鱗滝の養子   作:松雪草

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6話

 朝は、やはり烏の声から始まる。

 

 梁の上で二声。

 少し間を置いて、一声。

 

 それがいつもの朝の合図だということは、もう体に染みついている。

 

 山道を走る。

 罠を避ける。

 木刀を振る。

 滝に打たれる。

 息を吸って、吐いて、また吸う。

 

 そういう日々にも、少しずつ体が慣れてきた頃だった。

 

 その朝の鱗滝さんは、いつもより口数が少なかった。

 

 沢から戻り、桶を下ろす。

 いつもならそこから、櫛那は裏手へ、俺は表の山道へ向かう。

 

 けれどその日は、鱗滝さんが俺たちを囲炉裏の前に座らせた。

 

「……宗右衛、櫛那」

 

 呼ばれ方が、いつもと少し違った。

 

 声が低い。

 重いというより、余計なものを全部落とした声だった。

 

「はい」

 

 二人で姿勢を正す。

 

 鱗滝さんは襖の向こうへ入り、油紙に包まれた長い包みを二つ持ってきた。

 

 板の間へ置かれる。

 

 見なくても、形で分かった。

 

 刀だ。

 

 今まで腰に差していた木刀ではない。

 もっと鋭いもの。

 もっと、戻れなくなるもの。

 

 油紙がほどかれる。

 

 白い鞘と柄が現れた。

 

 目を凝らすまでもない。

 これは、触ってはいけない方の刀だ。

 

「今日から、お前たちに真剣を持たせる」

 

 一瞬、喉が鳴った。

 

 隣で櫛那も、小さく息を呑む気配がした。

 

「これは、鬼を斬るための刀ではない」

 

 鱗滝さんは言う。

 

「鬼を斬る前に、お前たちの体を作るための刀だ。だが、当たれば肉も骨も斬れる。肝に銘じろ」

 

「……はい」

 

 受け取った柄は、木刀より少しだけ重かった。

 そして、冷たかった。

 

 鞘越しでも、刀身の線が指に伝わる気がする。

 

 手のひらの中に、冬の川を一本持たされているようだった。

 

「そして」

 

 鱗滝さんは、家の外を顎で示した。

 

「見せるものがある。来い」

 

 山道を、いつもとは少し違う方へ折れていく。

 

 朝の光はまだ柔らかい。

 木の葉の隙間から落ちる陽は細く、足元の苔に淡く散っていた。

 

 ほどなくして、それが見えた。

 

 岩だった。

 

 大きい。

 

 寝た人を三、四人重ねても届かないくらいの高さがある。

 幅も、俺の肩幅の何倍もあった。

 

 軽く拳を当てただけで、骨まで響きそうな固さが、見ただけで分かる。

 

「あの……鱗滝さん。これは」

 

「この岩を、斬れ」

 

 鱗滝さんは、本当に冗談を言わない人だ。

 

 だから困る。

 

「……これ、斬れるんですか」

 

 ぽろっと本音が出た。

 

 鱗滝さんは、短く答えた。

 

「斬れる」

 

 その言い方には、迷いがない。

 

「斬れねばならぬ。お前たちが鬼に喰われずに済むかどうかは、ここにかかっている」

 

 櫛那が隣で唾を飲んだ。

 

 その周りには、青と赤と緑が混ざった色がぐるぐる巻きついている。

 

 決意。

 不安。

 恐怖。

 

 全部が一緒になって、朝の霧みたいに揺れていた。

 

「……分かりました」

 

 俺も、刀の柄を握り直す。

 

 怖い。

 

 怖いけれど、鱗滝さんが斬れと言う以上、斬れるはずなのだ。

 

 ここまでの稽古も、最初は無理だと思うことばかりだった。

 

 罠の山も。

 滝行も。

 木刀を持ったまま投げられることも。

 

 なら、この岩だって。

 

 いつかは。

 

 そう自分に言い聞かせる。

 

「お願いします」

 

 頭を下げると、鱗滝さんは面の向こうで一つ頷いた。

 

「今日からの稽古は、これまでと同じだけやる。そのうえで、真剣での素振り。巻藁斬り。稽古の合間に、この岩へ斬りかかれ」

 

「はい」

 

「刃こぼれしたら、お前たちの腕と相談する」

 

「腕と……?」

 

「折れた刀は戻らん。骨は繋がる。覚えておけ」

 

 笑い話ではない声だった。

 

 寒くもないのに、背中を一筋、汗が流れた。

 

 櫛那も、ぎゅっと刀の柄を握っていた。

 

 

―――

 

 

 真剣を持つようになってからの暮らしは、また一段ときつくなった。

 

 朝はこれまで通り、烏で起きる。

 

 水を汲む。

 掃除をする。

 薪を割る。

 

 そこからが違う。

 

