宇宙戦艦ヤマト世界の元からヒャッハー宇宙で地球がこの先生き残るには…… 作:親と兄姉の姿を見て立派に育った未子
今回の作戦の鍵であるミルを乗せて、ヤマトは滅びの方舟へ突入することが決まった。
だが、突入を成功させるには、滅びの方舟周辺の空間を埋め尽くす刃の海——大量の自滅型攻撃艦イーターの群れを突破する必要がある。
その時、
『沖田くん、これよりパラドックス級八隻とブルーアースが突破口を切り開く。ヤマトにはそこから突入してもらいたい』
総司令部からヤマトに通信が入る。
直後にそのイーター群を切り裂く光が放たれる。
ブルーアースから撃ち出された、トランジッション・トランジット波動砲。
さらに、八隻のパラドックス級超巨大戦艦から放たれる、破滅砲。
莫大なエネルギーの奔流がイーター群を薙ぎ払い、滅びの方舟を貫いた。
「て、敵自滅型攻撃艦群——99%消失!!」
その瞬間、滅びの方舟の周囲の空間に、“突破口”が生まれた。
「……今だ!」
その桁違いの威力に艦橋のヤマトクルーたちは驚いたものの、すぐに沖田艦長の指示通り波動防壁を最大出力で展開して突撃を開始した。
『全艦ヤマトに続け!』
さらに山南の声が、艦隊通信網を駆け抜ける。
アンドロメダを先頭にした地球連邦艦隊。
デスラー率いるガミラス艦隊。
ミルに従った残存ガトランティス艦隊。
さらに、安全保障条約で結ばれた各国連合艦隊。
人類史上、かつてない規模の星間連合艦隊が、ヤマトの後ろに続いた。
——だが。
滅びの方舟は、まだ終わっていない。
残存数1%未満。
それでもなお通常艦艇が対処するには膨大な数のイーター群、さらに滅びの方舟から新たに派兵された大量の自律兵器ニードルスレイブがヤマトと連合艦隊を阻もうとする。
「撃ち方始め!」
ヤマトの主砲が一斉に火を噴く。続くように連合艦隊の艦艇もその全火力を解放。
前方に火力を集中させてヤマトの突破を援護した。
「デスラー砲、発射!」
ガミラスとガトランティスの技術で作られたノイ・デウスーラから放たれたデスラー砲が、ヤマトに突撃する多数のイーターを薙ぎ払う。
「総統に続け!」
続けて、ドメル将軍が乗るガミラスと地球の技術で作られたランダルミーデ改級ドメラーズⅣ世から三連装デスラー砲、各ランダルミーデ級改装空母からも一斉に二連装デスラー砲が放たれ、多数のイーターを殲滅した。
さらに、海賊になっていない残存ガトランティス艦隊のメダルーサ級からも多数の火炎直撃砲が転送される。
「我々は生きて新大帝ミル様に従う道を選ぶ! 火炎直撃砲……発射ぁ!」
「Ураааааааа!!!」
灼熱の奔流が、直撃回避プログラムを搭載していない剣の群れを溶かし尽くす。
ガミラス、ガトランティス、地球……
かつて敵同士だった文明の火力が、ヤマトを守る盾となって交錯する。
「アンドロメダ、ヤマト下方の敵を掃討!」
「シュンラン、右舷防御! アリゾナ、左舷防御!」
ヤマトの周囲にも、地球艦隊による鉄壁の護りが形成されていた。
そして——ヤマトはついに滅びの方舟外殻へと到達した。
「正面突破だ!」
沖田艦長の判断に、ヤマト艦橋が一瞬ざわめく。
「一体どうやって……!?」
「問題ない」
そしてテンプレ通り、真田志郎がいつもの調子で言い切る。
「こんなこともあろうかと——地球・ガミラス共同開発の試作兵器、波動掘削ドリルミサイルがある」
いつものように、いつの間にか真田によって用意されていた巨大ミサイルがヤマトから撃ち出される。
螺旋状のドリルが回転しながら、波動エネルギーを纏い滅びの方舟の外殻へ突き刺さる。
すると滅びの方舟の外殻が、まるで悲鳴を上げるように抉られていく。
やがて神のような文明が遺した伝説の兵器に、人間(主に真田さん)の手で穿たれた巨大な裂け目が形成された。
「突破口、形成!」
「進路そのまま! これよりヤマトは滅びの方舟内部に突入する!」
すぐさまヤマトは、その裂け目から滅びの方舟内部へと侵入した。
滅びの方舟内部。
やはりズォーダーのいる玉座の間には辿り着かせまいと、大量のイーターとニードルスレイブの襲撃が相次ぐ。
そこで、突入を支援するヤマト航空隊の出番だ。
「真琴、翼……」
ヤマト航空隊の加藤三郎は、コックピットの左手、計器盤の隅に貼られた一枚の写真に一瞬だけ視線を落とした。
妻の真琴と息子の翼。
