宇宙戦艦ヤマト世界の元からヒャッハー宇宙で地球がこの先生き残るには……   作:親と兄姉の姿を見て立派に育った未子

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アンケートへのご協力ありがとうございます!

滅びの方舟ルート大人気ですね()

ただ、念のためもう一つアンケートを取りたいと思います。

それは、ガトランティス人がこの世界線ではどうなっているについてです。

滅びの方舟ルートなので、ゼムリア人に作られたクローンだったガトランティスが反乱→サーベラーとミル死亡→滅びの方舟起動→ゼムリア滅亡までは決定したので。

1 そのまま人間性(愛)を否定するクローンのまま

2 無理に人間性(愛)を否定し続けた結果大半の個体がバグってヒヤッハー蛮族化(まとも?な大帝が頭を抱える)

のどちらになってそうかを決めたいです。

1のルートだとダガームがまともに、2のルートだとバルゼーや記憶封印されてる間のサーベラーなどが次第にヒャッハー化します……




ザルツ人捕虜ヴァルケ・シュルツとカツドゥーン

 

 

 

 

 ヴァルケ・シュルツ大佐。

 

 男はガミラスに併合されたザルツ星出身のザルツ人である。

 

 シュルツは青い肌を持たず、純血ガミラス人たちに差別される二等ガミラス臣民として差別にあいながら、それでも愛する家族のため、ガミラス軍人として戦争に身を投じていた。

 

 そんなシュルツは優秀な軍人であり、ガミラス屈指の名将ドメルの部下として戦った際には一目置かれるほどだった。

 

 だが、ガミラス属領に侵攻してきた地球(テロン)艦隊との戦闘で敗北の淵に立たされていた。

 

 ——地球艦隊は強すぎた。

 

 シュルツが率いたガミラス艦隊の砲撃は敵艦を覆うエネルギーシールドに防がれ、逆に敵艦の砲撃は一撃でガミラス艦の装甲を紙のように貫いてくる。

 

 そのうえ、敵は異常なほど円滑に動く。

 

 一隻一隻に熟練の船乗りが乗っているような瞬時の対応力。

 

 おまけに艦隊全体の隊列変化も常識ではあり得ない速度で統一されていた。

 

 命令の遅延も、判断のばらつきも存在しない。

 

 まるで艦隊が“ひとつの頭脳”に繋がっているようだった。

 

 何より、敵艦の艦首に搭載されているという未知の大量破壊兵器。

 

 それを最優先で警戒しなければならない以上、艦隊運用はどうしても制限されてしまう。

 

 シュルツはドメルから学んだ機動戦術を駆使して、敵艦隊に艦首を向けられぬよう懸命に艦隊運用を行い抗った。

 

 だが、それでも——

 

(ここまで、か……)

 

 敵艦の砲撃に穿たれた乗艦が火花を散らして沈みゆき、視界が赤い警告ランプの色に染まる。

 

 ——ヒルデ……

 

 最期を悟った瞬間、シュルツの脳裏に浮かんだのは忠誠を示したガミラス軍旗や総統の顔ではなく。

 

 愛する家族の姿だった。

 

 

 

 

 

 

 

「目が覚めましたか?」

 

(わたしは……)

 

 意識を取り戻したとき、シュルツは“静寂”の中にいた。

 ただ、耳に少し違和感があった。

 

 そしてほのかに香る消毒液と……柔らかい布団の感触。

 

「あなたの怪我は地球連邦軍の医療班が治療しました。安心してください」

 

 白衣のザルツ人の女が穏やかな声で告げる。

 

 いや、違う。

 

 ザルツ人ではない。

 

(まさか、テロン人!?)

 

 シュルツは慌てて飛び起きようとしたが、ベッドに拘束されていて動けなかった。

 

「あ、ダメですよ! まだ、安静にしてないと……」

 

 青い肌を持たぬ者を嫌う純血ガミラス人の医療班とは違う、刺々しさのない対応。

 

(捕虜に……なったのか?)

 

 ガミラス人なら捕虜に“最低限しか治療しない”のが普通だった。

 しかし地球人は、まるで自軍兵士を扱うかのように丁寧だ。

 

 そして、なぜ地球人の言葉を理解できたのか疑問に思ったが、どうやら寝ている間に耳に翻訳機を装着されていたようだ。最初に感じた耳の違和感はそのせいだった。

 

 その後、移送された収容所では、さらに不可解な光景が広がった。

 

 収容される予定の部屋は清潔で、暖かな個室。ベッド、洗面所、小さな机まである。

 

(どういうことだ……? 地球では、捕虜は……こんな扱いを受けるものなのか……?)

