

それはとても嬉しいことだ。嬉しい事なのだ。

 

だが、自分が一から生み出したモノではなく、その作品の恩恵を受けて、そこから出て来る甘い汁を吸っているだけなので、自分の作品の様に扱われ広がっていく事に対し、何処か後ろめたさも感じさせている。

 

 

 

「さて…入ってくる事は無いだろうけど、一応」

 

パソコンをある程度触り終え、満足したのでシャットダウンをする。

 

懐に入れておいたショドウフォンを取り出し、宙に〔守〕の文字を描く。

 

書き終えると同時に、そのも漢字は巨大化し、家を覆っていく。

 

そしてその文字は霞のように、幻のように消え去る。

 

「これで、外道衆は入ってこれないだろう…皆の家にもしておいた方が良いだろうな……いや、出来るのならば地球全体…そして、次元世界全体にも」

 

思い出したかの様に、モヂカラによる結界を家に張り、一息を吐く。

 

それ程の力を所持している訳がないのに、そんな大きな事を考えてしまう。

 

だが、実際に友人の家には張っておいた方が良いのかもしれない。

 

時計を見ると、時間は17:00を指しており、お腹の方も空腹を主張するように大きな音を鳴らし始める。

 

それを自覚すると、先程まで感じてはいなかったのに、強力な空腹感が襲い掛かって来た。

 

「明日からまた学校に戻るからな…腹が減っては戦は出来ぬ、だったかけ……飯だ」

 

台所へと向かい、夕御飯の準備に取り掛かることにした。

 

 

 

 

「ご馳走様でした、そしてお粗末様でした…片付けをし……!?」

 

食事を終え、自身に挨拶をする。

 

食後の皿洗いに入ろうかと考えると同時に、大きな気が出現した事に気が付く。

 

その気の質は、何処か歪であり、生きている者が発するモノでは無い事が気を感じることが出来る者には理解出来る。

 

「この気の質は…外道衆か……場所は何処だ? 反対側…」

 

その気が発せられている場所は、南半球に存在するとある国からだ。

そこから気を感じ取れる。

 

外道衆は三途の川から隙間を通して、この世界に来るのだ。

 

その先がどの国であろうと、どのような場所であろうとも関係はない。

 

水切れを起こさない限り、そして三途の川の水を溢れさせる為に人々のマイナス要素の強い気持ちを煽り、増長させて集めているのだから。

 

前世で観ていた特撮の物語で、日本だけが、アメリカだけが舞台だったのがとても不思議に思える。

 

「考えていても仕方が無いか…さて、と」

 

家の鍵などを閉めて、戸締まりをする。

 

そして、四身の拳による分身を自宅待機させ、その気を探り、瞬間移動を使用した。

 

 

 

「少し、肌寒いかな…」

 

日本では5月末で、春とも夏とも言い難い時期に差し掛かる。

 

そして、此処は南半球に位置した場所だ。日本とは季節が正反対。

 

気候もまた逆なのだ。

 

「あ、いたいた。一筆奏上…はしなくても良いかな」

 

手にしたショドウフォンで〔刀〕の文字を描き、シンケンマルを召喚、そして懐の中に入れる。

 

目の前に存在しているのは猿の様な妖怪だ。

 

大きさは電話ボックスの3倍ほどだろうか…とてつもなく大きい。

 

人々はその姿を見て逃げ惑うが、妖怪の方はその様を見て大笑いをする。

 

その際に、唇は自身の目を覆う程に大きく捲れ上がる。

 

その笑い声は凄まじく、周囲に存在しているトラックなどの自動車をも吹き飛ばすほどの衝撃波を起こしている。

 

現地のヒトはその爆風に煽られて、為す術無く吹き飛ばされていく。

 

「五月蝿い声だ…それに、風が強いな…皆吹き飛ばされてる」

 

近くに居るナナシ連中ですら立っている事が出来ずに吹き飛ばされていく始末だ。

 

その声は、ビル街を突き抜け、窓ガラスを振動で破壊していく。

 

