宇宙戦艦ヤマト世界の元からヒャッハー宇宙で地球がこの先生き残るには…… 作:親と兄姉の姿を見て立派に育った未子
星巡る方舟が持つ異常な遮蔽技術——あれをベースに、僕は新型ステルスシステムの開発に成功した。
この新型ステルスシステムを搭載した艦は、既存のあらゆるレーダーやセンサー類で探知不能になるという、とんでもない代物だった。
ただし、僕やイスカンダル人の持っているような謎の超感覚なら察知できる可能性はある。
そんな最新ステルスシステムを搭載した波動砲搭載型次元潜航艦イ401が無事性能試験をクリアしたので、僕はさっそく芹沢統括副指令に働きかけてボラー連邦領内に潜入する情報収集任務をもらった。
イ401に乗り込むにあたって、僕とアースはいつものように地球側に本体を置いたまま、高次元ネットワークを介して、特製メンタルモデルに意識を同期させる。
今回はユリーシャも「あなたを見張る」と言ってきたので、彼女とリンクできる特製メンタルモデルを一体、新造して同乗させることにした。
「アケイ……今度は、どこに行くつもり?」
「ガルマン星」
その行先を口にした瞬間、ユリーシャの表情が凍り付いた。
「ガルマン……!? あそこは……っ!!」
イスカンダル人なら、すぐに察する単語だ。
ユリーシャは、僕の今回の目的を察したのだろう。
顔色を変えて、必死の説得を始めた。
でも無視してイ401のメンタルモデルであるイオナに頼んで、次元潜航艦をガルマン星へと向かわせた。
イ401は静かに宇宙港のドックを離れた。
今回の僕の目的は、ガルマン星で眠っている全盛期イスカンダルの遺産。シャルバート級戦艦の解析だ。
いざガルマン星へ。
ガルマン星はかつて、イスカンダルが救済のための奴隷を調達していた場所であり、天の川銀河の"救済"拠点にしようとしていた場所だ。
今はボラー連邦の資源惑星になっている。
かつてはイスカンダルの人猿奴隷だったガルマン人たちも、今はボラー連邦の家畜奴隷だ。
新型ステルスシステムのおかげでボラーに見つからずガルマン星に到着したイ401の艦橋モニターに映る今のガルマン星の風景には、あからさまな“
毒を流し込まれる首輪をつけられたガルマン人たちが、採掘プラントの周辺で黙々と過酷な作業を強いられている。
少しでも手を止めた者がいると、
「仕事を休む権利は与えていないぞ、ガルマンの家畜ども!」
ボラー兵士が、首輪のリモコンらしき装置をちらつかせながら、笑った。
次の瞬間、作業を怠ったガルマン人の体がびくんと跳ねた。首輪から毒が流し込まれたのだろう。
ガルマン人は喉を押さえ、苦しそうに膝から崩れ落ちる。その背中を、容赦なくボラー兵士の軍靴が蹴りつけた。
ボラー連邦永久管理機構——名前からしてロクでもないが、実態もそのままだ。
もしも、地球が弱く、未熟な文明のままボラーと接触していたら、地球人類もこのような悲惨な"管理"を受けていたかもしれない。
うん、やはりこの宇宙、力がないと悲惨な運命しか待っていないようだ。
「ひどい……」
隣で一緒にモニター映像を見ていたユリーシャが、かすれた声を漏らした。
彼女の指先が震えている。視線は、ガルマン人たちの首輪から離れない。
青い肌。
どこかガミラス人に似た顔立ち。
だが、その瞳には誇りのかけらもなく、ただ、疲労と諦めだけが沈殿していた。
「ごめんなさい……ごめんなさい……」
ユリーシャは、ガルマン人たちが虐げられている姿を見て、小さく、何度も何度も謝っていた。
そして、こちらに視線を向ける。その瞳は、はっきりと訴えていた。
——彼らを助けてあげてほしい……と。
かつてのイスカンダルも、ここから人々を連れ去り、“救済”のために無理矢理奴隷にした。その上で、勝手に救済に飽きて、救済用の波動砲艦とシャルバート・イスカンダルという王族一人とガルマン人たちをガルマン星に置き去りにした過去がある。
だからこそ、イスカンダルの王女として、せめてもの贖罪をしたい——そんな思いが、彼女の表情から透けて見えた。かつての愚行を知りながら、未だガミラスに自分たちの罪を告白できていないイスカンダル人にとって、ガルマン星とガルマン人は特別で複雑な感情を抱く存在なのだろう。
ユリーシャは姉のスターシャ女王よりも精神的にずっと幼く、まだ甘い。
「残念だけどユリーシャ。それは、僕たちがすべきことじゃない」
それでも僕は、静かに断った。