家で加藤の帰りを待っている家族の写真。
「……必ず、生きて帰る」
誰に聞かせるでもなく呟き、操縦桿を強く握る。
完全に死亡フラグだったが、本人は気づいていない。
その瞬間だった。
「前方宙域! 敵機多数!」
複数のイーターとまるで蝗の大群のようなニードルスレイブの群れがヤマトに迫る。
「ちっ……来やがったな!」
すぐさまヤマト航空隊は散開。
ミサイル、機関砲、近接ビームを撃ち放ち、迎撃に入る。
しかし、取りこぼしたニードルスレイブから放たれたニードルガンが死角から加藤機へ——
『させません』
直撃することなく、ピンポイントバリアを展開した青い機体によって防がれた。
「なっ……?」
加藤のモニターに映ったのは、
青い自律無人可変戦闘機――ブルーノア級二番艦ブルーアース所属艦載機のゴーストバード。
直後、通信が割り込む。
『やはりヤマト航空隊は優秀ですね。通常のゴーストバードより強いのも納得です』
落ち着き払った、しかしどこか楽しそうな聞き覚えのある声。
『ですが予想通り、私が歌いながら遠隔操作することで三倍の性能を発揮するようになったゴーストバードには遠く及びませんね』
それは、イスカンダルへの旅路でヤマトに乗っていた全天球レーダー室観測要員の蒼井星——メンタルモデルアースの声だった。
『やはり、最強は私のブルーアース航空隊です』
「……ッ!」
煽られたことで、加藤のこめかみに青筋が浮いた。
「言ってくれるじゃねぇか……!」
他のヤマト航空隊員たちも、通信越しにざわつく。
『なめんなよ、無人機!』
『人が乗ってる意地ってもんを見せてやる!』
『ヤマト航空隊、絶対に落ちるな! 落ちたら負けだぞ!』
完全に煽られていた。
だが、その煽りが――人間の闘志に火をつけた。
「助けてくれたことには感謝する。でもよ……ぜってぇ負けねえ!」
『望む所です』
地球艦隊最強の航空隊の座をかけた熱い戦いが幕を開けた。
一方、その少し離れた場所では。
ガミラス戦闘機ツヴァルケ。
その搭乗者クラウス・キーマン——否、ランハルト・デスラーが絶体絶命のピンチを迎えていた。
「……数が多すぎる」
ツヴァルケの周囲を、ニードルスレイブの大群が包囲していた。
回避しても、撃ち落としても、減らない。
「このままでは……」
絶体絶命。
まさにその瞬間。
ニードルスレイブの大群目がけて、青き残光を引きながら、一機の可変戦闘機が突入した。
人の限界を無視した加速。
通常の戦闘機では不可能な、可変機特有の殺人的変態機動。
そして、その間に機体からばらまかれた機銃とミサイルが一発も外れることなく全弾命中し、ニードルスレイブの群れを楽々と駆逐していく。
「なんだあれは……?」
キーマンの目が、見開かれる。
その機体の名は——コスモデュランダル。
ゴーストバードを有人化し、さらに普通の人間では絶対扱えないような魔改造を施されている機体。
そして、それを操縦しているのは、明井里愛朱が精神感応波で操作する、メンタルモデル篠ノ之束だった。
「……俺は幻覚でも見ているのか?」
唖然としたキーマンは、ただそれしか言えなかった。
『キーマン中尉!』
そこへ、援護に駆けつけた山本玲の機体が並ぶ。
「玲……あれは一体……」
『あれは……人外の天才の変態機動なので気にしないで下さい』
山本の返答は妙に達観した声だった。
直後、コスモデュランダルから通信が入る。
『そこ! 二人でイチャイチャしてないで、ちゃんと手伝ってよ!』
言われて二人は同時に思った。
——無理だろ。
なにせ、コスモデュランダルの無双っぷりは尋常ではなく、戦闘機乗りの二人としてもまるで意味がわからない次元の違う戦闘をしていた。
正確無比にばら撒かれる機銃。一発たりとも無駄にすることなく、コスモデュランダルが通過した後には爆発が起こり、敵の残骸が次々と築きあげられていく。
なのに、ニードルスレイブが放つニードルガンの雨はコスモデュランダルに当たるどころか掠りもしない。
まるで、未来でも見えているかのように簡単に避けてしまう。
『ほら、こうやって前だけじゃなくて、後ろにも目をつけるんだ! あと、もっと風を感じるといい! そうすれば地球人もガミラス人も関係なく、僕みたいに強くなれるよ!』
戦闘中のコスモデュランダルからアドバイスが送られてくる。
だが。
『……無茶言うな』
