時雨推しの私は原潜として転生しました。   作:ハッピーコーン

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頑張れ、主人公。

見切り発車でも走りきればいいSSになる。


転生

2025年、12月25日

クリスマス

 

雪が降り、街は様々な装飾で彩られ陽気な雰囲気が広がっている。

クリスマスケーキ。サンタのコスプレをした人達。イルミネーションを見る人達。熱さで周りの雪も熔けそうなカップル達。

 

そんな中私は……

 

カシュッ ゴクゴク……

 

「ぷはぁ〜。今日も周回しますか〜」

 

艦これでひたすら周回をしていた。

艦隊これくしょん。通称艦これは、私の青春でもあるゲームだ。

沢山の可愛い艦娘達を見るだけで仕事の疲れが吹っ飛ぶというものだ。

そして、そんな艦娘達の中でも一番のお気に入りは、

 

「時雨ちゃん〜!今日も可愛いですねぇ〜…にへへっ……」

 

時雨、白露型駆逐艦二番艦。

呉の雪風、佐世保の時雨と呼ばれるほどの幸運艦である。

時雨の良さは語れば無限だが、強いて言うならばその美しさである。

横に跳ねた髪。大人顔負けの色気。サファイアのような…いや、サファイアより美しい青色の瞳。

全てにおいて完璧なのだ。

っと、時雨の良さを語りすぎるとそれだけで寿命が尽きてしまうのでここまでにする。

 

(今日はあと1回で終わりにしようかな〜)

 

ハイボール缶を開け、喉に流す。

 

(美味しい……)

 

椅子から立ち上がり腕を伸ばし、伸びをする。

クラっと目眩がした気がした。

 

(疲れてるのかな?ササッとやっちゃって寝よう)

 

そんな気持ちで周回を始めた。

少しして、私は後悔することになる。

運悪く、時雨だけが集中的に攻撃して来て大破してしまったのだ。

普通ならここで帰港すればいいだけなのだが、お酒が入っていて酔いが回っていたのと先程の目眩からなんだか気分が悪くなっていた。

動悸と激しく胸が痛い。

そんな私は正常な判断が出来ず、進撃してしまった。

 

『轟沈』

 

その二文字が目に入る。

 

「し、時雨ちゃん?」

 

全身から血が抜けるような感覚。

絶望感、虚無感が一斉に襲ってくる。

今の私の顔はこの世のものとは思えないような顔をしていることだろう。

そして、動悸や目眩もさっきより酷い。心臓が破裂しそうなほど痛い。

症状から心筋梗塞だと理解することはできた。

できたが…

 

(あれ、これ私しぬな…)

 

何となくそんな気がした。

目が回り、痛みで立つことも出来ない。

 

(辛い、痛い、怖い……)

 

でも、なんだか悪い気はしなかった。

痛みや恐怖は感じても悔いは無かった。

時雨を沈めてしまったことへの罰だと思えば潔く逝こうと思えた。

 

(時雨、ちゃん、私も……今、そっちに…行…………)

 

薄れていく意識の中、考えていたのは時雨のことだけだった。

そうして、私の意識は黒い海の底に落ちた。

 

 

 

 

 

 

…………閉じているはずの瞼から光が差し込む。

少しひんやりとした感覚、少しの圧迫感。

目を開けると海色が広がっている。

 

(ここは……海の中?)

 

状況を確認するために顔を出す。

目の前に広がっていたのは一面のうみ、ウミ、海?

先程まで私は自宅にいたはずだ。

倒れてから海まで歩いて行ったなんて馬鹿な話があるはずが無い。

つまり考えられるのは……

 

(別の世界に来た……)

 

異世界転生ものは何個か見たことがあったがあれはフィクションた。

まさか自分自身が転生するだなんて思いもしなかった。

どうしたものかと、頭の中を回す。

まずは今の状況を正確に知ることが大切だと考え、あたりを見渡してみるが、四方には広い海しかなく、建造物はおろか自然物も見当たらない。

 

(私の体は……)

 

手や足を見ると見た事のない…いや、既視感のある機械が付いている。

 

(服は……って、水着だ!これ!)

