宇宙戦艦ヤマト世界の元からヒャッハー宇宙で地球がこの先生き残るには……   作:親と兄姉の姿を見て立派に育った未子

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番外編火葬戦記②

 

 

 

 天の川銀河には現在、四つの強大な軍事大国が存在している。

 

 事実上の銀河覇権国である地球連邦。

 

 地球連邦の同盟国である、ガルマン・ガミラス、新政ガトランティス。

 

 そしてペルセウス条約機構を解散して、地球連邦が主導するサジタリウス条約機構に合流する気満々のボラー連邦。

 

 この四大国は、西暦2207年にデザリアムという共通の脅威へ対処して以来、本格的な協調路線へと舵を切った。

 

 だが、これを面白くないと思う勢力がいた。

 

 新興勢力SUSである。

 

 SUSはボラー連邦を裏切り、混乱に乗じて領宙を奪い、急速に勢力を拡大した新興軍事国家だ。

 

 だが、ボラー連邦がサジタリウス条約機構軍と和解したことで状況は一変。

 

 対SUS戦に戦力を回せるようになったボラー連邦軍は、祖国領宙奪還を掲げて反攻作戦を開始した。

 

 ウラリアの魔女の影響もなくなり、海賊ガトランティスもいなくなったことでようやく本来の軍事力を取り戻したボラー連邦軍。

 

 おまけに敵は地球連邦軍ではない。

 

 ならば、ボラー連邦が負ける道理もない。

 

 こうしてボラー連邦軍の逆襲が始まり、SUSは奪った領宙の大半を奪い返されてしまった。

 

 この事態にSUS上層部は大焦り。

 

 SUSの真の支配者であるメッツラーも、ボラー連邦と他の軍事大国が潰し合いを止めてしまったことに腹を立てていた。

 

 メッツラーには、古代アケーリアス文明から派生した知的生命ではない、異次元からの来訪者が憑依している。

 

 天の川銀河や地球が存在している四次元宇宙とは異なる、虚無の異次元宇宙で誕生した、異次元そのものが意識を有した存在――重力思考体と仮称される存在だ。

 

 重力思考体の目的は、生命としての本質を果たすこと。

 

 ヤマト宇宙という、星間戦争ばかりしている四次元宇宙の人間たちを観測し続けた結果、重力思考体は「ここまで進化しても戦い、奪うことを止めないということは、それこそが生命の本質」と判断した。

 

 そこで自分も人間に倣い、四次元宇宙に存在する情報資源を力尽くで奪うことにしたのだ。

 

 SUSという傀儡国家をこの宇宙で台頭させ、軍事侵略で間接的に。

 

 あるいは、四次元宇宙の情報資源を自らの異次元に転送するための次元転移装置『カスケード・ブラックホール』を利用して直接的に。

 

 だが、その目的のためには強大な軍事力を保有している四次元宇宙の軍事大国が邪魔だった。

 

 特に、カスケード・ブラックホールを破壊できそうな波動砲を大量に保有している地球連邦は最大の脅威である。

 

 そこで、重力思考体はブラックホールを使って四次元宇宙から回収してきた情報資源を利用して粗雑な異次元銀河を創造。

 

 これを天の川銀河中心部へと送り込み、まずはボラー連邦とガルマン・ガミラスを壊滅させることにした。

 

 広大な領宙を管理している二大国が崩壊すれば、この銀河に大混乱が訪れる。

 

 その混乱の最中に、地球連邦に対して、ディンギル帝国などの野蛮な勢力をけしかけて国力を削る作戦を立案した。

 

 重力思考体は完璧な計画だと自画自賛した。

 

 

 

 

 

 しかし、その目論見は裏金で作られた違法建造兵器によって阻止されてしまった。

 

 

 

 

 

 西暦2210年。

 

 四次元宇宙へ異次元銀河が出現した、その瞬間――銀河を、そして宇宙をも震わせる歌が響いた。

 

 真空を伝わるはずのない旋律が、コスモウェーブに乗って星の海を渡る。

 

 その歌を宇宙に響かせた星の歌い手は、バーチャルテレサ。

 

 テレサを模倣して作られた、人工の女神。

 

 宇宙そのものを傷つけないよう、違法建造要塞アクエリアスを器にして顕現した彼女は、紫色の長い髪を揺らしながら歌い続ける。

 

