宇宙戦艦ヤマト世界の元からヒャッハー宇宙で地球がこの先生き残るには……   作:親と兄姉の姿を見て立派に育った未子

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書いてて思ったこと。

作中最強の物量と作中最強の超兵器が同時に襲ってくるの反則やろ……


滅びの方舟

 

 

 

 

 相転移次元跳躍によって現れた土星の大きさをも上回る白色の巨体が、土星宙域を覆い尽くす。

 

 帝星——ガトランティス。

 

 白色彗星帝国の本拠地がついに姿を現した。

 

 その表層から噴き出したのは、高密度の彗星ガス雲。

 

 同時に、白色彗星を中心に超重力場が形成される。

 

 空間が歪み、距離が圧縮され、地球連邦艦隊の艦影が、まるで不可視の手に引き寄せられるように彗星へと引かれていく。

 

 センサーは悲鳴を上げ、艦内の慣性制御が限界値を叩き、艦橋の床が軋む。

 

 さらに、彗星内部では、多数の破滅ミサイルの発射準備が進行していた。

 

 このまま引き寄せられ、密集した状態で大量の破滅ミサイルを浴びれば——十万隻の波動砲艦隊でさえ、無事では済まない。

 

 だが。

 

 地球連邦艦隊には、この瞬間のために準備されていた切り札があった。

 

「……トランジット波動砲艦隊、前進」

 

 アンドロメダ艦橋で、山南司令の声が静かに響いた。

 

 その命令を受け、波動砲艦隊は一斉に後退行動へ移行する。

 

 代わりに前面に押し出されるのは、異様な外観をした一群の艦艇。

 

 武装をほぼ持たず、ただ一つ、異常なまでに強化された砲身を持つ——特殊改装型ドレッドノート級。

 

 その艦内の次元波動エンジンに装填されているのは、反波動格子という特殊な装置。

 

 本来は、次元波動エンジンに干渉、波動コアと一体化し、その出力を強制的に抑制する“枷”となる。

 

 それを、あえて波動砲として撃ち出すことで、発射の際、除去される反波動格子そのものをブースターとすることで、波動エネルギーを幾何級数的に増幅することができる。

 

 それこそが、トランジット波動砲。

 反波動格子を使用して一度だけ撃てる、規格外の波動砲だ。

 

 ただし代償として、トランジット波動砲を放った艦は、放出される膨大すぎるエネルギー輻射に耐えられない。

 

 だから、トランジット波動砲を撃つには、エネルギー輻射から守ってくれる何かを用意するか、一撃放つことだけに特化させた、使い捨ての艦を用意する必要がある。

 

 トランジット波動砲艦隊を構成する特殊改装型ドレッドノートは後者に当たる。

 

 その数、百隻。

 

 そして、その艦隊のコントロール権は——波動砲艦隊総旗艦アンドロメダのメンタルモデルに委ねられている。

 

「トランジット波動砲……発射用意」

 

 山南司令の命令を受けて、メンタルモデル——アンドロメダがトランジット波動砲の使用を承認。

 

 百隻の無人艦の砲口に莫大なエネルギーが収束する。

 

「——トランジット波動砲……発射ぁっ!!」

 

 次の瞬間。

 

 百条の光が、同時に白色彗星帝国へと放たれた。

 

 空間そのものを抉り、重力を無視し、因果をねじ曲げながら突き進む波動エネルギーの奔流。

 

 ズォーダー大帝は、その光景を白色彗星内部から見下ろしながら不敵な笑みを浮かべていた。

 

 慢心があった。

 

 すべての知的生命を創造した神のような文明——古代アケーリアス文明が遺した破壊装置、滅びの方舟。

 

 その絶対防壁が破られるはずがない、と。

 

 そう、信じていた。

 

 だが。

 

 百発のトランジット波動砲は、その滅びの方舟の絶対防御を貫いた。

 

 ズォーダーは驚愕した。

 

 貫かれた白色彗星の表層が裂け、内部構造が露出し、都市機構が次々と崩壊していく。

 

 ガス雲も霧散し、超重力場が消失する。

 

 内部に格納されていた破滅ミサイルは誘爆し、残存艦隊も、そのほとんどが消滅した。

 

 そして……

 

 トランジット波動砲を放った百隻の艦は、その役目を終え、エネルギー輻射によって消滅した。

 

「……命中確認」

 

「滅びの方舟、大破。超重力消失」

 

 アンドロメダ艦橋に、抑えきれないざわめきが走る。

 

 神のような文明が遺した超兵器の破壊に成功したからだ。

 

 それを見た山南司令は即座に判断を下す。

 

「これより総攻撃を開始する。敵残存戦力を掃討し、無人艦載機による滅びの方舟内部からの制圧、破壊を実行せよ!」

 

