宇宙戦艦ヤマト世界の元からヒャッハー宇宙で地球がこの先生き残るには……   作:親と兄姉の姿を見て立派に育った未子

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銀河新秩序会議

 

 

 

 

 第一ホープ・スターと第十殲滅打撃群で軌道上の安全を確保してから、僕はブルーアースに乗ってイスカンダルへと降下した。

 

 港に降り立った瞬間、待ち構えていた芹沢副司令が、ほとんど駆け寄るような勢いでこちらに向かってくる。

 

「やはりホープ・スターを建造して正解だった!」

 

 と、感極まった様子でそう言い切る芹沢副司令の背後では、大統領も深く息を吐きながら何度も深く頷いていた。

 

「あれは……一体何ですか!?」

 

 スターシャ女王をはじめ、各星間国家の首脳たちも続々と港に集まってきていた。そして誰もが例外なく、視線を空へ——正確には、イスカンダルの空を覆うホープ・スターへと向けている。

 

「あれは人工天体型超巨大要塞ホープ・スターです。安心してください。波動砲を搭載していないクリーンな宇宙要塞です!」

 

 僕の説明を聞いたスターシャ女王が天を仰いだ。

 同じイスカンダル人のユリーシャも、よく同じリアクションをするからその反応にはもう慣れている。

 

「では……最後に撃った波動砲……通常の波動砲とは異なるものに見えましたが……あれは一体」

 

 質問を続けるスターシャ女王の声が、わずかに震えているような気がした。

 

「あれですか?」

 

 よし、せっかくだから回帰時空システムについても説明しておこう。

 

「回帰時空システムを併用したとてもクリーンな新型波動砲です。波動砲によって生じる“宇宙が引き裂かれた結果”を、時空を巻き戻してなかったことにする仕組みですね……あ、ちなみに。時空の巻き戻しに巻き込まれた対象物は、この宇宙の現時空間から完全に消滅します!」

 

 説明を終えた瞬間。

 

 スターシャ女王の身体が、突然ふらりと揺れた。

 

 どうやら軽い眩暈に襲われてしまったみたいだ。

 デザリアムの侵攻を受けてずっと極限状態だったから、たぶんその影響だろう。

 

「スターシャ!」

 

 夫の守兄さんが倒れそうになったスターシャ女王の身体を咄嗟に抱き留める。

 

 抱き支え合う二人の姿からして、夫婦仲はとても良好なようだ。

 

 ただ、これを見てBSSくらったデスラー総統の脳は相当破壊されてそう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後、デザリアムによる襲撃のせいで中断していた星間国家会議が正式に再開した。

 

 デザリアムの脅威は去ったから肩の力を抜いても大丈夫なのに、スターシャ女王の表情は覚悟を決めた表情のままだった。やっぱり重要な会議の議長国として責任を感じているのだろう。

 

 会議が再開して、まず最初に決まったのは、現在漂流中のイスカンダル星の新たな配置先だった。

 

 協議の結果、地球連邦の勢力圏である太陽系の旧土星軌道に移送することが決定。

 

 イスカンダル星の防衛と安定軌道を維持するために第一ホープ・スターとセットで旧土星軌道上に配置する予定だ。

 

 太陽系が選ばれたのは、既に地球連邦が、イスカンダルの危険な技術を奪わずとも十分危険すぎる戦力と科学技術力を持っていたからだ。

 

 波動砲とCRSの愚行救済セットを実用化しており、記憶庫を自前で作れる技術段階にも既に到達している地球連邦なら、わざわざイスカンダルを襲って悪用されると危険な力や技術を奪う心配がない。

 

 さらにイスカンダルを狙っているデザリアムの脅威からも、その圧倒的な戦力で確実に防衛できる能力があると判断された。

 

 また、イスカンダルが過去に犯した愚行と、ガルマン・ガミラス民族に与えた仕打ちを公表する以上、暫くの間、両者が距離を取る必要がある、という政治的配慮もあった。

 

 地球連邦に波動砲と星のエレメント関連技術を規制させるためにも、やはり各国に対してイスカンダルが犯した愚行の説明は必要不可欠だった。

 

 当然、ガミラスの真実にも関わる内容だ。

 

 真実を知ったデスラー総統は、一度は呆然とし、次に激昂し、そして最後には、

 

「……それでも我々は、ガミラスという名を誇りとして名乗り続ける」

 

 静かにスターシャ女王を許した。

 

 イスカンダル語では蔑称だったガミラスというイスカンダルから与えられた名を、あえて捨てないという選択をデスラー総統は選んだ。

 

 デスラーのスターシャ女王への愛はやはり深かった。

 

