宇宙戦艦ヤマト世界の元からヒャッハー宇宙で地球がこの先生き残るには……   作:親と兄姉の姿を見て立派に育った未子

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パラドックス級の艦名は、基本的にクルーゼが爆笑するような人間の業を感じられる兵器の名前と同じ名前にしています。

次の艦名どうしよ……



最終兵器超巨大戦艦

 

 

 

 滅びの方舟は土星を喰らい、さらに土星宙域のすべての残骸を吸収してエネルギーに変換したことで、その真の力を存分に発揮できるようになってしまった。

 

 総司令部は、即断した。

 

『全艦隊に告ぐ。土星宙域からの即時撤退を命ずる』

 

 躊躇はなかった。

 迷いも、葛藤もなかった。

 

 この宙域に留まり続けることが、ただの自殺行為だったからだ。

 

 地球艦隊、ガミラス艦隊、ザルツ艦隊……全艦が即座に針路を反転し、ワープアウトしていく。誰一人として、この命令に異を唱える者はいなかった。

 

 生き延びるための撤退。

 それが、唯一許された選択だった。

 

「もはや……パラドックス級を投入するしかありますまい」

 

 総司令部で、芹沢統括副司令が険しい表情のまま告げる。大型スクリーンには、土星が消えた宙域と、そこに鎮座する滅びの方舟の姿が映し出されていた。

 

「やむをえん……」

 

 藤堂司令は短く頷いた。

 

「明井くんに伝えてくれ」

 

 それは、地球文明が最後に切れるカードを切る、という宣言だった。

 

 

 

 

 火星宙域では時間断層で新造された艦艇群が、滅びの方舟を待ち構えていた。

 

 その中でもとりわけ目を引くのは、次世代主力戦艦——アリゾナ級戦艦。

 

 その性能は、全盛期のイスカンダルの戦闘艦シャルバート級に匹敵、あるいは一部凌駕する性能を誇っている。まさに地球連邦軍が誇る、“最新にして最良”の艦隊だ。

 

 だが。

 

「……正直に言おう」

 

 土星宙域から撤退し、新造艦隊に合流したアンドロメダの艦橋で、山南司令が低く呟いた。

 

「相手が悪すぎる」

 

 銀河艦長・藤堂早紀も、無言のまま険しい表情でスクリーンを見つめている。

 

 滅びの方舟は、もはや兵器としての次元が違った。

 抗いようのない、災厄そのものだった。

 

「重力震反応、急速増大……!」

 

 オペレーターの声が震える。

 

「滅びの方舟です!」

 

 その瞬間、火星宙域の空間が歪んだ。

 

 見えないはずの重力が可視化され、星々の光が引き伸ばされ、センサーが一斉に警告音を上げる。空間そのものが、軋み、悲鳴を上げているかのようだった。

 

 そして――

 

 絶望を具現化した存在が、火星宙域へと到達する。

 

「トランジット波動砲……発射ぁ!」

 

 相転移次元跳躍直後の滅びの方舟に向けて、時間断層で新たに作られた特殊改装型ドレッドノート級五十隻から再びトランジット波動砲が撃ち込まれる。

 

 宇宙が、眩い光で満たされた。

 

 しかし、滅びの方舟は多少傷ついたがすぐさま再生してしまった。

 

 ——まだ抗うか……地球の人間共。

 

 滅びの方舟の表層が、蠢く。

 

 次の瞬間——宙域を埋め尽くすほどの、剣状の自滅特攻艦イーターが滅びの方舟から射出された。

 

「……ッ!! 全艦対空防御!」

 

 山南の声が、艦橋に響く。

 

「撃て! 撃って、撃って、撃ちまくれ!!」

 

 アンドロメダが、ドレッドノートが、アリゾナ級が、持てるすべての火力を解放する。

 

 収束波動砲と拡散波動砲が閃光を放ち、主砲と副砲が連続発射され、迎撃パルスレーザーが網のように宙域を覆い、迎撃ミサイルが次々と弾幕を形成する。

 

 だがイーターの数は、減らない。

 撃ち落としても、撃ち落としても、その背後から、同じ密度、同じ速度で、新たな剣が突き出てくる。まるで無限にあるのかと錯覚してしまう。

 

 ——勝てない。

 

 誰も口にしない。

 だが、誰もが一度は思ってしまう。

 

 ——抗って、どうにかできる未来が見えない。

 

 絶望が、地球艦隊全体を静かに覆い始めた。

 

 このままでは、火星宙域に存在するすべての艦が、いずれ必ずイーターに串刺しにされ……全滅する。

 

 その未来が、はっきりと見えてしまった。

 

 

 

 

 

 だが——次の瞬間、火星宙域を覆っていたイーターの群れを、一条の光が薙ぎ払った。

 

 トランジット波動砲さえ比較にならない莫大なエネルギーの奔流が火星宙域を一直線に貫通し、無限にも思えたイーターの群れを一瞬にして消し飛ばした。

 

 火星宙域に展開していた地球艦隊の誰もが、その光景を理解できず、言葉を失ったままスクリーンを見つめていた。

 

 ――このエネルギー反応……まさか!?