 木刀ではなく、真剣での素振りが加わった。

 

「鞘から抜いて十度振る。そして納める。これを十」

 

 鱗滝さんは言う。

 

「まずは、それだけだ。刃の重さを手に覚えさせろ」

 

 言われた通りに、ゆっくりと鞘から抜く。

 

 振りかぶる。

 振り下ろす。

 納める。

 

 ただそれだけなのに、木刀とはまるで違った。

 

 空気が切れる音が高い。

 冷たい。

 

 振り終えた先に、人がいなくて本当に良かったと何度も思った。

 

 俺も櫛那も、最初は刀の重さに少し振り回されていた。

 

 櫛那の細い腕には、真剣は重すぎるのだろう。

 櫛那より小さい俺の体でも、それは同じことだった。

 

 刃がわずかにぶれる。

 

 そのたびに、鱗滝さんの声が飛ぶ。

 

「腕を振るな。腰からだ」

 

「はい!」

 

 櫛那の返事はいつも真面目だった。

 

 声の周りには、青と赤と緑が絡まっている。

 集中と、焦りと、疲労。

 

 それでも櫛那は、泣き言ひとつ言わない。

 

 黙々と振る。

 

 百。

 二百。

 三百。

 

 俺も負けじと振る。

 

 山歩きで培った体力の分、最初のうちは俺の方がまだ余裕があった。

 

 少なくとも、そう思いたかった。

 

「藁の束だ。斬れ」

 

 数日後には、巻藁が出てきた。

 

 太い藁束をしっかりと結わえたものが、庭の真ん中に立てられている。

 

「斬ったあと、刃筋を見ろ」

 

 鱗滝さんが言う。

 

「藁が粘るなら、振りが足りん。藁が逃げるなら、刃の向きと振りとが合っておらん。どちらも、鬼には届かん」

 

「はい」

 

 振りかぶって、斬る。

 

 手応えは、思ったより柔らかかった。

 

 けれど刃は途中でわずかに止まる。

 藁の繊維が、ぐしゃりと潰れた。

 

「……あ」

 

「止まるな」

 

 鱗滝さんの声が落ちる。

 

「今のは、鬼の骨に跳ね返されている」

 

 鬼の骨。

 

 それを思い浮かべた瞬間、喉の奥が少し詰まった。

 

「腰を止めるな。ずっと中へ押し込め。意識は、その先に置け」

 

 藁の真ん中。

 その先。

 

 鬼の骨の中。

 

 そのつもりで斬っているはずなのに、刃への怖さが先に立つ。

 

 刃の方に意識が寄ると、腰が止まる。

 無理やり振り抜こうとすると、呼吸が乱れる。

 

 その日の夜、藁と同じように、俺の心もぐしゃぐしゃになっていた。

 

 

―――

 

 

 岩は、ずっとそこにあった。

 

 稽古の合間に、何度も挑んだ。

 

 一歩踏み込む。

 息を吸う。

 己の全部を乗せるつもりで振り下ろす。

 

「せいっ!」

 

 刃は、岩の表面で止まった。

 

 ほんの少し、白い傷がついただけ。

 

 刀が折れなかっただけましと言うべきかもしれない。

 

「……駄目ですね」

 

「当たり前だ。今のお前の中は浅い」

 

「中、ですか」

 

「岩を斬ろうとするな。まずは呼吸でお前を満たせ。骨の一本一本の中まで、息を通せ。岩はそのあとだ」

 

 言われている意味は、分かる。

 

 頭では。

 

 けれど体は別だ。

 

 体は、岩を前にした瞬間に無理だと叫ぶ。

 岩が斬れた先の自分を、うまく思い描けない。

 

 それでも自分を奮い立たせて、刀を振る。

 

 呼吸も、体も、お粗末だった。

 

 振る前から、弾き返される準備をしている。

 

 横では櫛那も、岩に斬りかかっては同じように弾かれていた。

 

 櫛那ですら、白い傷を増やすのが精一杯だった。

 

「……本当に、斬れるんでしょうか、これ」

 

 櫛那が珍しく小さな声で言った。

 

 その周りには、濃い青に、ほんの少し緑が混じっている。

 

 疲れと、戸惑いと、それでも諦めたくない意地。

 

「鱗滝さんが斬れって言うんだから、斬れるんだよ」

 

 俺は言う。

 

「……たぶん」

 

 言っておいて、たぶんがどうしても消せなかった。

 

 櫛那は、そんな俺を見て、ふっと笑った。

 

「じゃあ、斬れるんですね」

 

「そう。斬れる」

 

 笑われたなら、強がるしかない。

 

 そうしているうちに、本当に少しだけ、胸の中の色が変わった気がした。

 

 

―――

 

 

 それからの稽古には、水の呼吸の型が本格的に加わった。

 