ユリーシャの肩が、びくりと揺れる。
「イスカンダルは、ガルマン人を散々利用しておいて、そのあと何もしなかった。地球もガミラスと停戦したばかりだし、いまはガトランティスとも争っている。資源惑星一つのために、ここでボラー連邦と戦争を始める余裕なんて、どこにもない」
視線をモニターから外さず、淡々と言葉を続ける。
「だから今ここで、“かわいそうだから”って理由だけで全部背負う筋合いも、義務も、僕たちにはないよ」
ユリーシャが、痛みを堪えるように唇を噛んだ。
それでも、言い返せない。自分たちイスカンダルが過去に何をしてきたのか、わかっているからだ。
「ガルマン星とガルマン人を、本当の意味で救うことができるのは——同じ青い血と青い肌で結ばれた“兄弟”だけだよ」
つまり、彼らガルマン人を救うのは——ガミラスの王、アベルト・デスラーの役目だ。
……まあ、波動カートリッジ弾で乗っていたデウスーラⅡ世を爆散させちゃったけど。総統はあれくらいで死ぬタマじゃないだろう。たぶん。きっと。
「彼らを救う力を持たない、いや、救えた力を放棄した今のイスカンダル人の君にできることは——黙って罪を噛み締めながら、見ていることぐらいだよ」
残酷に聞こえるだろうけど、甘い言葉を投げても現実は変わらない。
というわけで、ユリーシャには過去の愚行の罪悪感と向き合ってもらうとして。
僕は僕で、やるべきことをやるだけだ。
ユリーシャが打ちひしがれている隙に、イ401から出てガルマン星へ上陸し、目的の場所へと向かった。
まずは、シャルバート級がある聖地の遺跡の場所を知っている神官キール・キーリングを探して——見つけた。ロン毛のガルマン人。間違いなくキーリングだ。
邪魔そうなボラー兵士が数名近くにいたので、さくっと幻視で無効化。
「ここに敵はいない」「何も見ていない」って思い込ませておけば、しばらくボーッとしてくれる。
そして、キーリング本人にはジレル式精神攻撃で直接アクセス。
『ちょっと遺跡まで案内してくれる?』
キーリングの瞳が、一瞬だけ揺れる。
けれど、すぐに感情の色が抜け落ちた静かな目に変わり、こくりと頷いた。
「……ついてこい」
こうして、僕はボラーの目をかいくぐりながら、遺跡の内部へと案内してもらった。
階段を降り、通路を進み、まだ下へ下へと降りていく。
むき出しの岩肌だった壁は、いつの間にか、なめらかな黄金色の装甲板へと姿を変えていた。
やがて巨大なドックのような空間に辿り着き——視界いっぱいに、それは鎮座していた。
かつて数多の星に波動砲の雨を降らせた全盛期イスカンダルの遺産。
シャルバート級航宙戦艦。
残念ながら、今は波動コアを抜かれており、完全に沈黙している。イスカンダル製波動コアとイスカンダルの王族が揃わないと、この艦の封印が解かれることはない。
まあ、ボラーと戦争覚悟でガルマン星を奪ってから、無理矢理ヤマトとユリーシャ本人を連れてきたら封印は解けるかもしれない。
……いや、この感じなら無理矢理干渉して強制起動することもできるかも。
でも、ガトランティスとの戦争に備える必要がある今、シャルバート級を持ち逃げしてボラー連邦を敵に回している余裕はない。
なーに。このチート頭脳さえあれば、起動していないシャルバート級を解析するだけで十分だ。あとで時間断層で新品作ろう。
僕は篠ノ之束メンタルモデルの解析システムを用いて、内部構造とシステムツリーを情報として丸ごと吸い上げていく。特にクリスタル関連のイスカンダル特有の技術は色々参考になる。まだ、クリスタル関連の技術は0を1にしたばかりだから、この解析で一気に100以上まで発展させていきたい。
アースにも、衛星側で封印されている“リメイク版デスラー艦——戦艦スターシャ”らしき構造体のデータ解析収集を頼んでおいた。
これで、ガルマン星で得られる技術は一通り確保できた。
☆☆☆☆☆
メンタルモデルとの同期を解除し、地球の研究所で夕食の準備でもしようかと立ち上がったところで——扉が開き、ユリーシャが入ってきた。
いつもの柔らかな微笑みはどこにもない。
その瞳には迷いと、怒りと、恐れと、罪悪感が入り混じっていた。
「アケイ……」
ユリーシャは一歩、僕に近づく。
その手は小さく震えていた。
「どうして、貴女はそこまでして“力”を求めるの?」
真正面からの問いだった。
「滅びたくないからだよ」
その答えは、簡単だ。
だけどユリーシャは納得できないようで、眉をひそめる。