 こうして、イスカンダルのくびきからガミラスはようやく解き放たれる。

 

 ただし、それはイスカンダルとの完全な決別を意味するわけではない。

 

 すべての罪を明かし、これからも生きて贖罪(主に地球連邦が暴走しないよう外交努力)を続けていく道を選んだイスカンダル。かつて分かたれた兄弟であるガルマン民族と一つになり新たな歩みを始めたガミラス。

 

 それぞれ新たな道を選んだ両国が、過去を乗り越えて今度こそ新たな関係を築いていくことが決まった。

 

 そして、いよいよ本題の地球連邦、ガルマン・ガミラスが保有している波動砲に関する規制、現時点ではイスカンダルと地球連邦のみが到達している星のエレメント関連技術への規制についての議論が始まった。

 

 現在波動砲は、十万隻超というぶっちぎりで波動砲艦を大量保有し、全ての波動砲艦に回帰時空システムを搭載予定の地球連邦と、デウスーラⅢ世やランダルミーデ級といったデスラー砲搭載艦、そしてガルマン星に遺されたイスカンダルの遺産のシャルバート級戦艦等も含めて数百隻程度波動砲搭載艦を保有しているガルマン・ガミラスが、運用を行っている。

 

 ガルマン星に遺されていたイスカンダルの遺産については、野晒しのままガルマン星に多数のイスカンダル製波動砲艦が放置されているのを地球連邦が強く問題視した。

 

 地球連邦の波動砲艦の運用に制限をかけるなら、イスカンダル、ガルマン・ガミラスも波動砲搭載艦を軍で適切に管理、運用した上で同じような運用制限を受けるべきだと主張した。

 

 スターシャ女王は当初、愚行を犯していた時代の負の遺産を再起動することに否定的な姿勢を見せていた。

 

 でも、僕が「いや、あの封印処置、普通に強制解除できますよ?」と言った瞬間、即座に方針転換した。

 

 ……あとでユリーシャに聞いた話だけど、イスカンダル側は“封印が破られる可能性”をあまり想定していなかったらしい。

 

 いやいや。古代アケーリアス文明の高みにも達していない技術の封印なんて、いずれ必ず強引に破られるに決まってるでしょ。

 

 結局、イスカンダル星の大使として、妹の方のサーシャ……サーシャ“さん”がガルマン星へと派遣されることになった。

 

 サーシャさんは、この会議で決まった規制に則って、ガルマン星に放置されているシャルバート級戦艦などのかつてのイスカンダルの遺産をガルマン・ガミラス政府とともに厳重に管理する役目を担う予定だ。

 

 そして、規制内容については、まずCRSなどの星のエレメント関連技術の規制が決まった。

 

 各国代表もかつてのイスカンダルの過去の愚行を知り、その愚行を地球連邦が“再現可能である”という事実に明確な恐怖を示していた。

 

 地球連邦もイスカンダルがかつて犯した愚行を繰り返す気は全くなかったので、CRSを用いた星のエレメントの取り扱いに関する技術の規制については前向きな姿勢を示した。

 

 ただし、

 

「波動砲は、地球連邦の安全保障の要だ! さらに、我々が新たに開発した回帰時空波動砲は宇宙を引き裂くことのない安心、安全の波動砲である!」

 

 波動砲の削減については、地球連邦、ガルマン・ガミラス双方が簡単には頷かなかった。

 

「そもそも波動砲の拡散防止、削減、撤廃条約を結ぶのであれば、現在波動砲と同質の兵器を大量保有しているボラー連邦も条約の枠組みに加えた上で絶対順守させる必要がある!」

 

 スターシャ女王や各国代表相手に、芹沢副司令は一歩も引かない。

 

「現在我々地球連邦はボラー連邦と戦争状態にあり、デザリアムなる野蛮な侵略者にも備えなければならない。少なくとも、ボラー連邦との停戦、デザリアムへの対処が完了し、平和な時代が訪れるまでは削減や廃絶には応じるつもりはない!」

 

 そもそも、この会議に参加していない現在戦争中のボラー連邦が波動砲の類似兵器を保有していること。

 

 そして、新たにデザリアムという野蛮な侵略者に対処しないといけなくなった時点で、安全保障に直結する波動砲搭載艦の削減や廃絶は地球連邦、ガルマン・ガミラス双方とも簡単に容認できるはずがなかった。

 

 結果として、今回の会議ではエレメント化目的での使用禁止、先制使用の厳禁、研究・保有そのものは禁止せずという、かなり現実的な落とし所に着地した。

 

 まぁ、悪くない妥協点だ。

 

 波動砲は、イスカンダルという超文明が発明、運用していた兵器であり、現在は星間国家の中でも屈指の技術力を誇るガミラスがようやく開発に成功した超兵器だ。

 