 

 解析結果が、表示される。

 

 それは、土星宙域で滅びの方舟から放たれたものと同規模のエネルギー反応だった。

 

 そして、イーターの群れを殲滅した艦が、ゆっくりと地球艦隊の前に姿を現す。

 

 未知の巨大な艦影。

 

 その艦はあまりにも巨大で、禍々しい外観をしていた。

 

 だが確かに、その艦の識別信号が明確に友軍であることを示している。

 

『諸君、見たまえ』

 

 総司令部から通信が入る。

 

『あれこそが——地球最後の希望』

 

 芹沢副司令の力強い声が、はっきりと響いた。

 

『パラドックス級超巨大戦艦だ』

 

 

 

 

 

 

 

 ☆☆☆☆☆

 

 滅びの方舟から再び、宙域を埋め尽くすほどのイーター群がパラドックスに向けて発射される。その数は先ほどの比ではない。

 

 数の暴力という言葉がこの宇宙で一番似合う攻撃だ。

 

 それでも、

 

「ガイゼンガン兵器群起動。イーター生成。射出せよ」

 

 次元潜航中のブルーアースの艦橋で背もたれに深く身を預けたまま、特に焦って声を荒げることもなく、淡々と指示を出す。

 

 ここからなら、安心、安全に戦況を見守りながら指示を出せる。

 

 迎撃のためにパラドックスに搭載されたガイゼンガン兵器群製造装置が稼働。

 

 こちらもイーターを即座に生成、射出し、相殺を開始。

 

 無限の物量には、こちらも無限の物量をぶつければいい。

 

 宇宙空間の中央で、無数の剣が剣を叩き折り、叩き折られ、イーター同士が衝突した閃光が連続して弾けた。

 

 さらに、

 

「艦首十連装インフェルノ・カノーネ……撃ちまくれ」

 

 相殺しきれなかったイーターに向けて、艦首にある十基の巨大な砲門から雷撃砲——インフェルノ・カノーネを連射。波動砲より威力は劣るが、それでもかなりの威力がある翠色の砲撃。何より連射できるのが大きな利点だ。

 

 数だけは多かったイーター群の残りも、乱射されたインフェルノ・カノーネに焼き尽くされて瞬く間に消滅した。

 

 すると、滅びの方舟から、ズォーダーの声が宇宙に響く。

 

 ——人間とは、つくづく愚かな存在だ……

 

 嘲笑、断罪、そして優越感に満ちた声だ。

 

 ——生き残るために、まさか“滅びの方舟の紛い物”まで作るとは。

 

 だが、すぐにズォーダーは吐き捨てる。

 

 ——所詮は模倣品一隻。踏み潰してくれる。

 

 相変わらず、ズォーダーは滅びの方舟の圧倒的な力に酔いしれているようだ。確かに、滅びの方舟の力は圧倒的だ。実際、土星を喰って満腹状態の今の滅びの方舟に弱点は殆ど存在しない。

 

 ただ、一つ訂正してほしい。

 

「……一体、いつから、パラドックス級が一隻だけだと錯覚していた?」

 

 その瞬間。

 

 パラドックスの右方に、二番艦『ジェネシス』。

 

 左方に、三番艦『レクイエム』。

 

 下方に、四番艦『メサイア』。

 

 三隻のパラドックス級超巨大戦艦がステルス状態を解除し、パラドックスと共に並び立った。

 

 ——まさか……

 

 たぶんズォーダーも気づいたはずだ。

 

 三隻のパラドックス級が使っていたステルスシステムが、自らが探し求めていた静謐の星——星巡る方舟シャンブロウの遮蔽技術と同じものだと。

 

 ——……なるほど。

 

 初めて、ズォーダーの声に蔑み以外の感情が滲む。

 

 ——貴様らこそが、今もっとも古代アケーリアス文明の高みに近い……この宇宙で最も恐ろしく……最も愚かな人間の文明か。

 

 そして、パラドックス級と地球文明こそ、この宇宙の全知的生命抹殺の最大の障害にして、自らにとって最大の試練であると認めた。

 

 ——ならば、全力をもって相手をしよう。

 

 滅びの方舟が、再び力を解放する。

 

 滅びの方舟の中心核に凄まじいエネルギーが収束しはじめる。

 

 土星宙域で放った、一撃で一万隻を消し飛ばした超高エネルギー砲撃が再び放たれようとしている。

 

「一番艦パラドックス……破滅砲発射用意」

 