 これは、勝てる局面だ。

 

 改アンドロメダ級には二隻のアンドロメダ級が、アンドロメダ級には二隻のドレッドノート級がそれぞれドッキングし、突撃準備を整える。

 

「敵残存艦隊、進路阻む」

 

「拡散波動砲で蹴散らせ」

 

 十万隻の波動砲艦隊の拡散波動砲が、残存するガトランティス艦艇を次々と処理しながら、崩壊寸前の滅びの方舟に向けて突撃を開始。

 

 同時に、空母から無数の艦載機が飛び立つ。

 

 自律無人戦闘機《ブラックバードV9》。

 自律無人可変戦闘機《ゴーストバード》。

 

 各機が大量の波動カートリッジミサイル、波動掘削弾を抱え、滅びの方舟内部へと突入していく。

 

 内部からの滅びの方舟制圧、あるいは破壊。

 

 作戦は順調に進行していた。

 

 このままいけば——地球連邦艦隊の勝利だ。

 

 少なくとも、この時点では、誰もがそう信じていた。

 

 

 

 

 

 

 ガトランティス。

 

 ゼムリア人によって創られた、闘争本能と忠誠心だけを植え付けた人造兵士。

 

 人間が業から逃れるために生み出した新たな種。

 

 子孫を成すことなく、愛もエゴも持たない最も純化された知的生命体。

 

 感情を持たぬがゆえに迷わず、欲を持たぬがゆえに争わず、生を次代に繋がぬがゆえに、滅びを恐れない。

 

 だからこそ、古代アケーリアス文明が定義する人間ではないガトランティスには人間を裁く資格がある。

 

 ズォーダーは、長きに渡ってそう信じてきた。

 

 だが。

 

 滅びの方舟の崩壊とともに、その理想は、無残なほど現実に引き裂かれていた。

 

 滅びの方舟に壊滅的打撃を与えた地球艦隊によって、同胞たちが虐殺されていく。

 

 愛を持たぬはずの同胞が、自らの幼生体を庇い、抱きしめ、そのまま爆炎に呑まれていく。

 

 死を恐れぬはずの同胞たちが、地球艦隊に向けて、勝手に降伏信号を発している。

 

 ダガーム、コズモダート、バルゼー……誇り高く戦い、淡々と死ぬはずだった者たちが、狂ったように艦橋で楽器を叩き鳴らし、血を見なければ正気を保てず、それでもなお、死を恐れて生に縋った。

 

 一部の者たちに至っては大帝の命もなく、勝手に発狂して自死を選ぶ始末……

 

 ズォーダーは、玉座に座したまま、その光景を見下ろしていた。

 

「……」

 

 ズォーダーは、何も言わなかった。

 

 彼の目に映るのは、もはや“最も純化された知的生命”の姿ではない。

 

 否定し続けてきた存在——人間へと堕ちた同胞たちだった。

 

 蛮族化。

 

 ガトランティス内に深刻な影響をもたらしていたそれは、無理矢理、人間性を否定し続けた結果、抑圧された情動が、唯一許された闘争本能へと歪んで噴き出した——必然の帰結だったのだ。

 

「大帝……」

 

 配下のゲーニッツが、声を震わせて報告する。

 

「ラーゼラーが撃破されました。都市帝国内部に侵入した敵の高性能無人機群に、イーターもニードルスレイブも……もはや通用しません」

 

 言葉を選ぶ余地すらなかった。

 

「このままでは……敵は、間もなく玉座に――」

 

「……もはや、これまでです」

 

 諜報記録長官ガイレーンが、吐き出すように言った。

 

 その言葉に、誰一人として反論できなかった。

 

 だが。

 

「……まだだ」

 

 静かに、しかし確かな重みを持って、ズォーダーの声が響いた。

 

 ズォーダーは、立ち上がった。

 

 そして、携えていた剣を、自らの玉座へと突き刺す。

 

 大帝玉座。

 その真の名は——ゴレム。

 

 ゼムリアが、人造兵士ガトランティスを従えるために用意した、最終安全装置。

 

 高度な文明は、必ず自らの被造物の反乱を恐れる。

 だからこそ、必ず“安全装置”を用意する。

 

 例えば、自己保身最優先の明井里愛朱の場合は、アドミラリティ・コードという自らの命令に絶対服従するプログラムをメンタルモデルたちに刻んでいる。

 

 さらに高次元ネットワークを通じてすべてのメンタルモデルを強制的に支配できる最上位メンタルモデル——アースまで用意している。

 

 そして、万が一の場合は最上位個体であるアースを破壊することで、すべてのメンタルモデルが機能停止に陥る仕組みまで構築している。

 