「よう」

 

「ん? ハハハハハッ、人間だ! 俺に声を掛けてきやがったwwwww」

 

耳の鼓膜が破れる程の大きな声に、身体を吹き飛ばそうとする程の風。

 

そして、喋った際に無数の唾がマシンガンの弾の様に飛んでくる。

 

「(汚え…)……悪いけど早々に退場してもらう」

 

「え?」

 

シンケンマルに気を纏わせ、上から下へと向かい袈裟斬りをする。

 

腕や脚を、身体全体を鮮やかな動きでサイコロ状に斬り刻んでいく。

 

斬られている側である妖怪はその一秒にも満たない時間で自分にされている事を、何が起こっているのか理解出来ていないだろう。

 

気弾をぶつけ、バラバラになったその大きな身体を粉微塵にする。

 

その爆発により、周囲の建物やヒトに再び被害が出てしまう。

 

「やべ! 結界張るの忘れてた…見られてるよな、これ?」

 

翌日には新聞に載ったりしてニュースになっているだろうか。

 

そんな事を想像し、憂鬱になりながらも結界を張る。

 

「時既に遅しだけど、仕方ないか……」

 

再生し大きくなっていくその外道衆の身体を隠すほどの大きな結界を張り、周囲から隔絶した空間をつくりだす。

 

「フハハハハッハハハハハハ、俺を倒すなんて凄い人間だ!!」

 

二の目になることで、さらに大きくなり、目測ではあるが150mほどの巨体になる。

 

そんな大きなやつからすると俺は、蟻の様に小さい存在であろう。

 

その全身を視界に入れる事が出来ず、上を向くか、空を飛ぶしか方法は無い。

 

そして、その声は大きくグワングワンと鳴り響き、結界内を揺るがしていく。

 

「頭に響く…」

 

「ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!」

 

気を徐々に高めていき、掌に集中させる。

 

その光は、暖かく周囲を照らしては居るが、生命を奪い、消滅させる事の出来るモノだ。

 

「ん?」

 

その小さな明かりに気が付いたのか、下の方を向く猿の妖怪。

 

だがその動きは酷く遅く、ゆっくりだ。

 

「止めろ! その攻撃は!」

 

その俺のする行動に気が付いたのか、そのエネルギー弾の威力を悟ったのか先ほどまでとは打って変わって焦り出す。

 

その際に、身体を大きく動かし、小規模ながら地震が発生する。

 

「スローイングブラスターッ…」

 

ボウリングの球を放り投げる様にその気弾を放つ。

 

左手に凝縮されたエネルギーの弾がその巨体へと一瞬で迫る。

 

その弾が当たった瞬間、それは大きく膨張し、周囲を緑色に照らしていく。

 

後ろに振り返ると同時に、その巨体は消え去り、大きな爆発を起こした。

 

「此れにて、一件落着」

 

 

 

結界を解除し、急いで自宅へと瞬間移動する。

 

「便利何だけどな…今度、シェンに瞬間移動のやり方を教えて貰おうかな」

 

大きな欠伸をしながら、再び風呂場に向かい、湯船にお湯を入れていく。

 

水温が高いからか、既に蒸気が立ち、空間内を曇らせていく。

 

「片付けをしないとな…」

 

 

 

 

翌朝のテレビ、そして新聞にはデカデカと外道衆の事、そして俺の事が見出しに記載され、放送されていた。

 

見出しはこうだ ―――――― 幻覚か!? 猿と少年サムライの戯れ




書き溜めをしているのでそれを投稿していこうと思います。

投稿していない2週間の間、アニメみたりゲームしたり、寝たりしていました。
その中に妄想が入っていて、書いてみると止められない止まらない。

誤字脱字が半端無く多い筈ですので、気になればなんなりと申し付けて下さい。
それ以外で読み辛いというコメントの場合はただ謝ることしか出来ません。
自分にはこの様な風にしか書けないので。
此れもまた作風の一種だと解釈してくれれば嬉しいです。
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