時間は少し経過していますが、誤差範囲でしょう。
書き溜めていたモノは全て排出しました。
投稿しました。
またゆっくりと書いていこうかなと思っています。
ワーワーといった大きな歓声が闘技場の中を響き渡り、反響している。
周りを見渡してみると、其処は円形に座席が設置されており、その座席には沢山のヒトが座っている。
その中にはヒト型ではあるが、おおよそヒトでは無い者も存在している。
そして、別の場所にはより綺麗に装飾された椅子に座っている人物が1人。
「どうしてこうなった……」
初めて会った時はシェンの持つ気を感知する事が出来なかったが、少しの間ではあるが時間を共にしているとその彼の気がどのようなモノか理解することが出来た。
クリアなのだ。限りなく静かで質の良い、透明であるが為に、気が付きにくいだけなのだ。
それにその事に気が付くと、彼の持つ気を感じ取る事が出来た。
そして界王神の使う瞬間移動が便利なので、それを教えて貰おうと気を頼りに移動したが、其処でこの様な誘いを受ける。
「あの世に行ってみませんか?」というシェンの言葉に、俺は迷うこと無く頷いた。
前々から気にはなっていたのだ。
この世界に存在するあの世というのはどのような場所なのか、閻魔様や”界王達”はどの様な人物なのか。
その事から俺は、そんなシェンの言葉に快諾したのだ。
「此処があの世です」
目を閉じ、開く。
その一瞬の間に俺達2人は覚えのない場所へと移動していた。
中華風、和風に装飾された空間に立っているのだ。
目の前には死者の魂だろうか――列をつくり並んでいる。
その近くにはスーツを着込んだ鬼が「列を乱さないように」などと拡声器を手にし、大きな声で呼びかけている。
「すごい近代的だ……」
「こっちです」
驚く俺を置き去りにして、シェンは先へと進んでしまう。
ゲートの様な場所へと行くと、其処にもまた別の鬼が居る。
「――!?」
横を見てみると、其処には壁かと思い込んでしまう程の巨大な机に、そして大きな椅子に座り、書類に判子を押しているヒトが居た。
「お久しぶりですね、”閻魔大王”」
「――! これは、界王神様。どうしてこの様な場所に……?」
手を動かしながら作業を続け、そして口を開き、シェンに対し質問を投げかける閻魔大王。
ふと机の方を見てみると、其処にはモニターが設置されており、生きていた頃のだろうか――映像が流されている。
それを見た魂は、その無い身体を大きく震わせ、まるで悔やみ、泣いているかのようだ。
「いえ、ここに居るブロンに是非大会に参加して貰おうと思いまして」
「成る程……」
「では、此れにて……行きますよ、ブロン」
そのシェンの応えに頷きながらも、閻魔大王は作業を続け、魂を処罰し、”天国”か”地獄”に逝くようにと指示を出していく。
天国逝きだと示された魂は「わーい」と喜びながらゲートへと向かい、地獄逝きだと示された魂は文句を言うが強面の鬼により連行されていく。
「待ってくれよ」
そんな様子を片目に見ながら、シェンの後を追う様にゲートを潜る。
其の先には、飛行機が2台ある。
1台は、大きくジェット旅客機の様にしっかりとした感じをしている。
だが、もう1台の方は少しばかり小さく、比べてみると見窄らしく感じてしまう。
「こっちですよ」
そう言いながら、シェンは小さい方の飛行機へと乗り込む。
慌てて、追いかけるようにその飛行機に乗り込んだ。
「見て下さい、あれが天国です」
その指の先には大きな星が存在しており、それを見下ろしてみる。
ピンク色の雲が広がり、下には草木などの植物なのか緑色が広がっている。
「あの世と言っても、閻魔大王の居る”閻魔界”、天国、地獄……そして、”転生の間”が存在しています。大きな球状の空間で構成されていて上半分が天国を含めた界王界、地上に閻魔界。中というか底の方が地獄です。太陽もあるんですよ」
乗っている飛行機は古い物なのか、ガタガタと大きく機体を揺らしている。
シェンの声もまた、その機体の揺れと共に震えている。
「そろそろ着きますよ」
その一声を聞き、窓の外を覗いてみると、目の前には発着場が広がっている。