「一の型。水面斬り」

 

 鱗滝さんが、真剣で見せる。

 

 踏み込み。

 腰の切り替え。

 肩の抜け方。

 

 何度見ても、動きの途中に無駄がない。

 

 刃が走るたび、空気が遅れてついてくるように感じる。

 

「二の型」

 

 一つ一つ教えられるたび、体でなぞろうとする。

 

 けれど、型は型で難しい。

 呼吸は呼吸で難しい。

 

 両方を一度にやろうとすると、頭が追いつかなくなる。

 

 息を吸う頃合い。

 吐く頃合い。

 踏み込む足。

 腰の動き。

 刃の向き。

 

 どれか一つに気を取られると、どれか一つが抜ける。

 

「宗右衛。今、息はどうしていた」

 

「……止まってました」

 

「型を先にするな。呼吸が先だ」

 

 鱗滝さんが、短く言う。

 

「息で体を動かせ。息が骨を押し、骨が筋を動かす。腕は、そのあとだ」

 

「はい……」

 

 口では分かる。

 

 体は、ついてこない。

 

 頭の中では、呼吸と型の順番を必死に並べている。

 

 吸って。

 踏み込んで。

 腰を回して。

 斬って。

 吐いて。

 

 そうやって並べているうちに、どれかが抜ける。

 

 隣で櫛那は、最初こそ同じように戸惑っていた。

 

 けれど日が経つごとに、太刀筋が変わっていく。

 

 振り下ろすたび、刃の端まで呼吸が通っているのが分かる。

 櫛那の周りを流れる色も、青が太くなり、そこに紅が細く走るようになった。

 

 集中と決意。

 

 それが、一本の線になっていく。

 

「櫛那、今の……」

 

「はい?」

 

「今の斬り方、なんか違ったよね。前と」

 

 自分でも、うまく言葉にできない。

 

 でも、確かに変わった。

 

 刃はまだ岩の前で跳ね返されている。

 それでも、今までとは何かが違う。

 

 櫛那は柄を握りしめたまま、少し考えるように首を傾げた。

 

「……呼吸を、少し変えてみたんです」

 

「呼吸?」

 

「はい。最初は、全部一緒に考えていました。どの足で踏み込んで、どこで吸って、いつ吐いて、って」

 

「うん。俺もそんな感じ」

 

「でも、人は二つのことを同時にはできないって、誰かに聞いたことがあって」

 

「二つのこと?」

 

「はい。だったら、型か呼吸か、どちらかは考えなくてもできるようにするしかないなって」

 

 櫛那は、自分の胸に手を当てた。

 

「私、型を忘れるのが怖かったので。まず、型の方を体が勝手にしてくれるようにしようと思ったんです」

 

 言っていることは、すぐには全部分からなかった。

 

 でも、櫛那の色は静かだった。

 嘘や誤魔化しではなく、自分の中で掴みかけているものを探している色だった。

 

「歩く時とか、ご飯を食べる時とか、木刀を振る前とか。あまり頭を使わない時に、型の動きだけを一生懸命考えてみたんです。息を吸って、骨を並べて、吐いて、って」

 

「ああ」

 

 思い当たる節があった。

 

 俺は逆をやっていたのだ。

 

 型も呼吸も、全部いっぺんにやろうとしていた。

 頭の中を呼吸と型でいっぱいにして、その全部を順番通りに並べようとしていた。

 

「それで、さっき岩を斬ろうとした時に」

 

 櫛那は、岩を見る。

 

「型の方は、もう体が勝手にやってくれているって、少しだけ思えた瞬間があって。その時に、じゃあ息だけ考えようって、やっとできた気がしたんです」

 

 櫛那は、自分でもよく分からないというように笑った。

 

「だから、その……あまりうまく説明できないんですけど」

 

「いや、分かるよ」

 

 分かった。

 

 少なくとも、理屈は。

 

 櫛那は、真面目に教えられた通りにやる。

 覚えも早い。

 

 型の方は、きっと俺より早く体に染みているのだろう。

 だからこそ、呼吸だけを考える余裕ができた。

 

 俺はと言えば。

 

 型も呼吸も、どちらも中途半端なのだろうな。

 

 腹の奥で暗いものが首をもたげる。

 

 けれど、深く息を吸った。

 

 足元。

 自分の胸。

 それから人の色。

 

 順番を間違えるな。

 

「宗右衛さん?」

 

「あ、ごめん。いや、ありがとう。なんか、分かった気がする」

 

「え?」

 

「櫛那は、型の方が得意なんだと思う。だから、それを呼吸にくっつけられる」

 

「得意……なんでしょうか」

 

 櫛那は少し首を傾げた。

 

 青に、悩むような緑が少し混ざる。

 

「俺は、逆をやってみるよ」

 