「同感だ」
一ミリも参考にならなかった。
こうして、航空隊の活躍もあり、ヤマトはついにズォーダーのいる大帝玉座の間に到達した。
大帝玉座の間。
空間騎兵隊と共に、古代とミルはズォーダーのいる部屋に突入した。
「来たか、テレサに導かれし者たち……」
玉座に座す影が、ゆっくりと視線を上げる。
「だが、まさか――お前まで導かれるとは予想外だったぞ……ミル」
待ち構えていた、大帝ズォーダー。
その左右に、諜報記録長官ガイレーン、帝国機動艦隊総司令長官ゲーニッツ。
ガトランティスという文明の、意志決定を担う幕僚たちが揃っている。
その視線を真正面から受け止め、ミルは一歩前に出た。
「大帝……」
決意を滲ませたミルの声は凛としていた。
「あなたはかつて言いました。人の思いなど、脳を飛び交う電気信号に過ぎないと。それを心や魂と呼んで重んじるのは、人が己の虚しさを慰める行為でしかない、と」
一度、ミルは深く息を吸う。
これから発言する言葉は、単なる反論ではない。
自分自身が、ガトランティスとして生まれ、育てられてきた価値観そのものを否定する言葉だった。
それでも、
「ですが……私は、そうは思わない」
はっきりと、言い切る。
「まだ我々には認識できない何かが、人間にはある」
ズォーダーが、わずかに目を細めた。
「それが……テレサに導かれたお前の出した結論か」
玉座に座したまま、ズォーダーは静かに目を閉じる。
その沈黙を破ったのは、ガイレーンだった。
ガイレーン——その正体は、記憶の継承を終えて役目を終えた先代のタイプ・ズォーダー。
「先代までの記憶をすべて引き継ぐ。それが高度な頭脳を与えられた“タイプ・ズォーダー”の定め」
ガイレーンが、ミルを見つめる。
「聞きましょう。これは——我らが千年待ち続けた問いかもしれない」
促され、ミルは言葉を続けた。
「この肉体は、ただの入れ物に過ぎません」
ミルは自らの胸に手を当てる。
「魂……そう呼ぶしかない何かが存在していて、それが人と人とを結びつけている。重力のように、目には見えなくとも、確かにそこにあるものです」
ミルの視線が、ズォーダーを射抜く。
「大帝、あなたは……ご存知だったのではありませんか? 記憶を継承していても、歴代のズォーダーは少しずつ性質が異なる。それは、記憶とは別に、“個”としての何かが存在する証。我らガトランティスもまた、固有の魂を持つ人間。縁によって結ばれ、愛を紡ぐ生命なのだと」
言葉が、玉座の間に静かに落ちていく。
「……理由を確かめたいのです」
ミルが思いを吐露する。
「我らは、知らぬことが多すぎる。人間について。そして、我ら自身についてまだ……結論を下すべきではない」
一拍置き、そして。
「もし、やり直せるのなら。千年の絶望を断ち切り、別の未来に目を向けられるのであれば——我らも、この私も……引き金を引かない道を選びたい」
「…………」
ミルのその言葉は、ズォーダーに再び選択を突きつけていた。
引き金を引き続ける継戦か。
それとも、自らの未来であるミルが選んだ——これ以上、引き金を引かずに済む終戦か。
だが、ズォーダーは理解していた。
もはや、悲願であるこの宇宙の全知的生命の抹殺は不可能だ、と。
地球。
滅びの方舟の前に立ちはだかった、最大にして最強の人間の文明。
彼らは、既に滅びの方舟に匹敵する兵器を“量産”し始めている。
愚かで、恐ろしいほどの人間の生存本能。
生きたい、存続したいと願う、その執念が生み出した怪物――パラドックス級超巨大戦艦。
あれが存在する限り、滅びの方舟はいずれ対処不能となり敗北する。
それでも——
ズォーダーは、簡単に終戦を選べなかった。
かつて、ゼムリア人に——人間に裏切られた記憶。
終戦を選んだとして、彼らが同じように引き金を引かない保証はない。
人間は裏切る。
ミルは、まだ知らないだけだ。
人間という種の愚かさと、醜さを……
そうズォーダーが考えていたときだった。
「大帝——」
玉座の間に声が響いた。
「ズォーダー……もう、やめましょう」
声の主は、桂木透子。
否。
「サーベラー……」
制限されていた記憶をすべて取り戻した、シファル・サーベラーのクローン純正体だった。
「少なくとも、地球人は同じ人間であっても……ゼムリアとは違うわ」
そう言ってサーベラーがズォーダーに示したのは——彼女が連れてきた、ヤマトのメンタルモデルの姿だった。
