宇宙戦艦ヤマト世界の元からヒャッハー宇宙で地球がこの先生き残るには…… 作:親と兄姉の姿を見て立派に育った未子
か、感想がいっぱい……っ!
赤バー評価……っ!!
ありがとうございますっ!!!
——生命体の存在する惑星には「星のエレメント」というものが存在している可能性がある。この星の物質と生命の進化の記憶が封じ込められていると推察される物質を観測し、獲得、制御することができれば、例えば他の人が住めない不毛な星の環境を、地球のエレメントを用いて地球と同一の環境に書き換えるようなことも夢ではない。ただし、この星のエレメントを完全な状態で収奪し、保管するには……
ひっそりと、明井里愛朱が出して学会で話題になった論文より……
地球連邦政府の成立後、火星はかつてない発展を遂げていた。
地球を首都星とする代わりに、火星には太陽系最大の艦隊拠点——火星鎮守府が建設され、膨大な地球資本が次々と流れ込んでいた。
しかし火星環境は相変わらず過酷だ。コツコツとテラフォーミングを進めてはいるものの、現在の人類技術では、地球と同レベルの環境に整えることなど到底できない。
それでも地球連邦政府は考えていた。
――もっと早く、もっと大規模に、火星のテラフォーミングを実行できないか、と。
そこで白羽の矢が立ったのが、なんか凄いテラフォーミングに関する論文をいつの間にか書いていた明井里愛朱博士が研究開発していた装置だった。
波動砲や波動防壁関連の軍事転用も可能だからと、研究を承認していたこの装置に、地球連邦政府は強い関心を見せた。
こうして、地球連邦政府と明井博士主導による大規模な火星テラフォーミング計画が始動した。
予算はほぼ無制限。必要なものは明井博士の要望で集められた“内惑星戦争時の戦争犯罪死刑囚”も含め地球連邦政府に用意可能なものすべてが装置開発のために与えられた。
そして、西暦2189年。
ついに火星のテラフォーミングを目的とした装置として、『コスモオーバーライトシステム(COS)』が完成した。
地球人類初の「星のエレメント」を取り扱う装置が完成した瞬間だった。
ただし、この装置の危険性について博士は一つ警告していた。
「星のエレメントの書き換えは惑星に強い負荷がかかります。火星の寿命が縮む可能性もありますよ」と。
しかし地球連邦政府は躊躇わなかった。
——星の寿命は長い。
——多少縮んだところで、当分の間は問題ない。
——優先すべきは異星文明との接触に備えるため、一刻も早く国力を増強することだ。
遥かな未来の懸念より直近の利益を。
地球連邦政府という人類統一国家の国力増強が最優先すべきだと。
そう判断して火星での実験が強行された。
そして、行われたコスモオーバーライトシステムによるテラフォーミング実験は……失敗した。
実験当日。
装置は確かに正常に作動した。
地球連邦政府高官たちは、火星が地球と同じように青い海と豊かな自然に覆われる瞬間を今か今かと待ち望んだ。
だが。
どれだけ待っても。
火星の大地も、大気も、温度層も、まったく変化が訪れなかった。
コスモオーバーライトシステムは正常に動いたはずなのに、地球のエレメントを用いた上書きは実現しなかった。
この結果に連邦政府は大きく落胆した。
それでも、地球連邦政府は今回のテラフォーミング装置開発に莫大な予算を投資したのだ。
ただ失敗しただけという結果は、絶対に認められない。
また、あの天才明井里愛朱が作った装置が火星環境に何の影響も与えなかったとはとても考えられない。
地球連邦政府はさっそく、コスモオーバーライトシステム実験による火星への影響を調べる調査チームを編成して火星を調べ始めた。
すると、実験失敗から数日後。
調査チームが、これまで火星にはなかった未知の空間を発見。
すぐさま地球連邦政府はその未知の空間を最優先調査対象とした。
そして調査の結果——その空間は、「時間の流れが外界と異なる特殊な空間」であることが判明した。
つまり、コスモオーバーライトシステムはただ失敗したのではなく、上書きこそできなかったが星のエレメントを用いた惑星への干渉には成功していたのだ。
その干渉の結果生まれたのが——後に『時間断層』と呼ばれるようになる特殊空間だった。