「逆?」

 

「うん。型の方は、今まで通り木刀とか真剣でやって。呼吸の方を、何もしていない時に覚えさせる」

 

「……」

 

 櫛那は、ぽかんとした。

 

 それから、ふっと笑った。

 

「宗右衛さんらしいです」

 

「褒めてる?」

 

「褒めています。きっと、そういうやり方、鱗滝様も喜ばれますよ」

 

 そう言った時、櫛那の周りに淡い金が一瞬だけ灯った。

 

 それを見て、胸の中にも少しだけ光が差した気がした。

 

 

―――

 

 

 それから、俺は呼吸の練習を増やした。

 

 桶を担いで沢に行く時も。

 掃除をする時も。

 薪を割る時も。

 

 何をしている時でも、呼吸を数えた。

 

 吸う。

 

 背骨を一本一本、並べ直すつもりで。

 

 吐く。

 

 骨の中の空気を、全部絞り出すつもりで。

 

 呼吸が苦しくなったところから、もう一度吸う。

 

 そこでようやく始まりだ、という鱗滝さんの言葉を思い出しながら。

 

 最初のうちは、ただそれだけでふらついた。

 

 呼吸を続けて心臓がどくんと跳ねると、耳や鼻の奥で何かが破裂するような音を立てることもあった。

 

 それでも続けようとすると、だんだん頭がぼうっとして、視界が暗くなる。

 

「無理をするな。息が荒れている時は、まず止まれ」

 

「はい」

 

 無茶をすると怒られる。

 

 でも、やめろとは言われない。

 

 鱗滝さんは、俺が囲炉裏の火を見つめながら息を整えているのを、何度か黙って眺めていた。

 

 その周りの灰色の縁には、かすかに空色が混じっている。

 

 それでいい、という色だ。

 

 夜、囲炉裏の火の前に座っている時、自分の呼吸が整ってくる瞬間があった。

 

 胸の中にずっと引っかかっていた針金のようなものが、一本ずつほどけていく感覚。

 

 ある晩、ふと気まぐれに、水鏡に映った自分を見た。

 

 揺れる水面に、自分の輪郭だけがぼんやり滲む。

 

 そこには、薄い青と、それを囲むような淡い金が、かすかに揺れていた。

 

 変なやつだな。

 

 自分で思って、少し笑った。

 

 でも、その変なやつが、俺なのだ。

 

 ここで生きている。

 ここで息をしている。

 ここを家だと思っている。

 

 なら、それを信じるしかない。

 

 

―――

 

 

 月日は、それでも容赦なく過ぎた。

 

 櫛那の太刀筋は、日に日に研ぎ澄まされていった。

 

 木刀から真剣に持ち替えた頃にあった揺れはなくなり、動きから迷いが削れていく。

 

 岩に向かう足取りも変わった。

 

 最初は、斬れるのかという不安を抱えていた歩み。

 

 それがいつの間にか、斬るという前提の歩みになっている。

 

 ある日の夕方、俺たちはいつものように岩の前に立っていた。

 

「行きます」

 

 櫛那が一つだけ短く言って、息を吸う。

 

 その周りに集まる色が、はっきり見えた。

 

 晴天を思わせる青の線に、紅が一本通る。

 そこへ白が混じり、白藤を思わせる色の帯が岩に向かってぴんと張った。

 

 震えがなかった。

 

 踏み込み。

 腰の切り替え。

 刃の走り。

 

 全部が一筋の線になって、岩へ流れ込んでいく。

 

 次の瞬間、岩の表面で鈍い音がした。

 

「……あ」

 

 白い傷が、いつもより深い。

 

 表面だけではなく、ほんの少しだけ中まで入っているのが分かる。

 

「今のは、悪くない」

 

 いつの間にか後ろに立っていた鱗滝さんが言った。

 

「その中を、もっと先まで持っていけ。同じことを、あと百回やれ」

 

「百回……っ」

 

 先ほどまで空を思わせるような青だった櫛那の色に、今にも雨が降りそうな暗さが混ざる。

 

「できる」

 

「……はい!」

 

 櫛那は、それでも笑った。

 

 笑いながら、また岩へ向かう。

 

 その背中を見ているだけで、胸の中が熱くなる。

 

 悔しさも、憧れも、全部まとめて熱くなる。

 

 負けてられないな。

 

 刀の柄を握り直すと、自分の手の中の熱が、少しだけ変わった気がした。

 

 

―――

 

 

 やがて、櫛那は岩を斬った。

 

 それは、ある朝のことだった。

 

 まだ山の空気が冷たく、草に残った露が光っていた頃。

 

「行きます」

 

 いつものように岩の前に立った櫛那が、いつものように一礼して、刀を抜いた。

 

 息を吸う。

 

 その瞬間、色が変わった。

 