メンタルモデル。
ガトランティスと同じ、戦うために生み出された道具。
けれど、ガトランティスと違い彼女たちは……
「私は愛を知っている……そして、地球人も、何よりあなたも、また……」
「人間を愛し、人間に愛された存在……か」
かつて、ズォーダーとサーベラーがそうであったように。
確かに愛によって繋がった、人間と共存する道を歩んでいた。
「このまま戦いを続ければ、引き金を引き続ければ……私たちはもう一度、息子を、ミルを失ってしまうかもしれない。だから、信じましょう……テレサに選ばれた人間を」
サーベラーの言葉が、凍り付いたズォーダーの心に響く。
さらに、
「あなたたちもまた人間なら、話し合う余地があるはずだ」
地球人が、古代進が一歩前に踏み出してズォーダーに語りかける。
「あなたの未来が……教えてくれた」
「…………」
真剣な眼差しの古代の言葉を聞いて、ズォーダーは沈黙した。
だがそれは、言葉を失った沈黙ではない。
無数の思考が交錯し、互いに衝突しながらも出口を探している――そんな、張り詰めた静けさだった。
ズォーダーは、玉座に深く身を沈めたまま、ゆっくりと視線を伏せる。
その瞼の裏を流れているのは、一つや二つの記憶ではない。千年分の継承し続けた記憶。千年分の絶望。引き金を引き続けてきた理由。引き金を引かなければならなかったと、自らに言い聞かせ続けてきた理由。
そのすべてが、今、ズォーダーの脳内を駆け巡っている。
ミルは、無意識のうちに拳を握りしめていた。
自分の言葉が、大帝の心に届いたのかどうか――その答えを、固唾を呑んで待っている。
サーベラーは、ズォーダーの横顔を見つめていた。
愛したその人の表情が、怒りでも憎悪でもなく、深い迷いに沈んでいることを、誰よりも理解していた。
その最中、
「(火星喪失のリスクを回避するために)滅びの方舟を停止させ、(時間稼ぎができる)対話のテーブルにつくなら」
美声ではあるが場違いな声が、玉座の間に割って入った。
「ガトランティスという種の存続を、地球連邦政府は正式に約束しますよ(滅びの方舟さえなければ、別にそれほど脅威じゃないし)」
一瞬、古代やミル、空間騎兵隊がざわめく。
ズォーダーも、ゆっくりと視線を向けた。
「……何者だ」
「失礼。自己紹介がまだでしたね」
珍しく丁寧な口調で、女は自らの正体を明かした。
「僕の名前は明井里愛朱。すべてのメンタルモデルの創造主にして、パラドックス級超巨大戦艦を設計・量産した者です。あ、でもこの身体は本体じゃないですよ。今は精神感応波を使ってこのメンタルモデルの人工人体を操ってここに来ています」
女の自己紹介を聞いて、ズォーダーは即座に理解した。
「アケーリアス……ふ、なるほど、そういうことか」
この女こそが、地球という文明を古代アケーリアス文明の高みに近づけた存在であると。
「今、何かとんでもない勘違いをされた気がしたけど……まあ、いいか。とにかく愛、心、縁……そういう話はテレサや古代くんたちに任せるとして、僕からは地球連邦政府の全権代理人として、現実的な利害と実益に基づいた話をさせてもらいます」
そんな明井の表情は、どこまでも落ち着いていた。
「では、改めて……ガトランティスが対話に応じるなら、まずガトランティス相手に、絶対に卑劣な形で引き金を引かせないと誓います。具体的に言うと、地球艦隊の艦艇を制御している全メンタルモデルに、安全装置を用いて厳命させます」
ズォーダーの眉が、わずかに動いた。
「さらに、条件次第では」
明井は、間を置かずに続ける。
「ガトランティスの種の存続に必要なクローン設備の再整備、改良、あるいは真の意味で“人間”になるために必要な、ガトランティスへの生殖能力の付与にも全面的に協力します」
その発言にミルが、思わず息を呑んだ。
サーベラーの目も、大きく見開かれる。
明井は、見抜いていた。
パラドックス級の攻撃で、既に滅びの方舟内部にあったガトランティスのクローン生産設備が失われていることを。
だからこそ、人間として存続を望むガトランティスが、今最も欲っしているものを交渉の材料にチラつかせた。
「そんなことが……本当に可能なのか!?」
ミルの驚きの声に、明井は肩をすくめる。