こうして、地球連邦政府は火星のテラフォーミングには失敗したが、代わりに『時間断層』と『時間断層を作ることができる装置』を手に入れた。
☆☆☆☆☆
かつてこの宇宙の太古の時代、古代アケーリアス文明の撒いた知的生命の種の中から一つの文明が生まれた。
イスカンダル文明。
古代アケーリアス文明から派生した文明の中でも最初期に誕生した、いわば長男のような文明だ。
文明を築いたイスカンダル人は、その弛まぬ向上心と探求心により、波動エネルギーを軸とする極めて発達した科学文明を築き上げた。
それでも、向上心の留まることを知らないイスカンダル人たちは満足できなかった。
さらに、この宇宙のすべての人型知的生命の祖である古代アケーリアス文明と同じ高みに到達したいという夢を抱いた。
だが、その高みに至るには、この宇宙の物理法則全てが足枷となった。
そこでイスカンダル人が選んだのは、肉体を捨てて記憶だけの存在となることだった。
イスカンダル星の王都地下に『サンクテル』と呼ばれる大記憶庫を設立し、肉体を捨ててエレメントと化したイスカンダル人はそこへと収まった。
記憶庫の中では、その記憶の持ち主が幸せだと感じていた頃の日々を何度でも追体験することができるようになっている。
さらに星のエレメントを触媒にして、惑星の記憶を呼び起こし、惑星を復元する装置——コスモリバースシステムを使えば記憶を基に現実世界にその存在を再構築することも可能。
サンクテルの記憶さえ残っていれば何度でも復活することができるため、記憶化された者は事実上の永遠の命を手に入れることができた。
こうしてイスカンダル人たちは普段はサンクテルの中で幸せな思い出の中に浸り、必要に応じて現実へと出てくるという道——記憶庫でニートになることを選んだのだった。
だが、ただ勝手に引き篭もるニートになっていればよかったのに、イスカンダル人たちはその後とんでもない愚行を犯した。
遍く星々……その知的生命の"救済"。
人間は不完全な存在であり、互いに争い続けた末に宇宙そのものを破壊してしまうだろう、と記憶庫に引き篭もりながらイスカンダル人たちは考えた。
だから、宇宙の崩壊を防ぐため、全ての文明を記録として保管することを自分たちだけで勝手に決めた。
そして他文明を惑星ごと滅ぼし、星のエレメントを収奪(エレメントを手に入れるには現実世界での存在を消し去る必要があるため)し、それを記憶庫に保管する"儀式"を始めた。
記憶庫に保管された者は互いに干渉しあうことが無い。
そのため争いが起きることもなく、全ての文明が幸せな夢を見ながら共存する理想郷を作ることができる。
イスカンダル人たちは、それを救済だと考えた。
ただし、他の文明に救済に対する拒否権はない。
数多の文明が、記憶庫でのニート生活を辞めたくないイスカンダル人たちの代わりに働かされている奴隷民族の手で、波動砲で母星ごと消し飛ばされてエレメントへと変えられた。
しかし、やがてイスカンダル人たちは記憶庫内で幸せな時間に浸るうちに、現実世界への興味を失ってしまった。
その結果、儀式が行われなくなり、記憶庫は閉鎖され、新たに記憶が入ってくることも無くなった。
奴隷民族もようやく解放され、イスカンダルの双子星で独自の文明を築き始めた。
文明の名はガミラス。
その名が——イスカンダル語で"ガルマンの人猿"という意味だとも知らずに。
彼らはイスカンダルを崇拝し、自分たちの文明の名と青い血、青い肌を誇る文化を発展させていった。
こうしてようやく、この過酷な宇宙で楽園のような記憶庫でニート生活を満喫しながら数多の文明を滅ぼしてきたイスカンダル人たちの現実世界での迷惑な歩みが止まった。
イスカンダルという文明はこの宇宙では珍しく、他の如何なる文明にも干渉されず(自分たちは勝手に干渉しに行く)、他の如何なる文明にも脅かされることなく(強すぎて誰も脅かせなかった)、他の如何なる文明も関係なく勝手に自滅して自らの文明の滅びを受け入れたのだ。
そんなイスカンダル人たちは、今も王族だけ働かせて、楽園のような記憶庫でニート生活を満喫している。
吾輩はTS転生者である。
名前は明井里愛朱。