 櫛那の周りの青が、すっと澄んだ水のようになる。

 そこに走る紅も、激しさを持たず、ただ真っ直ぐな線になっている。

 

 あまりに澄んだ色。

 

 迷いが、消えていた。

 

 分かった。

 

 斬れる、と。

 

 岩に向かう踏み込みが、やけに静かに見えた。

 

 刀が振り下ろされるまでの時間が、ひどく長く感じられる。

 

 そして、音がした。

 

 今までと違う音だった。

 

 表面で弾かれる音でも、刃が止まってしまう音でもない。

 

 固いものの中を、ひと筋で抜けていく音。

 

 気づけば、俺は息を止めていた。

 

 岩の真ん中に、一筋の線が入っている。

 

 その線は、ゆっくりと左右に割れていく。

 

 ぱきり、と音がした。

 

 岩が二つに割れた。

 

「やった……」

 

 櫛那は、その場に膝をついた。

 

 肩で息をしている。

 

 その周りで、青と赤の間に白がぱっと広がった。

 

「櫛那」

 

 駆け寄ると、櫛那は汗だくのまま俺を見上げた。

 

 そして笑った。

 

「斬れました……!」

 

「見てた」

 

 言葉が、少し遅れて出た。

 

「……すげえな」

 

 自分の胸の奥が、ぎゅっと締まる。

 

 嬉しさ。

 悔しさ。

 置いていかれるような感じ。

 

 全部が混ざって、色にするなら、きっと変な色になる。

 

「宗右衛」

 

 背後から鱗滝さんの声がした。

 

 振り返ると、面の奥で俺を見ている気配がある。

 

「お前も斬れる。だが、その前に呼吸だ」

 

「呼吸……」

 

「櫛那は、型を先に覚えた。お前は、呼吸を先に覚えろ」

 

 布団の中で呼吸を数えている時。

 湯気の中で息を整えている時。

 水鏡の前で、変な顔をしながら呼吸していた時も。

 

 全部、見られていたに違いない。

 

「はい」

 

 返事をすると、胸の中が少し軽くなった。

 

 櫛那が先に岩を斬った。

 

 でも、それでいい。

 

 俺には俺のやり方がある。

 

 追いつけばいい。

 

 追いついて、いつかその先に行けばいい。

 

 

―――

 

 

 櫛那が岩を斬ってから、俺の呼吸はさらに変わっていった。

 

 歩くたびに、足裏から入った空気が背骨を登っていくのを想像する。

 

 木刀を振る時も。

 真剣を振る時も。

 

 まず呼吸。

 

 岩に向かう時も、最初に見るのは岩ではない。

 

 自分の胸の内側にある、空気の流れだ。

 

 ある晩、囲炉裏の前で深く呼吸をしている時、不思議な感覚があった。

 

 息を吸った瞬間、耳の奥で音が変わった気がした。

 

 囲炉裏のはぜる音。

 外の風の音。

 烏が羽をすくめる気配。

 

 全部が少し遠くなる。

 

 そのかわりに、自分の骨の中を空気が通る音だけが、よく聞こえるような気がした。

 

 今だ。

 

 そう思った。

 

 次の日、俺は岩の前に立った。

 

「行きます」

 

 櫛那が割った片割れの横に、まだ大きな岩が一つ残っている。

 

 こちらは、これまで俺が何度も跳ね返されてきた相手だ。

 

 息を吸う。

 

 背骨一本一本を、頭のてっぺんまで並べ直すつもりで。

 

 吐く。

 

 骨の中の空気を全部絞り出す。

 

 足の裏まで、空っぽにするつもりで。

 

 もう一度、吸う。

 

 その時、体のどこにも引っかかりがなかった。

 

 頭の中から、型という言葉が抜けた。

 

 気づけば、体が動き出していた。

 

 腰が回る。

 足が地面を掴む。

 肩が抜ける。

 腕が、あとからついてくる。

 

 岩に近づいていくのではない。

 

 自分の中が、岩の中心へ伸びていくような感覚だった。

 

 刃が、通った。

 

 音がした。

 

 今度は、はっきり分かった。

 

 鱗滝さんが言っていた中が、できた。

 

 岩の中で何かが崩れるような音がして、白い線が走る。

 

 一拍置いて、岩がぱきりと割れた。

 

「……っ」

 

 すぐには声が出なかった。

 

 膝が震えている。

 柄を握る手も震えている。

 

 自分の見たものを信じられず、しばらくその場に立ち尽くした。

 

「宗右衛さん!」

 

 すぐそばで、櫛那の声がした。

 

 振り向くと、目を潤ませて走ってくる櫛那がいる。

 

 その周りの色は、赤と白と金でぐるぐるになっていた。

 

「斬れましたね……!」

 

「斬れた……な」

 

