宇宙戦艦ヤマト世界の元からヒャッハー宇宙で地球がこの先生き残るには…… 作:親と兄姉の姿を見て立派に育った未子
滅びの方舟と超巨大戦艦パラドックス。
超兵器同士の戦いに、地球艦隊もガトランティス艦隊も何もできずにいた。
残存していたガトランティス艦隊は、滅びの方舟の威光にすがるように、パラドックス級へと突撃を繰り返していた。
だが、それは"戦い"にすらならなかった。
破滅砲の一閃。
それだけで、艦隊は“消えた”。
存在そのものが、次の瞬間には宇宙から塵一つ残さず抹消されてしまった。
ただの虐殺だった。
死を恐れず勇猛だったはずのガトランティス艦隊も、次第にパラドックス級からは距離を取り始めた。
代わりに砲口が向けられたのは、パラドックス級以外の地球艦隊だった。
だが、そこでも異変は起きていた。
ガトランティス艦隊の中から、離脱する艦が出始めたのだ。
理由は単純だった。
――死にたくない。
かつて、人造兵士として生み出されたガトランティスは、死を恐れぬ存在であるはずだった。
戦って死ぬことこそが使命であり、個としての生存に意味はなかった。
だが今は違う。
蛮族化という名の汚染。
人間性を否定し続けた果てに噴き出した、抑圧された情動。
滅びの方舟によって「人間」と裁定されてしまったガトランティスは、もはや人造兵士ではいられなかった。
——滅びの方舟に、人間として粛正されたくない!
——超巨大戦艦に、虐殺されたくない!
——波動砲の相手も嫌だ!
そうして、かつて宇宙蛮族として最低限の統率を保っていた大規模集団から、次々と勝手な判断で降伏し、あるいは逃亡を選び始めた。
ガトランティスの「人間デビュー」は、皮肉にもこの瞬間だった。
結果として生まれたのは、脱走し、統率された意思を失った小規模蛮族集団。
ガトランティス大宇宙海賊時代の幕開けである。
脱走した艦艇は、地球連邦の管轄宙域から蜘蛛の子を散らすように消えていった。
一部は大小マゼラン雲へ。
だが、その大半は――天の川銀河内のボラー連邦方面へと姿を消した。
一方で、地球・ガミラス・ザルツによる連合艦隊もまた、滅びの方舟とパラドックス級が生み出す戦場に踏み込む力を持っていなかった。
無限にも思えるイーターの物量。
掠っただけで星を砕きかねない高エネルギー光線。
あれは艦隊戦ではない。
インド神話並みにインフレした神話の戦いだ。
だからこそ、連合艦隊は判断した。
——滅びの方舟は、パラドックス級に任せる。
——自分たちは、残存ガトランティス艦隊の処理に徹する。
だが、そこでも状況は悪化していく。
降伏する艦。
逃亡する艦。
それでもなお、最後まで戦いを挑んでくる艦。
統率を失った相手への対応は、想像以上に困難だった。
それでも戦いを挑んでくる艦隊には、容赦なく拡散波動砲をおみまいしていた。
そんな時だった。
火星宙域に新たな重力震反応が。
「山南司令、ヤマトです!」
オペレーターの声に、アンドロメダ艦橋がざわめいた。
続いて、続々とガミラス艦もワープアウト。
「あれは……デスラー派の艦隊か」
ドメラーズⅣ世の艦橋で、ドメル将軍は、スクリーンに映る艦影を凝視した。
「ドメル将軍! デ、デスラー総統から通信です!」
「なに……!? 生きておられたのか!?」
スクリーンに映し出されたのは、確かにアベルト・デスラーの姿だった。
『エルク……』
かつての主君が、静かな声で呼びかける。
『君に、頼みたいことがある』
そして次の瞬間。
デスラーは、頭を下げた。
ドメル将軍は、言葉を失った。
一方、アンドロメダ艦橋で山南はヤマトの沖田艦長と連絡をとっていた。
「滅びの方舟を止められる可能性がある……と」
沖田は、静かに頷いた。
『滅びの方舟は裁定者である人間の意思によって起動する。ズォーダーの幼生体であるミル。彼の言葉で裁定者であるズォーダーの意思を変えることができれば……』
「裁定者を失った滅びの方舟は再び機能を停止する可能性がある……というわけですな」
沖田の話を聞いて、山南は納得する。
『何より、滅びの方舟が火星を喰らう前に止める必要がある。パラドックス級超巨大戦艦による滅びの方舟の完全破壊は残念ながら間に合いそうにない』