今は、全盛期イスカンダルの超技術に少しでも近づこうと挑んだ「星のエレメント」を取り扱う装置の実験失敗について、一人反省会をしている。
今回作ったのは、火星大規模テラフォーミング装置の『コスモオーバーライトシステム』。
通称COS(仮)。
地球のエレメントを利用して、火星の環境を地球と同じ環境へと上書きするテラフォーミング装置として開発した。
イスカンダルが地球復興に使った『コスモリバースシステム(CRS)』を、原作知識を頼りに、ほぼゼロから再現しようと作った試作装置だ。
いわば、この装置によるテラフォーミング実験成功は、地球文明がイスカンダルの科学技術レベルに足を踏み入れたことを証明するものになる。
ところが、この装置はただ『時間断層』を発生させるだけのバグ発生装置になってしまった。
実験は失敗だ。
流石はイスカンダルの超技術。
星のエレメント関連の技術には、やっぱりゼロからいきなり到達するのは無理だった。
一目見ただけで簡単に作れそうだと思ったボラー艦やほぼゼロからでも片手間で作れた瞬間物質移送器の時とは大違いだ。
せめて実物見て調べさせてもらえたら、もっと完成度の高い装置を作れたと思うけど、実物見るためにガミラスの遊星爆弾を受け入れて滅びかけるのは絶対に嫌だ。
切り替えて、今はポジティブに考えよう。
初挑戦で『時間断層』を発生させることはできたんだ。
星のエレメントを使って惑星に干渉できたことは間違いない。
ちなみに今回の火星上書き実験に使った地球のエレメントは、内惑星戦争の戦争犯罪者たちをつかって
星のエレメントは星そのものからだけでなく、その星に住まう生命からも手に入れることができる。
でもやはり、生命から得た星のエレメントの取り扱いは難しい。
本家イスカンダルの技術で作られたコスモリバースシステムでも、知的生命から獲得したエレメントでは効果が限定的であり、かつ不具合が起きやすく、使えるのも一度きりだった。
荒廃した地球を蘇らせるため、沖田十三という地球で生まれ育った知的生命のエレメントを利用した結果、復興したとはいえ環境が不安定になったり、時間断層というバグが発生したように。
完全な星のエレメントを手に入れるには、やはり生命が住まう星とその上に住まう全生命の同時エレメント化——“儀式”が必要だろう。
まあ、流石にそれをやったらアウトだ。
試すことができたら一気に技術を進めることができそうだけど、流石に自重しよう。
星のエレメントを利用した革新的なテラフォーミング装置完成にはまだ時間がかかりそうだ。
とはいえ、今回の実験で課題は見えてきた。
次の実験ではもう少し装置を改良して、エレメントの取り扱いにも気をつけよう。
科学の発展に犠牲はつきものだ。
これからも死刑囚のみなさんにはエレメント研究と、地球がこの宇宙の覇権文明へと至るための礎になっていただく。
それにしても時間断層か……
確かにこのチート空間に造船所や兵器工場を作れば……凄まじい速さで大規模な艦隊を整備することができるようになる。
だが、今の地球連邦政府には大量の艦隊を作るために必要不可欠な資源が全く足りていない。
最近ようやく太陽系外への調査を開始するようになったばかりだ。
太陽系内で手に入る資源の量なんてたかが知れている。
それこそ、ガミラスやボラーと星間貿易でもするか、あるいは資源の豊富な領土を分捕って大量の資源を確保でもしない限り……今の地球連邦政府では時間断層の本領を発揮させることができないだろう。
結局、地球連邦政府が時間断層内に造船所と兵器工場を完成させ、ようやく波動砲艦艇の建造を始めることができるようになったのは、時間断層発見から二年後(時間断層内では20年経過)の西暦2191年からだった。
そして同年、地球連邦政府の太陽系外探査艦隊が、太陽系に接近する未知の艦影を確認した。
今回の話で察したと思いますが、天災オリ主と地球連邦政府のタッグは今後、『(古代アケーリアス文明の高みに行くまで)俺は止まんねえからよ!』と暴走し始める可能性があるので、止めて説教してくれる存在がいないと宇宙ヤバイです。
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