 

 看守も穏やかで、シュルツへの対応も非常に丁寧なものだった。

 

「あなた達は“被害者”だろ? 野蛮なガミラスに無理矢理併合されたんだよな……可哀そうに」

 

 帰順か殲滅の二択を迫ってきた青い肌の純血ガミラス人とは違い、“地球人と同じ肌色”の従属させられているザルツ人を見て、彼らは本気で同情しているようだった。

 

「尋問室に来てください」

 

 それでも、シュルツは軍人だ。

 

 ——ついに来たか。

 

 地球人が欲しがりそうなガミラス軍の情報を持っている。

 

 シュルツは情報を吐かせるために拷問されるだろう、と覚悟を決めた。

 

 ところが。

 

「まずは腹ごしらえでもどうですか?」

 

 尋問室に置かれたテーブルには水と、温かなタオル。

 地球人の尋問官は笑顔で椅子を勧めてくる。

 

(……罠だ。優しくして油断させるつもりだろう……いや、それにしても……)

 

 目の前の男は本当に自然に優しい。

 まるで敵意がない。

 

「ガミラス軍の有益な情報は、既に純血ガミラス人の捕虜から聞き出していますよ。それも、拷問など必要ない効率的な方法で。ですので、あなた方被害者である二等ガミラス人には、必要以上の負担をかける必要がありません」

 

(……そこまで知っているのか……?)

 

 どうやら既に情報取集は終えているらしい。

 敵の言葉を鵜吞みにするつもりはないが、余裕すら感じられる尋問官の態度からしてその可能性は高い。

 

 そして、ちょうどそのとき——

 

 ぐぅぅぅぅ。

 

 場に響き渡る腹の音。

 

 ……己の身体が最悪のタイミングで裏切った。

 

「食事にしましょう。緊張しては話もできませんからね」

 

 尋問官が自信たっぷりに言った後、カツドゥーンという料理を手配してくれた。

 

「なんだ、この香りは……!」

 

 湯気。

 甘じょっぱいタレの匂い。

 衣の香ばしさ。

 そして、ふわりと漂う黄色い卵のやさしい匂い。

 

 シュルツは思わず身を乗り出した。

 ほぼ無味無臭の戦闘糧食に対し、この地球料理は——。

 

「こ、これは罠か? いや……毒など入れていない、はずだが……」

 

 尋問官がにこやかに笑った。

 

「安心して食べてください。カツ丼に毒を盛るなんて野蛮で冒涜的なことはしません。野蛮な青肌ガミラス人とは違いますから」

 

「カツ……ドゥーン……?」

 

 両手が震える。

 視線は、もう丼から離せない。

 

 白い米の上に、黄金の衣をまとった肉が乗っている。

 さらにその上から、とろりと半熟の卵が優しく包み込むように広がっている。

 刻まれた緑の植物(ネギと呼ばれるらしい)が彩りを添える。

 

 地球の料理は、なんて……“優しい見た目”をしているんだ。

 

「……いただく、ぞ……」

 

 シュルツは、震える手でスプーンを受け取り、おそるおそる一口。

 

 衣がサクっと。

 肉がじゅわり。

 卵がとろり。

 

 すべての食感が、口内で溶け合う。

 

 そして。

 

「………………ッ!!?」

 

 見開かれたシュルツ大佐の目に、文字通り涙が溢れた。

 

 差別されながらもガミラス帝国に忠誠を誓い、ありのままの感情など表に出さぬ男が……今、泣いていた。

 

「な、なんという……やさしい味……これは……これはッ……!!」

 

 カツドゥーン……カツ丼の味は衝撃的だった。

 

 柔らかい肉——こんなに優しい肉をシュルツは食べたことがない。衣はカリッとして、それでいてタレを吸ってじゅわっと広がる。卵はまるで雲のようにふわりと全体を包む。タレは甘く……しかし、強すぎない。むしろ、心を落ち着かせる穏やかな味だ。

 

 二口、三口。

 

 もはや食事の手は止まらなかった。

 

「うまい……うまい……! なんだこれは……! この一杯の中に……うま味が……満ちている……!」

 

 シュルツの頬を、熱く大粒の涙が伝う。

 

 だが、食すために動かす手の勢いは止まらない。

 

 そして、丼の底が見える頃には——

 

