宇宙戦艦ヤマト世界の元からヒャッハー宇宙で地球がこの先生き残るには……   作:親と兄姉の姿を見て立派に育った未子

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ついにガミラスと接触しました

 

 

 

 西暦2191年。

 

 太陽系外探査の任務についていた島大吾一等宙佐率いる探査艦隊が、太陽系に接近する未知の艦影を確認した。

 

「……未知の艦影多数。これは……異星文明の艦隊です!」

 

 その索敵結果に、探査艦隊旗艦の艦橋内が一時騒然となった。

 

「地球連邦政府へ緊急通信回線オープン! 我、異星文明艦隊と接触!」

 

「了解です、島一等宙佐!」

 

 探査艦隊はすぐさま地球連邦政府へ通信で報告。その後、未知の艦隊に対して様々な言語パターンで通信を試みた。

 

 探査艦隊には、地球に存在したあらゆる言語、そして火星に漂着していたボラー連邦艦から得られた情報をもとに解析だけは完了している、天の川銀河に存在する(と推測される)いくつかの異星文明の言語に対応した翻訳システムが搭載されていた。もちろん、明井里愛朱製である。

 

「……応答あり! 言語パターン解析開始! 照合結果……ガルマン語と高い類似性を確認」

 

 すると、ボラー連邦艦から得られた解析済み異星言語の一つ、ガルマン語に限りなく近い言語パターンの返信が返ってきた。

 

「ガルマン語……!? つまり、ボラー連邦の……!」

 

 そのため、当初はボラー連邦と関わりのある艦隊かと島一等宙佐は勘違いをしてしまった。

 

 しかし、その後複数回のメッセージのやり取りを経て、未知の艦隊がボラー連邦とは別の星間文明の艦隊であることが判明した。

 

 大ガミラス帝国。

 

 未知の艦隊は、大小マゼラン銀河を統一し、その勢いのまま太陽系のある天の川銀河にまで進出を開始した巨大星間国家の艦隊だった。

 

 

 

 

「……ついに来たか。いや、来てしまった、というべきか」

 

 地球連邦軍統括司令長官の藤堂平九郎は、地球連邦軍総司令部で、ボラー連邦とは異なる未知の異星文明艦隊との接触の報を受けてゴクリと唾を飲み込んだ。

 

 この日のために、人類は統一政府を作り、統一軍を組織し、一隻でも多くの波動砲搭載艦を建造しようと努力してきた。

 

 まさか、ボラー連邦ではなくガミラスという別の星間文明と先に接触するのは予想外だったが。

 

 それでも、ついに異星文明と接触してしまった。

 

 探査艦隊の報告によると、相手は大小マゼランを統一しているという星間文明としては途方もない超大国だそうだ。

 

「司令部より全艦隊に発令! 未知の異星文明の艦隊が太陽系に接近している! 総員、戦闘配置につけ!」

 

 藤堂の横では軍務局長・芹沢虎鉄が腹の底から響く声で怒鳴っている。

 

 異星文明との接触の報告を受けた地球連邦政府は、即座に非常事態宣言と第一種戦闘配置を発令。

 

 現在の地球連邦軍は、五隻のアンドロメダ級をそれぞれの旗艦とし、約五十隻の主力戦艦ドレッドノート級と、主機関を次元波動エンジンに換装した金剛型宇宙戦艦、村雨型宇宙巡洋艦などの補助艦艇で構成される計百隻編成の波動砲艦隊を五つ——かなり無理して整備した基幹艦隊を保有している。

 

 この五個波動砲艦隊に加えて、太陽系各地にも、それぞれ守備隊の艦隊が配置されている。

 

 さらに、五隻のアンドロメダ級を含めた、すべての波動砲搭載艦には、明井里愛朱製・美少女アンドロイド型自律管制制御AI——メンタルモデルたちが搭載されている。

 

 高度な演算能力を持つメンタルモデルたちは、製作者である明井里愛朱以外に干渉も妨害もできない、未知の高次元リアルタイムネットワークで相互接続されているらしい。

 

