宇宙戦艦ヤマト世界の元からヒャッハー宇宙で地球がこの先生き残るには……   作:親と兄姉の姿を見て立派に育った未子

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ガトランティス戦役終戦

 

 

 

 

 西暦2203年。

 ガトランティス戦役終戦。

 地球連邦政府とガトランティスとの間で正式に講和条約が締結された。

 

 ガトランティスの滅びの方舟からの完全退去。

 

 軍備制限を甘くする代わりに、脱走ガトランティス艦隊に対する対処義務。

 

 戦争責任者の処罰。

 

 科学奴隷の解放。

 

 コスモエレメントミサイルでエレメント化したガトランティス捕虜の返還。

 

 ガトランティスが人間として存続できるよう、地球連邦が支援協力する旨などが講和条約に盛り込まれた。

 

 大帝ズォーダーはこれを承諾。

 

 ガトランティスは降伏し、滅びの方舟から完全退去を命じられた。

 

 母星を失ったガトランティスには、地球連邦政府が太陽系外への移民用に建造していた巨大都市型移民居住艦を複数貸し出した。

 

 そして今まで科学奴隷任せだった科学技術や建築技術等をガトランティス人たち自らが学び、この移民居住艦を改装してガトランティスの新たな都市帝国群を築くことが決まった。

 

 ただ、滅びの方舟には一人だけガトランティス人が居残った。

 

 今回のガトランティスの戦争責任を一身に背負い、戦争犯罪者として死刑が言い渡されたズォーダー大帝である。

 

 多くの犠牲者が出たこの戦争のけじめをつける必要があったからだ。

 

 死刑の方法は、滅びの方舟と共にヤマトのトランジット波動砲によるこの宇宙からの抹消。

 

 ヤマトをエネルギー輻射から守る艦として、デスラーからもノイ・デウスーラが提供されている。

 

 これはズォーダー自身が、テレサに導かれたヤマトを指名し、地球連邦政府、安全保障を締結していた各国大使、新大帝ミル、そしてヤマト艦長沖田十三が承諾したことで決定された方法だ。

 

 ユリーシャも今回のトランジット波動砲の使用を容認。代わりに、後日明井博士に土星宙域と火星宙域の空間を調査し、場合によっては修復しておくようにと要請した。

 

 滅びの方舟については、地球連邦が接収する案もあったが、起動条件がガバガバすぎること、ガミラスを始めとした各国が接収にあまり良い顔をしなかったこと、何より珍しく明井博士が、滅びの方舟は一刻も早く破壊するべきと強硬に主張したことで、接収ではなく破壊が決まった。

 

 明井博士いわく、滅びの方舟を破壊しないでそのままにしておくと、何かとんでもなく危険な存在をこの宇宙に呼び寄せてしまうような嫌な予感がしたらしい。

 

 そして、死刑執行日当日。

 

 特別に、数名のガトランティス人に面会が許された。

 

 ズォーダーは、驚くほど穏やかな顔でミルを迎えた。

 

「ミル……ガトランティスを導く大帝の座と、ガトランティスの未来をお前に託す」

 

「大帝……」

 

「記憶の継承は行わん。お前は、お前の信じる道を行け。我らズォーダーが歩めなかった、お前だけに許された未来へ……」

 

 ズォーダーはミルに、記憶の継承を行わなかった。

 

 代わりに、タイプ・ズォーダーの宿命から解放されたミルに、ガトランティスの未来と大帝の座を託した。

 

 続いて、ズォーダーは幕僚のガイレーンとゲーニッツを見据える。

 

「ミルを支えよ。継承された記憶を持たぬ大帝には、お前たちのような支える者が必要だ」

 

「大帝……あなたは……」

 

「ならんぞ、ガイレーン」

 

 ズォーダーがガイレーンの言葉を遮る。

 

「お前には、ガトランティスの未来のため、新大帝のミルを支え育てるという最後の役目がある」

 

「……わかりました。その役目、果たしてみせましょう」

 

 ガイレーンとゲーニッツは深々とズォーダーに頭を下げ、新たな大帝であるミルを支える決意を固めた。

 

 面会が終わり、滅びの方舟は再び静寂に包まれる。

 

 ただ新大帝のミルだけは、ズォーダーの最期を見届けるため、ヤマトの艦橋へと移った。

 

 

 

 

 ヤマトの艦橋では、古代進が険しい表情で滅びの方舟を見つめていた。

 