 

そう、先程まで来ていたパジャマは無く、服は水着だけになっていた。

でも、この姿に類似したものを見たことがある。

潜水艦。艦これにもいた潜水艦娘、というやつだろうか。

 

(ということは私、艦これの世界に艦娘として来ちゃった?)

 

もし、艦これの世界に来たのなら海の中で孤立するのは非常に不味い。

急いでこの海域から離脱。もしくは誰かと合流し、孤立状況の回避。

 

(よし、これからの行動の方向性は決まった…でも……)

 

敵戦力。深海棲艦との交戦の可能性は捨てきれない。

そのために必要なのは

 

(自分の性能を理解しなきゃ)

 

もう一度体をよく見てみる。

すると…

 

「シー…バット……?」

 

来ている水着の胸元にSEA-BATと書いてある。

 

昔、見ていた漫画のひとつに沈黙の艦隊という本があった。

父は海上自衛隊の隊員として潜水艦に乗っていた。

余り家にいることが無く、会った時にはずっと海の話ばかりしていた。

明るく、かっこいい父だった。

そんな父の仕事のことを知りたい、私も潜水艦乗りになりたいと思い色々な潜水艦関連の本を手に取った。

その中のひとつが沈黙の艦隊という本だった。

 

(懐かしいな……)

 

懐かしさに浸りつつ、SEA-BATの性能を思い出す。

 

SEA-BAT

攻撃型原子力潜水艦。シーバット級原子力潜水艦

 

日米共同開発の原潜だ。形は変形涙滴型単殻構造という海上自衛隊で採用されてきた形をしている

 

最大速力:55ノット

安全潜行深度1000m

最大潜行深度1250m

兵装

ZQQ-8 ファイバーアレイソナー

533mm魚雷発射管×8門

 

Mk48魚雷

ハープーンUSM

計50(通常/核)

 

(核、核かぁ…)

 

漫画では核を使うことは無かったけれど、私は兵装にはおそらく積まれてる。

つまり、この世界において唯一の核弾頭を保持、発射可能な人物ということになる。

 

(でも、これで交戦時でも戦えるよね)

 

そんなことを考えながら航行を始める。

泳ぎ方は初めから泳ぐのを知っていたかのように泳ぐことができた。

そこまで泳ぐのが得意ではない私からして、これはかなりありがたい。

 

 

ソナーを使って周辺の地形を記録しながら進んで行く。

地形の形状からフィリピン海、東経144度。北緯15度近くということがわかったので北西の方向へ向かう。

理由は佐世保鎮守府があるからである。

 

『ソナー室から発令所』

 

あとは泳ぐだけだと思っていたらソナー室からの伝令が来た。

 

『不明艦発見。数、六。方位二五。距離九二九五七ヤード。到着まで五〇分三〇秒。不明艦、進路三〇〇。30ノットで航行中』

 

(不明艦。深海棲艦の可能性が高いけど遠征している艦娘という可能性も……)

 

「こちら発令所、ソナー室へ。他不明艦がいないか探して」

 

『了解。…………ソナー室から発令所。他不明艦発見。数六。方位二五。音からして、交戦中かと思われます』

 

「ありがとうございます。不明艦に向かいます。交戦する可能性もあります。各員、戦闘準備をお願いします」

 

『了解!』

 

向きを変え、最大速力で潜航する。

 

(お願い、どうか無事でいて……)

 

 

 

 

[次回]

【初陣】

 

 





皆さん、初めまして。作者のハッピーコーンです。
艦これに関してのSSは初めて書きます。
ミリタリー、艦これ。どちらも完全に履修できている訳では無いので間違えることもあるかもしれません。
ご指摘頂いたところはすぐ直すのでぜひお教えください。
これから、よろしくお願いします。
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