宇宙戦艦ヤマト世界の元からヒャッハー宇宙で地球がこの先生き残るには……   作:親と兄姉の姿を見て立派に育った未子

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番外編火葬戦記③

 

 

 

 ディンギル帝国は、アンファ恒星系第四惑星ディンギルを中心に勢力を広げてきた星間国家である。

 

 そしてSUSと同じく、ボラー連邦主導のペルセウス条約機構に加盟後即座に裏切った野蛮な星間国家でもある。

 

 ディンギル人たちの価値観は単純だ。

 

 「力こそ正義」

 「弱肉強食こそ正義」

 

 このような極端な結果主義と利己主義で、ディンギル人たちは物事を判断する。

 

 目の前に現れる存在はすべて敵。

 勝つためなら卑劣な手段も厭わない。

 

 それがディンギル帝国だ。

 

 さらにディンギル人にはある秘密がある。

 実は、現生ディンギル人たちは、遠い昔、地球で起きた大洪水の際に救われた地球人の末裔である。

 

 当時、偶然地球を訪れていた超古代ディンギル人――本来のディンギル人たちが生存者を救助し、ディンギル星へと移住させたのだ。

 

 しかし。

 

 救われたはずの地球人の子孫は、やがて恩人である超古代ディンギル人を根絶やしにし、星を乗っ取ってしまった。なので、現生ディンギル人たちは、本来ならディンギル人と呼ぶべきではない存在だ。

 

 まさに自分勝手さばかりが発達した野蛮な民族である。

 

 そんなディンギルに亡国の危機が訪れた。

 

 西暦2210年。

 

 異次元銀河の出現――いわゆる“銀河交錯”が未然に防がれてから数ヶ月後。

 

 重力思考体の逃亡によって混乱していたSUSから旧領宙を奪還したボラー連邦軍は、続いてディンギル帝国へとその矛先を向けた。

 

 銀河交錯が起きていないので、ボラー連邦は未だ大国に相応しい強大な軍事力を保有している。

 

 一方的にボコれるのは、それこそ隔絶した軍事力を保有している地球連邦ぐらいのものだ。

 

 その圧倒的物量から放たれた、無数のボラー砲の雨がディンギル帝国軍に降り注ぐ。

 

 ディンギル帝国軍もハイパー放射ミサイルという強力な兵器で抵抗したが、物量差は絶望的だった。

 

 戦線は瞬く間に崩壊し、ボラーから奪った領宙はすべて奪い返されてしまった。

 

 さらにボラー連邦は容赦なく、かつての裏切りの報復としてディンギル本星へと惑星破壊ミサイルを撃ち込んだ。

 

 この報復攻撃によって、アンファ恒星系第四惑星ディンギルは、この宇宙から消滅した。

 

 しかし、ディンギル帝国上層部は選りすぐりの優れた戦士たちと共に、全長二十キロ超の巨大宇宙要塞――都市要塞ウルクに乗って脱出していた。

 

 なお、老人と一緒に女、子供を見捨てて母星に置き去りにしたので、種としての未来はほぼ絶望的である。

 

 こうして、ルガール大神官大総統率いるディンギル帝国残存戦力は、ほぼ詰んだ状態で宇宙を彷徨う漂流者になった。

 

 このままでは、ウルクの備蓄が尽きた瞬間にディンギルは滅亡する。

 

 そこで、ルガール大神官大総統は種の存続のために先祖の故郷である地球への移住を決定し、長男のルガール・ド・ザールに地球制圧を命じた。

 

 問題は。

 

 彼らが何も知らなかったことだ。

 

 ディンギル帝国はボラーほどの情報収集能力を持たない。

 

 地球連邦の情報を教えてくれる友好国もいない。

 

 直接交戦経験もない。

 

 ゆえに、ディンギル帝国は、地球連邦の“過剰防衛戦力”についてほとんど把握していなかった。

 

 こうしてルガール・ド・ザールに率いられ、地球連邦領宙に侵入したディンギル帝国軍地球制圧艦隊は、ガミラスから貰った資源惑星へと向かう開拓移民たちを乗せた移民船団と遭遇した。

 

「国籍不明の船団を発見致しました。おそらく、地球の船かと……」

 

「我らの前に現れるものはすべて敵だ。ハイパー放射ミサイルをもって撃滅せよ!」

 

 ルガール・ド・ザールの命令に従い、ディンギル帝国艦隊は通告もなしに移民船団へとハイパー放射ミサイルによる飽和攻撃を行った。

 

 ディンギル帝国が、地球連邦に対して無謀な戦争を挑んだ瞬間だった。

 

 

 

 

 