暫らくするとドアが開き、降りることが出来る様になる。
「こっちですよ」
シェンの後ろを付いて行くと、其処には大きな武闘会場が広がっていた。
真ん中に存在している舞台では既に大会は開始されているのか、2人のヒトがお互いを殴り、蹴り、攻撃と防御の応酬を繰り広げている。
周囲からは大きな歓声が響き、熱狂が伝わって来る。
「か、界王神様!? 何故この様な場所に?」
此方に気が付いたのか、黒を基調とした服を着ている4人の集団が此方に近づいてくる。
「(界王……なのか……?)」
彼等の服の真ん中には界王という文字がデカデカと書かれており、頭の方には触覚の様なものが付いている。
「彼にも参加して貰おうと思っていたのですが、既に始まっていたみたいですね」
目の前で繰り広げられている組手を目にしながら、残念そうにしながら言葉にするシェン。
そんな彼を見て、大きな椅子に座っていた老人が指で鼻をほじりながら近付いて来た。
「SEED枠で出たら?」
「”大界王”様!」
目の前に居る老人は、彼等のトップである大界王なのだろう。
見た目としては4人の界王よりも年上の様に見える。
そして、その着用している服の真ん中には大界という文字が主張している。
だが、その登場の仕方が原因なのか、とても彼達の上司だとは信じる事が出来ない。
「それではお願いします」
そのシェンの言葉により、俺自身の意思は関係なくあの世一武道会に参加する事になった。
《お待たせ致しました! 今回の”あの世一武道会”で優勝したヤーゴ選手にはSEED枠の保和歩栄選手と闘ってもらいます!!》
司会進行役によるアナウンスが会場に響き、観客の声援がより一層大きくなる。
「ブロンさん! あの世一武道会のルールは御存知ですよね?」
「一応……」
舞台から落ちた場合、降参した場合、泣いてしまった場合に勝敗が決定される。
目潰しや、急所攻撃は反則として禁止されている。
基本的には舞台限定でのものなので、会場にある天井に足が着いても失格となる。
そして、優勝者には大界王から個人指導を受ける権利が与えられる。
「だったかな……」
「はい、その通りです」
記憶の中に存在するアニメやゲームの知識を参考に確認をすると、肯定だという返事が返ってくる。
「界王神様に敬語を使わないなんて、なんて奴だ……」
「界王神様お墨付きの子だから、強いんでしょうね」
「だけど、子供だぞ」
などと言った言葉が横の方から聞こえてくる。
それはそうだろう。いくら上司が推薦してきたとはいえ、年端もいかぬ少年がこの大会に参加して優勝するなんて思いもしない。
大会参加者は全員、英雄とまで言われる存在で、この大会の為に一生懸命に修行しているのだから。
だが、そんな界王達を余所に、シェンは自分が闘うわけではないのに、自分の事の様に自信満々といった様子を見せている。
《それでは両名とも舞台の上に上がって下さい!》
アナウンスの指示に従い、舞台の上へと登る。
舞台の上に立つと、観客の沢山の驚いた顔が目に入ってきた。
目の前に立っている選手も同じだ。
「子供だからといって手加減はしないぞ」
目の前の相手はヒト型の様な見た目をしている。
だが、カタチがそうであるというだけで肌は濃い緑色で無数の細かいイボに覆われている。
頭は尖っており、腕や足などが太くがっしりとしている。
そして何よりも、死者であるという証が、輪っかが頭の上で浮かんでいるのだ。
「どうしてこうなった……」
目の前の彼を見て、周囲の観客と界王達、シェンを見て、そう小さな声で愚痴る事しか出来なかった。
《それでは、試合を開始して下さい!》
試合開始のアナウンスと同時にゴングが会場に鳴り響く。
その瞬間、目の前のヤーゴの姿が消え、気が付くと拳が迫ってきていた。
「――っ!?」
その拳は見事に鳩尾に当たり、その小さな身体を貫通する。
その様子を見て、周囲の観客は何が起きたのか理解出来ずに首を傾げている。
「危ない……残像拳を使ってなかったら吹っ飛ばされていた……」
「……成る程。高速で動いて、元の場所には残像が残っていた……。そして、それを俺が貫いた訳か……。痛い目を見ないで済む様にと思ってやってやったんだがな…」