 もっとも、真田さんなら解析し、何らかの方法でネットワークに割り込んだり、一時的に接続を断つような妨害くらいはできる可能性があるが。

 

 また、つい先日稼働し始めた時間断層工場では、本格稼働すれば毎月アンドロメダ級一隻とドレッドノート級百隻の建造が可能と見積もられている。

 

 生産設備の改良が進めば、その速度と生産量はさらに増加していくだろう。

 

「異星文明——ガミラス艦隊への対応は、第一波動砲艦隊、第二波動砲艦隊、第三波動砲艦隊……この三個艦隊による連合宇宙艦隊に任せたい」

 

「第四波動砲艦隊は火星絶対防衛ラインへ。第五波動砲艦隊は地球の最終防衛ラインに配置すべきかと」

 

「よし、その通りにせよ!」

 

 これらの戦力の中から、地球連邦政府は異星文明の艦隊に対応する戦力を、戦艦アンドロメダを旗艦とした第一波動砲艦隊、アンドロメダ級戦艦アルデバランを旗艦とする第二波動砲艦隊、アンドロメダ級改装空母アポロノームを旗艦とする第三艦波動砲艦隊の三艦隊による連合宇宙艦隊に一任した。

 

「第一、第二、第三波動砲艦隊は、直ちに火星鎮守府へ集結せよ!」

 

 そして、各艦隊に対して即座に火星鎮守府へと集結するように命じた。

 

 また、アンドロメダ級戦艦アキレス率いる第四波動砲艦隊には、時間断層と太陽系最大の艦隊拠点がある火星の絶対防衛命令、アンドロメダ級改装空母アンタレス率いる第五波動砲艦隊には地球最終防衛ラインへの集結命令が下された。

 

 

 

 宇宙空間に無数の光が瞬き、ワープアウトの残光が火星軌道を青白く照らす。

 

「長官、全艦ワープアウト完了。火星での補給は三十六分で完了予定です」

 

「ご苦労」

 

 連合宇宙艦隊総司令長官沖田十三は、艦隊総旗艦アンドロメダ艦長の山南修からの報告に小さく頷き、前方モニターに映る無数の艦影を見つめた。

 

 自らが乗るアンドロメダの姉妹艦、アルデバランとアポロノームの二隻のアンドロメダ級、さらには百五十隻の主力戦艦ドレッドノート級とその他補助艦艇多数。

 

 そのすべてが、火星に集結したこれから対ガミラス連合艦隊を構成する艦艇たちだ。

 

「壮観だな……」

 

 明らかに過剰戦力だが、地球連邦政府は未知の異星文明であるガミラスの技術力を恐れ、警戒し、万が一の事態に備えて一隻でも多くの波動砲艦を投入するべきだと判断してこれほどの大艦隊を沖田に託した。

 

 そんな中。

 

『こちら地球連邦軍総司令部——軍務局長、芹沢虎鉄だ』

 

「芹沢局長、何か?」

 

 総司令部から通信が入る。

 

 この時、ガミラスへの対応に際して、芹沢など一部軍高官は、波動砲による先制攻撃を主張したがあえなく却下されていた。

 

 まずは対話による友好の模索を。それが、地球連邦政府の最終決定となった。

 

 これは、既に島一等宙佐の尽力で、異星文明との対話がガルマン語とメンタルモデルのリアルタイム翻訳補正で十分可能であったことが判明したからだ。

 

 ちなみにメンタルモデルの予測翻訳補正精度は99.99%に到達しているとか。

 

 そのせいで、芹沢は無理やり沖田を解任して、艦隊に先制攻撃を命令することができそうになかった。

 

 だがそれでも芹沢は、対異星文明戦において鍵を握るのは波動砲だと確信していた。

 

『念のため確認しておく。ガミラス側に敵対の兆候があれば、即座に波動砲を撃て』

 