 奇襲を受けた移民船団には、アリゾナ級護衛戦艦ミズーリを旗艦に、護衛艦ミョウコウ、ジョン・ポール・ジョーンズ、サンプソンの計四隻の地球連邦軍艦艇が護衛として随伴していた。

 

「敵艦種識別……ボラー連邦から提供された情報と合致。ディンギル帝国艦艇です!」

 

 オペレーターの声が、ミズーリのブリッジに響く。

 

「ディンギル帝国……ペルセウス条約機構を速攻で裏切ったという野蛮な国の艦隊か!」

 

 ミズーリの艦長は、内惑星戦争時代から宇宙船乗りをしていた熟練の老兵だった。

 

 艦長は即座に反撃を指示。

 ミズーリの主砲がディンギル帝国艦隊へと向けられた。

 

「全艦、反撃開始!」

 

 四隻の護衛艦から、ディンギル艦隊に向けて一斉に陽電子衝撃砲が放たれた。

 

 青い閃光が次々とディンギル艦艇を穿ち、木端微塵に粉砕。あまりの威力に誘爆に巻き込まれる敵艦さえいた。

 

「今の内に移民船団を連続ワープで退避させろ! 全艦対空防御! 敵ミサイルを迎撃せよ!」

 

 迫るハイパー放射ミサイルに対しては対空ミサイルに対空パルスレーザーで対処、撃ち漏らしを波動防壁を展開した護衛艦隊が移民船団の盾となって受け止める。

 

 それでどうにかなるだろうと、艦長は判断した。

 

 だが。

 

「……っ! 対空パルスレーザー効果無し!? 敵ミサイルなおも接近!」

 

 ディンギル帝国軍が放ったハイパー放射ミサイルは、艦長の想定以上に優れた兵器だった。

 

 ハイパー放射ミサイルは、徹甲榴弾のように高速で突き刺さり、内部で爆発し、さらに猛毒の放射性物質を流し込む凶悪兵器である。

 

 おまけに、ミサイル自体の防御力が異常に高い。

 

 殆どの兵器では、傷一つつけることさえ難しい。

 

 迎撃するには、それこそ対ハイパー放射ミサイルに特化した特殊装備を用意するか、主砲の陽電子衝撃砲を直撃させるしかない。

 

 原作で、ヤマト以外の地球防衛軍を壊滅させた恐ろしい兵器がここでも猛威を振るう。

 

「て、敵ミサイルが波動防壁を貫通! サンプソン被弾!」

 

「なんだとっ!?」

 

 さらにハイパー放射ミサイルは、かつてのガトランティス戦役で猛威を振るった自滅型攻撃艦イーターと同じく波動防壁をも貫通した。

 

 意表を突かれてハイパー放射ミサイルが護衛艦サンプソンに直撃。

 

 瞬く間にサンプソンの船体から炎が噴き上り、二つに割れて爆沈した。

 

「サンプソン爆沈! ミョウコウ、被弾っ!」

 

「逃げ遅れた移民船団にも被害がっ!」

 

 ハイパー放射ミサイルが他の護衛艦や移民船にも殺到する。

 

 護衛艦ミョウコウにもハイパー放射ミサイルが直撃。

 

 ワープが間に合わず逃げ遅れた移民船は、その巨体のおかげで爆沈こそ免れたが、ハイパー放射ミサイルによって流し込まれた猛毒の放射線が中にいた多くの人々を死へと追いやった。

 

「移民船からの報告です。敵ミサイルによる有毒な放射線によって多数の犠牲者が出ているとのこと」

 

「全乗組員に防護服の着用を厳命! ジョン・ポール・ジョーンズは移民船団とミョウコウの乗組員の救助にあたれ! 敵はミズーリ単艦で食い止める!」

 

 猛毒の放射能から逃れるため、移民船から次々と救命船で人々が脱出していく。

 だが救命船にも、ディンギル帝国軍は容赦なく攻撃を加え続ける。

 まるで、人道や救命という概念を嘲笑うかのように。

 

「外道共め……」

 

 地獄絵図のような戦場の様を見て、ミズーリ艦長は報復として波動砲の使用を決断した。

 

「ならば、こちらも容赦せん! ミズーリ、前進せよ!」

 

 移民船団の盾になるように、ミズーリが敵艦隊に艦首を向けて前に出る。

 

「攻撃こそ最大の防御である! 回帰時空直撃トランジッション波動砲発射用意! これは、正当防衛だ!」

 

「回帰時空システム、コスモ波動システム、転送システム異常なし。いつでも撃てます!」

 

 ミズーリの艦首が蒼く輝き、莫大なエネルギーが収束していく。

 

「収束波動砲から拡散波動砲へ……回帰時空直撃トランジッション波動砲発射ぁっ!!」

 

