宇宙戦艦ヤマト世界の元からヒャッハー宇宙で地球がこの先生き残るには…… 作:親と兄姉の姿を見て立派に育った未子
イスカンダル王都イスク・サン・アリア。
その中心に位置する大宮殿クリスタルパレスには、イスカンダルの女王であり、大記憶庫サンクテルの守人であるスターシャ・イスカンダルが、夫の古代守と娘のサーシャ・イスカンダル・古代と三人で暮らしている。
かつて、この大宮殿は女王スターシャただ一人のための場所だった。
スターシャが背負わされたイスカンダルが犯した“愚行”の象徴——大記憶庫サンクテルの管理という王族としての役目。
記憶庫でニート生活を続けているイスカンダル人たちの代わりに滅びを迎えるその日まで、スターシャはたった一人でその役目を果たさなければならなかった。
そんな彼女の前に現れたのが、地球連邦から派遣された駐在武官、古代守だった。
地球連邦。
古代アケーリアス文明が蒔いた知的生命の種から生まれた文明の中でも、イスカンダルを“長男”とするなら、ずっと遅れて誕生した“末子”のような存在。
だが、その末子は、あまりにも異常だった。
波動砲。
星のエレメント技術。
メンタルモデルという、新たな知的生命の創造。
古代アケーリアス文明の高みに迫る兵器製造装置の開発。
ついには滅びの方舟に匹敵する超巨大戦艦まで建造してしまった。
地球連邦は、とある宇宙一の危険人物の誕生以降、恐ろしい速度で成長を続けている。
地球連邦大使館から届けられる報告を読むたびに、スターシャの胸には、地球連邦の歩みがかつてのイスカンダルが辿った破滅の道と重なった。
——地球連邦も、やがてイスカンダルと同じ過ちを繰り返すのではないか。
——あるいは、それ以上の災厄を宇宙にもたらすのではないか。
地球に自分たちのようになってほしくないという願いと、地球連邦にいる明らかに何かをやらかしそうな宇宙一の危険人物に不安を募らせて精神的に疲弊していた時に……スターシャは古代守と出会った。
古代守は人の心に自然と寄り添うことのできる男だった。
彼は説教もしなければ、答えを押しつけることもしなかった。ただ話を聞き、時には不器用な冗談を言い、時には何も言わず、共に同じ景色を眺めてくれた。
それだけで、スターシャの心は少しずつ軽くなっていった。
違う星で生まれ、違う使命を背負ってきた二人は、いつしか互いを必要とするようになり、やがて愛で結ばれた。
そして新しい命を授かった。
イスカンダルで、実に数千年ぶりに誕生した子供だった。
名前を巡っては、スターシャの二人の妹が通信越しに「自分と同じ名前を付けたい」と激しい名付け親争いを繰り広げ、最終的に「サーシャ・イスカンダル・古代」という名前に落ち着いた。
こうして女王と武官と最愛の赤子の、奇妙で温かな生活が始まった。
女王であるスターシャに、子育ての経験などあるはずもなかった。
最初は、日常生活を支えてくれているイスカンダロイドにサーシャの世話を任せようとした。
だが、守は静かに首を振った。
——できるだけ、自分たちの手で触れて育てていこう。
守の意見にスターシャは困惑しながらも、まずは自らミルクを与えた。小さな手が指に絡みつく感触に、戸惑いながらも微笑んだ。
自らおむつを替えた。泣き止まない理由が分からず、何度も失敗した。
自ら寝かしつけた。小さな胸が規則正しく上下するのを、夜通し見つめた。
そうして彼女は、サーシャと触れ合いながら、娘が少しずつ成長していくのを見守り続けた。
時には、デスラー体制崩壊後のガミラスを支える役目を担う妹——もう一人のサーシャにも手伝ってもらいながら。
本来なら、大記憶庫サンクテルを守り続け、いつか訪れる滅びの日まで、滅びに瀕した知的生命に救いの手を差し伸べ続ける。
それだけが、スターシャに許された人生のはずだった。
けれど今——彼女は、一人の人間として。
夫を愛する妻として。
娘を抱く母親として……確かに生きている実感と、幸福を胸に抱けるようになっていた。
さらに、夫の古代守の尽力で、地球連邦との外交でも大きな進展があった。
地球連邦が波動砲と星のエレメント技術への規制に前向きな姿勢を示したのだ。
理由が波動砲の代替抑止兵器を複数手に入れたからという、相変わらずかなり不穏な理由ではあったが、それでもイスカンダルと同じ愚行を繰り返す可能性が遠のくのは大きな一歩だった。
地球連邦政府はイスカンダルや国交を結んでいる各国と話し合い、この規制条件を決める用意があるとスターシャに宣誓。
そこで、スターシャはこのクリスタルパレスで複数の星間国家が集う会議を開催することを認めた。
会議に参加するのは、現在ボラー連邦艦隊を殲滅打撃群の圧倒的な力で粉砕し、侵攻中のボラー連邦領内でも快進撃を続けている既に次の天の川銀河の覇権国家筆頭と目されている軍事超大国地球連邦。
地球連邦に一度ボコられた経験があり、現在は地球と連帯し、ボラー連邦領内で海賊化していた同胞たちを続々と帰順させながら人間の文明としての歩みを進めている、相変わらずの軍事大国新政ガトランティス。
地球連邦に一度ボコられた経験があり、現在は地球連邦からの大規模支援を受けて順調に民族大移住とガルマン星を起点に勢力拡大を進めている軍事大国ガルマン・ガミラス。