 ようやく、それだけ言えた。

 

 言った瞬間、胸の奥で何かがほどける。

 どっと汗が噴き出した。

 

「よくやった」

 

 いつものように、いつの間にか後ろに立っていた鱗滝さんが言った。

 

 珍しく、はっきりとした声だった。

 

 面の奥の灰色の縁にも、朱と、少しだけ金が混じっている。

 

「これで、二人とも岩を斬った」

 

「はい」

 

「お前たちは、ここでやるべきことを一つ終えた」

 

 鱗滝さんの声が、少し低くなる。

 

「次は、鬼だ」

 

 その言葉を聞いて、胸の奥が別の意味で強く跳ねた。

 

 

―――

 

 

 岩を斬ってから、そう日を置かずに、その話は来た。

 

「藤襲山での最終選別だ」

 

 夕飯のあと、囲炉裏を囲んでいる時に、鱗滝さんはそう言った。

 

 俺と櫛那を正面に座らせ、面越しにじっと見据える。

 

「そこでは、鬼を一週間しのいで生き延びねばならん。それが、鬼殺隊に入る資格だ」

 

 櫛那の色が、一瞬で変わった。

 

 赤が濃くなる。

 その周りに、黒が薄く滲む。

 

 けれど、その黒はいつかのような逃げたい黒ではなかった。

 

 覚悟を決めた黒だった。

 

「……行きます」

 

 櫛那の声は、震えていなかった。

 

「斬りたい鬼が、いますから」

 

 鱗滝さんは、しばらく黙っていた。

 

 それから、ゆっくり頷く。

 

「櫛那。お前は行け」

 

「はい」

 

「宗右衛」

 

 名前を呼ばれた瞬間、背筋がぴんと張った。

 

「お前は、まだ行かせぬ」

 

「……え?」

 

 一瞬、何を言われたのか分からなかった。

 

「えっと……岩、斬れましたよね、俺」

 

「斬ったな」

 

「呼吸も、少しはましになってきた……はずで」

 

「それも見ている」

 

「じゃあ」

 

「だが、お前はまだ小さい」

 

 淡々とした声だった。

 

 叱るでも、責めるでもない。

 ただ、事実を告げる声。

 

「櫛那と並べば、頭一つ分違う。骨も、筋も、まだ足りん。身体が成らぬ子を試験には送れん。鬼は、子どもだからといって容赦はせん」

 

 言われてみれば、その通りだった。

 

 俺は、まだ櫛那の肩になんとか顎が乗るくらいの背丈しかない。

 腕だって、真剣を振る時に、まだ重いと思う瞬間がある。

 

 それでも。

 

「……でも、俺、岩も斬りましたし。呼吸だって、もっと練習すれば」

 

「宗右衛」

 

 鱗滝さんの声が、ほんの少しだけ低くなった。

 

「儂は、何人も子を藤襲山へ送っている。戻った者もいれば、戻らなかった者もいる」

 

 いつかの夜に聞いた言葉が、頭をよぎる。

 

 先の子は、戻らなんだ。

 

「お前のような子を送り出して、また戻らなかったと言いたくはない」

 

 胸の奥が、ずきりと痛んだ。

 

「……櫛那は、いいんですか」

 

 気づけば、そこを突いていた。

 

「櫛那は、お前より年上だ。骨も、筋も、もうひと回りできている。それに」

 

 鱗滝さんは、一瞬だけ櫛那を見た。

 

「櫛那には、どうしても斬らねばならん鬼がある。そのための覚悟を、自分で選んで山に上がってきた」

 

 櫛那の周りの色が、桔梗色に近づく。

 

 それでも、その真ん中に、細い金が灯っていた。

 

「宗右衛。お前には戻る場所がある」

 

 鱗滝さんの声が、静かに落ちる。

 

「ここは、お前の家だ」

 

「……」

 

「だからこそ、今は行かせぬ。骨と筋を、もうひと回り大きくするまで。

 呼吸が常になるまで。それまでは、儂のそばで生きろ」

 

 生きろ。

 

 そう言われた。

 

 裏長屋では、そんな言い方をされたことはなかった。

 

 死ぬな、はあったかもしれない。

 けれど、それは大抵、働けという意味だった。

 

 ここで言われた生きろは、違う。

 

 息をして。

 飯を食って。

 眠って。

 大きくなれ、という意味だ。

 

 分かっている。

 

 頭では、分かっている。

 

 それでも。

 

「……ずるいです」

 

 ぽろっと出た言葉に、自分で驚いた。

 

「ずるい?」

 

「櫛那だけ、行かせて。俺だけ、ここに残るの。ずるいです」

 

「宗右衛さん……」

 

 櫛那が、小さく俺の名を呼ぶ。

 

 その周りの桔梗色が、少し揺れた。

 