「余計な御世話ですよ……」
先程までの試合とは打って変わり、目に追えない戦闘が始まった事により観客の殆どは、司会進行役のヒトまでもがリアクションに困っている。
だが、そんな中でも、シェンは此方を静かに見つめていた。
「(盛り上げろっていうのか……)。仕方ない……おじさん」
「何だ?」
「続き……やろうか……」
お互いにしか聞こえないほどの小さな声で、目の前に居る相手に戦闘続行だという自身の意思を伝える。
そんな俺を見て、ヤーゴの方もまた、ニヤリと口元を歪め、構えを取る。
「来い! 小僧っ!」
高速で移動し、背後を取ったかと思うと取られており、取り返す。
そんなやり取りを何度も何度も繰り返していく。
外から見ると、突然消えて、突然相手の後ろに現れての繰り返しで何が何か理解できないだろう。
拳と拳が、脚と脚がぶつかり合い、大きな衝撃波が発生する。
その際に、空気が振動し、衝撃波だけではなく、ぶつかった音までもが歓声を打ち消すほどの大きさで会場全体に鳴り響く。
「真・四身の拳……」
気を操作し、自身の分身を4体創り出す。
修行の時に重宝するが、こういった闘いの場面でもまた――こういう時こそだろうか、真価を発揮する筈だ。
それを見た観客は勿論だが、界王達もまた驚きに目を見開いている。
「行くよ」
それぞれに、舞台の端に立たせ、俺も移動する。
そして、一気に中央に居る彼目掛けエネルギー弾を飛ばした。
そんな攻撃をものともせずに、ヤーゴは少し気合を込めた大声で、その気弾を打ち消した。
「此れで終わりか?」
「まだだよ……」
外道衆との戦いの時は、ただひたすらに目の前の敵を倒す事しか考えていなかった。
流されながらも、皆を守らないといけないと思い、必死になりながら。
だが、この大会は――この闘いは自身の持てる力を最大限に発揮しながら、何処までいけるか試す事が出来る。
強い相手と闘い、自身も強くなっていく事が出来る。
「最高だぜ……」
前世では体を動かす事自体がしんどくて、面倒臭くて、億劫な事だった。
今世で健康な肉体を手に入れたからか、サイヤ人の血の影響なのか、楽しさすら感じている。
「前世とは真逆だな……本当に最高だぜ」
「前世……?」
「何でも無い……気にするな」
此方の言葉が聞こえていたのか、聞き返してくるが一蹴する。
今は目の前の相手に、この試合に集中していたい。
「こっからが本番だ……。はあああああああああああああ」
真・四身の拳の解除をすると同時に体内の気を循環させ、身体中に行き渡らせる。
そして、その隅々まで行き渡った気を増幅させ爆発させる。
その気の開放により、砂利などの小さな粒や瓦礫が、その場が無重力であるかの様に宙に浮かび上がる。
気の爆発により、身体を中心に暴風が発生する。
舞台の外ではあるが、近くに居た進行役、そして界王達を壁際まで吹き飛ばす。
「やるねぇ、あの子」
「でしょう……彼は近い内に1つの世界を救う筈です」
「それは、レアスキルである予知能力によるモノ?」
「其のようなモノです……」
そんな界王達とは正反対に、暴風に身体を煽られながらもしっかりと立ちながら、平静な様子で話をしている大界王とシェン。
観客の方にもその風の影響は出ていて、透明のドームの様なモノがガタガタと大きく震え、今にも外れそうな勢いだ。
「姿が、変わった……?」
髪は黒色から金色へと変化し逆立ち、瞳もまた黒色から緑色の碧眼へと。眉もまた金色に変色する。
「ふぅ~……。第2ラウンド開始だ」
「第2ラウンド、か……。ならば、此方も」
そう言いながら、ヤーゴもまた体に力を入れる。
腕と脚の筋肉が膨れ上がり、血管が浮き出てくる。
「気が増えた……」
少しずつ、少しずつその身体が、筋肉が収縮していく。
そして、身体の表面が――肌の色が緑色から黄色へと変色していく。
「おまたせ……此方も準備は完了です。さて再開しましょうか」
「まさか……あんたも変身できるなんてな」
身長は変身前と比べ数段も、1回りも2回りも小さくスリムな感じに変化した。
体色は濃い緑から鮮やかな黄色へと変色。