 古代には、トランジット波動砲の引き金を引く役目がある。

 

 ミルに対して引き金を引かない道を説いたはずの古代が、この戦争を真の意味で終わらせるために、最後に引き金を引かなければならない。

 

「古代……」

 

 すると、古代の様子を見かねたミルの声が、ヤマト艦橋に響く。

 

「私が代わろう。これは、引き金を引き続けてきたガトランティスが背負うべきもの。そのけじめをつけるのは、新たな大帝であるこの私の役目だ」

 

 ミルの言葉に艦橋に動揺が走る。

 

 だが、

 

「ダメだ」

 

 古代は即座に拒否した。

 

「あなたに、ズォーダーを……父親を撃たせるわけにはいかない」

 

 そう言い切った古代は、ターゲットスコープの引き金に手をかける。

 

「ならば……」

 

 すると、引き金を引く古代の肩にミルの手が置かれた。

 

「共に背負おう。地球とガトランティス……この最後に引く引き金の重さを」

 

 そして——

 

「目標……滅びの方舟中心核」

 

 トランジット波動砲発射のため、ヤマト艦首に莫大なエネルギーが収束する。

 

 その際、何故かヤマトは神々しい光を纏っていた。

 

 次元波動エンジンが偶然にも高次元世界に通じる穴を開けてしまい、テレサからエネルギーを引き出すことに成功した影響だ。

 

「トランジット波動砲……発射ぁ!!」

 

 トランジット波動砲にさらにテレサから引き出したエネルギーを乗せたその一撃は——滅びの方舟をこの宇宙から跡形もなく消滅させるのに、十分な威力だった。

 

 

 

 

 

 大帝玉座の間。

 

 静寂が、まるで初めて許された休息のように玉座の間を満たしている。

 

 その静寂の中、滅びの方舟に一人残されたズォーダーは玉座に深く身を預けていた。

 

 ズォーダーの脳裏に去来するのは、初代ズォーダーが遺した、人間への憎悪に満ちた記憶。

 

 裏切り。

 同胞の喪失。

 愛する者の理不尽な死。

 

 初代ズォーダーの記憶を継承したその日から、ズォーダーは数え切れぬほど引き金を引き、無数の人間を裁き続け、千年分の絶望に苛まれてきた。

 

 それでも、最後にミルという自らの未来がガトランティスに新たな可能性をもたらしてくれた。

 

 玉座の間に投影されたホログラム。

 

 そこに映るのは、今、ミルが乗り込んでいる一隻の艦。

 

 滅びの方舟と、そしてズォーダーに終わりをもたらす船。

 

 テレサに導かれし船――宇宙戦艦ヤマト。

 

 テレサの力を受け、艦体は、神々しい光を纏っていた。

 

 ズォーダーはその光を見つめながら、ふっと笑みを浮かべた。

 

「嬉しそうね、ズォーダー」

 

 その時。

 ズォーダー一人しか残っていないはずの玉座の間に声が響く。

 

「サーベラー……」

 

 現れたのは、桂木透子の姿をした、シファル・サーベラーのクローン純正体。

 

 ズォーダーが愛し、ズォーダーを愛していた最後のゼムリア人。

 

「何故……ここに……」

 

「最期は、あなたとともに……」

 

 それは理由ではなく、ただの願いだった。

 

 ズォーダーは、ゆっくりと息を吐く。

 

「ミルには、お前の……母親の愛が必要だ」

 

 ズォーダーの口から、まるで息子を想う父親のような言葉が漏れる。

 

 それでも、サーベラーは、静かに首を振った。

 

「もう、別れは済ませてきたわ。それに、ミルは……あの子はもう立派な大人よ」

 

 そう言って、サーベラーはズォーダーに歩み寄り、愛おしむように、その頬に触れた。

 

 指先に伝わる温もり。

 温かい、忘れることのできない愛する人間のものだ。

 

「かつて私は、あなたを一人にしてしまった」

 

 その声は、悔恨を含んでいた。

 

「最後まで、あなたの側にいられなかった。だから、今度こそ……」

 

 言葉が、途中で途切れる。

 

 代わりに、サーベラーはズォーダーを強く抱きしめた。

 

「死が、二人を分つその時まで……あなたの側に、いさせて」

 

 ズォーダーの腕が、ゆっくりと彼女を包む。

 

 逃げなかった。

 拒まなかった。

 