「地球……恐ろしい星だ……。武力ではなく……料理で我々を破壊する気か……!」

 

 心の底からの、本気の震えがこみ上げていた。

 

 かつ丼は、最強の地球兵器(メシテロ)だった。

 

「おかわりもありますよ」

 

「……いただこう」

 

 尋問官が嬉しそうに笑い、さらにおかわりまで手配してくれた。

 

 その後、尋問はされたが主にザルツ星やザルツ人の独自の文化について色々聞かれた。

 

 地球人の尋問官は、未知の異星人や異星人文化にとても興味をもっていた。

 

 

 

 数日後には、収容所での生活にも慣れ始めた。

 

 地球の美味な食事を食べるために、箸という扱いが難しい食器の使い方も学んだ。

 

 地球人看守は、二等ガミラス人たちに驚くほど親切だった。

 

 個室では自由時間もあり、小さな娯楽端末まで貸し出される。

 

 二等ガミラス人捕虜が共同で使用する大浴場のシャワーは清潔で湯がたっぷり出る。さらには、つかると身体が蕩けそうになる温泉湯船までついていた。

 

 着替えも柔らかく、肌触りが優しい。

 

 まさに至れり尽くせりだ。

 

(ガミラス星よりも……暮らしやすいのではないか……?)

 

 皮肉ではなく、本気でそう思えた。

 

 一方で純血ガミラス人たちは厳しく扱われていた。

 別区画に隔離され、ザルツ人から見ても犯罪者に対するような“冷たい扱い”を受けていた。

 

「侵略者は嫌われる——当たり前だよなぁ」

「ざまあみろ!」

 

 地球人の看守とザルツ人捕虜が、ガミラス人への共通の悪口で盛り上がっているのを見かけたこともあった。

 

 

 収容所での食事は、基本的に併設されている食堂で食べる。

 シュルツの部下であり、今は同じく捕虜になっているゲルフ・ガンツとも食堂では顔を合わせて話すことができる。

 

「シュルツ大佐。今日のラームエンという食べ物は、地球ではかなりポピュラーな食べ物らしいです」

 

「ふむ、今日の夕食はラームエン(ラーメン)か。……いただきます」

 

 シュルツは提供されたラームエンという食事に目を向ける。

 

 黄金色に輝くスープ。

 その上に浮かぶ、肉の薄切り。

 白く光る麺。

 青々とした薬味。

 香ばしい油が宝石のように表面に散っている。

 香り、味、温度、盛り付け。

 

 どれも“心を彩るように”設計されている。

 

「この麺というものをすするらしいです」

 

「なるほど……」

 

 恐る恐る器用に箸を使って麺を口に入れてすする。

 

 瞬間。

 

 ぷつん、と弾ける歯ごたえ。

 もちもちと吸い付くような食感。

 スープをまとい、口の中で踊るような滑らかさ。

 

 そして——

 

「……ッ……!?」

 

 またしても、涙がこぼれた。

 

「う……うまい……! 地球……なんという文明だ……! 武力だけでなく……食事でも我々を征服するつもりか……!!」

 

 すすり、噛みしめ、飲み干す。

 一口ごとに、胸が熱くなる。

 

 何度あじわっても、何度でも衝撃が襲ってくる。

 

 麺を食べ終えるころには、シュルツの頬は涙で濡れ、鼻は赤く、目は真っ赤だった。

 

「ラームエン……いやラーメェンとは……恐ろしい食べ物だ……これは……兵器だ……!!」

 

 収容所の食堂で地球料理を食べている、かつての部下たちや別の戦線で捕虜になったザルツ捕虜たちも次第に呟きはじめた。

 

「うめえ……うめえっ!!」

「こんな美味い飯食べられるなら……地球……悪くないな……」

「ガミラスより……地球人の方が“まとも”だしなあ……」

 

 シュルツは複雑な気持ちになった。

 

「いっそ、地球人の力を借りて……我々ザルツもガミラスから……っ!」

 

 地球がガミラスよりも“良い文明”なのは理解できる。

 差別もない。食事も美味い。

 だが、それでも——家族のいるガミラス本星は恋しい。

 

 ラーメンと出会った感動がまだ冷めない夜。個室の窓からシュルツは星空を見上げる。

 

「ヒルデ……」

 

 星々が輝く宇宙の遥か彼方——戦争と差別にまみれたガミラス星で暮らす妻と娘。

 

 もう一度家族に会いたい——とシュルツは祈らずにはいられなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 ☆☆☆☆☆

 

 大ガミラス帝国。

 