 でも、こっちにも同じ威力の攻撃がある。

 

 パラドックス級に搭載されている超巨大砲。

 旧作で超巨大戦艦の艦底にあった、地球に連射しまくって壊滅的な被害を与えていた兵器。あれの超強化版だ。

 

 名付けて"破滅砲"。破滅ミサイルがあるから、破滅砲もあっていいと思う。

 

 ——消え去れ。

 

「破滅砲発射」

 

 滅びの方舟の砲撃と破滅砲が真正面から激突し、宇宙が歪んだ。

 

 宇宙を焼き尽くすのではないかと錯覚するほどの二つの禍々しい光がぶつかり、膨張、収束し、やがて破壊のエネルギー同士が相殺される。

 

「二番艦ジェネシス、三番艦レクイエム、四番艦メサイア、破滅砲一斉射——反撃のジェットストリーム破滅砲をくらうがいい」

 

 すぐさま反撃として三隻のパラドックス級に破滅砲を撃たせた。

 

 三条の禍々しい光が砲撃を終えたばかりの滅びの方舟を貫き、崩壊寸前の壊滅的打撃を与えた。

 

 だが、

 

 ——無駄だ。

 

 滅びの方舟は、すぐに再生を開始する。

 

 それも単に復元するのではなく、パラドックス級を滅ぼすために最適な兵器へと自らを再構築していく。

 

 流石は滅びの方舟だ。

 

 でも、

 

「進化できるのは……そっちだけじゃないんだよ」

 

 パラドックス級もまた、しっかり自己進化機能を備えている。

 

「餌はいくらでもある。イーターの残骸を素材にプルスウルトラだ!」

 

 戦闘で発生した残骸をパラドックスがブラックホールのように引き寄せ吸収し、進化を続ける滅びの方舟の性能をさらに上回る性能向上を開始。連動して他のパラドックス級も同様の進化を開始した。

 

 既に引き金は引かれた。

 

 滅びの方舟とパラドックス級が互いを糧に、さらに高みへと至ろうとするこの戦いは——滅びの方舟のエネルギーが枯渇するか、塵一つ残さずこの宇宙から消えて滅びるまで終わらない。

 

「でもこの勝負、勝つのは僕とパラドックス級だ」

 

 ただし、滅びの方舟で戦うズォーダーとパラドックス級で戦う僕たち地球連邦軍との間には、決定的な差がある。

 

 ズォーダーは、遺された遺物である滅びの方舟を使っているだけ。

 

 科学技術の発展は科学奴隷任せだったガトランティスのズォーダーには、新たに滅びの方舟は作れない。

 

「マスター、五番艦『イオマグヌッソ』。六番艦『クワイエットゼロ』……相転移次元跳躍で来ます」

 

 一方僕たち人間は、滅びの方舟に匹敵するパラドックス級をさらに作ることができる。

 

 それを証明するように、メンタルモデル——アースの報告通り、新たに二隻のパラドックス級が相転移次元跳躍で戦場に出現した。

 

 生きるため、存続するために他者より強く、他者より先へ、他者より上へ……そうやって強くなり、数を増やしていくパラドックス級超巨大戦艦はまさに人間という存在を体現していると思う。

 

 え、まるで人間の業そのもの? 違う、これは光だ。この過酷で争いに満ちた宇宙戦艦ヤマト宇宙を照らす破め……希望の光だよ。

 

「マスター、七番艦『エンジェルハイロゥ』も間もなく実戦投入可能です」

 

「よーし、どんどんパラドックス級を作って実戦投入だ」

 

 時間が経過するほどに、パラドックス級の数は増えていく。

 

 滅びの方舟とパラドックス級の戦闘能力は殆ど変わらない。

 

 でも、燃費の良さは全然違う。

 

 コンパクト化しているパラドックス級の方が圧倒的に低燃費だ。

 

 この調子でパラドックス級の数が増え続ければ、滅びの方舟——古代アケーリアス文明の遺した最後の試練だって乗り越えられる。

 

「全艦、破滅砲発射用意……僕と地球人類に仇なす、滅びの方舟とガトランティスを殲滅せよ」

 

 この戦いに勝って生き残るのは、僕たち人間だ。

 

 

 





次回『愛の戦士たち』

千年の経験と原作知識でそれぞれこの世界に絶望しきってる人たちが、互いに引き金を引きまくっている中、戦場に向かっていた宇宙戦艦ヤマトはデスラーに再び襲撃され、さらに次期大帝となるはずだったズォーダーの幼生体——ミルと出会う。そして、彼らは互いに選択を迫られる。

——果たして、彼らの選択は如何に……

ガトランティス人は人間じゃないクローンのまま? それともバグって蛮族化?

  • 愛など不要! クローンのまま
  • 愛……愛愛愛愛ぃー ヒャッハー蛮族化
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