「……局長。我々はあくまで“接触”のために出ている。初手から撃つつもりはない」

 

『……現場の判断は尊重する。だが、異星人が野蛮な侵略者であれば……躊躇わずに波動砲を使用しろ。また、場合によってはこちらからメンタルモデルに直接撃たせることもできることを忘れるな』

 

 対話が不可能なら波動砲を撃てと命じて、一方的に芹沢からの通信が途切れる。

 

「……相変わらず、あの人は極端ですな」

 

 芹沢との会話を聞いていた艦長なのに副官の席にいる山南が呆れたようにぼやいた。

 

 そしてその横には、最近では山南の隣でよく目撃されるのが、この艦の日常になった儚げな少女の姿。

 

 メンタルモデル——アンドロメダ。

 

 彼女はいつも、何故か山南艦長の側にいることを好む。それは艦長を支えるためなのか、あるいは彼を通して人という存在を学ぶためなのか、あるいはまた何か別の理由があるのか……

 

「……どちらが正しいかは、これから我々が示すしかあるまい」

 

 メンタルモデルに促されて、仕方ない様子で彼女の頭を撫でてやっている山南の姿を見ながら、沖田はそう答えた。

 

 そのメンタルモデルが山南に甘えている様子を見守る目は、艦隊を見据えていた時と違い、まるで孫を見るような柔らかな目だった。

 

 その後、補給が完了した連合宇宙艦隊は、ガミラス艦隊が接近する天王星宙域へ向けて全艦ワープで急行した。

 

 こうして——沖田十三率いる連合宇宙艦隊は天王星宙域にて、ガミラス艦隊と対面する。

 

 地球史上初の“星間外交”が、幕を開けようとしていた。

 

 しかし、その初外交で彼らが目にしたのは——人類が思い描いた“理想”とは、あまりにもかけ離れた星間外交の厳しい現実だった。

 

 皮肉にも芹沢の先制攻撃論は、あながち間違いではなかったのだ。

 

 

 

 

 ☆☆☆☆☆

 

「長官、前方に未知の艦影多数!」

 

「全艦、戦闘配置。ただし、こちらからは撃つな。我々は“話し合い”に来たのだ」

 

 天王星付近にワープアウトした連合宇宙艦隊は、ガミラス艦隊の動向を見張っていた太陽系外探査艦隊に合流した。

 

 そして、ガミラス艦隊の旗艦ガイデロール級航宙戦艦と地球連邦連合宇宙艦隊総旗艦アンドロメダとの間で繋がった映像通信による異星文明同士の初会談が実現した。

 

『我々は大ガミラス帝国銀河方面軍ゾル星系(太陽系)調査艦隊である。貴様らが辺境のテロン人か……』

 

 アンドロメダの艦橋巨大モニターに、巨大なガミラス戦艦の艦橋と思しき光景が映し出された。

 

 そこに座していたのは、青い肌に肉の乗った顎を揺らす太った男——艦隊の指揮官と思しき無能そうなガミラス人。その背後には、地球人と同じ肌色の男たち——ガミラスに従属するザルツ人たちが直立している。

 

『蛮族共と同じく“ゲシュ=タム・ジャンプ(ワープ)”を使う技術はあるようだが……所詮はザルツと同じ、青き肌を持たぬ劣等種族のようだな』

 

 翻訳補正した音声が、アンドロメダの艦橋に流される。

 

 ガミラス人指揮官の劣等種族発言から、さっそく艦橋に不穏な空気が流れた。

 

 するとモニターの前に、地球連邦政府から派遣されてアンドロメダに乗船していた星間外交担当官が、無理やり表情を整えて一歩前へ出る。

 

「私は地球連邦政府代表、星間外交担当官です。我々に交戦の意思はない。まずは互いに情報を交換し——」

 

 丁寧な名乗りと、対話を求める言葉。

 だが、ガミラス人指揮官は退屈そうに片目を細めた。

 

『貴様ら劣等種族と対等な交渉? 下らん』

 