 サレザー恒星系第四惑星“ガミラス帝星”を中心に、大小マゼラン両雲を統一し、もはや天の川銀河の外縁部にまで触手を伸ばす巨大星間国家である。

 

 だがその起源は闇だった。

 

 かつて全盛期のイスカンダル人たちが、記憶庫に引きこもり続けるための“労働力”としてガルマン星から連れ去った奴隷民族——それがガミラス人だった。

 

 イスカンダル人は、自分たちの代わりにガミラス人を使い、波動砲艦隊を操り、周囲の文明の“救済”を行った。

 

 その歪んだ理想の犠牲となったのが、青い血を宿し、青い肌を持つガミラス民族である。

 

 しかし奴隷の民は、やがて自らの文明を築き、帝国として独立を果たし、急速に星間国家へと発展した。

 

 一時は、複数の王侯貴族の内乱状態に陥っていたが、軍人として名のあるガル・ディッツや、粗暴な戦い方が目立つが貴族として絶大な発言力を有するヘルム・ゼーリックらを陣営に引き入れたアベルト・デスラー大ガミラス永世総統によって統一された。

 

 そしてデスラーは、宇宙恒久の平和を達成させる為には「遍く星々……その知的生命の救済」という改心後イスカンダル主義の拡大浸透が必要であり、イスカンダルの代わりに他星へ侵攻し武力をもって併合するのが神の意志でありガミラス民族の使命であると説いて、デスラー・ドクトリンを宣言し、周辺惑星国家への侵攻を開始した。

 

 すべては、愛するスターシャ・イスカンダルに代わって全宇宙を統合し、真の平和を実現するために。

 

 それは、スターシャへの愛ゆえの行動だった。

 

 ただし、スターシャの方はそんなこと全く望んでいない。

 

 しかし、イスカンダルが過去にガミラスに行った仕打ちのせいもあって、ガミラス人であるデスラーの行動を強く止めることもできないという逆にスターシャの心を苦しめてしまう結果になった。

 

 また、この急拡大政策の裏にはデスラーだけが知る、もう一つの目的もあった。

 

 寿命が近づくガミラス星に代わる新たな移住先の捜索。

 

 ガミラス星という特殊な環境でしか生きられないガミラス人が移住可能な新天地を探し出すという目的だ。

 

 暴走するスターシャへの届かぬ愛と、未だ見つからぬ新天地への焦りこそが、デスラーが急拡大政策を推し進める理由だった。

 

 ちなみにガミラス星の寿命が短いのは、かつてのイスカンダルが無理やり星のエレメントで不毛な星をガルマン星の環境へと書き換えたからである。

 

 そして、スターシャはその真実も、ガルマン星という移住できる新天地どころかかつての故郷の星のことも未だガミラスに教えていない。

 

 こうしてガミラスは幾多の星間国家に対して、武力による支配と併合を繰り返し、その一方で、ガミラスに対して帰順を示した民族や国家に対しては、二等臣民として同化政策を進めて行った。

 

 しかしその結果、デスラー率いる大ガミラス帝国は出会ってしまった。

 

 地球連邦。

 天の川銀河の辺境にある青い星を中心に築かれた、かつての宗主国イスカンダルと同じ波動エネルギーを軸とする科学文明だ。

 

 ガミラスは地球をテロン、地球に住まう人類をテロン人と呼び、これまで数多の文明に行ってきたように、帰順か殲滅の二択を突きつけた。

 

 地球人は帰順を拒んだ。

 青い血、青い肌を持たぬザルツ人と同じ肌色の劣等種族でありながら。

 

 ならばとガミラスは慈悲を拒絶した劣等種を殲滅すべく艦隊を派遣した。

 

 そして、派遣した艦隊を壊滅させられた。その後もゾル星系に派遣した艦を一隻残らず沈められてしまった。

 

 ただの殲滅戦のはずだった。

 

 だが地球連邦は(どっかの誰かさんのせいで)一星系規模の星間文明とは思えない強力な軍事力を保有していた。

 

 地球艦隊の逆侵攻によってゾル星系付近の兵站は瞬く間に壊滅し、制宙権を奪われ、銀河方面の属領の一部を奪われてしまった。

 

 奪還作戦にも失敗した。

 

 地球艦隊が使用する未知の大規模破壊兵器によって、属領奪還のために派遣した艦隊は瞬く間に壊滅してしまった。

 

 兵器開発局によって、その乱射された兵器が試作中の波動エネルギーを転用した兵器と同じものである可能性が高いと判明した。

 