「……火星市民の地球への避難は進めています。しかし、まだ三割ほど避難できていない市民がいます」
さらに、火星には太陽系最大の艦隊拠点と時間断層がある。失うのは、地球連邦としても避けたいはずだ。
「……わかりました。この作戦、総司令部には自分から進言しておきます」
すぐさま山南は、総司令部へと通信を繋いだ。
そして残存ガトランティス艦隊にも、ノイ・デウスーラからミルがメッセージを送った。
人間として。
滅びに抗う者として。
新たなガトランティスの王は、混乱を極めている残存ガトランティス艦隊へと、生きたければ共に戦えと呼びかけた。
☆☆☆☆☆
滅びの方舟しぶとい。
正直なところ、もう少しあっさり沈むと思っていた。
原作と違って土星のコアを食われた影響が響いている。
「マスター、八番艦アクシズ、相転移次元跳躍で来ます」
アースからの報告を聞きながら、僕はブルーアースの艦橋で背もたれに深く身体を預けたまま、戦況モニターを眺めていた。
現在の戦い方は、正直に言えば“消耗戦”だ。
うっかり滅びの方舟の攻撃が地球や火星に掠ると困るから、敵の攻撃を相殺しながらじわじわ削っている。
それでも成果は出ていた。
滅びの方舟の砲撃は、明らかに威力が落ちている。
敵イーターの生成量も減少傾向。
再生を優先しすぎて、エネルギーが回っていない。
この調子で嬲り続ければいずれ再生速度も……
「マスター、滅びの方舟が移動を開始しました。目標、火星です」
ちっ、ズォーダーの奴、無駄な足掻きをしやがって。
「全艦破滅砲発射! 何としても阻止!」
八隻のパラドックス級から、一斉に破滅砲が放たれる。
禍々しい光が宙域を染め、滅びの方舟を穿ち破壊する。
——が。
それでも、完全消滅していない方舟は止まらない。
クソッ、パラドックス級じゃ火力が足りない。
こんなことなら、滅びの方舟を一撃で消せる火力がある直径160キロぐらいの超巨大天体型宇宙要塞でも作っておけばよかった!
戦後はこの教訓を活かして、絶対超火力巨大要塞作ってやる。
とはいえ、今ないものの話をしても仕方ない。
こうなったらやむを得ないだろう。
火星は生まれ育った場所だ。思い入れもある。
それでも、
「避難民をギリギリまで脱出させて。ブルーアースに乗せてもいい。ただし、期限は滅びの方舟が火星を喰らってエネルギーに変換する直前まで」
滅びの方舟という、今のところこの宇宙で僕にとっての最大の脅威を消し去るためだ。
「滅びの方舟の糧にされる前に、火星はパラドックス級の強化素材にする」
そう判断しようとした、まさにその時だった。
「マスター、総司令部から通信です」
『突然すまない明井博士』
ブルーアースの艦橋モニターに藤堂司令と芹沢副司令の姿が映し出される。
『パラドックス級だけで、火星を喪失せずに滅びの方舟を消滅させることは可能かね?』
芹沢副司令に問われる。
「残念ですが、不可能です。最低でも、あと二隻はパラドックス級が必要です。ですが、おそらく揃える前に火星は……」
僕は即答した。
『そうか……では、もしも滅びの方舟を起動した裁定者である人間の意思を変えることができれば、機能を停止させることは可能だろうか?』
ふむ、それは理論上ありえる話だ。
まあ、ズォーダーの説得なんて無理難題だから、実現はほぼ不可能だけど。
「滅びの方舟は人間の意思により起動し、大きく性能が左右される兵器……可能性はあります。ですが、滅びの方舟を動かしているズォーダーの人間に対する憎悪は相当深いはず。本人を説得するのは、まず無理でしょう」
『そうか……では、やはり火星を諦めるしかない……か。いや、しかし、やはり火星鎮守府と火星時間断層を失うのは……』
芹沢副司令が苦悶の表情を浮かべる。
太陽系最大規模の地球連邦艦隊の拠点と軍拡の中核を担う時間断層一つを同時に喪失するのは、軍としては相当な痛手だから仕方ない。
『……では』
今度は藤堂司令が、ふと口にした。
『ズォーダーの幼生体……ミルの言葉でも、不可能かね』
「…………」
一瞬、思考が止まる。
……え、なんでミル生きてるの?