 そして酷く傲慢不遜な態度で、

 

『これより貴様ら劣等種族に、偉大なる総統の慈悲深きお言葉を伝える。光栄に思え』

 

 一方的に次のような要求をしてきた。

 

・我々大ガミラスに帰順すれば寛大な処置を与える。

 

・拒否すれば殲滅するだけだ。

 

・降伏し、従属せよ。青い血、青い肌を持たぬ劣等種族のテロン人ども。

 

 そのあまりにも巫山戯た条件に、外交官どころか、アンドロメダの乗員の誰もが言葉を失った。

 

「……帰順とは、具体的に?」

 

 外交官が肩を震わせながら問う。するとガミラス人指揮官は薄笑いを浮かべ、でっぷりとした腹の脂肪の塊をさすりながら告げた。

 

『このゾル星系を大ガミラスの属領とし、テロン人は我々高貴なガミラス人のために資源と労働力を捧げるのだ。青き肌を持たぬ劣等種族である貴様らでも、大ガミラスの二等臣民になれる悪くない道だぞ』

 

 それは事実上、太陽系と地球を明け渡してガミラスの奴隷になれと言っているようなものだ。

 

 これには艦橋のあちこちから、抑えきれない怒りと困惑の声が漏れる。

 

『さあ、選べ。テロン人』

 

「は、話し合おう。地球と貴国……異なる星の文明同士が、互いを尊重し合える関係を……」

 

『もうよい、銀河辺境の劣等種族の分際で思い上がりおって』

 

 外交官が必死に交渉を試みたが無駄だった。

 

 ガミラス人指揮官は最後まで、地球人類のことを心の底から見下していた。星間文明としてまったくの無名である地球のことを、所詮は銀河辺境の野蛮な劣等種族……と完全に侮っていた。

 

 そもそも、急速な拡大政策のツケが回って、深刻な人的資源不足に陥っているガミラスが、たかが天の川銀河辺境の星系調査にまともな人材を回せるはずがなかった。

 

 結果、リメイク版ボラー連邦のボローズ総督並みの人材が太陽系調査艦隊の指揮官に任命されていた。

 

 ただでさえイカれた急拡大政策を実施中のガミラス軍の中で、軍人としては最底辺の純血主義を拗らせた無能が初の星間外交相手だった時点で……地球側にはどうしようもなかったのだ。

 

『我々の慈悲を受け入れず、帰順を拒む劣等種族はこの宇宙に不要だ。滅ぶがいい……』

 

 背後のザルツ人たちが、かつての自分たちと同じく理不尽な選択を迫られている地球人のことを哀れむような、諦めきったような目を一瞬だけ向ける。次の瞬間、通信はプツリと途切れた。モニターが暗転した。

 

「翻訳ミスじゃないのか!? 尊称か何か、ニュアンスが……!」

 

「いいえ……! 翻訳システムも、メンタルモデルによる翻訳補正も、誤訳はゼロと判定しています!」

 

 艦橋クルーたちも必死で翻訳ミスがないか何度も確認したが、残念ながら明井里愛朱製翻訳システムは完璧だった。

 

「ど、どうしてこんな……? 我々は対話による友好を……!」

 

 こうして、地球人類初の異星外交は失敗した。

 

 ガミラスとの初接触時から対話による友好を模索した島一等宙佐の尽力も、すべて無駄になってしまった。

 

「が、ガミラス艦……発砲!!」

 

 時同じくして、オペレーターの絶叫混じりの報告が、艦橋を切り裂いた。

 

「う、撃ってきた!?」

 

 西暦2191年四月一日。ガミラス側は、一方的に殲滅戦を宣言し、通信を切断。直後に地球艦隊への攻撃を開始。

 

 緑色の魚のようなシルエットを持つガミラス艦隊——クリピテラ級駆逐艦とケルカピア級高速巡洋艦、その間にはメルトリア級巡洋戦艦。

 

 その艦砲から、赤い光が一斉に迸った。

 