 劣等種族にしては侮れない。

 

 テロン軍は蛮族(ガトランティス)と同等、あるいはそれ以上の脅威。

 

 ゲシュ=タム航法を確立し、次元潜航艦を有し、こちらが試作中の兵器を既に大規模実戦配備している技術力。

 

 ガミラスは地球連邦軍への認識を改め、いよいよ本気で戦争を仕掛ける準備に取りかかった。

 

 それでもまさか遥か辺境の地球文明が、かつてのイスカンダルの科学力に並びかけているなどとは誰一人として想定していなかった。

 

 

 

 そんな地球に対する方針をようやく転換させたガミラスは、実は外にも内にも火種を抱え、“一歩間違えれば崩壊が始まる”危険な均衡の上に立っていた。

 

 一つは、ガミラスの銀河方面での敗北の噂を聞きつけた属領の反乱。

 

 デスラー総統はスターシャへの愛と新天地捜索のため拡大政策にばかり注力していた。

 

 内政にはほとんど興味がなかった。

 

 行政の管理は、ほぼすべて親衛隊に丸投げされていた。

 

 その結果、ハイドム・ギムレー率いる親衛隊の横暴や苛烈な支配に対する植民星の不満が日々蓄積していった。

 

 そこへ追い打ちをかけたのが、銀河方面での地球連邦への大敗北。

 

「敗北続きの今なら帝国の支配から抜けられる」

 

 この噂が植民星に広がり、ついに反乱が一気に噴き出した。

 

 しかし、ガミラスには反乱を鎮圧する余力がなかった。

 現在ガミラス軍は銀河方面で負け続きの地球連邦軍との戦争。

 さらに小マゼラン方面でも蛮族(ガトランティス)の侵入に対応しなければならず、二正面作戦による戦力分散が起きていた。

 

 結果、オルタリアなど一部反乱独立植民星への対応を、ガミラス軍は一時後回しにせざるをえなかった。

 

 これには親衛隊長官のハイドム・ギムレーも不満ではあったが、親衛隊もより優先すべき別の問題への対応に追われていて反乱鎮圧どころではなかった。

 

 二つめに、小マゼランへの蛮族の侵入。

 

 小マゼラン方面には、ガミラスが恐れる相手がいた。

 宇宙の蛮族ガトランティス。

 

 地球艦隊との戦闘で損失した戦力の穴埋めのため、ガミラス軍上層部は小マゼラン戦力の一部を銀河方面に配置転換を決定すると、ガミラスの戦力減少を嗅ぎつけた蛮族がまたしても小マゼランへと侵入。これを名将ドメルがどうにか食い止めている状況だ。

 

 デスラーに匹敵する人気を持つドメルの排除を検討していたギムレーも、流石に今排除したらヤバイと判断するほど小マゼラン方面の防衛はドメル頼りだった。

 

 そして三つ目。

 

 デスラー政権転覆を密に狙う旧貴族派の台頭である。

 

 元々同化政策に強い不満を抱いていた旧貴族派は、銀河方面での敗北でデスラーの権威が揺らいだと見るや、一気に政治工作を活性化させた。

 

 ——同化政策は帝国を弱体化させたっ!

 

 ——銀河方面での敗北は、二等ガミラス臣民(ザルツ人など)が足を引っ張ったせいだっ!!

 

 ——純血ガミラス人だけで戦えばこのような敗北などあり得なかったっ!!!

 

 などと主張を展開し、人心を煽っていた。

 

 この主張を行った旧貴族派の中心にいたのがヘルム・ゼーリック国家元帥だった。

 

 差別主義・純血主義の権化のような男で、デスラーへの忠誠など一片もなく、むしろ暗殺して旧貴族による支配体制を取り戻す気でいた。

 

 ギムレー率いる親衛隊は、外敵や植民星よりもまず内部の反乱分子に目を光らせる必要があり、帝国の統制は日に日に脆くなっていた。

 

 また、他にも急拡大の影響による人的資源不足問題などがある。今はガミロイド(アンドロイド)とクローン兵でどうにか穴埋めできているが、もはやこれ以上の拡大政策は難しいだろうと上層部の一部の人間は気づいていた。

 

 拡大を続けるほど人材が不足し、不足するほど無茶な同化政策が進み、同化政策による反発が増え、反乱に対応するため戦力をさき、戦力不足で外敵に押されていく……

 

 急拡大政策の反動と、地球との戦争の影響で、ガミラスは完全に負のスパイラルに陥っていた。

 