地球連邦のおかげで、ガミラスからの独立に成功したザルツ、オルタリアなどの新独立国家群。
つい最近新たに地球連邦と国交を結んだ、星巡る方舟シャンブロウを拠点とするジレル人たち。
さらに天の川銀河の覇権を握っていた超大国ボラー連邦が一方的に粉砕されるほどの地球連邦の圧倒的戦力を見て、一刻も早く次の天の川銀河の覇権国家と国交を結んでおこうと動いたエトス、アマール、フリーデ、ベルデルの四か国の代表たちが一堂にクリスタルパレスがあるイスカンダル王都イスク・サン・アリアへと集うことが決まった。
西暦2205年。
地球連邦大統領と芹沢副司令を乗せた外交艦ヤマトが、アンドロメダ、ドレッドノート級改装型補給艦アスカ、ドレッドノート級改装型空母のヒュウガを含む十隻程度の護衛艦隊と共に地球を出発。
芹沢副司令が大統領の護衛には殲滅打撃群を付けるべきだと主張していたが、流石にイスカンダルに五千隻の波動砲搭載艦とパラドックス級超巨大戦艦を一気に見せるのはあまりにも刺激が強すぎてよろしくないだろうと却下された。
星間国家会議が開かれるイスカンダル軌道上には、万が一のボラー連邦による襲撃を警戒し、ドメル将軍率いるガルマン・ガミラスの大艦隊が展開している。
なので護衛と警備に関しては、ガルマン・ガミラス艦隊を中心とした各国の連合護衛艦隊に任せようという判断だ。
とはいえ、この地球連邦大統領が参加する会議を襲撃したら、即座に地球連邦軍がブチ切れてコスモエレメントミサイルを首都星や主要惑星に向けて発射するだろうことを理解しているボラー連邦が、この各国首脳が集まる星間国家会議を襲撃するとは考えにくかった。
流石に今回の会議は平和に終わるだろうと地球連邦政府も楽観視していたのだ。
こうしてかつて遍く知的生命の平穏を実現するため、救済と称して数多の文明に波動砲の雨を降らせたイスカンダルの王都に、同じ古代アケーリアス文明の蒔いた種から育った文明の代表たちが集い、大宮殿クリスタルパレスで開催された対話の席についた。
地球連邦からは大統領と、スターシャや各国とタフな交渉をする気満々の芹沢虎鉄統括司令副長官が。
ガトランティスからは新大帝ミルと新政ガトランティス機動艦隊司令長官ゲーニッツが。
ガルマン・ガミラスからはアベルト・デスラー総統とレドフ・ヒス副総統が。
各国の首脳陣や王たちも次々と指定された席に座った。
デスラー総統は、少しだけ前とは雰囲気が変わったスターシャを祝福するように、でも少しだけ悲しみを帯びた表情で自分の席からただ静かに見つめていた。
そんなデスラーの様子を隣から見ていたガトランティスの新大帝ミルが、「これもまた、愛……か」と何やら意味深に呟いた。
さらに、ガミラス、地球に派遣されていたサーシャ(スターシャの妹の方)と、ユリーシャも一時帰国しており、スターシャの両横に着席。
宇宙の歴史に残る星間国家会議が始まった。
ちなみにまだ幼い娘のサーシャは、会議中は父親の古代守と叔父の古代進を筆頭にヤマトクルーたちで頑張って子守りしていた。
しかし、このヤマト宇宙でそう簡単に平和なお話し合いなどできるはずもなく……
「……承知しております、メルダーズ閣下」
イスカンダル星を故郷に持ち帰るべく、ボラー連邦とは異なる未知の勢力が新たに参戦。
「回収作業は遅滞なくタイムライン通りに。記録に存在しないノイズは消し去ります」
七基の自動惑星ゴルバを核とするデザリアムの大艦隊が、イスカンダルの軌道上に集結している各国の護衛艦隊へと迫っていた。
「グレート・プレアデス、前進せよ!」
星間国家会議開催日と同日。
偶然にも地球連邦は完成した惑星移送船と人工天体型超巨大宇宙要塞の長距離ワープ試験を行っていた。
惑星移送船の護衛としてパラドックス級九番艦『イオリア』を旗艦とする第九殲滅打撃群が、人工天体型超巨大宇宙要塞ホープ・スターの護衛には駐留艦隊も兼ねているパラドックス級十番艦『イゼルカント』を旗艦とする第十殲滅打撃群がそれぞれ展開。
両艦の長距離ワープ試験は順調に進んでいた。
「第一ホープ・スターも完成させた。ブルーアースにも新しく回帰時空トランジッション波動砲を搭載しておいた。あとは、暗黒星団帝国かデザリアムの戦力次第だ……どうか原作通りゴルバ程度の戦力であってくれ……」
次回『デザリアム艦隊対歴史に残らぬ弱者共(連合艦隊)』
ヤマト宇宙「平和な話し合いなんかさせねえ! イスカンダルを自爆させて全方位曇らせの時間だ!!」
大軍拡派筆頭の芹沢の前で同盟国の母星破壊+ガミラス移民船団と会議に参加した各国護衛艦隊に無慈悲な攻撃+唯一の初手平和外交に成功したイスカンダルを星ごと拉致のフルコンボをかましたデザリアムの未来は果たして……
ガトランティス人は人間じゃないクローンのまま? それともバグって蛮族化?
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愛など不要! クローンのまま
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愛……愛愛愛愛ぃー ヒャッハー蛮族化