「でも、今の地球はもう十分すぎるほどの力を持っている。ボラーからガルマン星を解放することだって、今の地球ならきっと――」
その言葉には、「今の地球の戦力で滅びるわけがない」とどこかで信じている響きがあった。
普通の感覚なら、それが正しい。
でも、僕は原作知識で知っている。
「滅びの方舟」
イスカンダル人なら、その存在を知らないはずがない。
創造主ゼムリアを滅ぼした、人造兵士ガトランティス。
そのガトランティスの王が起動させてしまった、古代アケーリアス文明がこの宇宙に遺した“最悪の兵器”。
「もう間もなく……2202年に、この宇宙の全生命を滅ぼせる兵器が、地球を滅ぼしにやってくる」
僕の原作知識による予言を聞いたユリーシャは、絶句していた。
「なんでそんなことを知っているのか」聞かれるかと思ったけど、ユリーシャは情報の出所を聞かなかった。
意外と信用されていたのかな。
「僕の目的は、この滅びの方舟による地球人類の滅亡の可能性を回避すること。方法は問わない。宇宙が裂けるほど波動砲を乱射しても、例え滅びの方舟を解析して、時間断層で地球製の滅びの方舟を建造してでも……僕は足掻いて生き残りたい」
だって僕は生存本能を持つ、ただの“人間”なのだから。
異星人の侵略で死にたくないだけなんだよ、僕は。
「……あなたは……本気で、そう考えているのね」
ようやく絞り出されたユリーシャの声は震えていた。
「うん。本気だよ。“受け入れて静かに滅びる”なんて、僕の辞書にはないからね」
僕はユリーシャをまっすぐ見て、はっきりと言った。
「僕は滅びに抗うよ。君たちイスカンダルと違って。だってまだ生きたいもん」
その問答の後から、ユリーシャは何かに思い悩むようになり、目に見えて精神的に不安定になった。
だから、とりあえず古代メンタルクリニックにアースとセットで預けてきた。
古代くんと森さん夫婦なら、たぶん何とかしてくれるだろう。それに古代くんは、近い将来ユリーシャの義理の弟になる可能性があるから。いや、もしかしたらもうなっているかも。
ユリーシャの護衛もアースがいれば十分だ。
アースには、クラインフィールドという防御バリアを展開する機構が備わっているから。
イスカンダル。
かつて愚行を犯し、そのせめてもの贖罪をしながら滅びを受け入れている文明。
地球も、この文明から学ぶことは多い。
だって、もしも地球が滅びの方舟の危機を乗り越えたその時、地球は滅びの方舟を超えた力を持つ文明へと至るのだから。
その力を使って地球がイスカンダルのような愚行を、あるいはそれ以上の愚行を犯す可能性も十分にありえる。
滅びの方舟を乗り越えるまでは、とにかく力が必要だ。
でも、その後には、残された“滅びの方舟以外には過剰な力”をどう扱うのかも考えなければならない。
愚行を犯せる危うい力。
しかし、星間外交がまともに機能しないこの宇宙では、その危うい力がなければ生き残れないこともまた事実だ。
……とはいえ。
滅びを受け入れられるほど、地球人類も文明もまだ成熟していない。
だから、大人しく力を手放して滅びを受け入れる——なんて選択肢は、当分の間選ばれることはないだろう。
……やっぱりこの宇宙で生きるの、大変だなあ。
僕は地球の未来について一通り悩んだあと、現実逃避するように新しい戦艦の設計データを呼び出した。
シャルバート級並みか、それ以上の性能になりそうな、次世代新型主力戦艦——アリゾナ級。
「さーて、今日も僕と、ついでに地球の安全保障のためがんばろー」
ありえるかもしれない未来
グレートアリゾナ「波動砲発動用意!」
ディンギル艦隊「全艦ワープ!」
グレートアリゾナ「トラップ発動! こんなこともあろうかと装備されていたワープ阻害フィールド展開!」
ディンギル艦隊「ファッ!?」
グレートアリゾナ「くらうがいい。滅びのハイパーイスカンダル式波動砲発射ぁ!!」
次回『2202合同観艦式』
いよいよ最強の敵ガトランティス戦です……
ガトランティス人は人間じゃないクローンのまま? それともバグって蛮族化?
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愛など不要! クローンのまま
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愛……愛愛愛愛ぃー ヒャッハー蛮族化