 

 

 それでも、地球連邦軍の侵攻によって銀河方面の属領の一部を奪われ、立て続けの敗北で帝国の威信が大きく揺らいだガミラスは、ついに “挽回のための大征伐” を決定した。

 

 もっとも、その決定はガミラスが一枚岩だからではない。

 

 むしろ、内部の思惑が複雑に絡み合った末の産物だった。

 

 これに伴い、元々銀河方面作戦司令長官だったグレムト・ゲールが敗戦続きの責任で降格になり一時的に本国へと召還され、代わりに上層部の政治的駆け引きの末にゼーリックの腹心であるバシブ・バンデベル将軍が銀河方面作戦司令長官へと任じられた。

 

 さらに、バンデベルには火力が高い地球艦隊に対抗するため、植民星への搾取と大増税によって急速に量産が進められている新造ゼルグート級の内の一隻が与えられた。

 

 当然、植民星からの不満はさらに高まり、反乱はより激しくなっていくが……そんなことを、ゼーリックは気にしない。

 

 ちなみに、この艦隊にはデスラー体制に不満を持つ旧貴族復権派の軍人や純血主義者たちがやたら多かった。

 

 また、この大征伐において二等ガミラス臣民は完全排除が決定。

 

 そのため大征伐艦隊は純血主義者と旧貴族派だらけ。二等臣民は“完全排除”という異様な編成となっていた。

 

 ゼーリックは地球征伐を純血ガミラスだけで成功させれば、劣等種族の併合などという愚かな政策を進めているデスラー体制を転覆できると考えていた。

 

 無論、この大征伐が成功しても体制が続くなら、その時はデスラーを暗殺する腹積もりでいた。

 

 さらに、ゼーリックはバラン星に集結した大征伐艦隊を前に、「全帝国臣民に誇示するため」大規模観艦式の開催を命令。

 

 観艦式の様子は通信網を使い、帝国全域に中継された。

 

「諸君ぅ!! テロン人などッ! 恐るるに足らずぅぅッ!!」

 

 野太い巻き舌の声が通信で響き渡る。

 

「見よおおおッ!! この、純血ガミラス人の血と汗で作り上げし——偉大なる大・艦・隊をぉぉぉッ!!」

 

 ゼーリックは勝利を確信したように両腕を掲げ、中継されるカメラへ向け誇らしげな笑みを向け続ける。

 

「銀河方面を荒らす劣等種どぉもに、偉大なる大ぃガミラスの“真の恐怖”を思い知らせるのだぁぁぁ!! ガーレ・ガミルォンンンンっ!!」

 

 だが、その背後で映ってはいけないものも映っていた。

 

 いつの間にか銀河方面作戦指揮官になっていたバンデベル将軍の、ずっと青白い顔色である。

 

 観艦式中、バンデベルは明らかに引きつった笑みで固まっていた。

 

 その心中は推して知るべしである。

 

 一方、親衛隊長官のギムレーやジレル人の側近セレステラなどは、帝都バレラスでその中継の様子を見ながら不気味な笑みを浮かべていた。

 

 そして、デスラーはギラついた目で夜空に輝く美しい星——イスカンダルを見上げていた。

 

 こうして、観艦式の後にゼーリックによって強引に送り出された、憐れなバンデベル将軍に率いられた大征伐艦隊がバラン星から出撃した。

 

 威風堂々たる大艦隊出撃の光景は、まさに圧巻だった。

 

 

 

 

 だがガミラス人たちはまだ知らない。

 

「いよいよこのブルーアースのCRS及びその他増幅クリスタルによる攻撃範囲拡大+威力増幅に成功したトランジッション波動砲とハイパーホーミング波動砲の威力を宇宙に知らしめる時がきたっ!!」

 

 その大艦隊が、遠く離れたテロン(地球)の軍事科学者によって“新兵器実験の獲物”としてマークされていることを。

 

「ガミラスよ、思い知るがいい。神・仏・照・覧ッ!!」

 

 

 





次回『滅びの方舟が怖いので、念の為僕の考えた最強の脱出船を作りました』

ぼくがかんがえたさいきょうのバカみたいな戦闘艦が出てきます……
流石のイスカンダルもついに重い腰を上げるかもしれません……

ガトランティス人は人間じゃないクローンのまま? それともバグって蛮族化?

  • 愛など不要! クローンのまま
  • 愛……愛愛愛愛ぃー ヒャッハー蛮族化
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