そして、尖っていた頭部が裂開している。
「行くぜ」
舞台を強く蹴り、そのままの勢いを保ちながらヤーゴの顎を下から上へと蹴り上げる。
そのまま、身体を回転させ目の前にある胴を強く蹴る。
体勢を整え、右拳と左拳を連続で叩き込んでいく。
「――フッ」
だが、そんな攻撃も無意味だと言わんばかりに余裕綽々の態度を取るヤーゴ。
彼は腕を組みながら此方に向かい、口を開く。
「両手は使わないでおきましょう……」
「随分と余裕だな……アニメで見たキャラクターそっくりだ……気に食わない」
その口振りに、態度に対して随分と腹が立ってしまう。
超サイヤ人状態ではサイヤ人としての好戦的で冷徹な性格がより強く表に出て来る。
だが、この状態で長く居続ける事でそれを、興奮状態を克服し抑える事が出来る。
「(小学校に入る前にやっといて正解だったぜ……今頃プッツンと逆上して、良いように遊ばれていただろうな……)」
その場の空気を吸い、強く吐く。
深呼吸をして頭の中を一瞬だけクリアに真っ白にする。
「よし!」
両手で自身の顔を叩き、気合を込めなおす。
目の前の相手をどのようにして倒すか、驚かすかを考える。
だが、そんな時間を与えられる筈もなく、ヤーゴは此方の懐に潜り込んでくる。
「スピードが遅い、まる見えですよ……どうしました? 私はまだマックスパワーの半分どころか3分の1すら出していませんよ」
避けながら攻撃をしていこうとするが、それ以上に彼の動きは速く、次々と当てられてしまう。
息を吐く暇も無く、与えられる攻撃により舞台の端へと、ギリギリの場所へと追い詰められてしまう。
「それでは、御退場願いましょうか……」
その言葉と共に、強い衝撃が身体を疾走り抜ける。
蹴られたのだ、強い力で身体を。
「――ガハッ」
口から血が出そうになる。意識が飛びそうな程の強烈な威力だ。
だが、壁に飛ばされる事も、地面に身体を落とす事も無くなんとか体勢を整える。
「はあ……はあ……はあはあ……。(そもそも此れはあの世一武道会だろ…此奴等は死んでいる身で、俺はまだ生きているんだ……この闘いで死んでしまうなんてとんでもねえぜ)」
舞空術で宙に浮かびながら、少し距離を取り、舞台へと着地をする。
ヤーゴの方は此方を静かに見ているだけで、余裕だという様子を此方に見せてくる。
彼の口元は少し吊り上がり、此方を見下しているかの様な錯覚を感じさせる。
「まいった……まいったな……」
「何だ……? 降参か?」
「違う違う……そうじゃない……お前が強いから」
ワクワクしてきたのだ。
心が、心臓が歓喜により大きく脈打ち震えている。
強者との闘いが此れほど楽しいモノだったとは。
生死を分けたモノではなく、純粋な力比べが出来る事が嬉しいのだ。
前世では何をしても中途半端で、腕相撲ですらも簡単に負けてしまう程の非力な人間だった。
「(そんな俺が……与えられたモノとはいえ)……思う様に身体を動かし、自身が生きている事を再認識出来るまでの闘いが出来るなんて……」
そのセリフにヤーゴは眉をぴくりと動かした。
だが、それだけで、再び此方を見て静かに口を開く。
「そろそろ終わりにしましょう……無駄に長く続けているのも」
「ああ……倒れるのはあんただけどな」
強くヤーゴを睨み、拳を握り締める。
目を閉じ、地球に居るなのは達を、ミッドチルダに向かっているであろうフェイト達を頭の中に浮かべる。
彼女達にも、彼等にも界王神界や天国など――いろいろなモノがある事を教えてあげたい。
知って欲しい。
目を閉じていたのはほんの一瞬だっただろうが、思い描いていた時間は長く感じられた。
「……超界王拳」
全身に纏っていた超サイヤ人特有の黄金に輝くオーラが赤色へと変化する。
「――グッ……」
強烈な負担が身体に襲い掛かって来るが、それを堪え、目の前に立っているヤーゴを見つめる。
今は、何よりもこの闘いに勝つことを、全力全開で挑んでいきたいと思っている。
そう思っているのだ。
「――全力……全、開……」
自身の中に存在する気を引き出していく。
通常時に出せる分、そして界王拳での無理矢理に引き出す分だ。
リンカーコアから魔力もまた引き出し増幅させていく。