 僕や真田さんのように、簡単に開発、改良できる代物ではない。

 

 平和な時代が訪れ、ボラー連邦が波動砲規制の枠組みに加わるまでの間は、この規制内容でも十分な成果だろう。

 

 ただし、今後も星間情勢を考慮しながら段階的に規制の強化、削減を進めていく方針は確認された。

 

 こうして、今回の会議に参加した国々の間で、初の波動砲使用規制条約が締結された。

 

 次に、今回いきなり襲撃を仕掛けてきたデザリアムという新たな脅威への対応についても話し合われた。

 

 デザリアムの圧倒的戦力に危機感を持った複数の国の代表から、デザリアムに対抗できる地球連邦との軍事同盟締結や回帰時空波動砲シェアリング、さらには地球連邦艦隊——特に殲滅打撃群の自国勢力圏への駐留を望む声が出た。

 

 地球連邦としても、新たな同盟国の獲得や波動砲を外した通常艦艇、波動防壁の技術、通常型の次元潜航艦といった防衛装備の販売相手が増えることは歓迎すべきことだ。

 

 そして、大軍拡派の芹沢副司令にとっても、貴重な同盟国を守るためという大義名分があればさらなる大軍拡が可能になる。

 

 こうして、対デザリアム戦を見据えて、地球連邦、ガルマン・ガミラス、新政ガトランティスが主導する天の川銀河に跨る集団的自衛権を規定した大規模集団防衛機構(軍事同盟)——サジタリウス条約機構が今回の会議に参加した国々によって結成された。

 

 その後も地球連邦が提案した新たな亜空間ゲートの新規建造、亜空間ネットワークを増設拡張し、銀河規模のリアルタイム通信網や貿易航路を整備する大規模インフラ整備計画などが議題に上がり、各国代表同士で建設的な議論が行われた。

 

 ちなみに、パラドックス級超巨大戦艦やホープ・スターについても何らかの規制が必要では? という意見が出たが、そもそも地球連邦しか作れない超兵器である点、現在ボラー連邦と戦争中であり、対デザリアム戦が控えている地球連邦が規制に応じる気配がなかったため今回は見送りとなった。

 

 そして会議の最後には、初の星間国家会議を記念して、各国首脳がずらりと並んだ集合写真の撮影が行われた。

 

 記念撮影時には、友好関係を築けそうな同盟国が沢山増えて、武力ではなく言葉を交わせる機会に恵まれた地球連邦大統領が感激の涙を流していた。

 

 大統領の涙の理由を雑談気分で聞いたアマールの女王が、ガミラス、ガトランティス、ボラー連邦との三連続ワーストコンタクトの話を聞いてドン引きしている様子や、聞き耳を立てながら過去のやらかしを思い出して反省し、少し気まずそうにしているデスラー総統やミル大帝の姿などもしっかりと写真に収められた。

 

 後に銀河新秩序会議と呼ばれた歴史的な星間国家会議は、こうして幕を閉じた。

 

 護衛艦隊を喪失した各国の外交団は地球連邦艦隊が護衛して母星へと送り届け、漂流していたイスカンダル星は到着した惑星移送船に収容され、護衛の第一ホープ・スターと共に太陽系へと移送された。

 

 

 

 

 

 

 ☆☆☆☆☆

 

 デザリアムによるイスカンダル星拉致未遂事件は、地球連邦政府に大きな衝撃を与えた。

 

 護衛に殲滅打撃群を付けなかったことで結果的に同盟国ガミラスの母星破壊を許し、イスカンダル星と大統領や各国首脳の身に危険を及ぼしてしまったことに過激派や大軍拡派は大激怒。

 

 他国やイスカンダルに配慮して殲滅打撃群派遣に反対した勢力も、今回の件は流石に反省せざるを得なかった。

 

 それは、地球連邦政府全体が、ついにこの宇宙への幻想を完全に捨て去った瞬間だった。

 

 この宇宙では油断したらすぐ野蛮な侵略者が湧いてくる。

 

 デザリアムという名の新たな侵略者との四度目のワーストコンタクト。ガミラス、ガトランティス、ボラー連邦に続く脅威のワーストコンタクト率がそれを証明してしまった。

 

 かつてのイスカンダルが愚かな救済活動に踏み切った気持ちが、ほんの少しだけ理解できてしまうほど、この宇宙は野蛮な文明ばかりである。

 

 ただ、地球連邦政府には、助言をくれる現在のイスカンダルや星間国家会議を通して友好関係を結べた多数の同盟国がいる。

 