 鱗滝さんは、面の向こうで長く息を吐いた。

 

「ずるいと思うなら、強くなれ」

 

 静かな声だった。

 

「いつか必ず、お前も藤襲山へ行くことになる。その時、行きたいではなく、行かねばならんと言えるようになれ」

 

「……はい」

 

 それ以上は、何も言えなかった。

 

 悔しい。

 

 悔しいけれど、自分の腕と足を見れば、納得せざるを得ない。

 

 鬼の前に行くということは、命を賭けることだ。

 

 それは、罠の山で散々教えられてきたことでもある。

 

「櫛那」

 

「はい」

 

「お前は三日後に山を下りる。藤襲山へ向かうための支度をする」

 

「はい」

 

「宗右衛。お前はその間、いつも通りだ。呼吸を止めるな」

 

「……はい」

 

 二人とも、返事だけはちゃんとした。

 

 囲炉裏の火が、少し小さく見えた夜だった。

 

 

―――

 

 

 その夜、櫛那はなかなか寝つけなかったらしい。

 

 隣の部屋で寝返りを打つ気配が何度もする。

 そのたびに色が揺れた。

 

 青の下に黒が混じり、そこに緑が浮かんでは消える。

 

 俺も同じだった。

 

 目を閉じても、藤襲山という名だけが頭の中をぐるぐる回る。

 

 鬼のいる山。

 一週間。

 生き延びなければならない山。

 

 怖い。

 

 自分が行かないくせに、怖かった。

 

 櫛那がそこへ行くのだと思うと、なおさら怖い。

 

 しばらくして、衝立の向こうから小さな気配がした。

 

 起き上がると、衝立の縁から櫛那が顔を覗かせていた。

 

「宗右衛さん、起きていますか」

 

「起きてる」

 

 小声で返事をすると、櫛那はほっとしたように微笑む。

 そっと、枕元に座った。

 

 俺も体を起こして、行燈の火を少しだけ明るくする。

 

 櫛那の顔が、淡く浮かび上がった。

 

「眠れませんか?」

 

「……櫛那こそ」

 

「私も、少しだけ」

 

 苦笑いの周りに漂っていた色は、最初、暗い緑に黒が混じっていた。

 

 続く言葉を探すように、その帯は落ち着きなく揺れる。

 

 行き場のない不安に見えた。

 

「……怖いです」

 

 やっと出てきた言葉は、とても小さかった。

 

「鬼が怖いとか、死ぬのが怖いとか、そういうのももちろんありますけど。それよりも」

 

 櫛那は、指先で着物の裾をぎゅっと掴む。

 

「宗右衛さんと鱗滝様を置いていくのが、少し怖いです」

 

「え」

 

 予想していない方からの怖いだった。

 

「ここに来てから、一年近く、一緒に暮らしてきて。朝起きたら烏が鳴いていて、宗右衛さんがそこ滑るよって言ってくれて、鱗滝様が水を汲めって言ってくれて」

 

 一つ一つ口にするたび、櫛那の色は深い青へ寄っていく。

 

 さっきまで怖さをごまかすように揺れていた帯が、巻雲のようにすらりと伸びる。

 

 櫛那の胸のあたりには、細い金の糸が一本だけ差し込んでいた。

 

「そういうのが、急になくなってしまうのが怖いです。……変ですよね」

 

「変じゃないよ」

 

 即答だった。

 

「俺も、櫛那がここにいるの、かなり助かってるし。一緒に罠に引っかかってくれる人って、なかなかいないから」

 

「引っかかってませんよ」

 

 ようやく、少しだけ声に笑いが混じった。

 

 笑いの縁に、金がまた一つ灯る。

 

「……宗右衛さん」

 

「ん?」

 

「宗右衛さんのこと、弟みたいに思っています」

 

 唐突に言われて、喉の奥で変な音が出そうになった。

 

「弟?」

 

「はい。前にも言いましたけど、弟がいたんです」

 

 あの夜、櫛那が話してくれたことが頭をよぎる。

 

 押し入れの隙間。

 人の形をした何か。

 動かない父と母と弟。

 

「その弟が、俺になら弱音を吐いていいって、よく言っていました。宗右衛さんを見ていると、時々その弟を思い出すんです」

 

 櫛那の暗い青の周りに、金が広がった。

 

 懐かしさ。

 寂しさ。

 あたたかさ。

 

 全部が混ざった色だった。

 

「だから、その……」

 

 櫛那は少し恥ずかしそうに目を伏せる。

 

「帰ってきたら、宗ちゃんって呼んでもいいですか?」

 

「……宗ちゃん?」

 

 自分で口に出してみると、その場の空気がおかしくなりかけた。

 

「似合わないですか?」

 

「いや、似合うかどうかは分からないけど。櫛那が呼びたいなら、別に」

 