 多数の陽電子砲が、赤い矢となって宇宙を貫く。

 

「長官!!」

 

「全艦、波動防壁展開!」

 

 だが、この世界線の地球艦隊にはしっかりと波動防壁が備わっていた。

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、即座にアンドロメダの外殻を青白い膜が包んだ。

 

 同時に、周囲のドレッドノート級、金剛型、村雨型の船体にも、同じ光の膜がぽうっと灯る。

 

 次の瞬間、赤い陽電子砲の雨が地球艦隊へと降りそそぎ、波動防壁に衝突した瞬間、宇宙空間に眩い閃光が咲いた。赤と青のエネルギーがぶつかり合い、波紋のように広がる。

 

「波動防壁、全艦展開成功。被害なし!」

 

 波動防壁の表面を走る衝撃波が、アンドロメダ艦橋の計器類を微かに震わせた。

 

「……助かった。波動防壁がなければ……危なかったな」

 

 報告を受けた山南が、安堵の息を吐き出す。

 

 ガミラスからの奇襲は、波動防壁によって完全に無効化された。その事実が、アンドロメダ艦橋の空気を一瞬だけ軽くする。

 

 だが、すぐに沖田の声が、次の指令を告げた。

 

「全艦、反撃用意」

 

 沈黙の中に、命令が落ちる。

 地球艦隊全体に伝令が走り、砲塔が一斉に旋回を始めた。

 

 アンドロメダの主砲——40.6センチ三連装収束圧縮型衝撃波砲塔も、ゆっくりとガミラス艦隊へとその砲口を向ける。

 

「——撃ち方、始めッ!」

 

 沖田の号令とともに、地球艦隊の主砲から次々と青い閃光が放たれた。

 

 青白い陽電子衝撃砲(ショックカノン)の奔流が、一斉に宇宙を貫いていく。

 

 ガミラス艦隊側も再び赤い光線を放つが、今度は“撃ち合い”だ。

 

 宇宙の暗闇の中、赤と青の光線が交錯し、絡み合い、そして弾ける。

 

 だが——その中で確実に砲撃が“勝っていた”のは、地球側の火力だった。

 

 ガミラス艦の装甲は、地球の陽電子衝撃砲の直撃には耐えられなかった。

 

 一発、二発と陽電子衝撃砲が直撃し、貫通するたびに、クリピテラ級駆逐艦の船体が青い火花を散らし、やがて内側から破裂するように爆散する。

 

 一隻。

 また一隻。

 

 ケルカピア級高速巡洋艦が回避行動を取ろうとするが、その前にドレッドノート級の一斉射が襲いかかった。

 

 艦首から船尾へ走るように、青白い閃光が貫通し、その艦体は軌道を失って横倒しのまま崩れ落ちる。

 

 メルトリア級巡洋戦艦が、味方をかばうように前に出る。

 

 だが、そのクリピテラやケルカピアより厚い装甲も、アンドロメダ級とドレッドノート級の主砲を受けきれるほどではなかった。

 

 何十条もの青い光が、メルトリア級の船体を上下左右から貫き、装甲の隙間から内部のエネルギーが噴き上がる。

 

 数秒後、巨大な光の花が静かに咲いた。

 

 ガミラス艦隊は、為す術もなく、一方的に撃沈されていく。

 

 対して地球側は、波動防壁に守られているので殆ど無傷だ。

 

 数でも、火力でも、練度でも、艦の性能でも、この戦いにおいては地球艦隊が圧倒的優位に立っていた。

 

 やがて、ガミラス艦隊の残存艦は、慌ただしく陣形を崩し始める。そして後方への転進——撤退を開始した。

 

 その先頭を真っ先に行くのは、殲滅戦を宣言した、あのガミラス人指揮官の乗るガイデロール級航宙戦艦だった。

 

「敵超弩級宇宙戦艦、艦首反転。離脱していきます!」

 

「主砲、敵旗艦に照準」

 