 普段はメンタルモデルの人工人体で生活している彼女だが、セイレーンシステム起動と同時に、一時的に肉体を捨て去り、全宇宙の知的生命の意識を統合した集合知の核としての役目を果たす。

 

 かつて精神文明として極致に達したテレザート人たちが肉体を捨て、テレサという集合知的なひとつの存在に結集したように。

 

 歌を聞かされた古代アケーリアス文明から分たれたすべての知的生命の意識が強制的に同調させられ、一時的に一つに結集。

 

 そのオリジナルであるテレサをも凌駕する莫大な精神エネルギーを変換した物理エネルギーが、銀河系中心部に出現した異次元銀河を元の異次元へと押し戻した。

 

 重力思考体は呆然とした。

 神話の一節のような、衝撃的な光景を目にして。

 

 その時だった。

 

 ――ミツケタ……

 

 人工女神の瞳が、メッツラーに憑依している重力思考体の姿を正確に捉える。

 

 その瞬間、重力思考体はこれまでに感じたことのない、未知の感情に襲われた。

 

 恐怖だ。

 

 怯えた重力思考体は、無意識に、反射的に異次元からカスケード・ブラックホールを放ってしまった。

 

 だが、放たれたそれは、直後に現れた光の奔流に飲み込まれて跡形もなく消滅した。

 

 青白く、まるで宇宙を焼き尽くしてしまうのではないかと錯覚するほどのエネルギーを秘めた、螺旋を描く光。

 

 回帰時空直撃コスモツインノヴァ波動砲。

 

 異次元宇宙に撃ち込んで、重力思考体を異次元宇宙ごと消滅させるために開発された超兵器。

 

 クソデカ宇宙要塞アクエリアスを青く発光させるほど大量に備え付けられている増幅クリスタルによって増幅された波動エネルギー。

 

 全知的生命から抽出した精神エネルギーを、対象を消滅させるために必要な分だけ変換した物理エネルギー。

 

 その二つのエネルギーを同時に螺旋のように撃ち出して転送する波動砲である。

 

 もちろん対象消滅後、速やかに時空を巻き戻して被害だけを"なかったこと"にできるとてもクリーンな兵器だ。

 

 その破滅をもたらす光を目にして、重力思考体は理解した。

 

 これは、自分を殺すために生み出された兵器だ、と。

 

 そして重力思考体は即座に判断した。

 

 逃げるんだ。勝てるわけがない……と。

 

 すぐさま憑依体のメッツラーの肉体を切り捨て、強制的に接続を解除。

 

 そのまま重力思考体は異次元宇宙へと逃亡した。

 

 後に残ったのは、いつの間にか実質的なSUSの支配者になっていたメッツラーと、ボラー連邦に喧嘩を売ったせいで悲惨な末路を辿りそうなSUSの上層部だけだった。

 

 

 

 

 

 ☆☆☆☆☆

 

「どこへ行くのかな〜?」

 

 重力思考体の動向を追跡したおかげで、異次元宇宙の座標を特定することができた。

 

 これで異次元宇宙を消滅させることが可能なツインノヴァ波動砲を今すぐにでも転送可能だ。

 

「どうしよっかな〜」

 

 今すぐ殺すか。

 

「……あと四隻ぐらいアクエリアス級建造して、バーチャルテレサのアイドルユニット作るのもありかな〜」

 

 暫く生かして、アクエリアス級追加建造の大義名分に利用するか。

 

「分析レポートには、異次元宇宙からの敵に備えて、さらなる追加戦力の整備が急務である……と。よし!」

 

 少し考えてから、僕は後者を選択した。

 

 この宇宙の全知的生命の精神エネルギーを一つに集約してみたけど、正直エネルギー過多だった。

 

 五等分ぐらいにした方が、かえってエネルギーの利用効率が良くなるかもしれない。

 

「あ、またテレサからコスモウェーブきてる……」

 

 とりあえず、異次元銀河衝突事件を回避した僕は、ずっと着拒していたテレサのメッセージに応じた。

 

 

 





インフレ大戦が終わったので、次回は恒例行事の移民船団襲撃です……

ガトランティス人は人間じゃないクローンのまま? それともバグって蛮族化?

  • 愛など不要! クローンのまま
  • 愛……愛愛愛愛ぃー ヒャッハー蛮族化
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