 卑劣なディンギル帝国軍に対して、宇宙を震わせる報復の閃光が放たれた。

 

 

 

 

 

 

「余剰次元の過剰展開を検知!」

 

 地球制圧艦隊旗艦の艦橋に、鋭い警告音と共に報告が走る。

 

「ボラー砲と同じタイプの兵器か……連中の切り札だな」

 

 オペレーターからの報告に、ルガール・ド・ザールは口角を吊り上げた。

 

 ディンギル帝国軍は、ボラー連邦との戦闘でボラー砲の恐ろしさを嫌というほど味わっている。

 

 だからこそ、対処する戦法も研究済みだ。

 

 ボラー砲やその類似兵器は、発射までに溜めがある。

 

 そして、連射はできない。

 

 無論、圧倒的物量のボラー連邦軍であれば、数でゴリ押しして第二撃、第三撃と雨のようにボラー砲を降らせることもできるだろう。

 

 だが今回の敵はたった二隻。

 内一隻は無駄な弱者救済を行っているので、実際に戦えるのは一隻のみ。

 

「全艦短距離ワープ!」

 

 ならば対処は容易だ。

 波動砲発射の瞬間、ディンギル艦隊は一斉に短距離ワープを敢行。

 次の瞬間、ミズーリから放たれた波動砲は虚空を穿った。

 

「ふっ、勝ったな」

 

 波動砲の回避に成功したルガール・ド・ザールは勝利を確信する。

 

 この手の兵器は連射ができない。

 つまり、もう敵に戦況を覆す手段は残されていないということだ。

 

「水雷母艦に連絡しろ。ガス欠の敵超弩級戦艦に今すぐトドメを――」

 

 

 

 

 

 

 ルガール・ド・ザールは知らなかった。

 ディンギル帝国軍が敗北したボラー連邦を、かつて一方的にボコっていた地球連邦軍。

 

 その波動砲艦の恐ろしい性能を……。

 

「敵艦隊短距離ワープ! 波動砲直撃ならず!」

 

「構わん! あと五発は撃てる! 次こそ直撃させろ!」

 

 戦艦ミズーリは、転送可能な波動砲を六連射できる戦艦である。

 

「それと、ワープ阻害フィールドを展開しておけ。もう逃がさんぞ!」

 

 再び、ミズーリの艦首に莫大なエネルギーが収束する。

 

 

 

 

 

 

「よ、余剰次元の過剰展開を検知!? 敵超弩級戦艦からです!」

 

「馬鹿な!?」

 

 ルガール・ド・ザールは驚愕した。

 すべてが想定外だった。

 

「は、話が違うぞ。もう一度短距離ワープで……」

 

「ダメです! 謎の干渉を受けてワープが阻害されています!」

 

「なんだとっ!?」

 

 逃げる術を失ったディンギル帝国艦隊に対して、ついに波動砲が牙を剥く。

 

「今すぐだ。今すぐにハイパー放射ミサイルであれを沈めろ!」

 

 残念ながら、戦艦は簡単に沈まない。

 

「重力震反応っ! 砲撃が来ますっ!!」

 

 今度は回避できない。

 

 転送された波動砲の光が、艦隊の眼前で拡散する。

 

 無数の光条が雨のように降り注ぎ、恐ろしい早さでディンギル帝国軍の艦艇を周囲の時空間ごと消滅させていく。

 

「な、なんという兵器だ……」

 

 奇跡的にルガール・ド・ザールが乗っていた旗艦は生き残った。

 

 だが他の地球制圧艦隊所属艦艇は全滅。

 

 生き残ったのは、旗艦と後方に待機させている水雷母艦のみ。

 

「て、敵超弩級戦艦艦首に余剰次元の過剰展開を確認!」

 

「まだ撃てるのか!?」

 

 ミズーリの攻撃はなおも容赦なく続く。

 

「我々は……一体何と戦っているんだ……」

 

 ルガール・ド・ザールはついに悲鳴のような叫びを上げた。

 

 そして、絶望した直後。

 

 三撃目。

 

 すぐ目の前に転送されてきた、波動砲の青く眩い破滅の光。

 

 旗艦は一瞬で波動砲に飲み込まれ、ルガール・ド・ザールもまたこの宇宙の現時空間から完全に消滅した。

 

 奇跡は、二度も起きなかった。

 

 

 

 

 

「敵旗艦消滅! ですが、艦隊後方射程圏外に敵空母と思しき艦影が……」

 

「プレゼントを送ってやれ」

 

 ミズーリ艦長が無慈悲に言い放つ。

 

「目標、射程圏外の敵母艦。回帰時空直撃トランジッション波動砲……発射ぁっ!!」

 