 アンドロメダの甲板上で、巨大な三連装砲塔が低い唸りを上げ、砲口の先に青白いエネルギーが収束していく。

 

「撃て」

 

 沖田の短いその一言とともに、アンドロメダの主砲が吼えた。

 

 放たれた青い閃光が時空を切り裂き、ガイデロール級の船体へと殺到する。

 

 回避行動に移ろうとした瞬間、その船体を容赦なく貫いた。

 

 次の瞬間、ガイデロール級は、光と破片の塊となって弾け飛んだ。

 

 ガミラス人指揮官も、艦と共に華々しく——そしてあまりにもあっけなく、爆散して宇宙の塵と消えた。

 

 気づけば、宇宙には、地球艦隊の艦艇だけが、静かに並び立っていた。

 

 被弾痕すらない連合艦隊が、整然と隊列を維持している。

 

 どの艦も波動防壁に守られて無傷だった。

 

 太陽系外探査艦隊、連合艦隊ともに、損傷艦はゼロ。人的被害もゼロ。

 

 一方、ガミラス艦の残骸からは、救難信号と僅かながら生命反応が検出されていた。

 

 こうして、地球連邦艦隊は初の異星文明艦隊との艦隊戦に大勝利を収めた。

 

 また、戦闘で生き残った異星人の捕虜を得ることにも成功した。

 

 

 

 

 ガミラス艦隊との戦闘後、地球連邦政府は即座に動いた。

 

 対ボラー連邦戦を見据えて計画されていた、人類の存亡を賭けた“太陽系国家総力戦”の宣言である。

 

『我々は、未知の異星文明ガミラスと接触しました。しかし、彼らは我々に隷属か殲滅かの二択を突きつけてきた!』

 

 演説する大統領の背後の巨大スクリーンには、先日行われた戦闘映像が流される。

 

 また、ガミラス人指揮官による地球人類に対する蔑みの言葉と、外交の場で行われた要求内容も簡略化されたテロップ付きで映像として公開された。

 

 一般市民たちは唖然とし、怒りと恐怖に揺れた。

 

『地球人類の未来のために! 明日を生きる子どもたちのために! 我々は、これを拒否しました!』

 

 拳を握りしめるように、大統領は言葉を紡ぐ。

 その瞬間、地球艦隊の砲撃で撃沈されていくガミラス艦艇の映像が映し出される。

 

『我らの文明を! 平和を愛する人類という種を絶やさぬ為に! 共に野蛮な異星人たちと戦いましょう!』

 

 過激な演説で、大統領は徹底抗戦を呼びかけた。

 

『我々地球連邦政府は、侵略者である大ガミラス帝国に対して——宣戦を布告する!!』

 

 同時に太陽系全体で戦時体制への移行と徴兵制の開始、時間断層の本格稼働による急速な波動砲艦隊の整備……といった大軍拡を開始。

 

 そして、ガミラスの侵略に怯える一般市民たちを少しでも安心させるために……

 

『来るなら来い! 侵略者共!! だが愚かな侵略者には、必ずや波動砲という名の神の鉄槌が下るだろう!!』

 

 太陽系に侵入するガミラス艦隊を拡散波動砲で殲滅する様子を太陽系全土に映像で生中継し、地球連邦艦隊の精強さをアピールする計画が決定された。

 

 後に波動砲信仰なる、“波動砲こそ、神が人類救済のために授けて下さったメギドの火だ”と主張するような厄介な新興宗教を多数生み出してしまった、波動砲艦隊無双Live配信である。

 

 

 

 





ちなみに、今回の地球とガミラスの初外交は2205のガルマン星総督ボローズとデスラー総統の外交?シーンを参考にしました。たぶん、この宇宙の一般的な星間外交があんな感じだと思うので……

次回『波動砲艦隊無双!』

ガトランティス人は人間じゃないクローンのまま? それともバグって蛮族化?

  • 愛など不要! クローンのまま
  • 愛……愛愛愛愛ぃー ヒャッハー蛮族化
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