「可能ですよ。(まともな安全装置一つろくに作れない)ゼムリアのクローン技術に手を加える程度なら、この宇宙に新たな知的生命を誕生させることに比べたら、ずっと簡単なことです」
ミルは、言葉を失ったまま明井を見つめる。
それはガトランティスという種の在り方を根本から変えるかもしれない話だからだ。
「では、譲れない条件を先に伝えます。ガトランティスを存続させたければ、一つ。滅びの方舟の完全放棄(絶対必須)。二つ。戦争責任の明確化(別にどうでもいいけど政府に言われたから)。三つ。脱走して宇宙に散らばった同胞への対処(絶対地球だけで対処すると面倒だから)。これらを果たしてくれるなら、地球連邦政府は正式に終戦を宣言し、ガトランティスが“人間として存続する未来”に協力します」
明井から突き付けられた条件に、ズォーダーの視線がわずかに揺れる。
「正直に言いましょう。地球が現在、多少犠牲を覚悟して対処する必要がある脅威と見なしているのは、滅びの方舟だけです。パラドックス級超巨大戦艦を保有するに至った今、圧倒的物量を喪失したガトランティス残存戦力は、もはや軍事的にはそれほど脅威ではないです(だから、早く滅びの方舟放棄しろ)」
明井が、はっきりと言い切る。
もはや、ガトランティスという脅威を地球人類は克服したと。
「むしろ問題なのは、あなた方の脱走した同胞が宇宙海賊として散らばってしまったこと。なので、その始末を、あなた方自身が引き受けてくれるなら——地球としては、(滅びの方舟がない)ガトランティスを滅ぼす理由はありません」
そして最後に、明井は一歩踏み込んだ発言をした。
「要するに、選択肢は二つです。引き金をこれ以上引かない選択をするなら、ガトランティスは“滅びを選ばなかった種”として存続する。このまま引き金を引き続けるなら、ガトランティスは滅びの方舟と共に、この宇宙の歴史の敗者として絶滅して消える。どちらを選ぶかは、滅びの方舟の裁定者であるあなた次第だ。ズォーダー大帝」
明井が選択を突き付ける。
再び、ズォーダーは選択を迫られる。
話を聞いてから、ズォーダーはしばらく玉座から動かなかった。
その様子を見ていたミルは、無意識のうちにズォーダーの方へ一歩踏み出そうとしていた。
サーベラーは、そっとズォーダーの横に寄り添った。
古代は、ただ黙ってズォーダーが決断するまで見守り続けた。
やがてズォーダーは、深く息を吸い——そして、吐いた。
ついにズォーダーは選択する。
自らの未来であるミルの選択を聞いて。
自らの愛する者の願いを聞き入れて。
そして何より、ガトランティスの未来を見据えて決断を下した。
「いいだろう」
愛する者と同胞たち、そのどちらも失わずに済む選択を……
「引き金から……この指を下ろそう」
裁定者の意思に従い——滅びの方舟は、その創造主から与えられた使命を果たす機能を完全に停止させた。
たぶん講和条件決める時に起きてたこと
過激派「火星を犠牲にしてでもガトランティスはここで滅ぼしておくべきだ! 将来また侵略してくるかもしれないだろ!!」
天災オリ主「(生まれ育った火星失いたくないなあ……)火星を犠牲にするのは良くないと思います。それに、パラッドクス級大量生産+滅びの方舟一撃で倒せる超巨大要塞作れば、滅びの方舟がないガトランティスは特に問題ないです(どうせガトランティス滅ぼしても滅ぼさなくても別の侵略者来るし)」
大正義大軍拡派「その通りだ! 優先すべきは火星時間断層の維持! そして第二、第三の滅びの方舟に備えるため、時間断層でトランジッション・トランジット波動砲艦隊多数! パラドックス級二万隻!! さらに木星に匹敵する滅びの方舟サイズの超巨大宇宙要塞を複数建造することこそ最善の道である!!! 滅びの方舟さえ手放すなら、ガトランティスは(軍拡のための仮想敵国として)生きててよし!」
過激派、穏健派「」
ガトランティス「え、地球と再戦? 絶対嫌です(迫真)」
次回『ガトランティス戦役終戦』
ガトランティス人は人間じゃないクローンのまま? それともバグって蛮族化?
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愛など不要! クローンのまま
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愛……愛愛愛愛ぃー ヒャッハー蛮族化