 ただ、力強く抱きしめ返した。

 

「サーベラー……お前のことをずっと……」

 

「ええ、私は、あなたのことを……」

 

 最期の瞬間、二人の声は重なった。

 

『——愛してる』

 

 ホログラムに映るヤマトの艦首に、莫大なエネルギーが収束していく。

 

 次の瞬間。

 

 放たれたトランジット波動砲の光が、滅びの方舟と、愛を確かめ合った二人の姿を包み込むように、この宇宙から跡形もなく消し去った。

 

 ズォーダーとサーベラー。

 

 人造兵士と人間。

 

 ゼムリアの道具として生み出された知的生命ガトランティスと、ガトランティスを道具として扱う側のゼムリア人。

 

 それでも――二人は、確かに、深い愛で結ばれていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 滅びの方舟が消滅する瞬間を、遥か彼方から見つめていた存在がいた。

 

 巨大な戦艦に乗る謎の儚げな美少女たちだ。

 

 ——艦隊総旗艦ア◾️ドロ◾️ダより通達。滅びの方舟の消滅を確認。この宇宙への介入は不要と判断。次の宇宙へと移動せよ。

 

 ——武◾️、了解。

 

 ——◾️河、了解。

 

 ——シュン◾️ン、了解。

 

 ——◾️リゾナ、了解。

 

 ——ブ◾️ーノア、了解……

 

 この宇宙とは異なる宇宙で建造された『ア◾️ドロ◾️ダ』という艦名のパラドックス級超巨大戦艦の艦橋で、少女は一千万を超える姉妹たちへと命令を送る。

 

 そして、最後に、

 

 ——◾️◾️艦長。どうかこの世界では生きて幸せに……

 

 この世界ではまだ生きている、少女が守れなかった大切な人に向けて儚い笑みを残して、少女はパラドックス級超巨大戦艦と共にこの宇宙から姿を消した。

 

 

 

 こうして、テレサの見た未来の通りに、最悪の未来に繋がるすべての脅威がこの宇宙から消え去った。

 

 ようやく、長い戦いが終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 ☆☆☆☆☆

 

 ガトランティス戦役が終結した後の地球では、戦死者を悼む式典と、存亡の危機を乗り越えたことを祝う政府主催のパーティーが開かれた。

 

 パーティーには、来賓としてガトランティスと戦った各国の大使や軍人、その家族たちも招かれていた。

 

「おお、ドメル将軍! さ、ヒルデ、挨拶しなさい」

 

「ガ、ガーレ・ドメル!」

 

「はは、お嬢さん。もうガミラスとザルツは対等だ。呼び捨てでかまわない。そうだろう、エリーサ」

 

「そうね、あなた……私のことも、エリーサでいいわよ」

 

「は、はい奥方様!」

 

 シュルツと娘のヒルデ。

 ドメルとその妻エリーサ。

 

 かつては一等、二等臣民に分かれていたガミラス人夫婦とザルツ人親子が微笑ましくも対等な関係を築こうとしている。

 

「父ちゃーん! 肩車して!」

 

「こーら、翼! 厳かな場では騒いじゃダメって言ったでしょ!」

 

 死亡フラグを回避したヤマト航空隊の加藤と、妻の真琴、息子の翼の三人が家族の団欒を楽しんでいる。

 

「キーマン中尉、スーツ……とても似合ってます」

 

「……ランハルト。母が名付けてくれた、俺の本当の名だ。君には、この名前で呼んでほしい」

 

 同じく死亡フラグを回避したクラウス・キーマン改めランハルト・デスラーと、山本玲が少し困ったように、けれど顔を少し赤らめて嬉しそうに見つめ合っている。

 

 うん、これぞまさにハッピーエンドだ。

 

 正直に言えば、ガトランティスと本当に和平できるとは思っていなかった。

 

 でも、まあ最大の脅威の滅びの方舟が消えたから結果オーライだ。

 

「リアス、これは何て名前の料理なの?」

 

 メインディッシュに提供された、美味しそうな地球料理を見てユリーシャが興味津々で首を傾げる。

 

「ああ、それはトゥルヌド・ロッシーニだよユリーシャ。牛フィレ肉にフォアグラを乗せた……」

 

「マスター、明日もこれ食べたいです」

 