あいつ、空気読まなかったガミラス兵に射殺されてたじゃん。
「アース、ヤマトのメンタルモデルに何があったか聞いてみて」
「わかりました、マスター。……確認できました。どうやら、ヤマトが森雪、桂木透子、ガトランティスのミルの三名をクラインフィールドで保護したようです」
まじか……ヤマトちゃん、死亡フラグまで折るなんて優秀すぎる……流石は僕が創った娘だ!
「あー、藤堂司令。ズォーダーの幼生体の言葉なら……可能性、あると思います」
『ほ、本当か……』
「上手くいけば、火星、火星鎮守府、火星時間断層……どれも失わずに滅びの方舟を停止させられますね」
僕の発言に芹沢副司令の表情も明るくなった。
『わかった』
藤堂司令の声が、引き締まる。
『これよりヤマトがミルとズォーダーを接触させるため、滅びの方舟に突入する。その援護を頼みたい』
「了解です。パラドックス級とブルーアースの力で全力で援護します」
よし、ここはヤマトとミルの説得力に賭けよう。
賭けに勝てば、火星を犠牲にせずに済む。
ヤマトで駄目なら仕方ない。
火星を犠牲に滅びの方舟を消滅させる。
「ブルーアース浮上。パラドックス級はイーターでエネルギー輻射を防ぐ砲門を形成! ブルーアースのトランジッション・トランジット波動砲とパラドックス級の破滅砲の一斉射でヤマトの道を切り開く! アース!」
「承認。ブルーアース浮上します」
次元境界面から、ブルーアースが宇宙空間へと姿を現す。
「トランジッション・トランジット波動砲……発射用意」
「承認。シンクロドライブ型次元波動砲エンジンに反波動格子を装填。ハイパーホーミング波動砲、トランジッション波動砲に使用する全エネルギーを艦首波動砲に収束」
さらにブルーアースが撃てる計二十四連波動砲。それを、一撃に収束させ、おまけに反波動格子をブースターにして威力を何乗倍にも増幅させた一撃……
「トランジッション・トランジット波動砲……発射ぁ!」
通常のトランジット波動砲とは比較にもならない莫大なエネルギーの奔流が、ブルーアースから放たれる。
イーターで形成した砲門をエネルギー輻射が瞬く間に消滅させるほどの、その宇宙を照らす極光が敵のイーター群を薙ぎ払い、さらに、八隻のパラドックス級から放たれた破滅砲と共に滅びの方舟を貫いた。
「敵イーター群損耗率99%。滅びの方舟本体に甚大な損傷を確認。ですが、再び再生を開始しています」
おそらく、残された最後のエネルギーを使って滅びの方舟は再生している。でも、これで突入するための突破口は開けたはずだ。
「ヤマトは?」
「地球艦隊、ガミラス艦隊と共に突破口から滅びの方舟に突入しました」
「よし、なら次だ」
僕は精神感応波を飛ばして、いつものメンタルモデルに接続する。こんなこともあろうかと、メンタルモデル篠ノ之束とコスモデュランダルを持ってきて正解だった。
「いくよ、アース。コスモデュランダル発艦、転送システム作動」
「任せてください! ブルーアースに搭載されているゴーストバード全機を私が遠隔操作して援護します!」
ヤマトに続いて地球艦隊、ガミラス艦隊、ザルツ艦隊……さらに一部ガトランティス艦隊までもが、滅びの方舟へと突撃した。それを追って、僕もブルーアース艦載機のゴーストバードたちと共に滅びの方舟へと突入する。
「せっかくだから、死亡フラグ立ってる加藤とかキーマンを助けておこう」
宇宙海賊と化したガトランティス「ヒャッハー地球艦隊より弱い奴らから略奪の時間だぁーっ!!」
ボラー連邦「く、くるなー」
次回『ズォーダーの選択』
ヤマト宇宙「こ、こうなったら、キーマンと恋愛フラグ立ってる山本玲ちゃんと、加藤の妻の原田真琴ちゃんを曇らせて未亡人にするしかない!」
ガトランティス人は人間じゃないクローンのまま? それともバグって蛮族化?
-
愛など不要! クローンのまま
-
愛……愛愛愛愛ぃー ヒャッハー蛮族化