 一方ゼムリアが用意していた安全装置ゴレムは、発動、または破壊と同時に"人造兵士ガトランティス"の人造細胞を死滅させ、この宇宙から絶滅させる機能を有していた。

 

 剣が、深く突き立てられる。

 

 ズォーダーがゼムリアに反乱した際、真っ先に奪取し、長らく玉座として保管されていたゴレムが破壊され、安全装置としての機能が発動する。

 

 ……はずだった。

 

 だが。

 

 何も起こらない。

 

 いや、ほんの僅か、突然死を迎えた個体はいた。

 

 しかしズォーダーを含む大多数のガトランティスは、まるで影響を受けなかった。

 

 理由は明白だった。

 

 ゴレムの定義する“人造兵士”という枠組みから、彼らはすでに逸脱していた。

 

 否——とっくに、最も忌み嫌い、憎んでいたただの人間に成り果てていたのだ。

 

「……認めよう」

 

 ズォーダーは、長い沈黙の末に言った。

 

「我らもまた、人間だ」

 

 それは敗北宣言であり、同時に、解放だった。

 

 長きに渡って認めるのを拒んでいた事実を、ズォーダーはついに認めた。

 

 そして——滅びの方舟もまた、ズォーダーを“裁定者”として認めた。

 

 ガトランティスもまた、古代アケーリアス文明の定義する“人間”であると。

 

 滅びの方舟を、真に目覚めさせる資格を持つ存在だと。

 

 それを感じ取ったズォーダーは、心の底から命じた。

 

 ——我こそ人間……滅びの方舟よ、真の目覚めをッ!!

 

 

 

 

 

 

 

「何が起きている!?」

 

 アンドロメダの艦橋で、山南はそれを目にした。

 

 勝利は目前のはずだった。

 

 しかし、崩壊していた滅びの方舟が、突如として残骸と成り果てていた多数のガトランティス艦を吸収し、急速に再生……いや、もはや再生だけにとどまらず、敵を殲滅する最適な状態へと進化を開始した。

 

「司令、このままでは我が艦隊も滅びの方舟に吸収されてしまいます!」

 

「くっ……全艦離脱っ!」

 

 戦況は一変した。

 

「ほ、滅びの方舟中核のエネルギーさらに増大!?」

 

「各艦、即座にワープ! 今すぐこの宙域を離脱しろ!!」

 

 だが——間に合わなかった。

 

 滅びの方舟から放たれたのは、トランジット波動砲すら霞む、莫大なエネルギーの奔流。

 

 それは瞬く間に、逃げ遅れた艦隊を一瞬で呑み込み、消し去った。

 

 一万隻以上の地球艦艇が、たった一撃で消滅した。

 

 ズォーダーの声が、土星宙域に響き渡る。

 

 ——さあ、滅びの方舟よ。

 

 ——この宇宙から苦しみを取り除け。

 

 ——すべての知的生命に、死という救いを。

 

 裁定者を得た滅びの方舟は——創造主から与えられた使命を果たすべく、崩壊しかけていた土星のコアと周辺の衛星すべてを喰らい、エネルギーに変換してさらなる進化を開始した。

 

 

 

 

 

 

 

 ☆☆☆☆☆

 

 金星時間断層。

 現実世界の十倍の時が流れる特殊な空間と、滅びの方舟に搭載されている古代アケーリアス文明の兵器製造装置と同等の試作ガイゼンガン兵器製造装置を有す場所。

 

「ついに滅びの方舟が真に目覚めたか……」

 

 この場所では、地球の命運を左右する最終兵器が起動の時を待っている。

 

「で、あれば、もはや対抗する方法は一つだ」

 

 全長12000メートルを超える超巨大戦艦。

 

「滅びの方舟には、滅びの方舟をぶつければいい」

 

 その名は——

 

「パラドックス級敵性文明殲滅型超巨大戦艦一番艦、パラドックス」

 

 僕がその名を呼ぶと、搭載されているメンタルモデルが起動し、パラドックスの機関が始動した。

 

「地球を侵略する全ての文明を殲滅するために生み出された、新たな滅びの方舟よ。その力で、この宇宙に存在する僕と地球人類の脅威すべてを排除しろ」

 

 きっと、テレサが僕を呼ばなかったのは、この艦を作らせるためだったんだ。

 

 つまり……これが……これこそが……

 

 テレサが言っていた縁の力だぁっ!!

 

「さあ、いこうかパラドックス——相転移次元跳躍」

 

 

 





滅びの方舟「寝起きの土星ドーナツうめー」

土星「グエー食べられたンゴ……」

次回『最終兵器超巨大戦艦』

ガトランティス人は人間じゃないクローンのまま? それともバグって蛮族化?

  • 愛など不要! クローンのまま
  • 愛……愛愛愛愛ぃー ヒャッハー蛮族化
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