 転送システムによって送り届けられた四撃目の波動砲が、地球制圧艦隊最後の一隻である水雷母艦を塵一つ残さず消滅させた。

 

 こうして、ディンギル帝国地球制圧艦隊とミズーリ率いる護衛艦隊の戦闘は幕を閉じた。

 

 だが、この戦闘で撃沈された二隻の護衛艦の人員、逃げ遅れた移民船に乗っていた多数の人々が犠牲になった。

 

 

 

 

 

 ディンギル帝国の指導者であるルガール大神官大総統は、任務に失敗した不甲斐ない息子の死に様を見て激怒した。

 

「戦場に向かう。ワープせよ!」

 

 すぐさま。移動拠点である都市要塞ウルクを地球制圧艦隊が全滅した宙域へと向かわせた。

 

 戦争は、まだ始まったばかり……。

 

 全長二十キロ超の宇宙要塞の脅威が、戦闘を終えたばかりのミズーリと移民船団に迫っていた。

 

 

 

 

 

 

 ☆☆☆☆☆

 

 ディンギル帝国による、移民船団襲撃事件。

 

 ガミラス、ガトランティス、ボラー連邦、デザリアムに次ぐ五度目のワーストコンタクトの報告を、地球連邦大統領と芹沢副司令長官は、星間国家会議の最中に受けた。

 

 今回の会議の議題は、銀河の交錯の影響。

 

 危険過ぎる違法建造要塞アクエリアスをどうするかなどだった。

 

 特に今回の会議には、ボラー連邦の代表団が初めて参加しており、波動砲規制条約の本格的な枠組みが整うかもしれない――そんな歴史的瞬間が期待されていた。

 

 その矢先の出来事だった。

 

 会議を中断し、地球連邦大統領はすぐさまヤマトと護衛艦隊を移民船団の救援に向かわせた。

 

 各国も救援艦隊を編成し、ヤマトに追随させることを決定。

 

 会議には、かつてデザリアムに襲撃された反省から、今回は各国が大規模な艦隊、宇宙要塞まで派遣して警備にあたっている。

 

 なので多少戦力が抜けても警備に支障はなかった。

 

 地球連邦はパラドックス級十隻と回帰時空波動砲艦一万隻、宇宙要塞アクエリアスを。

 

 ガルマン・ガミラスは東部方面司令要塞、ガトランティスは新造した第二彗星都市帝国、ボラー連邦は機動要塞ゼスパーゼを派遣し、イスカンダル軌道上で、デザリアムのような侵略者がいないか睨みをきかせている。

 

「此度のディンギル帝国の襲撃によって、多くの罪なき地球連邦市民が犠牲になりました」

 

 ヤマトが救援に向かったのを確認してから、大統領は、深い悲しみを帯びた声で各国代表に語りかけた。

 

 哀悼の意を表すように、各国代表団は沈黙する。

 

「我々の切なる平和への祈りは、悪辣なるディンギル人による暴虐によって、無惨にも踏み躙られたのです!」

 

 大統領の拳が震える。

 怒りを滲ませるように、拳を血が出るほど力強く握りしめられていた。

 

「地球連邦政府は、このディンギル帝国の非道に対して、断固、正義の鉄槌を下さなければならない!」

 

 演台に拳が叩きつけられ、重い音が議場に響く。

 

 地球連邦の凄まじい怒りが、感じられる出来事だった。

 

「地球連邦政府は、ディンギル帝国へと宣戦を布告する!」

 

 宣戦布告を聞いて、各国代表はごくりと唾を飲み込んだ。

 

 地球連邦は本気だ。

 

 波動砲艦隊を、パラドックス級超巨大戦艦を、ホープ・スターを、そしてあのアクエリアスを使って全力でディンギルに報復を行うだろう。

 

 それを察した各国はすぐさま立場を表明した。

 

「ガルマン・ガミラスは、同盟国として地球連邦を支援しよう」

 

「ガトランティスは、地球連邦と共にディンギル帝国へ宣戦布告します」

 

「……ボラー連邦は、ディンギル帝国と未だ戦争状態にある。地球連邦の参戦を歓迎する」

 

 星間国家会議の場において、銀河の大国すべてがディンギル帝国へと宣戦を布告。

 

 これを見て、星間国家会議に参加していたすべての星間国家がディンギル帝国に宣戦を布告した。

 

 事実上の銀河連合軍が結成された瞬間だった。

 

 

 





ちなみにこの世界線の西暦2210年仕様ブルーノア級とヤマトは六×六で三十六連射できます……

ガトランティス人は人間じゃないクローンのまま? それともバグって蛮族化?

  • 愛など不要! クローンのまま
  • 愛……愛愛愛愛ぃー ヒャッハー蛮族化
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