 それが、せめてもの救いであり、地球連邦が完全に闇落ちしない理由でもあった。

 

 地球人類だけでなく、友好関係にある貴重な同盟国も守りたい。

 守るべきものが増えた。守る範囲が広がった。

 だから、守るために必要な戦力をもっと増やさなければならない。

 

 そう考え、決意を新たにした地球連邦政府は、今回の悲劇の再発防止を最優先とし、安全保障上の基準を大幅に上方修正した。以降、外交団の護衛には必ずパラドックス級を含む艦隊を派遣する方針を定めた。

 

 さらに蛮行を犯したデザリアムに対しては、必要なら再び戦時体制に移行し、地球連邦政府の総力をあげて殲滅する——大軍拡派の掲げた方針が殆ど全面的に容認された。

 

 対デザリアム戦を見据えて全ての波動砲艦に回帰時空システムを搭載する大規模改装計画と回帰時空波動砲搭載艦の新規建造による、回帰時空波動砲艦隊整備計画を開始。

 

 パラドックス級超巨大戦艦も現行の殲滅打撃群旗艦12隻体制から、守備艦隊や各国駐留艦隊旗艦にもパラドックス級を採用する120隻体制へと移行する計画が立案された。

 

 大軍拡派は本音では、パラドックス級の万単位での建造を望んでいた。だが国力不足と兵員不足のため、今回は断念した。

 

 ただし、大軍拡派は完全に諦めたわけではない。

 あくまで、先送りにしただけだ。

 

 星間国家会議以降、地球連邦は星間貿易の拡大と同盟国の増加の恩恵を受けて、国力が凄まじい勢いで伸び続けている。

 

 人員不足も、艦隊総旗艦・分艦隊旗艦のみに人員を乗せ、その他の艦艇はメンタルモデル単独で制御する大規模無人艦隊構想が現実味を帯びてきていた。

 

 この方式が定着すれば、艦隊規模を一気に拡大することも可能になる。

 

 大軍拡派は、遠からず万単位でパラドックス級を量産し、銀河全域にパラドックス級を旗艦とする回帰時空波動砲艦隊を即時展開可能になる日が来ることを既に確信していた。

 

 さらに西暦2207年までに完成予定の第二ホープ・スターの建造も開始。全長は第一ホープ・スターを大幅に上回るおよそ1600キロを予定。

 

 この新たな超巨大宇宙要塞の力で侵略者であるデザリアムの本拠地へと侵攻し、粉砕する戦争計画が決定された。

 

 もう二度と貴重な友好関係を結べている同盟国に被害を出させないため、野蛮な侵略者を確実に殲滅するために……地球連邦はさらなる大軍拡を開始した。

 

 

 

 一方、ボラー連邦もサジタリウス条約機構結成に対抗して、西暦2206年にペルセウス条約機構を結成。ディンギル帝国やSUSといった複数の星間国家が参加を表明した。

 

 しかし、ボラー連邦の内部は、ウラリアの魔女の影響で年々深刻化する宇宙規模の寒冷化による被害、各戦線での連戦連敗、海賊として暴れまわっているガトランティス艦隊のせいで起きている治安崩壊などが重なり酷く疲弊していた。

 

 さらに追い打ちをかけるように、ボラー連邦の弱体化を狙う地球連邦から支援を受けた独立勢力が一斉に蜂起し、連邦からの離脱を宣言。ボラーの春と呼ばれる大規模な独立運動が発生。

 

 外には地球連邦艦隊やガルマン・ガミラス艦隊を主軸とするサジタリウス条約機構軍。内にはガトランティス海賊艦隊と多数の独立勢力。

 

 ボラー連邦は内外の敵と同時に戦い苦戦を強いられ、さらにその最中に——

 

 ペルセウス条約機構に名を連ねていたはずのディンギル帝国とSUSによる裏切りが発生。

 

 ボラー連邦の衰えを見て——いや、衰えを“確信”してから、両国はすぐさまボラー連邦から領宙の切り取りを開始。

 

 この裏切りによって、一気に広大な領宙を喪失したボラー連邦の衰退がさらに加速していくことになる。

 

 

 





次回『地球連邦栄光の二十年史』

次回で一旦区切る予定です。本編の続きは3199第五章見た後、最終章まで見終わってから書くかもです。ただ、生存キャラたちの間話とか番外編ifとして一切盛られていない完結編と同規模通戦力のディンギルに地球連邦艦隊が挑む火葬戦記とか書いてみたいなあとは思ってます……

ガトランティス人は人間じゃないクローンのまま? それともバグって蛮族化?

  • 愛など不要! クローンのまま
  • 愛……愛愛愛愛ぃー ヒャッハー蛮族化
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