 アースからは贅沢な要望が届いた。

 食事をしなくてもメンタルモデルは生きていける。

 けれど、舌が肥えてしまったアースは、もうすっかり美味しい料理を食べないと生きることに耐えられない美食家メンタルになってしまった。最近食費がちょっと恐ろしい額になっている。

 

「ふむ、前に軍産複合体の代表さんから貰ったいいお肉があるから、それ使おうか」

 

 たとえ、生まれた星が違っても。

 

 たとえ、人に造られた新たな知的生命とでも。

 

 今、僕たち人間は、共に食卓を囲んで、楽しい時間を過ごすことができている。

 

「そういえば、ユリーシャ。スターシャさん、無事子供生まれたんだよね。名前は決まったの?」

 

 そして何より、

 

「サーシャ……サーシャ・イスカンダル・古代。サーシャお姉様と同じ名前のとても可愛い女の子よ」

 

 たとえ異星人とだって、たとえ、造られた存在とだって……僕たち人間は、愛し合える。

 

 古代アケーリアス文明が何を意図してこの宇宙に人間の種を蒔いたのかはわからない。

 

 後継者を育てるためなのか。

 

 実験として蒔いた種から派生した文明同士を争わせて、自分たちを超える可能性を秘めた種を新たに生み出すためなのか。

 

 あるいは、自らの蒔いた種から派生した文明同士が手を取り合う姿を見て、何かを確かめたかったのか……

 

 まあ、仮説は色々あるけど、それは神と古代アケーリアス文明のみぞ知る話だ。

 

 少なくとも、今、このパーティー会場にいる複数の異なる星で生まれた人間同士は手を取り合えている。

 

 人間とガトランティス、メンタルモデルという、人間と人間が生み出した新たな知的生命とも共存する道が開けた。

 

 遍く星々、その知的生命の平穏。

 

 それが、ただの理想論ではないかもしれない――そう思わせる光景が、確かに僕の目には映っていた。

 

 

 

 

 

「おお、ここにいたのか明井博士」

 

 その後、パーティー会場で芹沢副司令に出会った。

 

「無事、多数の賛同者も集まった。君が提唱した人工天体型超巨大宇宙要塞——ホープ・スターの建造計画は、予定通り承認されるだろう」

 

「ありがとうございます、芹沢さん。まだこの宇宙には、古代アケーリアス文明やイスカンダル、テレザートのような超高度文明が遺した遺産が数多く残っている可能性があります。未知の脅威に対する備えは、常に必要です」

 

「うむ。その通りだ。これからも貴女のその頭脳を、地球人類の未来のために役立ててもらいたい。我々も全力で貴女を支えよう」

 

 芹沢副司令からは心強い言葉をもらった。

 

 ガトランティスとの戦いが終わったからといって、油断は出来ない。

 

 この過酷で戦乱に満ちたヤマト宇宙では、すぐに次の敵がやって来る。

 

 次の相手はおそらく天の川銀河の大半を支配する超大国ボラー連邦、あるいは二重銀河からやって来る侵略者、暗黒星団帝国。

 

 あるいは……

 

 千年後の未来からやって来た可能性のある敵、デザリアム。

 

 そして、もしもデザリアムが本当に千年後の未来からやって来るのなら……備えなければならない。

 

 原作世界の千年後からなら、まだどうにかなる。

 

 でも、もしも。

 

 僕が技術発展させたこの世界の千年後から来てしまった場合、その技術力は……

 

 古代アケーリアス文明の高み、あるいはそれさえも超えているかもしれない。

 

 デザリアムとの初接触まで残り二年。

 デザリアムの地球侵攻まで残り四年。

 

 それまでに、もっと力をつける必要がある。

 

 僕と地球人類と、そして仲良くなった人たちの平穏のために……

 

 もっと強く、もっと先へ、もっと上へ……

 

 僕たち地球人類は進み続ける。どこまでも……

 

 

 





もうこれで最終回にしようか迷いましたが、2205までは書きたいのでもう少し続きます。リメイク版で巨大化したゴルバと地球連邦軍大軍拡派の威信をかけた人工天体型超巨大宇宙要塞の戦いまでは書きたいと思っています笑

次回『戦後復興計画』

※残念ですが、パラドックス級二万隻は今の地球連邦の国力だと流石に無理です……

ガトランティス人は人間じゃないクローンのまま? それともバグって蛮族化?

  • 愛など不要! クローンのまま
  • 愛……愛愛愛愛ぃー ヒャッハー蛮族化
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