「(なのはにだって出来たんだ……俺にだって)。うわああああああああああああああ」
思い出すのは、なのはとフェイトが海上で、1対1で闘った時。
なのはは、魔力は勿論だが、教えたばかりの気の操作を完璧どころか魔力と同時に扱った。
「すごい気だ……魔力も混ざってる……」
両手に集めた気の大きさと量は余りにも膨大な所為か先程以上の風を、爆風を引き起こしている。
司会進行役と界王は側にあるものに必死にしがみつく事で飛ばされないようにし、観客席に存在するドーム状のバリアに亀裂が入り始める。
大界王とシェンの2人は風に飛ばされないように踏ん張りながら、試合の結果を見届けようと目を凝らしながら舞台の上を見ている。
「――ファイナルゥゥ……ギガンティックゥゥゥ……かめはめ波ああああああああああああああああっっ!!!!!!!」
両手の掌に存在する気を集中させ、1つの気弾にし、ヤーゴへと向けて光線状で一直線に放たれる。
そのエネルギーがヤーゴの身体にぶつかると同時に、光線状から巨大な球体のエネルギーの塊へと変貌する。
「ググッ……」
その気弾をヤーゴは両手で抑え、耐えてはいるが、その間にも球体はドンドンと大きくなっていき、彼は舞台端へと追い込まれてしまう。
「こらー! ヤーゴ! 負けるんじゃあないよ! お前は東の銀河が最強だって示さないといけないんだからあ!!」
横から、この状況を是としない”東の界王”が大きな声で口を挟んでくる。
だが、ヤーゴ自身にはそんな余裕が存在していないのか、返事をする事も出来ず、額には大きな汗が流れている。
「――ダメ押しだああああああ!!!」
自身の中に存在している気を限界ギリギリまで引き出して、放出する。
それは、ヤーゴを押しているエネルギーと1つになり、より巨大に、より強力になり彼を押し込んでいく。
「「うおおおおおおおおおおおお!!!!」」
お互いの気合と声が、エネルギーがぶつかり合い、大きな衝撃波と地震を発生させる。
大気が、大地が震え、周辺のものは倒れ、まともに立つことすらも出来なくなる程だ。
「はあ……はあ……はあはあ……」
「はあはあ……はあ……はあ……」
煙が巻き上がり、それが晴れると同時に俺達2人は力を使い果たしたのかドサッと倒れる。
俺は舞台で、そしてヤーゴは舞台外で。
《しょ、勝者……保和歩栄選手!!》
一瞬、静寂が訪れるもそれも文字通りに一時的なもので一気に大きな歓声が会場内にドッと響き渡る。
その大きな声援は、先程の爆発よりも、より強く会場を震わせた。
「お疲れ様……ま、どっちも頑張ったんじゃないかな」
先程まで観戦していた大界王が此方に向かいながら声を掛けてくる。
ヤーゴの方は気を失っているのか動く気配はなく、担架に乗せられ運ばれていった。
だが、此方にも応えるほどの気力は無く、顔を声のする方に向ける事しか出来ない。
「ま、君はまだ生きてるし…死んでから修行の手解きを、ってね……」
そんな大界王の声を聞きながら、大きな歓声を耳にしながら、俺は意識を手放した。
「クォクォア……?」
目を覚ますと其処は見慣れた天井が存在していた。
横を見てみると愛用しているPCや録音などに使用するマイクなどの多数の機材が置かれている。
間違いなく自室なのだろう。
倒れている身体を起こし、ベッドから身を乗り出す。
そして、机の方をふと目にしてみると、そこには1枚の紙が置かれていた。
その紙には少なからず文字が記載されている。
――お疲れ様でした。また来るのを楽しみにして待っています。冷蔵庫の中のプリン美味しかったです……。
書かれたものを読んでいると、何故かフツフツとした怒りが込み上がり、沸き上がってくる。
その抑えられない衝動に駆られ、手にしていた手紙をクシャクシャに握り締めてしまっていた。
「冷蔵庫のプリィンン!? あの野郎ォ、在り来りだけどよぉ、楽しみに取っておいたのに……」
文章の最後の方にはこうも書かれていた。
追伸 瞬間移動については、また今度教えます
だが、プリンの事で頭が一杯になり、そんな事には気が付かず、ムシャクシャとした気持ちを小一時間ほど抱えて過ごした。