「本当ですか?」

 

 ぱっと顔が明るくなる。

 

 金が、はっきりと輪になって櫛那の周りを巡った。

 

「じゃあ、帰ってきたら、そう呼びますね」

 

 櫛那は、嬉しそうに言う。

 

「宗ちゃん、ただいまって」

 

「……うん」

 

 胸の奥が、くすぐったくなる。

 

 それなのに、体の中があたたかい。

 

「宗右衛さんも、いつか必ず来てくださいね。鬼殺隊に入って、私のこと、追い越してもいいですから」

 

「追い越すよ」

 

 自然に、そう言えた。

 

「櫛那が先に行くのは、ちょっと悔しいけど。でも、その分、俺はここでちゃんと準備しておく。息も、骨も、筋も、ちゃんと作ってから行く」

 

「……はい」

 

 櫛那は、少しだけ目を潤ませて笑った。

 

「じゃあ、私が戻ってくるまでに、もっともっと強くなっていてください。戻ってきたら、宗ちゃん、すごいって言わせてくださいね」

 

「言わせるよ」

 

 二人で笑う。

 

 その間にも、櫛那の周りには金と藤色が揺れていた。

 

 怖さも、寂しさも、全部抱えたまま、それでも前を向こうとしている色。

 

「……怖いって言ったら、少し楽になりました」

 

 櫛那がぽつりと言った。

 

「今まで、こういうこと、あまり言えなかったので」

 

「じゃあ、これからは俺に言えばいいよ。俺、聞くのは得意だから」

 

 裏長屋で、何度も子どもの泣き声を聞いてきた。

 

 何もできなかったけれど、隣で座って話を聞くことだけはしてきた。

 

 それは、今も変わらない。

 

「ありがとうございます、宗右衛さん」

 

 櫛那は、また少し笑って立ち上がった。

 

「そろそろ寝ます。明日も、いつも通り山を歩きましょう。……いつも通りを、ちゃんと覚えておきたいので」

 

「うん。明日も、足元、見ておくから」

 

「はい。おやすみなさい」

 

「おやすみ」

 

 戸が閉まる。

 

 残された行燈の明かりの中で、自分の胸の中の息を数える。

 

 吸って。

 吐いて。

 

 そのたびに、櫛那の薄金が瞼の裏で静かに揺れるのを感じていた。

 

 

―――

 

 

 三日後。

 

 烏は、いつもより少し早く鳴いた気がした。

 

 沢で水を汲む。

 いつも通りに掃除をする。

 いつも通りに飯を食う。

 

 それでも、いつも通りではないことがひとつだけある。

 

 櫛那が、この家に来た時に羽織っていた亀甲花菱の羽織を着て、荷を一つ背負っている。

 

 替えの着物。

 少しだけの食い物。

 刀。

 

 それから、頭には猫を模したような厄除の面。

 

 それだけを持って、櫛那は板戸の前に立っていた。

 

「行ってきます」

 

 櫛那が頭を下げると、鱗滝さんは静かに頷いた。

 

 面の奥で、息を吸う音がした。

 

「行ってこい。必ず、生きて戻れ」

 

「はい」

 

 櫛那の周りの色が、一瞬だけまっすぐな青になった。

 

 そこに金が細く走り、その縁を白が薄く縁取る。

 

「宗右衛さん」

 

「ん」

 

「……宗ちゃん」

 

 初めて呼ばれたそれは、思っていたより自然だった。

 

「ただいまは、まだ言いません。ちゃんと戻ってきた時まで取っておきますから」

 

「うん」

 

「だから、ちゃんと待っていてくださいね」

 

「待ってるよ」

 

 そう言ってから、息を吸った。

 

「ここで、息して、飯食って、修行して。

 櫛那がただいまって言いに来るの、ちゃんと待ってるから」

 

 櫛那は、きゅっと唇を引き結んだ。

 

 それから、笑った。

 

「行ってきます」

 

 そう言って、山を下りていく。

 

 背中が小さくなっていくのを、烏と一緒に見送った。

 

 櫛那の色は、いつまでも山道の先に残っている気がした。

 

 やがて、その色も見えなくなった時、胸の奥で何かが静かに鳴った。

 

 行ったか。

 

 ぽつりと呟くと、頭上で烏が一声鳴いた。

 

「宗右衛」

 

「はい」

 

「息を止めるな」

 

「はい」

 

 俺は、深く息を吸った。

 

 吐いて。

 また吸う。

 

 櫛那がいない山道を、いつも通りに歩くために。

 

 この時の俺は、まだ知らなかった。

 

 藤襲山から戻ってくる者もいれば、戻らない者もいることを。

 

 宗ちゃん、ただいま。

 

 そう笑う櫛那の姿を、二度と見ることはないのだと。

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